伊方発電所における竜巻防護対策について

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カテゴリ: 第11回
1.はじめに
原子力規制委員会の定める設置許可基準規則第6条に 関連して、原子炉施設の供用期間中に極めてまれに発生 する突風・強風を引き起こす自然現象としての竜巻及び その随伴事象によって、原子設の安全性を損なうこ とのない設計であることを評価するため、「原子力発電所 の竜巻影響評イド」(以下、「ガイド」という。)等に 基づき、竜巻影響評価を実施している。[1,2]本評価のうち、伊方発電所3号機における竜巻防護対 策(実機適用事例)について紹介する。[3-6]
2.竜巻影響評価対象施設の抽出 2.1 竜巻影響評価の対象施設 竜巻影響評価の対象施設については、「発電用軽水型原 子炉施設の安全機能の重要度分類に関する審査指針」に おけるクラス1及びクラス2に属する施設を竜巻防護施 設とし、それらから図1に示すフローに基づき、下記の 評価対象施設を抽出している。 ・屋外施設 ・建屋内の施設で外気と繋がっている施設 ・竜巻防護施設を内包する施設 ・建屋に内包されるが防護が期待できない施設 また、ガイドに基づき、耐震Sクラス施設についても、 評価対象施設として抽出している。 具体的には、屋外施設として海水ポンプ、重油タンク、 竜巻防護施設を内包する原子炉建屋などが抽出される。 図1 評価対象施設抽出フロー 2.2 竜巻防護施設に波及的影響を及ぼし得る施設 竜巻防護施設に波及的影響を及ぼし得る施設は、当該 施設の破損により竜巻防護施設に波及的影響を及ぼして 安全機能を損なわせる可能性が否定できない施設であり、 竜巻影響評価対象施設として抽出している。(図2参照) ・風荷重による倒壊により竜巻防護施設に波及的影響 を及ぼし得る施設
- 409 - 安全施設 安全機能を Yes 屋外施設及び No 有するクラス1,2に 建屋内の施設で外気と 属する施設 繋がっている施設 No ・原子炉容器 ・余熱除去ポンプ 他 No Yes Yes 【屋外施設】 【耐震Sクラス設備】※2 ・津波監視設備 (海面監視カメラ、耐震型海水ピット水位計) ※2:ガイドに基づき抽出 ※1:非常用ディーゼル発電機の7日間連続運転に必要な設備 建屋に内包されるが、 防護機能が期待できない 施設 竜巻により損傷する場合は、代替設備に より必要な機能を確保すること、安全上 ・海水ポンプ、海水ストレーナ 支障のない期間に修復すること等の対応 ・補助給水タンク、重油タンク が可能な設計とする。 【竜巻防護施設を内包する施設】 ・ミニローリー(重油用)建屋・構築物の構造健全性の 確認結果を基に抽出 ・格納容器排気筒(屋外) ※1 ・配管及び弁 (原子炉補機冷却海水系統, 補助給水系統,重油系統) 【建屋内の施設で外気と繋がっている施設】 ・格納容器排気筒(屋内) ・換気空調設備 (アニュラス空気浄化系、安全補機室空気浄化系、中央制御室空調系、安全補機開閉器 室空調系、ディーゼル発電機室換気系、制御用空気圧縮機室換気系、電動補助給水 ポンプ室換気系の外気との境界となるファン・ダンパ・バタフライ弁及び境界までのダクト) ・原子炉建屋(原子炉容器他を内包) ・原子炉補助建屋(余熱除去ポンプ他を内包) ・非常用ディーゼル発電機燃料油貯油槽基礎 (ディーゼル発電機燃料油貯油槽を内包) ・海水ポンプエリア防護壁、海水ポンプエリア水密扉、 海水ポンプエリア水密ハッチ(海水ポンプ他を内包) ・竜巻防護施設を内包する区画の換気空調設備のうち 外気との境界となるダンパ及び境界までのダクト ・吸排気管が屋外に設置されている竜巻防護施設の付 属施設 伊方発電所構内施設 NO 3号機竜巻防護施設を内包する施設との 3号機を構成する施設か 対象外 離隔距離と施設の高さから、施設の倒壊により波及的 影響を及ぼし得る施設か* YES YES NO 対象外 【倒壊により竜巻防護施設に波及的影響を及ぼし得る施設】 ・タービン建屋 ・1次系ボンベ庫 ・3号事務所 ・2-固体廃棄物貯蔵庫 ・海水ピットクレーン ※今後新設される竜巻防護対策以外の施設 竜巻防護施設を内包する区画の YES 換気空調設備等のうち、外気との境界となる ダンパ及び境界までのダクト (例:海水ピットポンプ室浸水防護堰) NO【吸排気管が屋外に設置されている竜巻防護施設の附属施設】 ・主蒸気逃がし弁(消音器) ・主蒸気安全弁(排気管) ・タービン動補助給水ポンプ(蒸気大気放出管) ・非常用ディーゼル発電機(吸気消音器、排気消音器) YES 吸排気管が 屋外に設置されている竜巻防護施設の 附属施設 ・非常用ディーゼル発電機(燃料油貯油槽ベント管) NO 【竜巻防護施設を内包する区画の換気空調設備のうち、 外気と繋がるダンパ及び境界までのダクト】 ・換気空調設備(蓄電池室排気系の外気との境界となる ダンパ及び境界までのダクト) 対象外 図2 波及的影響を及ぼし得る施設の抽出フロー 具体的には、倒壊により竜巻防護施設に波及的影響を 及ぼし得る施設として、タービン建屋などが抽出される。 3.基準竜巻・設計竜巻の設定 3.1 基準竜巻の設定 基準竜巻の設定について、最大風速(VB)は、1過去 に発生した竜巻による最大風速(VB1)と2竜巻最大風速 のハザード曲線の最大風速(VB2)を比較し、大きい方の 風速を設定している。 ここで過去に発生した竜巻は、竜巻強度の指標(藤田 スケール)でF3であり、その風速の上限値の92m/s を過 去最大の風速(VB1)としている。一方、竜巻最大風速の ハザード曲線による最大風速(VB2)の設定について、気 象庁の「竜巻等の突風データベース」から竜巻検討地域 内における竜巻データを抽出し、図3に示すフローで策 定したハザード曲線に基づき算定している。 気象庁 「竜巻等の突風データベース」 竜巻の発生頻度の分析(竜巻の年発生数確率分布) (観測体制を考慮したFスケール毎データ観測期間、Fスケール不明の取扱い) 竜巻最大風速 確率分布 f(V) 図3 竜巻最大風速のハザード曲線策定フロー - 410 - 竜巻被害幅 確率分布 f(W) 竜巻被害長さ 確率分布 f(L) V,W,Lの相関 被害面積の期待値 E[DA(V0)] 竜巻影響エリアの面積 対象施設の設置面積 の合計値 1つの竜巻により被害を受けた場合に 竜巻風速がV0を超える確率 R(V0)=E[DA(V0)]/A0 (ハザード曲線) ,T(D) 竜巻検討地域 の面積 A0 いずれかの竜巻により被害を受けた場合に 竜巻風速がV0P を超える確率 V0 図4に示すように、伊方発電所では、竜巻検討地域で 発生・侵入した竜巻最大風速の確率密度分布を基に、竜 巻検討地域及び検討地域を1km範囲に細分化、竜巻発生 数を変えずに竜巻検討地域の面積を1/10にした竜巻最大 風速のハザード曲線を設定している。 最大風速(VB2)は、ガイドを参考に年超過確率10-5に 相当する風速として、竜巻検討地域の面積を1/10(1km 幅)にしたハザード曲線を採用し、83m/s としている。 したがって、基準竜巻の最大風速(VB)は、VB1とVB2 を比較し、大きい方の92m/sとしている。 また、ハザード曲線から算定した基準竜巻の年超過確 率は、約3.4×10-6/年となる。 図4 竜巻最大風速のハザード曲線 3.2 設計竜巻の設定 設計竜巻の設定に際して、伊方発電所は敷地背後に急 峻な傾斜地を持つ狭隘な地形に立地しているため、地形 効果による風の増幅を評価した。(図5参照) 図6に示すように、いずれのケースにおいても風の増 幅がないことを確認した。その結果、設計竜巻の最大風 速は、基準竜巻の92m/sと設定される。 [地形効果による風の増幅の評価] ケース1:海上から上陸して斜面を上がる ケース2:海上から上陸して半島を乗り越え 斜面を下る 図5 地形効果等による風の増幅効果(計算領域) ケース1 ケース2 ケース1 ケース2 ???? ?i??g?b 図6 数値流体計算結果 しかしながら、竜巻の観測数等のデータが少なく、不 確実性があることから、基準竜巻の最大風速を安全側に 切り上げ、設計竜巻の最大風速は100m/s としている。 設計竜巻の特性値を表1に示す。 表1 設計竜巻の特性値 ???? ????g?b 4.設計飛来物の設定 4.1 設計飛来物の設定 竜巻の特徴である設計飛来物の設定については、伊方 発電所構内に存在する飛来物になり得る物品について現 地調査を行い、図7に示す設計飛来物の選定フローに基 づき、評価に使用する設計飛来物を設定している。 設計飛来物の選定においては、風荷重により浮き上が るか、また、固縛対策等により飛来物発生が防止できる かの2点が重要であり、選定の結果、伊方発電所では、 1鋼製パイプ、2鋼製材、3乗用車の3つを設計飛来物 としている。 ??????? ???g??b??? ????g?b k?? k? p? ?? pt o? 現地調査より飛来物となる可能性が あるもの(想定飛来物)を選定 想定飛来物について空力パラメータ 及び運動エネルギー等を算出 想定飛来物をサイズ、 特性により分類 空力パラメータが 0.0028以上か 飛来物発生防止 対策が対策物量等設置 状況から対応困難か (浮上しない) No 検討すべき飛来物 1‐1~3 :砂利 2‐1~8 :パイロン等 3‐1~2 :鋼製パイプ等 3‐3~8 :チェッカープレート、グレーチング、マンホールふた 4‐1~5 :看板等 5‐1,2,5 :鋼製材、敷き鉄板、仮設足場 7‐2 :乗用車 Yes 固縛または離隔等の 横滑り対策が対策物量等 Yes 設置状況から対応困難か No No 横滑り対策の実施 個別評価不要 1‐4 :砂利 5‐4 :鋼板 ★ 横滑りする 可能性があるか (浮上する) Yes 個別評価不要 5‐3 :コンクリート板 No 竜巻影響評価ガイドの飛来物設定例 に基づき設計飛来物を選定※1 ・鋼製パイプ :3‐1 ・鋼製材 :5‐1 5‐6,7,8 6‐8,9 :給水タンク、盤 7‐1,3,4,5 :トラック、建設重機(クレーン) 電源車、大型ポンプ車 固縛対策等により飛来物とならない 個別評価不要 :仮設資材、鋼製階段、水中ポンプ Yes 6‐1~7,10 :コンテナ、テント、プレハブ小屋、 小型船舶、自動販売機 7‐6,7,8 :ミニローリー、消防自動車、モニタ車 ※1竜巻影響評価ガイドの飛来物設定例にあるコンクリート板、 コンテナ及びトラックについては、上記フローにおいて対策 または評価不要と判断。 ?????? ?????g?b ?????? ??????b ??????? ?????????b - 411 - ★ 飛来物の特性データ(寸法、 運動エネルギー)により貫通 力の観点から、設計飛来物に Yes 設計飛来物 設計飛来物に包含される飛来物の 寸法及び運動エネルギー 包含される物品か 鋼製パイプ No 鋼製材 (設計飛来物に選定) 鋼製パイプ 鋼製材 乗用車 長さ×直径 長さ×幅×奥行き 長さ×幅×奥行き 2×0.05 4.2×0.3×0.2 4.6×1.6×1.4 8.4 135 2,000 最大水平速度 (m/s) 49 57 47 最大鉛直速度 (m/s) 33 38 32 運動エネルギー(水平) (kJ) 11※1 226※1 2,210 運動エネルギー(鉛直) (kJ) 5※2 98※2 1,024 ※1:ガイドの参考文献(3)に記載されている値。 ※2:最大鉛直速度より算出した値。 設計飛来物に包含される物品※2 最小断面積:50mm×50mm以上 運動エネルギー:11kJ以下 1‐4 :砂利 2‐1~8 :パイロン等 3‐2~8 :チェッカープレート、 最小断面積:鋼製パイプ超 グレーチング、 運動エネルギー:190kJ以下 マンホールふた等 4‐1~5 :看板等 5‐2,4,5 :敷き鉄板等 竜巻防護施設に影響を 及ぼす可能性があるか 1‐1~3 :砂利※3 ・乗用車:7‐2 ※2 貫通力の観点から評価したものであり、衝撃力 No 評価により防護施設へ影響 については、防護対策の内容により異なるた め、対策設計段階にて再評価する。 を及ぼさないことを確認 Yes ※3 砂利による竜巻防護施設への影響評価を実施 図7 設計飛来物の選定フロー 5.設計荷重の設定 5.1 設計竜巻の風圧力による荷重(WW) 設計竜巻の最大風速(VD)による風圧力(WW)は、 ガイドに従い算定している。 WW = q・G・C・A q:設計用速度圧 q = (1/2)・ρ・VD2 G:ガスト影響係数(=1.0) ρ:空気密度 C:風力係数 VD:設計竜巻の最大風速 A:施設の受圧面積 5.2 設計竜巻における気圧低下によって生じる 評価対象施設内外の気圧差による荷重(WP) 設計竜巻による評価対象施設内外の気圧差による圧力 は、ガイドに従い算定している。 WP = ΔPmax・A ΔPmax:最大気圧低下量 A:施設の受圧面積 5.3 設計飛来物による衝撃荷重(WM) 表2に設計飛来物の諸元を示す。 乗用車は伊方発電所での飛来物調査結果を基に、質量 を保守的に2,000kgと設定している。 設計飛来物が衝突した際の質量、加速度より衝撃荷重 (WM)を算出している。 表2 伊方発電所における設計飛来物の諸元 飛来物の種類 サイズ (m) 質量(kg) 本 評 価 対策対象施設(施設・区画) 防 護 対 策 概 要 竜巻防護施設ならびに竜巻防護施設の外郭となる施設 屋外機器 海水ピットポンプ室 落石防護対策に使用されている防護金網及び防護板等を設置する。 補助給水タンクエリア 落石防護対策に使用されている防護金網及び防護板等を設置する。 落石防護対策に使用されている防護金網及び防護板等を設置する。 重油タンク 衝撃吸収が可能な防護材(アルミパイプ緩衝材を内装)を設置する。 原子炉建屋 原子炉補助建屋 開口部(扉・シャッター等) 防護板等を設置する。 竜巻防護施設に波及的影響を及ぼし得る施設 屋外機器 海水ピットクレーン クレーン転倒防止、トロリーの落下防止装置等を設置する。 - 412 - 5.4 設計竜巻荷重の組み合わせ 評価対象施設の評価に用いる設計竜巻荷重は、設計竜 巻の風圧力による荷重(WW)、気圧差による荷重(WP) 及び設計飛来物による衝撃荷重(WM)を組み合わせた複 合荷重とし、ガイドに従い算定している。 WT1 = WP WT2 = WW + 0.5・WP + WM WT1,WT2:設計竜巻による複合荷重 WW:設計竜巻の風圧力による荷重 WP:設計竜巻の気圧差による荷重 WM:設計飛来物による衝撃荷重 6.竜巻防護対策の概要 竜巻防護対策は、設計飛来物が衝突した際の衝撃力に 耐え、飛来物を竜巻防護施設に到達させないこと、また は衝撃力を和らげることを目的としている。また、竜巻 防護施設に波及的影響を及ぼし得る施設に対しては、防 護対策により、竜巻防護施設に影響を及ぼさないように することを目的としている。 対策対象施設(施設・区画)に対する竜巻防護対策は、 対策対象施設の構造、強度及び設置場所、ならびに周囲 の状況に応じて、防護金網、防護板、防護材及び構造物 の補強等から、適切な対策を選択している。 竜巻防護対策の基本設計条件等を踏まえ、建屋躯体及 び屋外土木構築物への影響確認も実施している。 表3に「竜巻防護施設ならびに竜巻防護施設の外郭と なる施設」及び「竜巻防護施設に波及的影響を及ぼし得 る施設」に対する「竜巻防護対策」(概要)を示す。 なお、赤枠で囲っている竜巻防護対策(海水ピットポ ンプ室、重油タンク)について、伊方発電所3号機の実 機適用事例として、次章にて説明する。 表3 伊方発電所3号機 竜巻防護対策の概要 7.竜巻防護対策(実機適用事例) 7.1 海水ピットポンプ室竜巻防護対策設備 海水ピットポンプ室に設置されている海水ポンプ等の 防護対象設備は、地面を掘り込んだピット内に設置され ていることから、海水ピットクレーンレールより内側の 海水ピット開口部に防護板、防護金網等からなる竜巻防 護対策設備を設置し、対象設備を防護する。 設計飛来物のうち、水平方向の飛来物は防護板及び鉄 骨構造物で防護し、鉛直方向の飛来物は、ピット開口部 上にH形鋼などを用いた鉄骨構造物を設置し、それをす り抜けた飛来物は、下面に設置した高強度金網からなる 防護金網で防護する。鉛直方向の飛来物のうち、乗用車 は防護材(H形鋼など)、鋼製材などは高強度金網(2枚 重ね)で捕捉する設計とし、金網の端部に飛来物が直接 落下することを防止するため、端部落下防止用の防護材 (鋼板など)を設置している。 防護金網が設計飛来物を捕捉して撓んでも、防護対象 設備及び火災感知器との離隔が確保でき、衝突しない設 計としている。 防護金網は6分割構造とし、固定機構を解除後、1ブ ロック毎に海水ピットクレーンを用いて取り外し可能な 設計としている。(図8‐10参照) 図8 海水ピットポンプ室 竜巻防護対策(鳥瞰図) 図9 海水ピットポンプ室 防護金網平面図 図10 海水ピットポンプ室 竜巻防護対策(概要図) 7.2 重油タンク竜巻防護対策設備 重油タンクは、屋外EL.84mエリアに設置されているた め、タンク外面に竜巻による飛来物の衝撃荷重を吸収低 減可能な防護材(衝撃吸収材)を設置している。防護材 は、設計飛来物の衝突により変形しても、タンク本体に 直接影響を及ぼさない設計としている。(図11,12参照) 図11 重油タンク竜巻防護対策(概要図) 図12 防護材取付状況 - 413 - 「衝撃吸収材」として、アルミパイプが軸方向に座屈 変形する際、衝突エネルギーを吸収できると考え、各種 アルミパイプの圧縮試験を行い、最適な特性を持つ衝撃 吸収材を選定し、実機に適用している。 図13に実機に適用した「衝撃吸収材」の単位要素試験 結果を示す。試験過程において、オイラー座屈せずに、 安定的に軸圧壊することを確認している。 なお、「衝撃吸収材」を複数本同時に圧縮した場合の挙 動についても、試験装置の能力限界内(3本)で確認し ている。図14に複数本同時試験結果を示すが、試験過程 において、3本ともオイラー座屈せずに、安定的に軸圧 壊することを確認した。 図13 衝撃吸収材剛性(圧縮試験結果) 図14 複数本圧縮試験結果 単位要素試験結果で得られた衝撃吸収材剛性を用いて、 設計飛来物に対する竜巻防護対策を考慮した強度評価を 行った。 具体的には、図15に示すように、重油タンク及び防護 材を2自由度の「バネ-質点系」でモデル化し、表4に 示す衝突解析で算定された応答加速度に対する構造健全 性の確認を行った。 図15 バネ‐質点系モデル 表4 衝突荷重換算に用いる応答加速度 8.おわりに 東京電力福島第一原子力発電所事故を踏まえ、伊方発 電所では、継続的に安全性・信頼性の向上に取り組んで いる。 今後とも、「原子力の安全性向上への取り組みに終わり はない。」との強い思いのもと、原子力規制委員会が策定 している新規制基準への対応にとどまらず、新たな知見 が得られた場合には、迅速・前広に安全対策を検討・実 施し、伊方発電所の更なる安全性・信頼性の向上に努め てまいりたい。 委員会、2013.6 [2] “原子力発電所の竜巻影響評価ガイド(案)及び解 説”、JNES-RE-2013-9009、独立行政法人原子力安全 基盤機構、2013.10 [3] “伊方発電所3号炉 竜巻影響評価 説明資料”、第 65回原子力発電所の新規制基準適合性に係る審査 会合、2013.12.27 [4] “伊方発電所3号炉 竜巻影響評価 補足説明資料”、 第65回原子力発電所の新規制基準適合性に係る審 査会合、2013.12.27 [5] “伊方発電所3号炉 竜巻影響評価 外部火災 モニ タリング設備 原子炉冷却材バウンダリ弁に関する 設計上の考慮[審査会合における指摘事項の回答]”、 第75回原子力発電所の新規制基準適合性に係る審 査会合、2014.1.30、pp.1 - 19 [6] “伊方発電所3号炉 竜巻影響評価 外部火災 モニ タリング設備 原子炉冷却材バウンダリ弁に関する 設計上の考慮 補足説明資料”、第75回原子力発電 所の新規制基準適合性に係る審査会合、2014.1.30、 pp.1-0 - 1-54 - 414 - 参考文献 [1] “原子力発電所の竜巻影響評価ガイド”、原子力規制
“ “伊方発電所における竜巻防護対策について “ “池田 和豊,Kazutoyo IKEDA,高木 敏光,Toshimitsu TAKAGI,井上 晴久,Haruhisa INOUE,吉田 尚生,Hisao YOSHIDA,森内 雄大,Takehiro MORIUCHI
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