引張り試験片の変形の動画像データ解析に関する研究

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カテゴリ: 第11回
1.研究背景
福島第一原子力発電所の事故教訓として、「事故が起 こらないように設計する」から「事故が起こることを 前提とした設計と対策」への意識の変換が必要となっ。事故を想定した設計とマネジメントの実現には、 事故時の原子炉圧力容器や格納容器の破壊現象の解明 と、それに基づく最適評価が求められるが、原子炉構造物の設計は安全側に裕度を持たせた保守的評価とな っているため、過酷事故が起きた時の極限状態におけ る破壊メカニズムは十分には解明されていない。この ような過酷事故を招く破壊、損傷を他のアプローチで 事前に検知できれば、極限荷重下のプラント健全性を 維持するために必要な対策を講じることができる。
2.研究目的
本研究では、画像計測を用いた破壊、損傷の検知を 目指し、まずは前段階として、破壊、損傷に至るまで の変形の追跡を行う手法を開発する。極限荷重下の構 造物を模擬した金属平板の引張り試験を高速度カメラ で撮影し、動画像データ解析を用いて定量的変形量を 求める。 3.研究手法 3.1 テンプレートマッチング パターン認識手法のひとつとしてテンプレートマッ チング[1]がある。これはテンプレートと呼ばれる小さ な一部の画像領域と同じパターンが画像全体の中に存 在するかどうかを調べる手法であり、画像内にある対 象物体の位置検出、物体数のカウント、物体移動の検 出などに使われる。テンプレートを画像の中で順番に 移動させながら、テンプレートとテンプレートに重な る部分の画像の類似度を計算していく。類似度は探索 対象となる画像の輝度値??????、テンプレート画像の 輝度値??????を用いて以下のSSD式やSAD式[1]のよ うに表される。 -1
値が小さい程、テンプレートとテンプレートに重なる 部分の画像が似ていることを示し、完全に一致してい る場合には値は0になる。 4.結果 格子点を追跡点とし、各ステップにおける追跡点の 位置を赤点で描画した(図3 )。赤点は銅板上の黒点に 重なっていることから追跡が良好であると言える。こ の結果から各追跡点の移動量をピクセル単位で計算す ることが可能となり、銅板の変位量を求められる。 格子点を追跡点とし、各ステップにおける追跡点の 位置を赤点で描画した(図3 )。赤点は銅板上の黒点に 重なっていることから追跡が良好であると言える。こ の結果から各追跡点の移動量をピクセル単位で計算す ることが可能となり、銅板の変位量を求められる。 ??? ??? 格子点を追跡点とし、各ステップにおける追跡点の 位置を赤点で描画した(図3 )。赤点は銅板上の黒点に 重なっていることから追跡が良好であると言える。こ の結果から各追跡点の移動量をピクセル単位で計算す ることが可能となり、銅板の変位量を求められる。 格子点を追跡点とし、各ステップにおける追跡点の 位置を赤点で描画した(図3 )。赤点は銅板上の黒点に 重なっていることから追跡が良好であると言える。こ の結果から各追跡点の移動量をピクセル単位で計算す ることが可能となり、銅板の変位量を求められる。 3.2 引張り試験動画像への適用 SHIMADZU AG-XDplus という引張り試験機 (図 1)を用いて試験を行った。上下のつかみ歯 で試験片をはさみ、下部のつかみ歯が固定された まま上部のつかみ歯が一定の速度で上方へ移動 し、試験片を引張る。試験機の最大負荷容量は 50kN で、負荷方式は高精度定速ひずみ制御方式 である。試験片は図 2 のように表面に規則的に黒点 を描いた銅版試験片(60mm×50mm×1mm)を用いた。 黒点の間隔は上下左右に約3mm である。この試験にお ける試験片の変形を高速度カメラ(Photron 社 FASTCAM SA3LCB)で撮影した。得られた動画像デ ータを MATLAB に取り込みテンプレートマッチング を行うことで試験片の変位量を求めた。 引張り試験においては極端な大変形が生じないこと から、マッチングを行う探索領域は追跡点周りの微小 領域に限定することで他の追跡点とマッチングが行わ れることを防いでいる。また、格子点自体も変形が進 み、完全に一致するマッチングを行うことはできない が、高速度カメラで撮影した動画像を用いることで、 タイムステップ間の時間刻み幅が小さくなり、実際に マッチングを行う画像での追跡点の変形は微小なもの としてみなすことができる。さらにタイムステップご とにテンプレートを再構築することで追跡点の変形に 対応している。 図1 引張り試験機 図2 試験片 t=0[sec] t=33.3[sec] t=66.7[sec] t=100.0[sec] 図3 各ステップにおける追跡点 5.結論と今後の課題 引張り試験における試験片の変位量計算に適用でき るテンプレートマッチングを開発した。この手法から 得られた変位量から、損傷、破壊により寄与する因子 となるひずみを計算する必要がある。変形が進行する 試験片に対してひずみの分布を求めることで損傷、破 壊の検知を可能にする。 - 476 - 参考文献 [1] 新編画像解析ハンドブック(東京大学出版会), 機 能編第II部3章(2004)“ “引張り試験片の変形の動画像データ解析に関する研究 “ “桂 也真人,Yamato KATSURA,出町 和之,Kazuyuki DEMACHI,堀籠 達也,Tatsuya HORIKAGO,上赤 一馬,Kazuma KAMIAKA,笠原 直人,Naoto KASAHARA
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