再処理設備の民間規格化の現状~機器の設計/建設・維持管理~
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カテゴリ: 第11回
1. はじめに
日本原燃株が青森県六ヶ所村で事業を進めている 再処理設備は、国内初の商業プラントである。再処 理設備は、原子力発電所から発生する使用済燃料を 再処理し、再び原子燃料として利用できるようにウ ランとプルトニウムを取り出すことを主な目的とし ている。このことから、再処理設備は核燃料サイク ルを確立するための要となっている。 この再処理設備の設計・建設は、法律に基づき指 定、認可を受け商業運転に向け着実に進歩を遂げて いる。再処理設備の操業後、安全で安定した運転を維持 し、操業後に計画されている改造工事や新増設工事 を円滑に遂行するためには、これらに適用可能な民 間の規格・基準類は必要不可欠なものと考えられる。しかしながら、再処理設備に関する規格・基準類 は、原子力発電所において適用される規格・基準と 比較すると整備が遅れており、また、様々な放射性 物質を硝酸や溶媒などの化学物質と共に取り扱うと いう再処理設備の特殊性から、その他産業界の規格・基準をそのまま適用できない場合が多い。この ため、再処理設備に適用可能な規格・基準を整備す る必要がある。現在、日本原燃(株)が取り組みを推進している民間 規格化について、表1に示す。なお、民間規格化が 進められることで、以下のことについて更なる発展 に寄与することを期待している。 【許認可取得等の迅速化]法令等に係る報告や検査において画一的な対応が 可能となるとともに、民間規格化による現実的な評 価手法の整理、その妥当性の確認により、審査等に おける規制当局との円滑な調整が期待できる。 【合理的かつ安定した設備の稼動】技術的及び設備運営上のリスク評価等を加味した、 より高度な基準を策定することにより、安全管理上 の重点が明確になり、合理的な運転・維持管理、改 造や増設設備の設計など、経済的な管理を定めるこ とができ、安定した設備の稼動に貢献できる。 【規格・基準の公開による国民への理解の浸透】 学協会で規格・基準を策定することは、体系化、 公開性(透明性)、合理性、汎用性、適用性が進むことにより対外的な理解が得られやすくなり、国民へ の説明性が確保され一般の方々の理解をより得られ やすくなることが期待できる。 【最新知見の反映】 産官学で意思が共有され、効率的な運用、新技術 の迅速な採用が期待できる。以上の様な現状を踏まえた上で、その中でも特に 民間規格化が進んでいる機器の設計/建設・維持管理 に係わる「設計規格」、「溶接規格」、「維持規格」の 詳細な現状について紹介する。なお,「設計規格」、「溶接規格」、「維持規格」の整 備に至った経緯等については、日本保全学会の第 6 回学術講演会にて既に紹介していることから、本 内容では省略している。
2. 機器の設計/建設・維持管理
2.1 設計規格「設計規格(2010 年版)」の初版は、日本機械学 会 発電用原子力設備規格「設計・建設規格」を参考 に最新の JIS を取り込み、日本原燃株の再処理設備 の設計・建設で培った経験をもとに許認可申請にお いて示した「主要な容器及び管の耐圧強度及び耐食 性に関する設計の基本方針」の中で、再処理設備の 特有事項として挙げられている材料設計に係わる考 え方等を加味した上で策定を行い、2010年7月に材 料/構造強度に係わる技術規定を国内で初めて発行 している。その主な内容は、再処理設備を構成する 容器・管・ポンプ・弁・支持構造物を対象とし、材 料選定や耐食設計の基本的考え方、機器の構造強度 の評価手法等について規定している。「設計規格 (2012 年版)」の改定1では、項番体 系の見直しや他規格の最新規定内容を取り込み、ま た、将来的なニーズを考慮して検討を行った結果等 も反映している。その主な内容を以下に紹介する。 1疲労評価方法の追記 再処理設備は原子力発電所に比べて圧力・温度が 低いことから、設計条件における発生応力は小さ く、疲労評価を実施する必要性はないため、初版 においては、疲労評価方法の記載を見送っている。 しかしながら、耐震評価において発生する応力値 が材料の許容応力を超える部位が生じる場合、疲 労評価にて健全性を評価する可能性もあることか ら、疲労評価を行う方法を追加した。なお、疲労 評価方法は、発電用原子力設備規格「設計・建設 規格」の内容を準用している。 2破壊靭性要求の追記 破壊靭性試験は、従来の再処理設備では、圧力が 低く、炭素鋼を使用している部位も板厚が薄いこ とから、初版発行段階での検討において、実質適 用される部位がなく不要としている。しかしなが ら、将来的に設計圧力の高い機器の採用も想定さ れ、破壊靭性に関する要求も明確にしておくこと が有用との判断から、破壊靭性試験の要求条項を 追加している。なお、破壊靭性要求は、発電用原 子力設備規格「設計・建設規格」のクラス3機器 と同等としている。 3材料規格 発電用原子力設備規格「材料規格」の発行に合わ せ、従来、規格に直接記載していた材料の許容値 について、発電用原子力設備規格「材料規格」を 呼び出す形に変更している。また、材料規格に記 載のない、再処理設備の特有材料については、日 本高圧力技術協会が発行した核燃料再処理設備規 格「材料規格 (HPISC108 : 2011)」を引用すること としている。 なお、現在、規定内容の更なる高度化の検討を進 めており、これについては、「設計規格」の改定2に 反映を予定している。 2.2 溶接規格「溶接規格(2012 年版)」の初版は、日本機械学 会 発電用原子力設備規格「溶接規格」及び「加工施 設、再処理施設及び特定廃棄物施設の溶接の技術基 準(総理府令 123号)」、「加工施設及び再処理施設の 溶接の方法の認可について(旧科学技術庁原子力安 全局長通知 平成12年12月)」を参考とし、最新の JIS を取り込み、更に、日本原燃株の再処理設備の 設計・建設で培った経験をもとに再処理設備の特有 事項として挙げられている材料や腐食試験要求など の考え方等を加味した上で策定を行い、2012年9月 に溶接設計、溶接施工法、溶接士技能に係わる技術 規定を取り纏め発行している。 その主な内容は、溶接に係わる一般的な技術内容 (溶接全般の設計の考え方や非破壊試験、機械試験、 再処理設備の特有事項である再処理用溶接材料及び 腐食試験など)、溶接を行うために必要な種々の条件 等を取り纏めた溶接施工法、自動溶接機を用いる又は 用いない溶接士に係わる認証手順等を取り纏めた溶 接士認証基準について規定している。なお、現在、溶接部を含めた構造設計を一元化す るために溶接継手形状等の溶接部の設計を「設計規 格」に移設するための検討を進めており、これにつ いては、「溶接規格」の改定1に反映を予定している。
2.3 維持規格(検査・評価・補修) - 「維持規格(2012 年版)」の初版は、使用期間中 検査における試験範囲と試験を規定した検査章、使 用期間中検査に対する評価方法を規定した評価章の 構成により、それぞれの内容について技術規定を取 り纏めている。一方、評価結果を踏まえた補修又は取替えに係わ る考え方を取り纏めるべき補修章については、技術 規定の詳細検討等を行った後、改定 1 で取り込む計 画としていたため、初版には含まれていない。これ は、再処理設備の特殊性により、様々な放射性物質 を硝酸や溶媒などの化学物質と共に取り扱う設備で あるため、原子力発電所やその他産業界で適用して いる補修工法等を直接的又は間接的に使用すること ができず、再処理設備の使用条件に見合った適切な 補修工法を選定する必要があるため、補修技術の開 発・工法の確立を行った後、第三者機関での確性試 験で検証を行い、補修章へ取り込むことを基本的考 えとしているためである。現在、補修章の策定を進めている内容等について 以下に紹介する。 【方針(案)】補修章は、補修方法に対する一般的な要求事項と再 処理設備の性質(主要設備は、化学プラントと類似し、 化学薬品 主に硝酸)を保有したプロセス)に適した補 修技術に係わる技術規定を取り纏める。取り纏める技術規定は、再処理設備規格の設計規 格及び溶接規格にもとづく施工が原則であるが、設 計規格及び溶接規格では規定されていない施工方法 も含めた補修方法を取り締める。なお、これらの補 修方法については、使用期間中のプラントに特有な 条件(例えば、作業環境や対象部材など)での施工 性も考慮する。 【補修の考え方(案)】検査章で規定される非破壊試験(肉厚測定試験、目 視試験)と系の漏えい検出試験の試験結果に対して、 評価章では、試験結果に対する評価を行い、判定基準 に適合しないものについて、補修章に規定する補修又 は取替を実施する。補修については、欠陥を残したままでも機器の継続 使用が可能であると判断される場合に適用する規定 も取り纏める。併せて、残留した欠陥の評価と継続検 査(監視)の要求を規定する。一方、取替は、減肉進 展評価及び使用限界評価にて取替が適切であると判 断された場合又は機器の継続使用に影響を及ぼすた め補修ではなく取替が適切と判断された場合に適用 するべき技術規定を取り纏める(下図 2.3参照)。【補修工法】再処理設備の補修技術として、確性試験で技術が確 立されたものを取り込むこととしている。下表2.3に今回、補修章に取り込みを検討している 再処理設備の補修技術について示す。3.まとめ再処理設備の民間規格化について、学協会の全面 的な協力のもと取り組みが開始されており、特に日 本機械学会で策定を進められている「設計規格」、「溶 接規格」、「維持規格」の3規格については、再処理 設備として国内で初めて、設計/建設・維持管理に係 わる技術規定を取り纏めた民間規格として、2012 年 度までに発行されている。今後、更なる発展に寄与するためにも民間規格化 の整備については、不断の高度化を実施して行くこ とが必要不可欠である。また、国と事業者の双方の利便性向上を図ること 等を目的に、発電用原子力設備と同様、再処理設備 規格についても国による技術評価を受けることを強 く希望して行きたいと考えている。謝辞本内容は、主に一般社団法人 日本機械学会で策定 を進めている再処理設備規格の「設計規格」、「溶接 規格」、「維持規格(検査・評価・補修)」の内容を紹 介したものである。本策定に対して、一般社団法人 日本機械学会及び 策定に携わる関係者の方々に深く、感謝の意を表す。参考文献[1] 大枝郁、加納洋一、浜田泰充、高坂充、“再処理設備における設計・維持規格について”、一般 社団法人 日本保全学会 第6回学術講演会予 稿集(保全規格基準)、北海道,2009“ “再処理設備の民間規格化の現状~機器の設計/建設・維持管理~“ “西村 洋一,Yoichi NISHIMURA,大鷹 暢彰,Nobuaki OTAKA,久保田 浩,Hiroshi KUBOTA,高坂 充,Makoto KOUSAKA
日本原燃株が青森県六ヶ所村で事業を進めている 再処理設備は、国内初の商業プラントである。再処 理設備は、原子力発電所から発生する使用済燃料を 再処理し、再び原子燃料として利用できるようにウ ランとプルトニウムを取り出すことを主な目的とし ている。このことから、再処理設備は核燃料サイク ルを確立するための要となっている。 この再処理設備の設計・建設は、法律に基づき指 定、認可を受け商業運転に向け着実に進歩を遂げて いる。再処理設備の操業後、安全で安定した運転を維持 し、操業後に計画されている改造工事や新増設工事 を円滑に遂行するためには、これらに適用可能な民 間の規格・基準類は必要不可欠なものと考えられる。しかしながら、再処理設備に関する規格・基準類 は、原子力発電所において適用される規格・基準と 比較すると整備が遅れており、また、様々な放射性 物質を硝酸や溶媒などの化学物質と共に取り扱うと いう再処理設備の特殊性から、その他産業界の規格・基準をそのまま適用できない場合が多い。この ため、再処理設備に適用可能な規格・基準を整備す る必要がある。現在、日本原燃(株)が取り組みを推進している民間 規格化について、表1に示す。なお、民間規格化が 進められることで、以下のことについて更なる発展 に寄与することを期待している。 【許認可取得等の迅速化]法令等に係る報告や検査において画一的な対応が 可能となるとともに、民間規格化による現実的な評 価手法の整理、その妥当性の確認により、審査等に おける規制当局との円滑な調整が期待できる。 【合理的かつ安定した設備の稼動】技術的及び設備運営上のリスク評価等を加味した、 より高度な基準を策定することにより、安全管理上 の重点が明確になり、合理的な運転・維持管理、改 造や増設設備の設計など、経済的な管理を定めるこ とができ、安定した設備の稼動に貢献できる。 【規格・基準の公開による国民への理解の浸透】 学協会で規格・基準を策定することは、体系化、 公開性(透明性)、合理性、汎用性、適用性が進むことにより対外的な理解が得られやすくなり、国民へ の説明性が確保され一般の方々の理解をより得られ やすくなることが期待できる。 【最新知見の反映】 産官学で意思が共有され、効率的な運用、新技術 の迅速な採用が期待できる。以上の様な現状を踏まえた上で、その中でも特に 民間規格化が進んでいる機器の設計/建設・維持管理 に係わる「設計規格」、「溶接規格」、「維持規格」の 詳細な現状について紹介する。なお,「設計規格」、「溶接規格」、「維持規格」の整 備に至った経緯等については、日本保全学会の第 6 回学術講演会にて既に紹介していることから、本 内容では省略している。
2. 機器の設計/建設・維持管理
2.1 設計規格「設計規格(2010 年版)」の初版は、日本機械学 会 発電用原子力設備規格「設計・建設規格」を参考 に最新の JIS を取り込み、日本原燃株の再処理設備 の設計・建設で培った経験をもとに許認可申請にお いて示した「主要な容器及び管の耐圧強度及び耐食 性に関する設計の基本方針」の中で、再処理設備の 特有事項として挙げられている材料設計に係わる考 え方等を加味した上で策定を行い、2010年7月に材 料/構造強度に係わる技術規定を国内で初めて発行 している。その主な内容は、再処理設備を構成する 容器・管・ポンプ・弁・支持構造物を対象とし、材 料選定や耐食設計の基本的考え方、機器の構造強度 の評価手法等について規定している。「設計規格 (2012 年版)」の改定1では、項番体 系の見直しや他規格の最新規定内容を取り込み、ま た、将来的なニーズを考慮して検討を行った結果等 も反映している。その主な内容を以下に紹介する。 1疲労評価方法の追記 再処理設備は原子力発電所に比べて圧力・温度が 低いことから、設計条件における発生応力は小さ く、疲労評価を実施する必要性はないため、初版 においては、疲労評価方法の記載を見送っている。 しかしながら、耐震評価において発生する応力値 が材料の許容応力を超える部位が生じる場合、疲 労評価にて健全性を評価する可能性もあることか ら、疲労評価を行う方法を追加した。なお、疲労 評価方法は、発電用原子力設備規格「設計・建設 規格」の内容を準用している。 2破壊靭性要求の追記 破壊靭性試験は、従来の再処理設備では、圧力が 低く、炭素鋼を使用している部位も板厚が薄いこ とから、初版発行段階での検討において、実質適 用される部位がなく不要としている。しかしなが ら、将来的に設計圧力の高い機器の採用も想定さ れ、破壊靭性に関する要求も明確にしておくこと が有用との判断から、破壊靭性試験の要求条項を 追加している。なお、破壊靭性要求は、発電用原 子力設備規格「設計・建設規格」のクラス3機器 と同等としている。 3材料規格 発電用原子力設備規格「材料規格」の発行に合わ せ、従来、規格に直接記載していた材料の許容値 について、発電用原子力設備規格「材料規格」を 呼び出す形に変更している。また、材料規格に記 載のない、再処理設備の特有材料については、日 本高圧力技術協会が発行した核燃料再処理設備規 格「材料規格 (HPISC108 : 2011)」を引用すること としている。 なお、現在、規定内容の更なる高度化の検討を進 めており、これについては、「設計規格」の改定2に 反映を予定している。 2.2 溶接規格「溶接規格(2012 年版)」の初版は、日本機械学 会 発電用原子力設備規格「溶接規格」及び「加工施 設、再処理施設及び特定廃棄物施設の溶接の技術基 準(総理府令 123号)」、「加工施設及び再処理施設の 溶接の方法の認可について(旧科学技術庁原子力安 全局長通知 平成12年12月)」を参考とし、最新の JIS を取り込み、更に、日本原燃株の再処理設備の 設計・建設で培った経験をもとに再処理設備の特有 事項として挙げられている材料や腐食試験要求など の考え方等を加味した上で策定を行い、2012年9月 に溶接設計、溶接施工法、溶接士技能に係わる技術 規定を取り纏め発行している。 その主な内容は、溶接に係わる一般的な技術内容 (溶接全般の設計の考え方や非破壊試験、機械試験、 再処理設備の特有事項である再処理用溶接材料及び 腐食試験など)、溶接を行うために必要な種々の条件 等を取り纏めた溶接施工法、自動溶接機を用いる又は 用いない溶接士に係わる認証手順等を取り纏めた溶 接士認証基準について規定している。なお、現在、溶接部を含めた構造設計を一元化す るために溶接継手形状等の溶接部の設計を「設計規 格」に移設するための検討を進めており、これにつ いては、「溶接規格」の改定1に反映を予定している。
2.3 維持規格(検査・評価・補修) - 「維持規格(2012 年版)」の初版は、使用期間中 検査における試験範囲と試験を規定した検査章、使 用期間中検査に対する評価方法を規定した評価章の 構成により、それぞれの内容について技術規定を取 り纏めている。一方、評価結果を踏まえた補修又は取替えに係わ る考え方を取り纏めるべき補修章については、技術 規定の詳細検討等を行った後、改定 1 で取り込む計 画としていたため、初版には含まれていない。これ は、再処理設備の特殊性により、様々な放射性物質 を硝酸や溶媒などの化学物質と共に取り扱う設備で あるため、原子力発電所やその他産業界で適用して いる補修工法等を直接的又は間接的に使用すること ができず、再処理設備の使用条件に見合った適切な 補修工法を選定する必要があるため、補修技術の開 発・工法の確立を行った後、第三者機関での確性試 験で検証を行い、補修章へ取り込むことを基本的考 えとしているためである。現在、補修章の策定を進めている内容等について 以下に紹介する。 【方針(案)】補修章は、補修方法に対する一般的な要求事項と再 処理設備の性質(主要設備は、化学プラントと類似し、 化学薬品 主に硝酸)を保有したプロセス)に適した補 修技術に係わる技術規定を取り纏める。取り纏める技術規定は、再処理設備規格の設計規 格及び溶接規格にもとづく施工が原則であるが、設 計規格及び溶接規格では規定されていない施工方法 も含めた補修方法を取り締める。なお、これらの補 修方法については、使用期間中のプラントに特有な 条件(例えば、作業環境や対象部材など)での施工 性も考慮する。 【補修の考え方(案)】検査章で規定される非破壊試験(肉厚測定試験、目 視試験)と系の漏えい検出試験の試験結果に対して、 評価章では、試験結果に対する評価を行い、判定基準 に適合しないものについて、補修章に規定する補修又 は取替を実施する。補修については、欠陥を残したままでも機器の継続 使用が可能であると判断される場合に適用する規定 も取り纏める。併せて、残留した欠陥の評価と継続検 査(監視)の要求を規定する。一方、取替は、減肉進 展評価及び使用限界評価にて取替が適切であると判 断された場合又は機器の継続使用に影響を及ぼすた め補修ではなく取替が適切と判断された場合に適用 するべき技術規定を取り纏める(下図 2.3参照)。【補修工法】再処理設備の補修技術として、確性試験で技術が確 立されたものを取り込むこととしている。下表2.3に今回、補修章に取り込みを検討している 再処理設備の補修技術について示す。3.まとめ再処理設備の民間規格化について、学協会の全面 的な協力のもと取り組みが開始されており、特に日 本機械学会で策定を進められている「設計規格」、「溶 接規格」、「維持規格」の3規格については、再処理 設備として国内で初めて、設計/建設・維持管理に係 わる技術規定を取り纏めた民間規格として、2012 年 度までに発行されている。今後、更なる発展に寄与するためにも民間規格化 の整備については、不断の高度化を実施して行くこ とが必要不可欠である。また、国と事業者の双方の利便性向上を図ること 等を目的に、発電用原子力設備と同様、再処理設備 規格についても国による技術評価を受けることを強 く希望して行きたいと考えている。謝辞本内容は、主に一般社団法人 日本機械学会で策定 を進めている再処理設備規格の「設計規格」、「溶接 規格」、「維持規格(検査・評価・補修)」の内容を紹 介したものである。本策定に対して、一般社団法人 日本機械学会及び 策定に携わる関係者の方々に深く、感謝の意を表す。参考文献[1] 大枝郁、加納洋一、浜田泰充、高坂充、“再処理設備における設計・維持規格について”、一般 社団法人 日本保全学会 第6回学術講演会予 稿集(保全規格基準)、北海道,2009“ “再処理設備の民間規格化の現状~機器の設計/建設・維持管理~“ “西村 洋一,Yoichi NISHIMURA,大鷹 暢彰,Nobuaki OTAKA,久保田 浩,Hiroshi KUBOTA,高坂 充,Makoto KOUSAKA