熱成層界面ゆらぎに対する 熱応力評価法と疲労損傷評価法の開発
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カテゴリ: 第12回
1.研究背景
原子力プラントにおいて、冷却材の温度変動により誘発される高サイクル熱疲労に起因する破損事故が多く報告されている[1]。流体温度変動による接液構造物の熱疲労破損は熱流体と構造の両分野に跨る複雑な現象である。流体の温度変動は構造表面に熱伝達で伝わり、熱伝導により構造内温度が変動し、温度変動による熱膨張/収縮が拘束されて繰り返し熱応力が発生する。 熱疲労破損をもたらす典型的熱流動現象として、T 字配管における高低温流体の不完全な混合により発生する不規則温度ゆらぎ(Fig.1)と、主管を流れる高温流体が閉塞分岐配管に侵入し滞留していた低温流体との境界に熱成層を生じさせ、その層が上下に変動する熱成層界面ゆらぎ(Fig.2)がある。
Fig.1 Thermal striping at T-junction Fig.2 Thermal stratification oscillation at closed branch pipe
熱疲労をもたらす熱応力は流体温度変動の周波数に依存した応力減衰特性があり、この特性は構造物の健全性に大きな影響を与えることが知られている。この減衰特性を考慮し理論的かつ合理的に熱応力を評価する手法として不規則温度ゆらぎに対しては板厚分布型周波数応答関数[3]が開発され、現行の日本機械学会指針[4]における疲労評価に一部取り入れられている。 しかし、熱成層界面ゆらぎに対しては、現行の指針は熱応力および熱疲労損傷の定量的評価が充分に整備されていないことから、界面が閉塞分岐配管の曲り部にないことを求めており、極めて保守的である。そこで熱成層界面ゆらぎに対する熱応力評価手法として界面厚さ無し界面移動型周波数応答関数[5]が開発された。しかし、この関数は実機において存在する熱成層の界面厚さを考慮しておらず、界面厚さを無視できない実際の熱応力評価を充分な精度で行うことができない。
2.研究目的
本研究では、熱成層界面ゆらぎ現象に対し、界面厚さを無視できない場合も適用可能な熱応力評価法および疲労損傷評価法の提案を目的とする。不規則温度ゆらぎとの差異に着目した有限要素法(FEM)解析により、熱応力発生機構を明らかにし、その支配因子を摘出する。支配因子を考慮できるように界面厚さ無し界面移動型周波数応答関数を拡張し、熱応力および実機を模した環境中の疲労損傷係数を評価できるようにする。 3.不規則温度ゆらぎと熱成層界面ゆらぎ 不規則温度ゆらぎは不規則な温度変動を繰り返す(Fig.1)。一方、熱成層界面ゆらぎは数十秒~数百秒周期の界面変動をほぼ一定パターンで繰り返す(Fig.2)。 また、熱応力を支配する構造内温度勾配は、流体温度変動の周波数に依存する。不規則温度ゆらぎは板厚方向温度勾配(Fig.3)を引き起こす。低周波では熱が充分に拡散するため、構造内温度勾配は緩やかになる。高周波では構造表面が流体の急激な温度変化に追従できず、伝熱量が少なくなる。よって中間周波数で板厚方向温度勾配が大きくなり、発生熱応力も大きくなる。一方、熱成層界面ゆらぎは板厚温度勾配だけでなく、界面移動に伴う軸方向温度勾配(Fig.4)も引き起こす。低周波では構造が流体の温度変化に追従し構造の軸方向温度遷移領域は小さくなるが、高周波では追従できず構造の軸方向温度遷移領域が大きくなるため、低周波領域で軸方向温度勾配が大きくなる。二方向の温度勾配の影響により、熱成層界面ゆらぎでは低周波および中間周波数領域で大きな熱応力が発生する。 Fig.3 Temperature gradient into the wall-thickness direction Fig.4 Temperature gradient in the axial direction 4. 熱応力評価法の開発 温度差ΔT で高温と低温の2 層に分け単純化した従来の温度変動モデル[5] (Fig.5 左)に対し、配管軸方向温度分布が発生熱応力に及ぼす影響を適切に評価するため、有限の界面厚さHt 内で温度が線形に変化する遷移層を考慮したモデルを作成した(Fig.5 右)。温度遷移層を一定周波数で正弦波状に移動距離Lm だけ上下移動させ、FEMにより構造内表面の応力を解析した。 Fig.5 Conventional model (left) and improved model (right) - 382 -4.1 無次元界面厚さ Ht* の提案 界面厚さHt と界面移動距離Lm の比が同一のとき、配管内表面の応力観察点に接する流体の温度時刻歴が同一の履歴を示すため(Fig.6)、式(1)により無次元界面厚さHt* を定義し、Ht* による現象整理を提案する。 ..... = ......... (1) HtとLmの組み合わせを変化させながらFEMにより発生熱応力を調べた結果、Ht*が同一であれば熱応力の周波数応答特性もほぼ同一となり(Fig.7)、Ht*による現象整理の妥当性が示された。 Fig6. Time series of fluid temperature Fig.7 Stress response characteristic to Non-dimensional Frequency and Ht* 4.2 界面厚さ無し界面移動型周波数応答関数の拡張 界面厚さ無し界面移動型周波数応答関数による熱応力評価結果と界面厚さありモデルでのFEM 解析結果とを比較すると(Fig.8)、Ht* >1 の条件に対し界面厚さ無し界面移動型周波数応答関数が発生熱応力を大きく過大評価することが分かった。ここで、再度配管内表面の応力観察点に接する流体の温度時刻歴(Fig.6)に着目すると、界面厚さ無しの場合、流体温度が高低温層温度差ΔT だけ変動するのに対して、例えばHt*=2 のとき流体温度変動範囲はΔT /2 である。同様に一般にHt*>1 のとき熱応力の発生に寄与する流体温度変動範囲はΔT /Ht*となることから、発生熱応力も界面厚さ無しの場合の1/Ht*倍になると考えられる。実際に、界面厚さ無し界面移動型周波数応答関数を1/Ht*倍して界面厚さの影響を考慮するよう拡張した関数によって得られた結果はFEM解析結果とよく一致した(Fig.9)。 Fig.8 Comparison of frequency response function(FRF) with FEM analysis Fig.9 Comparison of improved FRF with FEM analysis 5.熱疲労損傷評価法の開発 一般に複数周波数成分を持つ波形は成分間に位相構造を持つが、不規則温度ゆらぎ現象では温度ゆらぎがランダム位相を持ち、板厚分布型周波数応答関数は位相情報を評価せずに振幅情報のみから疲労損傷を評価する。これに対し、熱成層界面ゆらぎ現象は位相構造を持つ。その影響を評価するため、前章で拡張した周波数応答関数に基づく疲労損傷評価法を2 種類考え、FEM による結果と比較した。1 つは流体温度変動の位相構造と周波数応答関数の位相構造を用いて発生熱応力の位相構造を予測する、ゆらぎ波形の位相構造を考慮した評価法(Fig.10)、もう1 つは位相構造を考慮せずランダム位相を仮定した評価法(Fig.11)である。疲労損傷係数Dfを応力振幅とその繰り返し数からMiner 則に基づき評価し、単位時間あたりに規格化したDfを- 383 -Ht*と無次元周波数f*とで整理した。 位相構造を考慮した疲労損傷評価法は次の手順に従う。①温度時刻歴を振幅と位相の両スペクトルに変換する。②界面移動型周波数応答関数を用いて応力振幅スペクトルと応力位相スペクトルを得る。③応力時刻歴に変換し応力振幅と繰返し数に分解する。④疲労線図からDfを求める。ランダム位相に基づく疲労損傷評価法は、応力振幅スペクトルから応力時刻歴を求める際にランダムな位相を繰り返し仮定しDfを繰り返し求め、その平均を用いて評価する点が前者と異なる。FEM では得られた応力時刻歴をもとにDfを計算した。 Fig.10 Fatigue damage evaluation method considering phase structure of fluctuation Fig.11 Fatigue damage evaluation method with assumption of random phase 位相構造を持つ波の例として界面ゆらぎ波形を三角波で模擬し、界面移動型周波数応答関数に基づく評価法(Fig.10, Fig.11)による結果とFEM解析結果を単位時間あたりの疲労損傷係数により比較した(Fig.12)。界面移動型周波数応答関数に基づく両評価法ともFEM と比較して適度に安全側の結果を与え、また、ランダム位相に基づく評価法はゆらぎの位相構造を考慮した評価法より保守的であった。また、界面ゆらぎ波形を鋸波、矩形波で仮定した場合にもランダム位相に基づく評価法はゆらぎの位相構造を考慮した評価法よりも保守的な傾向となることを確認した。これらより、位相情報が不要なランダム位相に基づく疲労損傷評価法(Fig.11)を提案する。 Fig.12 Comparison of normalized fatigue damage 6.結論と今後の課題 熱成層界面ゆらぎ現象に対し、無次元界面厚さに基づく現象の整理および界面厚さ無し界面移動型周波数応答関数の拡張を行い、それをもとに疲労損傷評価を行った。ランダム位相に基づく疲労損傷評価法を提案し、その妥当性を示した。今後はより簡便な手法の開発が期待される。 参考文献 [1] O. Gelineau, C. Escaravage, J. Simoneau and C. Faidy : “High Cycle Thermal Fatigue : experience and state of art in French LMFRs”, SMiRT16, Paper#1311 ,2001 . [2] IAEA:“Validation of fast reactor thermomechanical and thermohydraulic codes”,IAEA-TECDOC-1318, 2002. [3] N. Kasahara, H. Takasho, and A. Yacumpai, “Structural response function approach for evaluation of thermal striping phenomena”, Nuclear Engineering and Design, Vol.212, 2002 . [4] 日本機械学会、“配管の高サイクル熱疲労に関する評価指針”、JSME S017、2003. [5] 水谷崇人、ダビッドフォウントヴィエス、鈴木正昭、笠原直人、“流体温度変動による配管熱疲労に関する研究(熱成層界面ゆらぎに対する円筒の熱応力に関する研究)”、日本機械学会2013 年度年次大会、J032034、- 384 -2013- 385 -
“ “熱成層界面ゆらぎに対する 熱応力評価法と疲労損傷評価法の開発 “ “栗林 大,Hiroshi KURIBAYASHI,鈴木 正昭,Masaaki SUZUKI,笠原 直人,Naoto KASAHARA
原子力プラントにおいて、冷却材の温度変動により誘発される高サイクル熱疲労に起因する破損事故が多く報告されている[1]。流体温度変動による接液構造物の熱疲労破損は熱流体と構造の両分野に跨る複雑な現象である。流体の温度変動は構造表面に熱伝達で伝わり、熱伝導により構造内温度が変動し、温度変動による熱膨張/収縮が拘束されて繰り返し熱応力が発生する。 熱疲労破損をもたらす典型的熱流動現象として、T 字配管における高低温流体の不完全な混合により発生する不規則温度ゆらぎ(Fig.1)と、主管を流れる高温流体が閉塞分岐配管に侵入し滞留していた低温流体との境界に熱成層を生じさせ、その層が上下に変動する熱成層界面ゆらぎ(Fig.2)がある。
Fig.1 Thermal striping at T-junction Fig.2 Thermal stratification oscillation at closed branch pipe
熱疲労をもたらす熱応力は流体温度変動の周波数に依存した応力減衰特性があり、この特性は構造物の健全性に大きな影響を与えることが知られている。この減衰特性を考慮し理論的かつ合理的に熱応力を評価する手法として不規則温度ゆらぎに対しては板厚分布型周波数応答関数[3]が開発され、現行の日本機械学会指針[4]における疲労評価に一部取り入れられている。 しかし、熱成層界面ゆらぎに対しては、現行の指針は熱応力および熱疲労損傷の定量的評価が充分に整備されていないことから、界面が閉塞分岐配管の曲り部にないことを求めており、極めて保守的である。そこで熱成層界面ゆらぎに対する熱応力評価手法として界面厚さ無し界面移動型周波数応答関数[5]が開発された。しかし、この関数は実機において存在する熱成層の界面厚さを考慮しておらず、界面厚さを無視できない実際の熱応力評価を充分な精度で行うことができない。
2.研究目的
本研究では、熱成層界面ゆらぎ現象に対し、界面厚さを無視できない場合も適用可能な熱応力評価法および疲労損傷評価法の提案を目的とする。不規則温度ゆらぎとの差異に着目した有限要素法(FEM)解析により、熱応力発生機構を明らかにし、その支配因子を摘出する。支配因子を考慮できるように界面厚さ無し界面移動型周波数応答関数を拡張し、熱応力および実機を模した環境中の疲労損傷係数を評価できるようにする。 3.不規則温度ゆらぎと熱成層界面ゆらぎ 不規則温度ゆらぎは不規則な温度変動を繰り返す(Fig.1)。一方、熱成層界面ゆらぎは数十秒~数百秒周期の界面変動をほぼ一定パターンで繰り返す(Fig.2)。 また、熱応力を支配する構造内温度勾配は、流体温度変動の周波数に依存する。不規則温度ゆらぎは板厚方向温度勾配(Fig.3)を引き起こす。低周波では熱が充分に拡散するため、構造内温度勾配は緩やかになる。高周波では構造表面が流体の急激な温度変化に追従できず、伝熱量が少なくなる。よって中間周波数で板厚方向温度勾配が大きくなり、発生熱応力も大きくなる。一方、熱成層界面ゆらぎは板厚温度勾配だけでなく、界面移動に伴う軸方向温度勾配(Fig.4)も引き起こす。低周波では構造が流体の温度変化に追従し構造の軸方向温度遷移領域は小さくなるが、高周波では追従できず構造の軸方向温度遷移領域が大きくなるため、低周波領域で軸方向温度勾配が大きくなる。二方向の温度勾配の影響により、熱成層界面ゆらぎでは低周波および中間周波数領域で大きな熱応力が発生する。 Fig.3 Temperature gradient into the wall-thickness direction Fig.4 Temperature gradient in the axial direction 4. 熱応力評価法の開発 温度差ΔT で高温と低温の2 層に分け単純化した従来の温度変動モデル[5] (Fig.5 左)に対し、配管軸方向温度分布が発生熱応力に及ぼす影響を適切に評価するため、有限の界面厚さHt 内で温度が線形に変化する遷移層を考慮したモデルを作成した(Fig.5 右)。温度遷移層を一定周波数で正弦波状に移動距離Lm だけ上下移動させ、FEMにより構造内表面の応力を解析した。 Fig.5 Conventional model (left) and improved model (right) - 382 -4.1 無次元界面厚さ Ht* の提案 界面厚さHt と界面移動距離Lm の比が同一のとき、配管内表面の応力観察点に接する流体の温度時刻歴が同一の履歴を示すため(Fig.6)、式(1)により無次元界面厚さHt* を定義し、Ht* による現象整理を提案する。 ..... = ......... (1) HtとLmの組み合わせを変化させながらFEMにより発生熱応力を調べた結果、Ht*が同一であれば熱応力の周波数応答特性もほぼ同一となり(Fig.7)、Ht*による現象整理の妥当性が示された。 Fig6. Time series of fluid temperature Fig.7 Stress response characteristic to Non-dimensional Frequency and Ht* 4.2 界面厚さ無し界面移動型周波数応答関数の拡張 界面厚さ無し界面移動型周波数応答関数による熱応力評価結果と界面厚さありモデルでのFEM 解析結果とを比較すると(Fig.8)、Ht* >1 の条件に対し界面厚さ無し界面移動型周波数応答関数が発生熱応力を大きく過大評価することが分かった。ここで、再度配管内表面の応力観察点に接する流体の温度時刻歴(Fig.6)に着目すると、界面厚さ無しの場合、流体温度が高低温層温度差ΔT だけ変動するのに対して、例えばHt*=2 のとき流体温度変動範囲はΔT /2 である。同様に一般にHt*>1 のとき熱応力の発生に寄与する流体温度変動範囲はΔT /Ht*となることから、発生熱応力も界面厚さ無しの場合の1/Ht*倍になると考えられる。実際に、界面厚さ無し界面移動型周波数応答関数を1/Ht*倍して界面厚さの影響を考慮するよう拡張した関数によって得られた結果はFEM解析結果とよく一致した(Fig.9)。 Fig.8 Comparison of frequency response function(FRF) with FEM analysis Fig.9 Comparison of improved FRF with FEM analysis 5.熱疲労損傷評価法の開発 一般に複数周波数成分を持つ波形は成分間に位相構造を持つが、不規則温度ゆらぎ現象では温度ゆらぎがランダム位相を持ち、板厚分布型周波数応答関数は位相情報を評価せずに振幅情報のみから疲労損傷を評価する。これに対し、熱成層界面ゆらぎ現象は位相構造を持つ。その影響を評価するため、前章で拡張した周波数応答関数に基づく疲労損傷評価法を2 種類考え、FEM による結果と比較した。1 つは流体温度変動の位相構造と周波数応答関数の位相構造を用いて発生熱応力の位相構造を予測する、ゆらぎ波形の位相構造を考慮した評価法(Fig.10)、もう1 つは位相構造を考慮せずランダム位相を仮定した評価法(Fig.11)である。疲労損傷係数Dfを応力振幅とその繰り返し数からMiner 則に基づき評価し、単位時間あたりに規格化したDfを- 383 -Ht*と無次元周波数f*とで整理した。 位相構造を考慮した疲労損傷評価法は次の手順に従う。①温度時刻歴を振幅と位相の両スペクトルに変換する。②界面移動型周波数応答関数を用いて応力振幅スペクトルと応力位相スペクトルを得る。③応力時刻歴に変換し応力振幅と繰返し数に分解する。④疲労線図からDfを求める。ランダム位相に基づく疲労損傷評価法は、応力振幅スペクトルから応力時刻歴を求める際にランダムな位相を繰り返し仮定しDfを繰り返し求め、その平均を用いて評価する点が前者と異なる。FEM では得られた応力時刻歴をもとにDfを計算した。 Fig.10 Fatigue damage evaluation method considering phase structure of fluctuation Fig.11 Fatigue damage evaluation method with assumption of random phase 位相構造を持つ波の例として界面ゆらぎ波形を三角波で模擬し、界面移動型周波数応答関数に基づく評価法(Fig.10, Fig.11)による結果とFEM解析結果を単位時間あたりの疲労損傷係数により比較した(Fig.12)。界面移動型周波数応答関数に基づく両評価法ともFEM と比較して適度に安全側の結果を与え、また、ランダム位相に基づく評価法はゆらぎの位相構造を考慮した評価法より保守的であった。また、界面ゆらぎ波形を鋸波、矩形波で仮定した場合にもランダム位相に基づく評価法はゆらぎの位相構造を考慮した評価法よりも保守的な傾向となることを確認した。これらより、位相情報が不要なランダム位相に基づく疲労損傷評価法(Fig.11)を提案する。 Fig.12 Comparison of normalized fatigue damage 6.結論と今後の課題 熱成層界面ゆらぎ現象に対し、無次元界面厚さに基づく現象の整理および界面厚さ無し界面移動型周波数応答関数の拡張を行い、それをもとに疲労損傷評価を行った。ランダム位相に基づく疲労損傷評価法を提案し、その妥当性を示した。今後はより簡便な手法の開発が期待される。 参考文献 [1] O. Gelineau, C. Escaravage, J. Simoneau and C. Faidy : “High Cycle Thermal Fatigue : experience and state of art in French LMFRs”, SMiRT16, Paper#1311 ,2001 . [2] IAEA:“Validation of fast reactor thermomechanical and thermohydraulic codes”,IAEA-TECDOC-1318, 2002. [3] N. Kasahara, H. Takasho, and A. Yacumpai, “Structural response function approach for evaluation of thermal striping phenomena”, Nuclear Engineering and Design, Vol.212, 2002 . [4] 日本機械学会、“配管の高サイクル熱疲労に関する評価指針”、JSME S017、2003. [5] 水谷崇人、ダビッドフォウントヴィエス、鈴木正昭、笠原直人、“流体温度変動による配管熱疲労に関する研究(熱成層界面ゆらぎに対する円筒の熱応力に関する研究)”、日本機械学会2013 年度年次大会、J032034、- 384 -2013- 385 -
“ “熱成層界面ゆらぎに対する 熱応力評価法と疲労損傷評価法の開発 “ “栗林 大,Hiroshi KURIBAYASHI,鈴木 正昭,Masaaki SUZUKI,笠原 直人,Naoto KASAHARA