2次元検出器を利用した新しいX線応力測定法

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カテゴリ: 第12回
1. 緒  言
X線応力測定は,結晶によるX線回折を利用する.等方均質多結晶体の回折は,粉末のX線回折と同様に扱うことができる.その場合は,0 次元または1 次元検出器で連続環を横断する走査で,回折角を測定することができ,sin2 y 法がX線応力測定標準として制定されている[1] .しかしながら,対象材料が粗大粒,集合組織または溶接部のとき,X線回折パターンは,斑点状などの不連続となるので,0 次元検出器で回折プロファイルを得ることは困難となる.この解決には,2 次元検出器の利用が必要となる.ただし,2 次元で回折斑点を測定することは容易であるが,応力を測定するには多くの課題があり,連続環で正確に応力を測定することを確立する必要がある.本研究では2 次元検出器を利用して,応力を評価する手法として「直接法」を提案する. 2. 解析および実験2.1 2 次元検出器による応力測定の方法論これまで,2 次元検出器を利用したX線応力測定方法は,cos a 法[2] および2D 法[3] が提案されている.これらの方法は,2 次元検出器で回折角を測定し,最適な応力値を逆問題として求める手法である.X線応力測定の方法論を考えると,第一に試料の回折面法線の設定の方法に特徴がある.図1 (a) のように試料に対する回転の軸と方向を定義すると,X線応力測定方法の種類は,設定方位角で分類することもできる. 図1 (b) に示すように,sin2 y 法においては,面内方位角j を固定してy 角を単独で傾けて逐次回折角を測定する.ゆえに,図中の○のように試験片を傾けて回折角を測定することに相当する.cos a 法は,単一斜入射X線による回折環をで背面反射で写真やイメージングプレート(IP) で測定するので,図1 (b) の破線に相当する方位の回折角を測定する.2D 法においては単一入射
(a) Orientation angle for normal to diffraction plane  ! sin2 method cos# method 2D method Direct method (b) Direction of strain measurement for kind of stress measurement method Fig. 1. X-ray stress measurement and rotation of speci- men. をとらず,より積極的に試料を回転させて図に四角形で示すように一連の方位の回折を測定する.2D 法においては,測定する応力により一連の試料回転の組合せは多様となる. 本研究で提案する直接法は,これらの方法と異なり, 実験方法として最も簡便な垂直入射X線を利用し,IP により背面反射で回折環を測定し,回折角を決定する. 図1 (b) で実線のj 回転の回折角を測定する方法に相当する.垂直入射のためにX線照射領域が広がらず,回折の検出装置の勝手もよいので,産業利用の点でも優- 163 - x y O P
! z ““y ““x ““z ““! Fig. 2. Coordinate system of specimen for direct method. れた方法である. 前述は回折角の測角方法による観点である.それに対して,逆問題としての回折角(測定ひずみ) から最適な応力値を求める方法の観点もある.sin2 y 法は,2q- sin2 y 線図の近似直線の勾配から応力を評価する手法である.cos a 法は,回折角の対角成分を巧みに利用して無ひずみの回折角2q0 を用いないで,cos a 線図の傾きから応力を評価する手法である.2D 法は,前述の多数の方位のひずみからそれを満たす応力を重回帰で決定する方法である[4] .ただし,He らの2D 法では最小二乗法による重回帰を用いて最適な応力値を求めているが,その詳細な手続きについては触れていない. これらに対して,直接法は垂直入射X線の回折環から各j 角のひずみを求め,それに最適な応力値を簡便に得る方法として線形計画法を利用する点が特徴である. 以上のようにX線応力測定法は,測角方法の手法と応力値を得るための最適化の手法が相互に関係した逆問題である.ゆえに,X線応力測定の方法を議論するとき,測角の精度の問題と最適化の精度問題をどのように区別して検討するかが大切である. 2.2 直接法の基礎式試料面O における座標と方位の関係を図2 に示す. sin2 y 法は,方位角度j を固定してy 角を変化させてひずみを測定する.2 次元検出器においては,X線入射角y0 を固定して面内の方位角j を利用して応力測定できる方法が適している.2 次元検出器の長所を生かすためには,X線入射角y0 を固定してj の関わる回折角を活用することが望ましい.このような考え方は新しいものではなく,j-sin2 y 法[5] が既に提案されている. まず,直接法の基礎式について考える.図2 の座標系において,IP で測定されたOP 方向のひずみ#yj について考える.#yj と各応力の関係は,次式で与えられる. #yj =S2 2(sj .. sz) sin2 y + S2 2 s33 + S1 (sx + sy + sz) +S2 1900/01/01(sxz cos j + syz sin j) sin 2y (1) ただし,S1, S2 については,ヤング率E.ポアソン比n と以下の関係がある. S1 = .. nE, S2 2== 1 + n E -2平面応力問題は,式(1) においてz 方向の応力sz, sxz およびsyz は成分を0 と見なすことができる.また,面内の応力sj についてはsj = sx cos2 j + txy sin 2j + sy sin2 j (3) の関係から,平面応力の基礎式は, #yj =S2 2(sx cos2 j + txy sin 2j + sy sin2 j) sin2 y + S1 (sx + sy) (4) となる.なお,回折角2qyj とひずみ#yj の関係については, #yj = ..(2qyj .. 2q0) cot q0 2-5となる.例えば,式(4) にj の値を入力すると以下の関係が得られる. j = 0., #y0 = S2 2 sx sin2 y + S1 (sx + sy) (6) j = 45., #y45 = S2 2(sx 2+ txy + sy 2) sin2 y + S1 (sx + sy) (7) j = 90., #y90 = S2 2 sy sin2 y + S1 (sx + sy) (8) 等二軸応力状態(sx = sy = sR) が仮定できるときは, sx = sy = sR, txy = 0 で近似できる応力状態なので, 次式で応力値が得られる. sR = ..E 2 n .. (1 + n) sin2 y #R (9) 以上の関係において垂直入射X線(y0 = 0) の場合, y は方位角j と無関係にy = p2.. q0 (10) となり,一定値をとる. 2.3 最適応力値の探索2 次元検出器を用いた応力評価においては,複数の応力値を同時に求めることが必要となる.2 次元検出器による応力測定法の確立には,y, j に伴うひずみの変化に対して最適な応力値を探索する方法が問題となる.現在,2 次元検出器による応力測定法において,実験方法(2 qjy の測定方法) と解析方法(最適な応力値の探索方法) に区別されておらず,どのような実験方法がよいの- 164 - O v1 v2 v3 v4 0.71.722.5vG Simplex with vectors v1~4 vC Fig. 3. Simplex and corrected vector vC. か,それにふさわしい応力値の最適化方法は何か,方法論の検討が必要である. さて,式(4) において測定結果から得られた左辺のひずみ#yj に対応する最適な応力sx, sy およびtxy の決定方法を考える.本研究では,計算が簡単で比較的効率のよい線形計画法に属するNelder-Mead 法[6] を用いて最適な応力値を求めた.その方法を以下に説明する. 2 次元検出器で測定された回折角2q から得られたn 個の各方位ji のひずみを#(ji) と表すと,式(4) の関係から,誤差ER を次のように定義する. Ei =[#(ji) .. S2 2(sx cos2 ji + txy sin 2ji + sy sin2 ji) sin2 y .. S1 (sx + sy)]2 -11ER = na i=1 Ei (12) この誤差ER を最小にする応力成分sx, sy およびtxy を探すことで,応力値を決定できる. 図3 に示すように,シンプレックス(単体) を構成する位置ベクトルを考える.このシンプレックスベクトルv は,最適化するパラメータ(応力値) を成分v = (sx, txy, sy) とする.このとき最適化問題は,目的関数である誤差ER(v) に最小を与えるベクトルを見つけ出す問題といえる. 本研究では,最適化する未知数が3 個なので,4 個のシンプレックスベクトルvi (i = 1  4) で初期シンプレックスを構成する.このvi の中で,ER(vi) が最大のベクトルをv1 に並び替えて,残りのベクトルで作られる重心ベクトルvG とv1 から,補正ベクトルvC を計算すると,次式になる. vG = 1 n .. 1 na i=2 vi (13) vC = v1 + b (vG .. v1) (14) 具体的な評価手続きは,以下のようになる. 1. 目的関数の評価パラメータb を0.7, 1.7, 2.0, 2.5 にとり,各b の値に対して誤差ER を計算する. 2. 4 つの中で最小の誤差を与えるb で補正ベクトルvC を決定する. 3. この補正ベクトルvC を新たな近似ベクトルとしてv1 と入れ替える. これらの手続きを繰り返すことで,誤差ER が小さくなり収束したところで,v = (sx, txy, sy) を最適値とする. この最適化法を本研究ではシンプレックス法と呼ぶ. 2.4 実験方法本研究の試験片材料は,オーステナイト系ステンレスSUS316L である.特性X線はMn-Ka を用いて,g-Fe の311 回折を利用した.X線回折の測定には2 次元検出器としてIP を用いた.IP の面積は230  200 mm2, 空間分解能は0.1 mm/pixel である.IP の読み取りは,リガク製RAXIA-Di を用いた.なお,X線照射領域はf2.4 mm (コリメータ内径f1.0 mm) である. 2 次元検出器の測定においては,回折中心が重要である.回折中心は,W の粉末(粒径1 mm) の回折環から得た.IP 上のMn-Ka 線によるW の220 回折環を楕円近似し,回折中心を決定した.さらに,W の220 回折環が真円になるように,2 次元検出器の回折像に補正を施した.これにより,IP の姿勢の補正を行った.ひずみは,測定された格子面間隔d と無ひずみの格子定数d0 = 1.08383 A° (2 q0 = 151.971.) から計算した. X線応力測定に用いた回折弾性定数は,SUS316 の単結晶のスティフネスの値[7] c11 = 206 GPa, c12 = 133 GPa, c44 = 119 GPa を用いてKr¨oner モデル[8] から計算し,g-Fe 311 回折の回折弾性定数としてヤング率EX = 182 GPa, ポアソン比nX = 0.3067 を得た.なお,Kr¨oner モデルによる回折弾性定数の計算ができるように,リガクのサイトに用意した[9] . 3. 結果および考察3.1 ピーニングによる残留応力ウォータージェットピーニング(WJP) したSUS316L 試験片にX線を垂直入射(y0 = 0.) した回折像を得た(図4).回折中心を得るために,最初の露光でW 粉末試料の220 回折を測定し,W 粉末試料を試験片に置き換えて2 回目の露光で応力測定のためのg-Fe の311 回折を測定した.なお,WJP によりピーニング面は微細化するので,回折環は理想的な連続環となっていた. WJP 面の回折より得られた方位j の回折角度2 qj から式(5) に従い方位ひずみ#j を求め,その結果を図5 に示す.図中では,j = 0. がx 方向,j = 90. がy 方向に相当する.本WJP 試料において,ウォータージェットのノズル進行方向はx 方向に相当する.このひずみ測定結果を基に,式(6)(8) を用いて応力を決定した結果を図5 に破線(0-45-90) で示す.これは,j = 0, 45, 90. の方位ひずみ#j を用いて応力計算をしているので,j = 0, 45, 90. の測定点と破線はよく一致しているが,j = 180. よりも大きい角度では,測定ひずみと計算結果との誤差が大きくなる. 一方,特定の方位だけでなく測定した全方位を利用- 165 - Fig. 4. Diffraction image of water-jet peened SUS316L. 0.00060.00080.0010.00120.00140306090120210240270300330Strain 0-45-90 Simplex StrainWJP SUS316L -Fe 311 by Mn-K 0==0 deg !““““ Fig. 5. Comparison between measurement and calcula- tion by direct method. Table 1. Measured residual stresses of WJP SUS316L. Residual stress (MPa) sx sy txy Direct method using 0.-45.-90. ..384 ..441 ..41 Direct method using simplex method ..300 ..547 51 Constant penetration method (T=30mm)13) ..299 ..343 44 して応力の最適値をシンプレックス法で決定した結果を図5 に実線で示した.図からわかるように,シンプレックス法で応力を決定した方が,0-45-90 法と比較して測定ひずみ全体に一致している.垂直入射X線で測定されているので,本来はひずみの分布は回折中心の点対称であるべきであるが,測定ひずみの分布を見ると測定誤差により完全な点対称でない.そのため,直接法による結果と測定結果の誤差が生じている. 直接法で得られたWJP 試験片の残留応力の値を表1 に示す.直接法による応力値のほかに,侵入深さ一定法で測定した応力値[10] を参考として示した.応力の決定方法が異なるために,応力の値が異なる結果となっているが,シンプレックス法による直接法が侵入深さ一定法の応力値に近い.j = 270. 付近の#j がないので,sy の精度が低いと考えられる. 3.2 cos α法への拡張X線入射角度をz 軸を中心にy0 傾けたとき,座標系と角度関係は図6 のようになる.そのとき,X線入射軸(x 軸) と回折面法線のなす角h は, h = p2.. q0 (15) になるので,図6 に示すように,試料面法線ベクトルn は, n = (cos y0, sin y0, 0) (16) となり,回折面法線ベクトルd はd = (cos h, ..sin h cos j, sin h sin j) (17) となる.y 角はn とd のなす角であるので, cos y = n  d jnj jdj (18) から以下の関係が得られる. cos y = cos y0 cos h .. sin y0 sin h cos j (19) 垂直入射X線では,y0 = 0 からcos y = cos h からy = h となり,y はj に関係しない.式(19) を式(4) に代入すれば,cos a 法の光学系に対する式が導出され, cos a 線図を用いずに,シンプレックス法で応力値を求めることもできる. 応力およびX線入射角度により,方位ひずみ#j がどのように挙動するかを知ることは,方位ひずみ#j から最適な応力値を求める上で,有意義である.単軸引張りの平面応力の例を図7 (a) に示す.応力sx が大きくなるに従い,方位ひずみ#j のリングは原点を中心に小さくなる.垂直入射X線(y0 = 0.) のとき,方位ひずみx n y z
IP ! X-ray ““0 # Fig. 6. Grazing-incidence X-ray and IP. - 166 - -0.0012-0.001-0.0008-0.00060:00:35-0.0002001900/01/2960901201900/07/281900/08/272701900/10/261900/11/25xy== y==0MPa 0:00:00==0deg 1900/04/091900/07/181900/10/261901/02/03500600Strain SUS316L, (311) x, MPa (a) Change in sx -0.002-0.00100.0010:02:530.00303060901202101900/08/272703001900/11/25x==600MPa xy== y==0MPa 0deg 10deg 20deg 30deg 40deg 50deg Strain 0SUS316L, (311) (b) Change in y0 -0.002-0.00100.0010:02:530.0030:00:0030601900/03/30120210240270300330SUS316L 0==30deg -200-1000100200300Strain x==700MPa y==200MPa xy, MPa (c) Change in txy Fig. 7. Change in diffraction rings with changes in stress and X-ray incident angle. #j 線図は,回折中心に点対称,かつ応力の主軸に対して対象の変化を示す特徴がある. 図7 (b) は,図(a) のX線入射角y0 を徐々に傾ける場合を示している.図のように,方位ひずみ#j 線図は, 入射X線の傾きが大きくなるに従い非対称となる.ただし,主軸についての線対称は保たれている. 図7 (c) は, せん断力txy が変化したときの方位ひずみ#j 線図に相当する.主応力方向が,せん断力の変化に対応して回転するので,方位ひずみ#j 線図もそれに対応して回転する様子がわかる. 3.3 回折中心の補正図5 をみると,測定した方位ひずみ#j の分布と応力値から計算されるひずみ線図が,やや合致しない問題がある.応力から計算されるひずみ線図は,回折中心から厳密に決まった形をとる.これに対して,測定される方位ひずみ分布は回折中心の誤差を含んでいる.ゆえに, 2 次元検出器で応力を測定する場合には,回折中心の厳密性が重要となってくる.回折中心の厳密性について検討するために,あえてX線照射域寸法を大きくして回折中心精度を低下させ,SUS316L の研削面の残留応力を測定した. 図8 は,X線照射域寸法をf7 mm (コリメータ内径f3 mm) にして,垂直入射X線で測定したSUS316L の研削面のX線回折像である.研削方向はj = 0. になる.このX線回折の測定では,IP を試料に近づけg-Fe の311 回折環の全周を測定できるようにした.また,回折中心を得るためのW粉末を試料測定面に塗布し,同時露光によりW 粉末の220 回折環とg-Fe 311 回折環の両者を測定した.研削面の回折像は連続環の様相を呈しており,回折角度の測定に問題はみられない.W 粉末の回折環も同様にきれいな回折環である.しかし,図8 の回折環は照射領域が大きいので,図4 の回折環の幅と比較してみると,回折環が広がっている. さて,図8 で示した研削の回折環から測定した方位ひずみ分布を図9 の黒い丸印で示した.測定されたままの方位ひずみ分布の中心は,図の回折中心から明らかにずれている.このままで直接法やcos a 法を適用しても,回折中心対称のひずみ線図による近似には限界がある.測定した方位ひずみ分布が回折中心から外れFig. 8. Diffraction image from ground SUS316L. - 167 - -0.0025-0.002-0.0015-0.001-0.000500.00050306090120210240270300330Measured strain Corrected strain Direct method Strain -Fe 311 by Mn-K ==7 mm, 0==0o L=89.2818mm Fig. 9. Comparison between measurement and calcula- tion by direct method. Table 2. Residual stresses of ground SUS316L Method sx, MPa txy, MPa sy, MPa Direct method 586 294 150 sin2 y method 567 56 148 ているのは,照射域が広いために,W 粉末の中心精度が低下していることが原因と考えられる.無ひずみの回折角だけでなく,2 次元検出器では,回折中心のずれが応力値の信頼性に大きく影響する. 回折中心がずれている場合には,回折中心のずれを改善するために,測定したg-Fe の311 回折ピークを再度楕円で近似して楕円の中心位置を新たな回折中心と改め,方位ひずみ分布を描くと図9 の灰色のプロット点が得られる.このように,回折中心の補正ができるのは,垂直入射X線だからできることである. この補正された方位ひずみ分布#j を直接法で解析して応力値を得た結果を図9 の実線で示した.実線で示したひずみ線図は,測定したひずみ分布とよく一致している.楕円近似で回折中心を補正して直接法で得られた応力値を表2 に示す.直接法でられた応力の値をsin2 y 法と比較すると,せん断応力txy の値は異なるが,sx, sy の値はよく一致している. 以上のことから,本研究で提案した直接法により平面応力を測定することができる.また,垂直入射X線を利用することで,方位ひずみ分布が回折中心に対称になる性質を利用して,方位ひずみ分布を補正して直接法を適用することで,精度の高い応力評価ができる. また,垂直入射X線の利用は,回折中心の補正に加え, 測定光学系としても単純で解析も簡便であり,優れた方法と言える.また,シンプレックス法による応力値の最適化の手法は,簡便かつ安定性もあり,有効な手法である. 4. 結  言本研究では,2 次元検出器としてIP を利用した応力測定法として直接法を提案し,SUS316L の残留応力を評価した.得られた結果を以下にまとめる. (1) 垂直入射X線による2 次元応力測定法として,直接法を提案した.また,直接法を単一斜入射X線へ拡張し,cos a 法の利用の可能であることを示した. (2) シンプレックス法により方位ひずみに最適な応力値を決定することができる. (3) 回折中心は2 次元検出器を利用した応力測定において測定精度の根幹に関わる.垂直入射X線を利用することで,回折ピークの楕円近似により回折中心の補正が可能となり,精度の高い応力評価ができる. 謝  辞本研究は学術研究助成基金助成金(基盤研究(C) 課題番号26420009) の援助を受けた.ここに記して感謝の意を表します. 参考文献[1] Standard Method for X-Ray Stress Measurement, JSMS-SD-10-05 (2005),日本材料学会. [2] 平 修二,田中啓介,山崎利春,”細束X線応力測定の一方法とその疲労き裂伝ぱ問題への応用”, 材料,Vol. 27, No. 294, pp. 251-256 (1978). [3] B.B. He and K.L. Smith, ”A New Method for Residual Stress Measurement Using An Area Detector”, Proceedings of The Fifth International Conference on Residual Stresses (ICRS-5), Ed. by T. Ericsson, M. Od´en, A. Andersson, pp. 634-639, Link¨oping, Sweden, (1997). [4] B.B. He, ”Two-Dimensional X-Ray Diffraction”, p. 299 (2009), John Wiley & Sons. [5] 知久健夫,青山咸恒,並川宏彦,颯田耕三,岩永省吾,多田雅昭,”入射X 線揺動法による応力測定”,材料,Vol. 19, No. 207, pp. 1028-1034 (1970). [6] J.A. Nelder and R. Mead, ”A simplex method for function minimization”, Computer Journal, Vol. 7, pp. 308-313 (1965). [7] H.M. Ledbetter, ”Predicted single-crystal elastic constants of stainless-steel 316”, British Journal of NDT, Vol. 23, pp. 286-287 (1981). [8] E. Kr¨oner, ”Berechnung der elastischen Konstanten des Vierkristalls aus den Konstanten des Einkristalls”, Zeiteschrift Physik, Vol. 151, pp. 504- 518 (1958). [9] http://www.rigaku.co.jp/app/index10.html [10] K. Suzuki and T. Shobu, ”Residual stresses in austenitic stainless steel due to high strain rate”, Materials Science Forum, Vol. 681, pp. 278-283 (2011). - 168 -
“ “2次元検出器を利用した新しいX線応力測定法“ “鈴木 賢治,Kenji SUZUKI
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