ガラス溶融炉高度化研究
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カテゴリ: 第11回
1.緒言
六ヶ所再処理工場で用いられている高レベル放射性廃液をガラス固化するためのガラス溶融炉は、LFCM(Liquid feed ceramic melter, 液体供給式直接通電型セラミックメルター)方式を採用しており、炉の寿命が長く、大型化が可能である等の長所を有している。本ガラス溶融炉の設計寿命は5 年程度であり、更新時には、高レベル放射性廃液に含まれる白金族元素の炉底への沈降・堆積を抑制でき、抜出し性を向上させることのできるガラス固化技術を開発し、その技術を反映した新型ガラス溶融炉を導入する計画である。本稿では、2009 年度から進めているガラス固化技術の開発(ガラス溶融炉高度化研究) の内容と、2013 年度に実施した実規模の新型溶融炉モックアップ試験の結果について報告する。
2.開発内容
2009年度から開始しているガラス溶融炉高度化研究での開発内容は次のとおりである。 (1)新型ガラス素材の開発 (2)溶融炉要素技術および炉底部技術の開発 (3)新型ガラス溶融炉開発 (4)溶融炉解析コードの高度化 (5)ガラス物性等の基礎試験
3.実施体制
高度化研究は、日本原燃株式会社が経済産業省の助成を頂きながら、メーカ、大学・研究機関と連携して開発を進めている。また、原子力・ガラス分野の有識者から構成されるガラス固化技術研究評価委員会を設け、評価、助言を頂きながら、開発を進めている(図1参照)。 図1 ガラス溶融炉高度化研究の体制
4.新型ガラス素材の開発
従来用いられているガラス原料成分のうち、アルミニウムおよびシリカを予め廃液側に分配(再分配法)することにより、溶融炉投入時のガラス原料の溶解性を高めることができる。その効果により、廃液中の低粘性流体発生成分(モリブデン等)を溶解速度を高め、低粘性流体の発生を抑制することができる。新型ガラス素材の開発は、基礎試験(るつぼ試験)、小型溶融炉試験、中型溶融炉試験と段階的に 確認し、スケールアップ効果を確認している。[1]
5.炉底技術の開発
現行のガラス溶融炉では、高レベル廃液中に含まれる白金族元素が炉底部に沈降・堆積することで、炉底部ガラスの加熱性およびガラスの流下性の低下することから、炉底低温運転†および定期的な洗浄運転を行うことで安定運転を実現している。新型ガラス溶融炉では、上記対策を行わなくも安定運転が達成できるように、炉底部技術や要素技術の開発を行っている。
5.1 炉底部技術開発
炉底部の構造を従来の四角錐から円錐形状、傾斜角度を45°から60°にして白金族元素の堆積を抑制するとともに、従来の補助電極下に加熱用電極を追加し、さらに底部電極全体を外部から加熱できる底部電極高周波加熱装置を設置することで加熱手段を増やし、白金族元素の抜き出し性の向上を図った(図2参照)。 図2 現行ガラス溶融炉(左)と新型ガラス溶融炉(右) 本技術の検証のために、溶融炉炉底部のみを模擬したモックアップ試験装置(図3 参照)を製作し、白金族元素を含んだガラスの流下試験を行っている。試験では、高濃度の白金族元素を含有したガラスでも初期流下性が良好であることが確認できた。[2] 図3 新型ガラス溶融炉(左)と炉底部モックアップ試験装置(右) 5.2 溶融炉要素技術の開発 溶融炉の運転性能・監視性能の向上を図るための以下の個別要素技術を開発している。いずれも、シミュレーションやアクリルモデル試験でその効果を検証している。 (1) エアパージ式液位計 従来の接点式液位計から、連続的に精度良く液位が計測できるエアパージ式液位計を開発。 (2) バブリング装置 炉内の溶融ガラスの流動を高めることで、低粘性流体形成成分の溶解性を向上させるためのバブリング装置を開発。 (3) 改良型炉内挿入装置 従来の遠隔で操作するかくはん棒から、自動運転にて、さらにより効果的に貫通・排出性能を有する炉内挿入装置を開発。 6 溶融炉解析コードの高度化 新型ガラス溶融炉の設計・運転支援用のツールとして、溶融炉の温度分布、白金族挙動をシミュレーションできる解析コードの高度化を実施する。解析コードは、入力するガラス物性値(粘度、密度、比熱、熱伝導率等)を後述の基礎試験で測定し、さらに仮焼層および白金族族沈等のモデルを見直すことで、再現性の向上を図っている。高度化された解析コードは、アクリルモデル試験および過去の確証改良溶融炉(現行炉のモックアップ試験炉)試験の運転データを再現することで調整を図っており、従来の解析コードに比較して、再現性の向上を図ることができている(図4参照)。[3] † ガラス溶融炉の底部の温度を低くし、溶融ガラスの粘性を高くすることにより、白金族元素の沈降・堆積を抑制する運転方法 - 10 -図4 ガラス溶融炉の温度変化と解析コードによる再現 高度化した解析コードを新型ガラス溶融炉に適用し、実規模モックアップ試験の事前解析を行うことで、投入する電力量、温度変化等を予め予測し、試験の合理化を図っている。 7 ガラス物性等の基礎試験 基礎試験において、前述の解析コードに利用する白金族含有ガラスの高温物性値(粘度、密度、比熱、熱伝導率等)の測定や、仮焼層の構造および炉内の白金族粒子の挙動等の把握を行っている。 8 新型炉モックアップ試験 8.1 試験計画 開発した溶融炉構成技術および炉底技術を反映した新型ガラス溶融炉の実規模モックアップ試験装置を製作している(図5参照)。 図5 新型ガラス溶融炉モックアップ試験装置 モックアップ試験では、高レベル放射性廃液の成分・組成を非放射性の成分により模擬したガラスビーズ(模擬ガラスビーズ)および廃液(模擬廃液) を使用して、段階的に新型炉の温度特性を評価しながら、温度管理・ガラスの流下性等を合計100 回の流下試験で確認した。 ① 熱上げ試験:炉内が空の状態で熱上げを行い、模擬ビーズを投入する試験。 ② ホットトップ試験:模擬ビーズによりガラス液位を一定のままとして、ガラス・廃液等を供給せずに、炉上部を高温で保持した状態で熱特性等を確認する試験。 ③ 模擬ビーズ試験:模擬ビーズを供給し、加熱・流下を行う試験。 ④ 低模擬廃液試験:白金族元素を含まない模擬廃液(低模擬廃液)と原料ガラスビーズを供給し、加熱・流下を行う試験。 ⑤ 高模擬廃液試験:白金族元素を含む模擬廃液(高模擬廃液)と原料ガラスビーズを供給し、加熱・流下を行う試験。 ⑥ ドレンアウト試験:炉内の全てのガラスを流下する試験。 8.2 試験結果 現行のガラス溶融炉との比較評価のため、現行炉がこれまで実施してきた炉底低温運転を新型炉も踏襲している。高模擬廃液試験の温度推移を図6に示す。各ガラス温度指示値を元に主電極電力、間接加熱電力を調整し、ガラス温度および気相温度を目標温度に調整することができている。 050100150200250300350400450500550600650010020030040050060070080090010001100120013001/18 1/19 1/20 1/21 1/22 1/23 1/24 1/25 1/26 1/27 1/28 1/29 1/30 1/31 2/1 2/2 2/3 2/4 2/5 2/6 2/7 2/8 2/9 2/10 2/11 2/12 電力(kW) 温度(℃) 底部電極温度気相温度炉底温度④ 底部電極高周波電力主電極間電力炉底温度③ 炉底温度① 炉底温度② 溶融ガラス温度① 溶融ガラス温度② 溶融ガラス温度③ 間接加熱装置電力水供給 高模擬試験① 洗浄運転① 高模擬試験② 洗浄運転② 高模擬試験③ 洗浄運転③ 図6 新型炉モックアップ試験における温度推移 ガラス流下時の流下速度50kg/h および100kg/h 到達時間を図7 に示す。これまで現行炉の運転において、到達時間から炉内に白金族元素が堆積する傾向の目安としている。過去の再処理工場ガラス固化試験と新型炉モックアップ試験での到達時間および推移を比較しても、新型炉モックアップ試験では到達時間の変化が少なく、流下がより安定していることが分かる。 - 11 -図7 現行炉 A系列ガラス固化試験(上)および新型ガラス溶融炉モックアップ試験(下)の流下速度50kg/h、100kg/h 到達時間の推移 また、ドレンアウト試験終了後に炉内を観察した結果、炉内に残留物は確認されなかった(図8参照)。 図8 ドレンアウト試験後の炉内観察結果 9.ガラス固化技術開発施設 ガラス溶融炉の研究開発を目的として、日本原燃再処理事業所(青森県六ヶ所村)内にガラス固化技術開発施設を建設し、2013 年10 月に竣工している。本施設は再処理工場のガラス固化施設の固化セル模擬室、解体室を模擬したエリアを有しており、新型炉実規模モックアップ試験も同施設内で実施している(図9参照)。 図9 ガラス固化技術開発施設内の固化セル模擬室 10.結言 モックアップ試験の結果から、新型ガラス溶融炉に採用したガラス固化技術による白金族元素の堆積抑制効果および流下性の向上効果が確認できた。今回の結果をもとに、新型ガラス溶融炉の導入にあたり必要となる試験項目を検討した上で、次の試験を実施する計画である。 本報告の一部は、経済産業省「使用済燃料再処理事業高度化補助金」(平成19~23 年度)による成果である。 参考文献 [1] 三浦吉幸他“ガラス溶融炉高度化研究(3)新ガラス素材の開発”、日本原子力学会2012 年秋の大会予稿集、2012、pp66 [2] 杉山裕志他“ガラス溶融炉高度化研究(2)ガラス溶融炉の開発”、日本原子力学会2012 年秋の大会予稿集、2012、pp65 [3] 藤原寛明他“ガラス溶融炉高度化研究(4)ガラス溶融炉数値解析統合モデルの開発”、日本原子力学会2012 年秋の大会予稿集、2012、pp67 - 12 -
“ “ガラス溶融炉高度化研究 “ “駒嶺 哲,Satoshi KOMAMINE,杉山 裕志,Hiroshi SUGIYAMA,兼平 憲男,Norio KANEHIRA,越智 英治,Eiji OCHI
六ヶ所再処理工場で用いられている高レベル放射性廃液をガラス固化するためのガラス溶融炉は、LFCM(Liquid feed ceramic melter, 液体供給式直接通電型セラミックメルター)方式を採用しており、炉の寿命が長く、大型化が可能である等の長所を有している。本ガラス溶融炉の設計寿命は5 年程度であり、更新時には、高レベル放射性廃液に含まれる白金族元素の炉底への沈降・堆積を抑制でき、抜出し性を向上させることのできるガラス固化技術を開発し、その技術を反映した新型ガラス溶融炉を導入する計画である。本稿では、2009 年度から進めているガラス固化技術の開発(ガラス溶融炉高度化研究) の内容と、2013 年度に実施した実規模の新型溶融炉モックアップ試験の結果について報告する。
2.開発内容
2009年度から開始しているガラス溶融炉高度化研究での開発内容は次のとおりである。 (1)新型ガラス素材の開発 (2)溶融炉要素技術および炉底部技術の開発 (3)新型ガラス溶融炉開発 (4)溶融炉解析コードの高度化 (5)ガラス物性等の基礎試験
3.実施体制
高度化研究は、日本原燃株式会社が経済産業省の助成を頂きながら、メーカ、大学・研究機関と連携して開発を進めている。また、原子力・ガラス分野の有識者から構成されるガラス固化技術研究評価委員会を設け、評価、助言を頂きながら、開発を進めている(図1参照)。 図1 ガラス溶融炉高度化研究の体制
4.新型ガラス素材の開発
従来用いられているガラス原料成分のうち、アルミニウムおよびシリカを予め廃液側に分配(再分配法)することにより、溶融炉投入時のガラス原料の溶解性を高めることができる。その効果により、廃液中の低粘性流体発生成分(モリブデン等)を溶解速度を高め、低粘性流体の発生を抑制することができる。新型ガラス素材の開発は、基礎試験(るつぼ試験)、小型溶融炉試験、中型溶融炉試験と段階的に 確認し、スケールアップ効果を確認している。[1]
5.炉底技術の開発
現行のガラス溶融炉では、高レベル廃液中に含まれる白金族元素が炉底部に沈降・堆積することで、炉底部ガラスの加熱性およびガラスの流下性の低下することから、炉底低温運転†および定期的な洗浄運転を行うことで安定運転を実現している。新型ガラス溶融炉では、上記対策を行わなくも安定運転が達成できるように、炉底部技術や要素技術の開発を行っている。
5.1 炉底部技術開発
炉底部の構造を従来の四角錐から円錐形状、傾斜角度を45°から60°にして白金族元素の堆積を抑制するとともに、従来の補助電極下に加熱用電極を追加し、さらに底部電極全体を外部から加熱できる底部電極高周波加熱装置を設置することで加熱手段を増やし、白金族元素の抜き出し性の向上を図った(図2参照)。 図2 現行ガラス溶融炉(左)と新型ガラス溶融炉(右) 本技術の検証のために、溶融炉炉底部のみを模擬したモックアップ試験装置(図3 参照)を製作し、白金族元素を含んだガラスの流下試験を行っている。試験では、高濃度の白金族元素を含有したガラスでも初期流下性が良好であることが確認できた。[2] 図3 新型ガラス溶融炉(左)と炉底部モックアップ試験装置(右) 5.2 溶融炉要素技術の開発 溶融炉の運転性能・監視性能の向上を図るための以下の個別要素技術を開発している。いずれも、シミュレーションやアクリルモデル試験でその効果を検証している。 (1) エアパージ式液位計 従来の接点式液位計から、連続的に精度良く液位が計測できるエアパージ式液位計を開発。 (2) バブリング装置 炉内の溶融ガラスの流動を高めることで、低粘性流体形成成分の溶解性を向上させるためのバブリング装置を開発。 (3) 改良型炉内挿入装置 従来の遠隔で操作するかくはん棒から、自動運転にて、さらにより効果的に貫通・排出性能を有する炉内挿入装置を開発。 6 溶融炉解析コードの高度化 新型ガラス溶融炉の設計・運転支援用のツールとして、溶融炉の温度分布、白金族挙動をシミュレーションできる解析コードの高度化を実施する。解析コードは、入力するガラス物性値(粘度、密度、比熱、熱伝導率等)を後述の基礎試験で測定し、さらに仮焼層および白金族族沈等のモデルを見直すことで、再現性の向上を図っている。高度化された解析コードは、アクリルモデル試験および過去の確証改良溶融炉(現行炉のモックアップ試験炉)試験の運転データを再現することで調整を図っており、従来の解析コードに比較して、再現性の向上を図ることができている(図4参照)。[3] † ガラス溶融炉の底部の温度を低くし、溶融ガラスの粘性を高くすることにより、白金族元素の沈降・堆積を抑制する運転方法 - 10 -図4 ガラス溶融炉の温度変化と解析コードによる再現 高度化した解析コードを新型ガラス溶融炉に適用し、実規模モックアップ試験の事前解析を行うことで、投入する電力量、温度変化等を予め予測し、試験の合理化を図っている。 7 ガラス物性等の基礎試験 基礎試験において、前述の解析コードに利用する白金族含有ガラスの高温物性値(粘度、密度、比熱、熱伝導率等)の測定や、仮焼層の構造および炉内の白金族粒子の挙動等の把握を行っている。 8 新型炉モックアップ試験 8.1 試験計画 開発した溶融炉構成技術および炉底技術を反映した新型ガラス溶融炉の実規模モックアップ試験装置を製作している(図5参照)。 図5 新型ガラス溶融炉モックアップ試験装置 モックアップ試験では、高レベル放射性廃液の成分・組成を非放射性の成分により模擬したガラスビーズ(模擬ガラスビーズ)および廃液(模擬廃液) を使用して、段階的に新型炉の温度特性を評価しながら、温度管理・ガラスの流下性等を合計100 回の流下試験で確認した。 ① 熱上げ試験:炉内が空の状態で熱上げを行い、模擬ビーズを投入する試験。 ② ホットトップ試験:模擬ビーズによりガラス液位を一定のままとして、ガラス・廃液等を供給せずに、炉上部を高温で保持した状態で熱特性等を確認する試験。 ③ 模擬ビーズ試験:模擬ビーズを供給し、加熱・流下を行う試験。 ④ 低模擬廃液試験:白金族元素を含まない模擬廃液(低模擬廃液)と原料ガラスビーズを供給し、加熱・流下を行う試験。 ⑤ 高模擬廃液試験:白金族元素を含む模擬廃液(高模擬廃液)と原料ガラスビーズを供給し、加熱・流下を行う試験。 ⑥ ドレンアウト試験:炉内の全てのガラスを流下する試験。 8.2 試験結果 現行のガラス溶融炉との比較評価のため、現行炉がこれまで実施してきた炉底低温運転を新型炉も踏襲している。高模擬廃液試験の温度推移を図6に示す。各ガラス温度指示値を元に主電極電力、間接加熱電力を調整し、ガラス温度および気相温度を目標温度に調整することができている。 050100150200250300350400450500550600650010020030040050060070080090010001100120013001/18 1/19 1/20 1/21 1/22 1/23 1/24 1/25 1/26 1/27 1/28 1/29 1/30 1/31 2/1 2/2 2/3 2/4 2/5 2/6 2/7 2/8 2/9 2/10 2/11 2/12 電力(kW) 温度(℃) 底部電極温度気相温度炉底温度④ 底部電極高周波電力主電極間電力炉底温度③ 炉底温度① 炉底温度② 溶融ガラス温度① 溶融ガラス温度② 溶融ガラス温度③ 間接加熱装置電力水供給 高模擬試験① 洗浄運転① 高模擬試験② 洗浄運転② 高模擬試験③ 洗浄運転③ 図6 新型炉モックアップ試験における温度推移 ガラス流下時の流下速度50kg/h および100kg/h 到達時間を図7 に示す。これまで現行炉の運転において、到達時間から炉内に白金族元素が堆積する傾向の目安としている。過去の再処理工場ガラス固化試験と新型炉モックアップ試験での到達時間および推移を比較しても、新型炉モックアップ試験では到達時間の変化が少なく、流下がより安定していることが分かる。 - 11 -図7 現行炉 A系列ガラス固化試験(上)および新型ガラス溶融炉モックアップ試験(下)の流下速度50kg/h、100kg/h 到達時間の推移 また、ドレンアウト試験終了後に炉内を観察した結果、炉内に残留物は確認されなかった(図8参照)。 図8 ドレンアウト試験後の炉内観察結果 9.ガラス固化技術開発施設 ガラス溶融炉の研究開発を目的として、日本原燃再処理事業所(青森県六ヶ所村)内にガラス固化技術開発施設を建設し、2013 年10 月に竣工している。本施設は再処理工場のガラス固化施設の固化セル模擬室、解体室を模擬したエリアを有しており、新型炉実規模モックアップ試験も同施設内で実施している(図9参照)。 図9 ガラス固化技術開発施設内の固化セル模擬室 10.結言 モックアップ試験の結果から、新型ガラス溶融炉に採用したガラス固化技術による白金族元素の堆積抑制効果および流下性の向上効果が確認できた。今回の結果をもとに、新型ガラス溶融炉の導入にあたり必要となる試験項目を検討した上で、次の試験を実施する計画である。 本報告の一部は、経済産業省「使用済燃料再処理事業高度化補助金」(平成19~23 年度)による成果である。 参考文献 [1] 三浦吉幸他“ガラス溶融炉高度化研究(3)新ガラス素材の開発”、日本原子力学会2012 年秋の大会予稿集、2012、pp66 [2] 杉山裕志他“ガラス溶融炉高度化研究(2)ガラス溶融炉の開発”、日本原子力学会2012 年秋の大会予稿集、2012、pp65 [3] 藤原寛明他“ガラス溶融炉高度化研究(4)ガラス溶融炉数値解析統合モデルの開発”、日本原子力学会2012 年秋の大会予稿集、2012、pp67 - 12 -
“ “ガラス溶融炉高度化研究 “ “駒嶺 哲,Satoshi KOMAMINE,杉山 裕志,Hiroshi SUGIYAMA,兼平 憲男,Norio KANEHIRA,越智 英治,Eiji OCHI