六ヶ所再処理工場におけるワイドレーザー除染 及び遠隔操作ロボットの適用への取組み

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カテゴリ: 第11回
1. 緒言
六ヶ所再処理工場においては、今後の長期本格操業 運転に対応して、保守等の作業により発生する放射性 廃棄物発生量の低減や現場作業者の環境維持等の目 的で、各種除染方法の検討が行われている。除染方法 は、物理除染法、化学除染法及び電気化学除染法に大 別されるとともに、機器の点検・保守や部品再利用時 等に適用される供用中除染と設備更新時等に実施され る解体機器の除却除染に分類される。 これらの方法はいずれも被除染体を全体あるいは部 分的に研削または溶解することで除染効果を得るもの である。例えば物理除染法に分類されるサンドブラス ト除染は、機器の表面への影響が大きくかつ放射性廃 研磨材が発生する。また化学除染法及び電気化学除染 法では、放射性の化学廃液が二次廃棄物として発生す るので、除染後の廃液処理の検討が必要となる等の課 題を有している。[1][2][3] 当社は、供用中除染を主目的として上記の課題に対 応するために、物理除染法の一つで機器母材への影響 が少なく、かつ二次廃棄物の発生量が少ない、電気エ ネルギーにより作動するワイドレーザーと共に、高放 射線量環境下での作業も考慮し、遠隔操作ロボットを 組み合わせた除染方法を開発中である。 本稿では、非放射線環境下(コールド環境)で実機 条件を模擬して実施したワイドレーザーによる除染性 能確認と遠隔操作ロボットと組み合わせた操作性確認 試験の結果を報告する。 なお、フランスのラ・アーグ再処理工場を運営する AREVA NC のグループ会社も、再処理工場の除染へ の適用に向けて同型のワイドレーザー除染システムを 開発中であり、当社は AREVA NC グループと共同で 推進するプログラムを計画中である。 2. 六ヶ所再処理工場内の除染 (1)除染の目的
供用中及び除却除染の目的は、表 1 に示すように設 備・機器の保守・点検時の環境線量低減、放射性廃棄 物発生量の低減、機器・部品等の再使用及び非対象部 への汚染拡大防止等に分類される。
表 1 除染の目的等 分類 除染の目的等 供用中除染 除却除染 1保守・点検時の環境線量低減 ○ ○ 2放射性廃棄物発生量の低減 ○ ○ 3機器・部品等の再使用 ○ - 4非対象部への汚染拡大防止 ○ - ○:対象 (2)除染対象物 六ヶ所再処理工場における主な除染対象物と形状を 表 2 に示す。主な除染対象物は、容器類、機器類、配 管、ボルト及び建屋床・壁面等がある。 除染対象物の主な材質及び汚染形態を表 3 に示す。 これらの形状や材質及び汚染形態を集約し、除染性能 確認試験の条件を設定した。 表 2 六ヶ所再処理工場の除染対象物 除染対象物 形状 容器類 3. ワイドレーザー除染システム 今回適用したワイドレーザー除染システムは、図 1 に示すようにワイドレーザー装置(レーザー発振器、 レーザー照射ガン)、遠隔操作ロボット(マニピュレー タ、コントローラ)及び粉塵回収装置等から構成され る。また、レーザー照射ガンとレーザー発振器は、冷 却機能を有する 50m 光ケーブル(30φ)で接続され、 最大 50m 先でのレーザー照射が可能である。 50m 光ケーブルと遠隔操作ロボットの採用により、 ロボットの操作者は、環境線量の低いエリアで作業す ることが可能となる。 レーザー照射ガン 排気ホース (φ50)ワイドレーザー装置 (レーザー発振器) 粉塵回収装置 動力・制御ケーブル 図 1 ワイドレーザー除染システム 3.1 ワイドレーザー装置 当社が開発中の除染システムに適用するワイドレー ザー装置の仕様は、以下の通りである。 (1)特長 基本仕様を表 4 に示す。 表 4 基本仕様 タイプ Nd・YAG レーザー エネルギー密度 2.1~4.7J/cm2 レーザー光径 1.4φmm 除染幅 最大 60mm 焦点深度 ±3mm 最大遠隔作業距離 50m 一般レーザー光とワイドレーザー光の照射幅の比較 を図 2 に示す。 一般のレーザー光は、照射幅が 1mm 程度とほぼ 1 点に集中しているが、ワイドレーザー光は、自動振幅 を行う事によって照射幅を最大 60mm とすることがで きる。これより、除染時間を一般型の数十分の一に短 縮する事が可能である。 - 432 - 光ケーブル (φ30×50m) 遠隔操作ロボット (マニピュレータ) 遠隔操作ロボット プール 平面+コーナー (コントローラ? タンク 円筒内面 廃棄物 収納容器 平面+コーナー 約 500φ の円筒外表面(ガラス固化 体キャニスタ) 機器類 クレーン 平面外面 ポンプ 外形 300mm以上のケーシング内面 や内部羽根車外面、電動機外面 弁 20~250A 配管用弁体外面 配管 20~250A 外面 20~250A 内面 ボルト 凹凸面 建屋床・壁面 平面+コーナー 表 3 除染対象物の材質及び汚染形態 材質 汚染形態 ステンレス鋼 付着汚染 固着汚染 コンクリート 塗装面への付着汚染 2図 2 照射幅の比較 次に、一般レーザー光とワイドレーザー光の焦点深 度の比較を図 3 に示す。 図 3 焦点深度の比較 一般レーザーでは光が焦点1点に集中するため、エ ネルギーも集中するが、焦点から少し外れた部位のエ ネルギー密度は急速に低下する。一方、ワイドレーザ ーは焦点深度が±3mm、計 6mm と大きいため、この範 囲内のエネルギー密度はほぼ一定とすることができる。 従って、除染対象物である機器類表面の凹凸に大きな 影響を受けることなく、精密な距離制御無しで高い除 染効率を得ることができる。 レーザー照射のイメージ図を図 4 に示す。 図 4 レーザー照射のイメージ図 (2)レーザー照射ガンの外観 レーザー照射ガンの外観を図 5 に示す。(a)は、レー ザー照射ガンの先端に照射・吸引ノズルを取り付けた 状態、(b)は、照射・吸引ノズルを取外してレーザー照 射ガンを正面から見た状態である。レーザー照射ガン 自動振幅 一般レーザー ワイドレーザー マニピュレータ 回転台 (a)レーザー照射ガン先端に (b)レーザー照射ガンから 環境線量の高いエリアでの作業や高汚染機器の除染 においては、遠隔操作除染ロボットの適用は必須であ る。厳しい環境下でのロボット自体の保守の容易性や、 様々な形状や汚染形態の除染対象物に対応可能な様、 国内一般産業で使用実績が高く、ティーチング機能を 持った汎用ロボットを適用した。当該ロボットのマニ ピュレータ部外観と各軸の動作を図 6 に、マニピュレ ータの仕様を表 5 に示す。マニピュレータは、6 軸で 動作し、T 軸部に取付けたレーザー照射ガンが除染対 象物へ移動する。コントローラ部に除染対象物の形状、 レーザー照射ガン移動速度、除染対象物との距離を入 力し、ティーチングによって様々な形状の除染対象物 に沿って、レーザー照射ガンの距離や移動速度を一定 に制御する事が可能である。 ??????? ??????? 図 6 ロボットの構成[4] レーザー照射ガン レーザー照射口 レーザー照射口 - 433 - 3は、粉塵吸込口とレーザー照射口から構成され、レー ザー照射で蒸散した粉塵が同時に吸引回収される。 ノズルを取付けた状態 ノズルを取外した状態 図 5 レーザー照射ガンの外観 3.2 遠隔操作ロボット 照射・吸引ノズル 粉塵吸込口 表 5 マニピュレータ仕様 自由度 6 軸 アーム半径 2m 照射位置精度 ±0.1mm レーザー照射ガン移動速度 1~1500mm/s 3.3 粉塵回収装置 粉塵回収装置の構成を図 7 に、外観を図 8 に示す。 粉塵回収装置は、サイクロンセパレータ、プレフィル タ、HEPA フィルタ及びチャコールフィルタで構成さ れる。各部の仕様を表 6 に示す。 サイクロンセパレータフィルタ部 粉塵回収箱 排気ブロワ 図 7 粉塵回収装置の構成 図 8 粉塵回収装置外観 表 6 粉塵回収部の仕様 回収部 回収粉塵の粒径 サイクロンセパレータ 10μm 以上 (加熱粉塵の冷却を含む) プレフィルタ 3μm 以上 HEPA フィルタ 0.3μm 以上 チャコールフィルタ 0.3μm 未満 差圧計 差圧計 レーザー照射ガン プレ フィルタ HEPA フィルタ チャコール フィルタ 差圧計 - 434 - 44. ワイドレーザーの基本性能確認試験 本試験では、表 3 に示した除染対象機器の汚染形態 を模擬し、汚染物の除染性能を確認した。 4.1 試験片の作成 模擬汚染物を付着させた平板試験片の仕様を表 7 に 示す。付着汚染は、ステンレス鋼(SUS304)試験片を母 材とし、先行施設向けに実施した試験を参考にして塩 化セシウムを付着させる事で模擬した。[5]ステンレス 鋼への固着模擬は難しいこともあり、固着汚染は、炭 素鋼(SS400)試験片に錆を発生させる事で模擬した。建 屋床、壁面汚染は、コンクリートに塗料(エポキシ樹脂) を塗装する事で模擬した。 表 7 平板試験片仕様 平板試験片 模擬汚染物 ステンレス鋼 (SUS304) 塩化セシウム 付着汚染の模擬 炭素鋼 (SS400) 錆 固着汚染の模擬 コンクリート 塗料 (エポキシ樹脂) 建屋床、壁面汚染の模擬 4.2 試験方法 レーザー照射パラメータを図 9 に示す。汚染物の除 染性能は、レーザーの照射距離、照射幅、照射角度、 レーザー照射ガン移動速度、エネルギー密度(レーザー 出力)及び照射回数に影響される。本試験では、エネル ギー密度、照射回数をパラメータに模擬汚染物の除染 性能確認試験を実施した。 レーザー照射条件の組合せを表 8 に示す。 図 9 レーザー照射パラメータ 表 8 レーザー照射条件の組合せ 固定条件 エネルギー 密度 照射回数 照射距離 135mm 照射幅 照射角度 レーザー照射ガン 移動速度 60mm 75r 2.1~4.7 J/cm2 1~10 回 5mm/sec 4.3 試験結果 (1)塩化セシウムの除去試験 ステンレス鋼(SUS304)試験片(100W×100D×3tmm) に塩化セシウム水溶液を滴下し、その後に 100°Cの恒 温槽で 1 時間、300°Cの恒温槽で1時間乾燥させて付着 汚染を模擬した。レーザー照射前後のセシウム付着量 測定は、試験片に残ったセシウムを 5M 塩酸で溶解し て回収し、MP-AES 分析により行った。[2][5]レーザーの エネルギー密度と塩化セシウムの除染係数(DF)の関係 を図 10 に示す。 図 10 エネルギー密度と DF の関係 なお、除染係数(DF)は下式より求めた。 DF = C0/C1 C0 : 照射前の塩化セシウム付着量(g) C1 : 照射後の塩化セシウム付着量(g) 照射エネルギー密度の増加に対応して、塩化セシウ ムの DF は向上し、試験最大エネルギー密度 4.7J/cm2 で DF=20 が得られた。 照射前及び 4.7J/cm2 照射後のステンレス鋼(SUS304) 試験片の外観を図 11 に示す。 照射幅(60mm) - 435 - 塩化セシウム 照射回数:1 回 エネルギー密度:4.7J/cm2 5照射前 照射後 図 11 照射前後のステンレス鋼(SUS304)試験片の外観 以上の結果より、適切な条件を設定したワイドレー ザー照射によって付着汚染を除去可能と評価される。 (2) 炭素鋼(SS400)錆の除去試験 レーザーの照射回数と炭素鋼(SS400) 試験片(80W× 80D×3tmm)の錆除去深さの関係を図 12 に示す。 図 12 炭素鋼(SS400)錆の除去深さと照射回数の関係 なお、除去深さ(d) は下式より求めた。 d = Δw/ρ Δw : 錆除去量(g/cm2) ρ: 錆(Fe2O3)の密度(5.2g/cm3) 照射回数 5 回までの除去深さは、照射回数に比例し て増加したが、照射回数 5 回以降は、ほぼ一定となる 傾向が認められた。 照射前及び照射回数5回後の炭素鋼(SS400)試験片の 外観を図 13 に示す。照射幅 60mm で錆が除去されて母 材面が露出した事により、炭素鋼(SS400)錆は照射 5 回 でほぼ除去されることが確認できた。 照射前 照射 5 回後 図 13 照射前後の炭素鋼(SS400)試験片の外観 以上の結果から、適切な条件を設定したワイドレー ザー照射によって固着汚染を除去可能と評価される。 (3)塗料(エポキシ樹脂)の除去試験 塗装面への付着汚染の除去については、塗料(エポキ シ樹脂)の除去により評価した。 コンクリート試験片(100W×100D×3tmm)に塗装し た塗料(エポキシ樹脂)の除去試験結果を図 14 に示す。 エネルギー密度 4.7J/cm2、照射回数1回にて、塗料(エ ポキシ樹脂)は照射幅 60mm で除去され、下地が露出し た。 照射前 照射後 図 14 照射前後のコンクリート試験片の外観 以上の結果より、適切な条件を設定したワイドレー ザー照射によって建屋床、壁面の汚染を除去可能と評 価される。 5.ステンレス鋼母材への熱影響確認試験 ワイドレーザーの供用中除染への適用性を評価する ため、レーザー照射によるステンレス鋼母材への熱影 響を沸騰硝酸浸漬試験により確認した。 レーザー照射条件をエネルギー密度 4.7J/cm2、照射 回数 1 回として、レーザー照射前後のステンレス鋼 (SUS304)試験片(100W×100D×3tmm)を作製し、さら に比較用として 700°Cで 30 分間熱処理して鋭敏化させ たステンレス鋼(SUS304)試験片も用意した。これら 3 種類の試料片表面を 65%沸騰硝酸に 48 時間浸漬した 後、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した。 観察結果を表 9 に示す。レーザー照射試験片は、ブ ランク試験片と同様な表面状態を維持しており、鋭敏 化試験片の様な粒界腐食による脱粒は認められなかっ た。 以上のとおり、レーザー照射熱によるステンレス鋼 (SUS304)の耐食性への影響は認められなかったことか ら、適切な条件設定によりワイドレーザーを供用中除 染に適用可能と評価される。 表 9 ステンレス鋼試験片の走査型電子顕微鏡結果 ブランク 試験片 レーザー照射 試験片 鋭敏化処理 試験片 硝酸浸漬前 照射幅(60mm) 硝酸浸漬後 6. 遠隔操作ロボット適用への取組み 表 2 で示した通り、六ヶ所再処理工場内には様々な 形状の除染対象物が存在する。そこで、各機器の形状 を模擬した試験体にレーザー照射した際の遠隔操作ロ ボットの操作性を評価した。除染対象試験体及び評価 内容を表 10 に示す。 表 10 複雑形状への遠隔操作の適用性評価 評価項目 試験体 評価内容 留意事項 3 次元 コーナー部 L 型アングル - 436 - コーナーへの 対象物との 照射可能 接触 凸曲面 円筒(外面) 外面への 照射可能 照射幅(60mm) 曲面への 追従性 凹凸面 ボルト ねじ部 凹凸面の汚染 物が除去可能 凹部の除去 66.1 コーナー部 (3 次元 L 型アングル材)への 照射試験 使用済燃料貯蔵プールのライニングや廃棄物収納容 器等のコーナー部内面を模擬し、L 型アングル材(50× 50mm)を 3 次元に組み立て、試験体にレーザーを照射 した。模擬汚染物としては、フランス AREVA NC グ ループでの試験結果と比較する等のために特殊油性イ ンクを使用した。 3 次元 L 型アングル材へのレーザー照射試験状況を 図 15 に示す。照射条件は、エネルギー密度 4.7J/cm2、 レーザー照射ガン移動速度 30mm/s、照射回数 1 回とし た。 平面部及びコーナー部ともに、上記条件で模擬付着 汚染物を除去することが可能であることを確認できた。 さらに、レーザー照射ガンを対象物に近づける際、対 象物とロボット部材間に余裕を持ち、接触を防止する 作動範囲と作動線を確立する事が出来た。 以上より、使用済燃料貯蔵プールのライニングや廃 棄物収納容器等のコーナー部内面を除染するに当たっ ては、レーザー照射ガンや光ケーブル類が周辺設備に 接触することを防ぐためのロボット作動に関するティ ーチング設計の条件を確認することができた。 このティーチング設計に加え、さらに除染対象物と レーザー照射ガンの位置関係を把握するITVの設置 やレーザー照射ガンへの接触センサの取付け等によ り、より安全な遠隔除染操作の制御設計に反映して いく予定である。 図 16 凸曲面 (円筒外面)へのレーザー照射試験 6.3 凹凸面 (ボルトねじ部)への照射試験 焦点深度が非常に大きいというワイドレーザーの特 長を活かし、焦点深度の範囲内であれば除染対象物表 面の凹凸の影響を受けずに除染可能であることを確認 するため、M10 ボルトねじ山部(山谷の高さ:810μm =0.81mm)によって模擬した凹凸面に対しレーザー照 射を行った。 M10 ボルトねじ部への照射試験状況を図 17 に示す。 照射条件は、エネルギー密度 4.7J/cm2、レーザー照射 ガン移動速度 2.5mm/s、一照射方向、照射回数 1 回と して試験を行った。この結果、凹凸面に対して模擬汚 染物を除去可能である事を確認した。なお、より複雑 な形状の凹凸の場合には、レーザー照射の方向を様々 に変えるとともに、複数回照射することにより除染効 果を上げることができると考える。 レーザー照射前 レーザー照射後 図 15 コーナー部 (3 次元 L 型アングル材)への レーザー照射試験 - 437 - レーザー照射状況 76.2 凸曲面 (円筒外面)への照射試験 曲面を有する除染対象物(ガラス固化体キャニスタ 等)を模擬して 250A の炭素鋼配管(STPG)試験体を 使用し、外気暴露状態で炭素鋼配管表面に発生させた 錆を模擬汚染物とした。 円筒外面へのレーザー照射試験状況を図 16 に示す。 照射条件は、エネルギー密度 4.7J/cm2、レーザー照射 ガン移動速度 2.5mm/s、照射回数 1 回とした。 また、円筒の全外曲面に対して常にレーザー照射ガ ンを一定距離で動かすため、定速回転する回転台上に 除染対象物を設置し、レーザー照射ガンは軸方向に直 線運動するという単純な動作構造とした。 上記試験により、凸曲面においても平板で実施した 炭素鋼(SS400)錆除去試験における結果と同様な除去 結果を得た。 図 17 凹凸面 (M10 ボルトねじ部)への照射試験 7. まとめ ワイドレーザー除染システムの六ヶ所再処理工場等 への適用に向け、非放射線環境(コールド環境)下に てステンレス鋼(SUS304)をベースとした付着及び固着 模擬汚染物の除去試験を実施し、十分な除染性能結果 を得られた。 さらに、レーザー照射によるステンレス鋼(SUS304) 母材への熱影響を調べ、照射条件を適切に設定するこ とにより、ワイドレーザー除染による母材の耐食性へ の影響は認められなかった。 また、高線量環境下で必要となる遠隔操作ロボット の適用にあたり、使用済燃料貯蔵プール等のコーナー 部内面を模擬した 3 次元 L 型アングル材や、ガラス固 化体キャニスタを模擬した円筒外面及び凹凸面を模擬 したボルトに対し、レーザー照射ガンを遠隔操作して 照射する制御方法の成立性を確認した。 以上の結果より、ワイドレーザーの単独使用に加え て遠隔操作ロボットを組み合わせた除染システムは、 六ヶ所再処理工場の各種実機設備に適用することが可 能であるとの見通しを得た。 引き続き、付属機器類の改良及び実機で発生した機 材類を対象にした除染試験を実施する予定である。 また、本ワイドレーザー除染システムを構成する機 器類を取り扱う際の運転や保守、異常対応等に関する 習熟訓練も実施する。 レーザー照射前 レーザー照射後 ノ・プロジェクト、1984、pp17、400 [2] 小川竜一郎、福井康太、谷本健一、“レーザ除染技 術の開発”、サイクル機構技法 No.15、2002、pp59-66 [3] 阿部勝憲、太田勝、佐藤学、“原子力プラントにお ける洗浄・除染技術の動向に関する調査”、八戸工 業大学エネルギー環境システム研究所紀要 第 9 巻、2011、pp45-53 [4] 株式会社安川電気 Homepage「技術知識入門」 http://www.yaskawa.co.jp/technology/column/column_r .html(2014/06/09 現在) [5] 金山文彦、福嶋峰夫他、“1-2 汚染の状況・性状を 評価し除染方法を立案する(2)-非放射性 Cs を使用 した除染基礎試験-”、東京電力(株)福島第一原子力 発電所の廃止技術に係る原子力機構の取組み、2013、 pp9-10 - 438 - 8参考文献 [1] 石榑顯吉、“原子力施設における除染技術”、テク“ “六ヶ所再処理工場におけるワイドレーザー除染 及び遠隔操作ロボットの適用への取組み “ “野田 静枝,Shizue NODA,梅津 大輔,Daisuke UMETSU,盛田 貴博,Takahiro MORITA,菊池 英樹,Hideki KIKUCHI
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