PASCAL-ECを用いた減肉配管のフラジリティ評価

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カテゴリ: 第12回
1.緒言
国内の軽水炉プラントにおいて、供用年数の増加に伴い、減肉が顕在化し場合の配管の健全性評価や保全管理が重要な課題となっている。また、東北地方太平洋沖地震・福島第一原子力発電所の事故の教訓から、リスク情報活用に向けたフラジリティ評価解析技術の重要性が認識されている。このような背景のもと、原子力機構では、経年構造機器の健全性評価手法の高度化を図るため確率論的手法に基づく構造健全性評価解析コードの開発を進めており、減肉した配管の構造健全性評価については、確率論的評価解析コードPASCAL-EC1)がある。本稿では、PASCAL-EC について、近年の新知見を反映した新たな解析機能の整備及び地震時減肉配管のフラジリティ試解析の結果について報告する。
2.PASCAL-ECについて
PASCAL-EC は、炭素鋼の減肉配管を対象として、モンテカルロ法によりその損傷確率を評価するための解析コードである。その主な評価解析機能をTable 1 に、また、解析フローをFig. 1 に示す。Table 1 Main items of improved PASCAL-EC 評価項目内容解析対象減肉配管の損傷確率減肉評価・実測データに基づく確率統計モデル・KWU-KRモデル2) 確率変数・水環境:流速、pH、水温、溶存酸素等・材料:Cr, Mo 含有量、密度、引張強さ等・形状:配管初期肉厚、減肉角度等確率計算手法階層別モンテカルロ法負荷応力内圧、1次膜応力、1 次曲げ応力、地震応力等破損クライテリア・内圧バースト:Wesley の式・実断面応力基準:宮崎の式 3) ・内圧・実断面応力基準:原研の式・ラチェット・疲労損傷:Coffin、朝田の式・多軸応力場を考慮した破壊基準:宮崎と根布らの式4)
Fig.1 Flowchart of PASCAL-EC 3.評価解析機能の改良整備 PASCAL-EC を対象として、減肉を有する配管のフラジリティ評価解析に関するモデル及び機能を3.1 から3.4 のように導入した。 3.1 実測データに基づく減肉率に関する確率論的 評価モデル 減肉配管を対象としたフラジリティ評価解析を行う上で、減肉率の設定は最も重要なパラメータの1つである。本研究では、減肉率の実測データに基づく減肉率に関する確率論的評価モデルをPASCAL-EC に導入した。国内プラントにおける配管減肉率の実測データの事例として、「日本機械学会発電用設備規格沸騰水型原子力発電所配管減肉管理に関する技術規格」5) に示されたものがあり、管理ランクと系統の組み合わせを踏まえた減肉率のヒストグラムが与えられている。1例として、管理ランクがFAC-1(酸素注入があり、かつ偏流効果が顕著ではない場合)である給水系について与えられた減肉率のヒストグラム及びこれを対象として統計処理した結果をFig. 2 に示す。統計処理の結果、減肉率の確率分布を対数正規分布として表現することが妥当であることを確認した。なお、この事例では、対数正規分布の中央値は0.088×10-4 mm/hr、対数標準偏差は0.782 であった。Fig. 2 An example probabilistic distribution and histogram of wall thinning rate 3.2 地震動による応答応力の不確実さに係る評価 機能 地震動による応答応力の不確実さを評価するために、地震等の外的事象を考慮した確率論的リスク評価 (地震PRA) の考え方にならい、地震動による応答応力を対数正規分布に従う確率変数とした評価機能を導入した。,   1√2  exp 12ln/
“ “PASCAL-ECを用いた減肉配管のフラジリティ評価 “ “山口 義仁,Yoshihito YAMAGUCHI
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