炉内構造物等点検評価ガイドラインの整備について
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カテゴリ: 第11回
1.はじめに
国内外の原子力発電所で応力腐食割れ等の損傷事例が報告されて以降,損傷の可能性を有する炉内構造物を健全に維持・管理していくことは,原子力安全を確保していく上での重要課題のひとつとなった。JANSI(原子力安全推進協会)に基盤を置く「炉内構造物等点検評価ガイドライン検討会」では,約15 年にわたり炉内構造物の点検・評価の考え方や補修工法等の各種要領を「炉内構造物等点検評価ガイドライン」(以下,「炉内ガイドライン」と略す)として提案してきた。また,活動の成果や制定された主な炉内ガイドラインについて,保全学会学術講演会等の機会に紹介してきた。ここでは,炉内ガイドライン整備活動の全体概要版である「炉内構造物等点検評価ガイドラインついて」(以下,「炉内ガイドラインについて」と略す)をH25 年12 月に第4版として改訂したことから,審議プロセスを経て見直された炉内ガイドラインの役割や活用方策等を中心に報告する。
2.炉内ガイドラインの役割について
約5 年ぶりに改訂した「炉内ガイドラインについて」(第4版)は,全体構成を刷新したほか,福島第一原子力発電所事故後の情勢変化を踏まえた炉内ガイドラインのあり方について重ねた議論をもとに,現時点での考え方を取り纏めている。 炉内構造物は接近性の制約から点検・補修が困難な部位があるため,疲労,SCC,照射脆化,摩耗などの経年劣化事象を想定し,構造強度や安全上の重要度等を勘案して,技術的合理性に基づいた点検の考え方を取り纏め, 優先順位の高いものから各種の炉内ガイドラインとして制定してきた。 福島第一原子力発電所事故を契機として,原子力安全の基本的考え方が見直され,既存炉へのバックフィット 制度採入れ,40 年超運転の妥当性厳格評価など,規制要求が強化される中にあって,設備の詳細設計・製造, 運転・保守に係わる部分については,その内容を熟知する産業界が民間レベルのルール化に主体的に取り組むことが必要とされている。炉内ガイドラインの役割についても,従来の維持規格策定の間接支援に加えて,原子力安全を確保するための総合的かつ継続的な保全活動を支援する方策としての位置づけが重要となっている。炉内ガイドライン策定に際しては,構造物の経年劣化の発生・進展予測に加えて,安全機能に係る設備健全性を常に確保する点検時期設定,損傷が確認された場合の健全性評価方法,補修方法及び抑制・緩和方法などに関する技術的根拠や合理性を明示することが求められている。3.炉内ガイドラインの活用方策 炉内ガイドラインは,新規制基準で要求される次のような場面での保全要求に対応した民間自主ガイドラインとして,活用することを想定している。連絡先: 関 弘明,〒108-0014 東京都港区芝5-36-7 一般社団法人原子力安全推進協会 技術支援部, E-mail: seki.hiroaki@.genanshin.jp - 303 -2①. 施設定期検査②. 定期安全管理審査(高経年技術評価を含む) ③. 保安検査④. 運転期間延長審査ただし,学協会規格への反映を通じて,炉内ガイドラインの一般化された要求事項が間接的にエンドースされることはあるものの,直接法令や技術基準等の規制文書で炉内ガイドラインが引用あるいはエンドースされることは必ずしも意図していない。3.1 安全機能面からの考慮炉内ガイドラインが対象とする設備は原子炉及び炉心(燃料を除く)を構成する炉内構造物と原子炉圧力容器であり,原子力安全を確保する観点で,次のような影響を及ぼす機能を有している。①. 炉心(燃料)支持機能②. 炉心(燃料)冷却機能③. 冷却材流路形成機能④. 冷却材圧力バウンダリ形成機能⑤. 炉心停止機能(制御棒挿入(補助)機能) 対象設備がこれらの機能を喪失する要因には直接的な内部事象のみでなく,プラントシステムを通じて影響を受ける間接的な内部事象及び外部事象がある。設備の機能喪失に至るような対象部位の損傷リスクが,原子力安全に与える影響について深層防護の観点からも検討する必要があるが,炉内ガイドラインでは, 対象部位の原子力安全の観点から確保すべき機能は, 深層防護の第3 層(設計基準事故の発生から収束)までで対処していくことを基本としている。(図1) 図1.対象部位の原子力安全への影響 一方で,今後は原子力安全の安全目標,性能目標との対比により総合的なリスク評価を行うための取り組みが進展していくことが想定されることから,将来的にはリスクベースアプローチにより第4 層(設計基準を超える事故の拡大防止及び緩和)のシナリオでの対処法や保全面からのリスク低減方策についてもアクシデントマネジメントの視点から説明性を高めていく必要があると考えられ,別の場での検討が期待される。3.2 保全活動での一層の活用従来から原子力発電所の保守管理の中で「保全プログラム」策定段階を中心に炉内ガイドラインは活用されてきた。今後はこれまでの運転・保守管理の経験(実績)を踏まえ,得られた知見・データベースを保全技術の高度化と保全の最適化へ反映していく意識が必要である。(図2) 図2 炉内ガイドライン高度化と保全活動での活用 すなわち,炉内ガイドラインを保全プログラムの策定に活用するだけでなく,運転・保守管理の経験とともに国内外の基準動向や新知見等を反映して次のような保全への適用技術及び概念の精緻化,高度化に活用していくことが重要である。①. 非破壊検査手法などの点検技術②. 劣化メカニズムの理解による劣化予測技術③. 破壊メカニズムの理解などによる損傷評価技術④. 補修・劣化緩和技術⑤. リスク情報活用,状態/事後保全などの保全概念原子力発電所の将来の通常運転に備えて,規制要求への適合に留まることなく,安全確保を高いレベルで追及するための諸方策と実践活動が重要であり,産業界が主体となって策定する様々なガイドラインが原子力発電施設の保全活動に活用され,原子力安全をより高めることを目指すという方向性を確認するとともに, その具体的な進め方については継続議論しつつ取り組むこととしている。 原子力安全(人と環境の放射線の有害な影響からの防御)への影響事象運転環境対象部位構造劣化事象 材料 破壊モード破壊・損傷機能喪失外部事象内部事象プラントシステムアクシデントマネジメント(本検討会対象外) - 304 -33.3 活用に向けた炉内ガイドライン整備 これまでに制定・改訂し公表している炉内ガイドラインの一覧を表1 に示す。 表1.炉内ガイドライン一覧表 発行・改訂ガイドライン (H26年6月現在) 公開媒体 発行年月炉心スプレイ配管・スパージャ(第2版) PDF公開H24年3月ジェットポンプ(第2版) PDF公開H24年3月差圧検出・ほう酸水注入ライン火原協図書 H16年CRD(制御棒駆動機構)ハウジング(第2版) 火原協図書 H16年ICM(炉内核計装)ハウジング火原協図書 H14年炉心シュラウド(第4版) PDF公開H20年10月同上、付録F追補PDF公開H21年5月シュラウドサポート(第3版) PDF公開H20年6月同上、付録D追補PDF公開H21年5月上部格子板火原協図書 H13年炉心支持板火原協図書 H13年一般点検火原協図書 H14年炉心そう火原協図書 H13年バッフルフォーマボルト(第2版) PDF公開H26年3月バレルフォーマボルト火原協図書 H13年制御棒クラスタ案内管(第3版) PDF公開H25年6月原子炉容器炉内計装筒(第2版) PDF公開H25年6月クラス1容器 管台セーフエンド異材継手部PDF公開H21年8月一般点検火原協図書 H14年ウェルドオーバーレイ工法(BWR補修工法) 火原協図書 H17年容器管台スプールピース取替(PWR補修工法) PDF公開H25年12月封止溶接工法(補修工法) PDF公開H20年1月対策ー高周波誘導加熱応力改善工法(補修工法) PDF公開H24年3月水中レーザー肉盛溶接工法(補修工法) PDF公開H24年11月外面からの入熱による応力改善方法(予防保全工法) PDF公開H20年1月ピーニング工法(予防保全工法)(第2版) PDF公開H20年1月水中レーザクラッド溶接工法(予防保全工法) PDF公開H21年1月研磨による応力改善方法(予防保全工法) PDF公開H21年10月保全技術の適用プロセスPDF公開H22年5月水素注入による環境改善効果の評価方法(BWR予防保全) PDF公開H24年3月全般炉内構造物等点検評価ガイドラインについて(第4版) PDF公開H25年12月補修・予防保全工法BWR 点検評価PWR 点検評価 最近の一例として,H26 年3 月に改訂されたPWR 点検評価ガイドライン「バッフルフォーマボルト」(第2 版) では,初版の内容を刷新し,照射誘起型応力腐食割れ(IASCC)に対する合理的な点検評価のあり方を示すため,PWR 電力共通研究や国プロ(JNES 事業;H12~21 年度)成果を反映して,知見拡充や応力解析手法の精緻化など,説明性の向上を図っている。 なお,全ての炉内ガイドラインの概要(一件一葉) と原技協/原安進で制定・改訂された炉内ガイドラインは,原安進HP に掲載しているので参照願いたい。http://www.genanshin.jp/archive/coreinternals/ ここで,いくつかの補修・予防保全工法については, 確性試験を含む開発段階で実施(確認)すべき項目, あるいは炉内ガイドラインを反映したJSME 維持規格等の規制当局によるエンドースとの関係性が複雑に絡んでいることに留意する必要がある。したがって炉内ガイドラインでは,対象設備が必要とする機能に対して,技術の適用目的(目標性能)達成のための手法,適用手法の確認事項とその考え方,適用に伴う対象部位の構造・健全性確保上の確認事項及び適用に伴う保全への影響などを明確に規定していくことが重要となる。また,工法開発から実機適用までの一連のプロセス(流れ)のなかで,様々な理由から規定内容やその解釈が見直されることも多いため,適用上の混乱が生じないよう, 改訂の機会を捉えて包括的な説明内容となるように留意していく。今後も継続的な炉内ガイドライン改訂により,技術知見の反映や,わかりやすい記載内容への見直しなど, 当事者と一般への説明性向上に努めることとする。 さらに,原子力発電所の安全性向上に向けて確立される品質保証マネジメントシステムのもと,保守管理の経験(実績)を踏まえながら,一環した保全活動がより的確かつ合理的に行われるよう,炉内ガイドライン活用方策についても検討することとしたい。4.おわりに 炉内構造物等点検評価ガイドライン検討会は,原子力安全の確保に不可欠な明確で合理的な点検ルール等を制定・改訂することにより,点検評価,補修等の在り方を提言するための活動を継続している。原子力安全を取り巻く状況が過酷事故対策や防災を中心に大きく見直される中にあって,これまで蓄積してきた保全技術成果を一般化し,これを伝承しつつ着実に炉内ガイドラインに反映させていくことが今後とも重要である。長年にわたり炉内ガイドライン整備にご協力いただいている学識経験者,電力・メーカ等関係者に感謝するとともに,産業界における各種ガイドラインが, 原子力発電所の保全プログラム反映を通じて,安全性向上の一助になることを期待するものである。 参考文献[1] 炉内構造物等点検評価ガイドラインの整備について 保全学会第10 回学術講演会(大阪大学 H25 年8 月) 要旨集pp.607~609 [2] 炉内構造物等点検評価ガイドラインについて(第4 版) JANSI-VIP-03 H25年12月 原子力安全推進協会- 305 -“ “炉内構造物等点検評価ガイドラインの整備について “ “関 弘明,Hiroaki SEKI,小林 広幸,Hiroyuki KBAYASHI,中野 守人,Morihito NAKANO,村井 荘太郎,Soutarou MURAI,野本 敏治,Toshiharu NOMOTO
国内外の原子力発電所で応力腐食割れ等の損傷事例が報告されて以降,損傷の可能性を有する炉内構造物を健全に維持・管理していくことは,原子力安全を確保していく上での重要課題のひとつとなった。JANSI(原子力安全推進協会)に基盤を置く「炉内構造物等点検評価ガイドライン検討会」では,約15 年にわたり炉内構造物の点検・評価の考え方や補修工法等の各種要領を「炉内構造物等点検評価ガイドライン」(以下,「炉内ガイドライン」と略す)として提案してきた。また,活動の成果や制定された主な炉内ガイドラインについて,保全学会学術講演会等の機会に紹介してきた。ここでは,炉内ガイドライン整備活動の全体概要版である「炉内構造物等点検評価ガイドラインついて」(以下,「炉内ガイドラインについて」と略す)をH25 年12 月に第4版として改訂したことから,審議プロセスを経て見直された炉内ガイドラインの役割や活用方策等を中心に報告する。
2.炉内ガイドラインの役割について
約5 年ぶりに改訂した「炉内ガイドラインについて」(第4版)は,全体構成を刷新したほか,福島第一原子力発電所事故後の情勢変化を踏まえた炉内ガイドラインのあり方について重ねた議論をもとに,現時点での考え方を取り纏めている。 炉内構造物は接近性の制約から点検・補修が困難な部位があるため,疲労,SCC,照射脆化,摩耗などの経年劣化事象を想定し,構造強度や安全上の重要度等を勘案して,技術的合理性に基づいた点検の考え方を取り纏め, 優先順位の高いものから各種の炉内ガイドラインとして制定してきた。 福島第一原子力発電所事故を契機として,原子力安全の基本的考え方が見直され,既存炉へのバックフィット 制度採入れ,40 年超運転の妥当性厳格評価など,規制要求が強化される中にあって,設備の詳細設計・製造, 運転・保守に係わる部分については,その内容を熟知する産業界が民間レベルのルール化に主体的に取り組むことが必要とされている。炉内ガイドラインの役割についても,従来の維持規格策定の間接支援に加えて,原子力安全を確保するための総合的かつ継続的な保全活動を支援する方策としての位置づけが重要となっている。炉内ガイドライン策定に際しては,構造物の経年劣化の発生・進展予測に加えて,安全機能に係る設備健全性を常に確保する点検時期設定,損傷が確認された場合の健全性評価方法,補修方法及び抑制・緩和方法などに関する技術的根拠や合理性を明示することが求められている。3.炉内ガイドラインの活用方策 炉内ガイドラインは,新規制基準で要求される次のような場面での保全要求に対応した民間自主ガイドラインとして,活用することを想定している。連絡先: 関 弘明,〒108-0014 東京都港区芝5-36-7 一般社団法人原子力安全推進協会 技術支援部, E-mail: seki.hiroaki@.genanshin.jp - 303 -2①. 施設定期検査②. 定期安全管理審査(高経年技術評価を含む) ③. 保安検査④. 運転期間延長審査ただし,学協会規格への反映を通じて,炉内ガイドラインの一般化された要求事項が間接的にエンドースされることはあるものの,直接法令や技術基準等の規制文書で炉内ガイドラインが引用あるいはエンドースされることは必ずしも意図していない。3.1 安全機能面からの考慮炉内ガイドラインが対象とする設備は原子炉及び炉心(燃料を除く)を構成する炉内構造物と原子炉圧力容器であり,原子力安全を確保する観点で,次のような影響を及ぼす機能を有している。①. 炉心(燃料)支持機能②. 炉心(燃料)冷却機能③. 冷却材流路形成機能④. 冷却材圧力バウンダリ形成機能⑤. 炉心停止機能(制御棒挿入(補助)機能) 対象設備がこれらの機能を喪失する要因には直接的な内部事象のみでなく,プラントシステムを通じて影響を受ける間接的な内部事象及び外部事象がある。設備の機能喪失に至るような対象部位の損傷リスクが,原子力安全に与える影響について深層防護の観点からも検討する必要があるが,炉内ガイドラインでは, 対象部位の原子力安全の観点から確保すべき機能は, 深層防護の第3 層(設計基準事故の発生から収束)までで対処していくことを基本としている。(図1) 図1.対象部位の原子力安全への影響 一方で,今後は原子力安全の安全目標,性能目標との対比により総合的なリスク評価を行うための取り組みが進展していくことが想定されることから,将来的にはリスクベースアプローチにより第4 層(設計基準を超える事故の拡大防止及び緩和)のシナリオでの対処法や保全面からのリスク低減方策についてもアクシデントマネジメントの視点から説明性を高めていく必要があると考えられ,別の場での検討が期待される。3.2 保全活動での一層の活用従来から原子力発電所の保守管理の中で「保全プログラム」策定段階を中心に炉内ガイドラインは活用されてきた。今後はこれまでの運転・保守管理の経験(実績)を踏まえ,得られた知見・データベースを保全技術の高度化と保全の最適化へ反映していく意識が必要である。(図2) 図2 炉内ガイドライン高度化と保全活動での活用 すなわち,炉内ガイドラインを保全プログラムの策定に活用するだけでなく,運転・保守管理の経験とともに国内外の基準動向や新知見等を反映して次のような保全への適用技術及び概念の精緻化,高度化に活用していくことが重要である。①. 非破壊検査手法などの点検技術②. 劣化メカニズムの理解による劣化予測技術③. 破壊メカニズムの理解などによる損傷評価技術④. 補修・劣化緩和技術⑤. リスク情報活用,状態/事後保全などの保全概念原子力発電所の将来の通常運転に備えて,規制要求への適合に留まることなく,安全確保を高いレベルで追及するための諸方策と実践活動が重要であり,産業界が主体となって策定する様々なガイドラインが原子力発電施設の保全活動に活用され,原子力安全をより高めることを目指すという方向性を確認するとともに, その具体的な進め方については継続議論しつつ取り組むこととしている。 原子力安全(人と環境の放射線の有害な影響からの防御)への影響事象運転環境対象部位構造劣化事象 材料 破壊モード破壊・損傷機能喪失外部事象内部事象プラントシステムアクシデントマネジメント(本検討会対象外) - 304 -33.3 活用に向けた炉内ガイドライン整備 これまでに制定・改訂し公表している炉内ガイドラインの一覧を表1 に示す。 表1.炉内ガイドライン一覧表 発行・改訂ガイドライン (H26年6月現在) 公開媒体 発行年月炉心スプレイ配管・スパージャ(第2版) PDF公開H24年3月ジェットポンプ(第2版) PDF公開H24年3月差圧検出・ほう酸水注入ライン火原協図書 H16年CRD(制御棒駆動機構)ハウジング(第2版) 火原協図書 H16年ICM(炉内核計装)ハウジング火原協図書 H14年炉心シュラウド(第4版) PDF公開H20年10月同上、付録F追補PDF公開H21年5月シュラウドサポート(第3版) PDF公開H20年6月同上、付録D追補PDF公開H21年5月上部格子板火原協図書 H13年炉心支持板火原協図書 H13年一般点検火原協図書 H14年炉心そう火原協図書 H13年バッフルフォーマボルト(第2版) PDF公開H26年3月バレルフォーマボルト火原協図書 H13年制御棒クラスタ案内管(第3版) PDF公開H25年6月原子炉容器炉内計装筒(第2版) PDF公開H25年6月クラス1容器 管台セーフエンド異材継手部PDF公開H21年8月一般点検火原協図書 H14年ウェルドオーバーレイ工法(BWR補修工法) 火原協図書 H17年容器管台スプールピース取替(PWR補修工法) PDF公開H25年12月封止溶接工法(補修工法) PDF公開H20年1月対策ー高周波誘導加熱応力改善工法(補修工法) PDF公開H24年3月水中レーザー肉盛溶接工法(補修工法) PDF公開H24年11月外面からの入熱による応力改善方法(予防保全工法) PDF公開H20年1月ピーニング工法(予防保全工法)(第2版) PDF公開H20年1月水中レーザクラッド溶接工法(予防保全工法) PDF公開H21年1月研磨による応力改善方法(予防保全工法) PDF公開H21年10月保全技術の適用プロセスPDF公開H22年5月水素注入による環境改善効果の評価方法(BWR予防保全) PDF公開H24年3月全般炉内構造物等点検評価ガイドラインについて(第4版) PDF公開H25年12月補修・予防保全工法BWR 点検評価PWR 点検評価 最近の一例として,H26 年3 月に改訂されたPWR 点検評価ガイドライン「バッフルフォーマボルト」(第2 版) では,初版の内容を刷新し,照射誘起型応力腐食割れ(IASCC)に対する合理的な点検評価のあり方を示すため,PWR 電力共通研究や国プロ(JNES 事業;H12~21 年度)成果を反映して,知見拡充や応力解析手法の精緻化など,説明性の向上を図っている。 なお,全ての炉内ガイドラインの概要(一件一葉) と原技協/原安進で制定・改訂された炉内ガイドラインは,原安進HP に掲載しているので参照願いたい。http://www.genanshin.jp/archive/coreinternals/ ここで,いくつかの補修・予防保全工法については, 確性試験を含む開発段階で実施(確認)すべき項目, あるいは炉内ガイドラインを反映したJSME 維持規格等の規制当局によるエンドースとの関係性が複雑に絡んでいることに留意する必要がある。したがって炉内ガイドラインでは,対象設備が必要とする機能に対して,技術の適用目的(目標性能)達成のための手法,適用手法の確認事項とその考え方,適用に伴う対象部位の構造・健全性確保上の確認事項及び適用に伴う保全への影響などを明確に規定していくことが重要となる。また,工法開発から実機適用までの一連のプロセス(流れ)のなかで,様々な理由から規定内容やその解釈が見直されることも多いため,適用上の混乱が生じないよう, 改訂の機会を捉えて包括的な説明内容となるように留意していく。今後も継続的な炉内ガイドライン改訂により,技術知見の反映や,わかりやすい記載内容への見直しなど, 当事者と一般への説明性向上に努めることとする。 さらに,原子力発電所の安全性向上に向けて確立される品質保証マネジメントシステムのもと,保守管理の経験(実績)を踏まえながら,一環した保全活動がより的確かつ合理的に行われるよう,炉内ガイドライン活用方策についても検討することとしたい。4.おわりに 炉内構造物等点検評価ガイドライン検討会は,原子力安全の確保に不可欠な明確で合理的な点検ルール等を制定・改訂することにより,点検評価,補修等の在り方を提言するための活動を継続している。原子力安全を取り巻く状況が過酷事故対策や防災を中心に大きく見直される中にあって,これまで蓄積してきた保全技術成果を一般化し,これを伝承しつつ着実に炉内ガイドラインに反映させていくことが今後とも重要である。長年にわたり炉内ガイドライン整備にご協力いただいている学識経験者,電力・メーカ等関係者に感謝するとともに,産業界における各種ガイドラインが, 原子力発電所の保全プログラム反映を通じて,安全性向上の一助になることを期待するものである。 参考文献[1] 炉内構造物等点検評価ガイドラインの整備について 保全学会第10 回学術講演会(大阪大学 H25 年8 月) 要旨集pp.607~609 [2] 炉内構造物等点検評価ガイドラインについて(第4 版) JANSI-VIP-03 H25年12月 原子力安全推進協会- 305 -“ “炉内構造物等点検評価ガイドラインの整備について “ “関 弘明,Hiroaki SEKI,小林 広幸,Hiroyuki KBAYASHI,中野 守人,Morihito NAKANO,村井 荘太郎,Soutarou MURAI,野本 敏治,Toshiharu NOMOTO