地球温暖化に伴うハリケーン・台風の強大化と原子力発電所の対応方法の検討

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カテゴリ: 第11回
1.諸言
近年、米国におけるカテゴリー4と5のハリケーンの発 生件数が、10 年毎に約 20%増えているという統計がある。 2012 年 10 月 22 日~29 日に発生したハリケーンサンディは、 史上初めてニューヨークのマンハッタンを襲った。中心気 圧が低く、その負圧で海水が盛り上がり、満潮時と重なっ て、4.7m の潮位となり、マンハッタン島の地下鉄に流入。 停電を引き起こして都市機能をマヒさせた。ニューヨーク 州とニュージャジー州の原子力発電所は一時的に運転停止 した。我が国でも、台風 26 号が伊豆大島を 2013 年 10 月 15 日~16 日に襲い、24 時間で 840mm の降水量となり、広 域土砂災害を引き起こした。続いて 11 月 4 日~11 日に発 生した台風 30 号がフィリピンのミンダナオ島に上陸し、7 日 21 時には最大瞬間風速 90m、中心気圧 895hPa の観測史 上例を見ない猛烈な台風となった。8 日午前 4 時 40 分には フィリピン中心のサマール島に上陸、レイテ島、パナイ島 とフィリピン中部ヴィサヤ諸島を横断し、南シナ海に抜け た。8 日朝の時点で最大風速 87.5m、最大瞬間風速 105m を 記録した。一方、2013 年 10 月 12 日にインドのベンガル湾 沿岸にサイクロン・ファイリンが上陸した。その直径は 2300Nm である。これらのハリケーン、台風、サイクロン はいずれも、その熱エネルギーを海水表面から蒸発する水 蒸気により供給されている。台風は人口衛星によって進路 を捕捉されていて、カテゴリー5に属するような超巨大台 風が接近してきたら、米国のように原子力発電所を一時的 に運転停止させたり、高台の電源車や移動冷却車を避難さ せたり、固縛管理するなどの手順をあらかじめ定めておく ことが必要であり、竜巻と津波対策の応用問題である。 2.米国のハリケーン事例と台風の強大化2005 年 9 月 21 日に米ニューオリーンズを襲ったハリケ ーン・カトリーナは約 50 万人に避難命令、1836 名の死者 と店舗や救援車両への略奪やレイプといった犯罪、石油価 格の高騰をもたらし、約 7 兆円の経済損失が生じた (Figs.1&2)のハリケーンはカテゴリー5に分類され (Fig.3)、経済損失から見れば、福島第一原発の事故に匹 敵する。しかも、それに続くハリケーン・リタ(Fig.4)や 一昨年のニューヨーク・マンハッタンを襲ったハリケー ン・サンディなど、毎年のように来襲している。
Fig.1 American dream were flowed out by hurricane Katrina Fig.2 Rebuild a dream after hurricane Katrina (TIME) Fig.3 Categories classification of hurricanes (TIME) - 393 - Fig.4 Hurricane Rita bring a second cruel (TIME) Fig.5 に示すとおり、ハリケーンは年々、強大化しており、 経済損失も巨額に上る。これは Fig.6 に示すように、ハリ ケーンが、その熱エネルギーを海水が蒸発した水蒸気によ って得ており、海水温度が上昇しているためである。日本 近海でも最大で約 1.6°C上昇しており、2°Cの上昇でハリケ ーンや台風は2倍の強度となる。 2012年 10月 22 日~29 日に発生したハリケーンサンディ は、史上初めてニューヨークのマンハッタンを襲った。中 心気圧が低く、その負圧で海水が盛り上がり(Fig.7)、満 潮時と重なって、4.7m の潮位となり、マンハッタン島の地 下鉄に流入。停電を引き起こして都市機能をマヒさせた (Fig.8)。ニューヨーク州とニュージャジー州の原子力発電 所は一時的に運転停止した。 Fig.5 Hurricanes are getting more powerful Fig.6 Mechanism of a hurricane getting thermal energy Fig.7 Sea water level increase by hurricane Sandy 米国におけるカテゴリー4と5のハリケーンの発生件数 が、10 年毎に約 20%増えている。2012 年 10 月に発生した ハリケーンサンディは、史上初めてニューヨークのマンハ ッタンを襲い地下鉄に甚大な被害を与えた。米国のように 原子力発電所を一時的に運転停止させたり、高台の電源車 や移動冷却車を避難させたり、固縛管理するなどの手順を あらかじめ定めておくことが必要である。竜巻と津波対策 の応用問題として保全学会として指針策定に取り組みたい。 - 394 - Fig.9 は、2014 年 7 月 5 日時点の台風 8 号の進路で、昨年 フィリピンを襲った台風 30 号の進路と比べ北に進路をと っているが、海域の海水温が上がっているので強大化して いるのである。米国のように原子力発電所を一時的に運転 停止させたり、高台の電源車や移動冷却車を避難させたり、 固縛管理するなどの手順をあらかじめ定めておくことが必 要であり、竜巻と津波対策の応用問題である。 Fig.8 Water disaster in subways under a metropolitan Fig.9 Typhoon 8th 2014, attacking kyusyu vs. Typhoon 30th, attacked Philippine in Nov. 2013. 3.結言“ “地球温暖化に伴うハリケーン・台風の強大化と原子力発電所の対応方法の検討 “ “奈良林 直,Tadashi NARABAYASHI,杉山 憲一郎,Kenichiro SUGIYAMA
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