浜岡 1,2 号機の廃止措置状況と研究について(その1)
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カテゴリ: 第13回
1.緒言
浜岡 1,2 号機は,平成 21 年 1 月 30 日に運転を終 え,平成 22 年 11 月 18 日に認可を受けた廃止措置 計画に基づき廃止措置を進めている。 これまでに廃止措置の第 1 段階(解体工事準備期 間)で計画していた燃料の搬出や系統除染,汚染状況の調査を終え,平成 27 年 3 月 16 日に第 2 段階 (原子炉領域周辺設備解体撤去期間)の廃止措置計画変更認可申請を提出し,平成 28 年 2 月 3 日に認可を受け,現在第 2 段階に移行している。 以下に,浜岡 1,2 号機の廃止措置計画の概要と これまでの実施状況について報告する。
2.廃止措置計画の概要 2.1 浜岡 1,2 号機の概要 浜岡 1,2 号機の概要を表 1 に示す。 表 1 浜岡 1,2 号機の概要 1 号機 2 号機 原子炉炉型 BWR 電気出力 54 万 kW 84 万 kW 営業運転開始 昭和 51 年 3 月 17 日 昭和 53 年 11 月 29 日 運転終了 平成 21 年 1 月 30 日 平成 21 年 1 月 30 日 運転期間 約 27 年 約 26 年 2.2 廃止措置の工程 浜岡 1,2 号機の廃止措置計画では,平成 48 年度 まで約 30 年間の廃止措置期間全体を第 1 段階から 第 4 段階までの 4 段階に区分し,廃止措置を段階的 に進めることとしている。(表 2,図 1) 表 2 廃止措置の各段階と実施内容 廃止措置各段階 実施内容 第 1 段階(解体工事準備期 間) ・燃料搬出、系統除染、 汚染状況調査 ・管理区域外の設備の解体撤去 第 2 段階(原子炉領域周辺 設備解体撤去期間) ・原子炉領域を除く設備の解体撤去 第 3 段階(原子炉領域解体 撤去期間) ・原子炉領域の解体撤去 第 4 段階(建屋等解体撤去 期間) ・建屋等の解体撤去 図 1 浜岡 1,2 号機 廃止措置の工程 連絡先:酒井章司, 〒437-1695 静岡県御前崎市佐倉 5561, 中部電力(株)浜岡原子力発電所 廃止措置部, 電話: 050-7772-8874,E-mail:Shoji.Sakai@chuden.co.jp 3.廃止措置の実施状況 - 439 - 3.廃止措置の実施状況 3.1 第 1 段階 (1)燃料の搬出 浜岡 1,2 号機施設内に貯蔵していた使用済燃料 1,370 体と新燃料 296 体について,施設からの搬出 作業を計画的に進め,1 号機については平成 25 年 1 月に,2 号機については平成 27 年 2 月に当該施設 から全ての燃料の搬出作業を完了した。 新燃料 296 体のうち,2 号機の使用済燃料貯蔵プ ールに貯蔵していた新燃料 148 体については,除染 のため施設内で燃料を解体,除染,再組立した後, 燃料加工メーカへの返送を実施した。 (2)汚染状況の調査 被ばく低減に配慮した 解体撤去手順の策定およ び放射性廃棄物のレベル 別物量の評価精度向上を 目的として,建屋内の 床・壁および設置機器の汚染状況の調査を実施した。 汚染状況調査の結果に基づき評価した浜岡 1,2 号機の廃止措置により発生する放射能レベル別物量 (推定発生量)を表 3 に示す。 表 3 浜岡 1,2 号機 放射能レベル別物量(トン) 放射能レベル区分 1 号機 2 号機 合計 放射性廃棄物(L1) 約 40 約 50 約 100 放射性廃棄物(L2) 約 370 約 570 約 1,000 放射性廃棄物(L3) 約 9,990 約 8,860 約 18,900 放射性物質として扱う 必要のないもの(CL) 約 34,050 約 43,680 約 77,700 放射性廃棄物でない もの(NR) 約 155,500 約 198,200 約 353,700 合計 約 199,900 約 251,300 約 451,200 注:表内の数値は除染後の数値 (3)系統除染 解体撤去作業における作業者の被ばく低減のため, 第 1 段階では格納容器内の再循環系、原子炉冷却材 浄化系、余熱除去系の系統除染を実施した。(図 2) 図2 系統除染対象箇所 原子炉圧力容器 (第 2 段階で実施予定) 再循環系 余熱除去系 原子炉 冷却 材浄化系 - 440 - (4)管理区域外の設備の解体 供用を終了した管理区域外の設備について,順次 解体撤去を進めている。 3.2 第 2 段階の計画 第 1 段階で実施した汚染状況調査結果を基に,第 2 段階で実施する原子炉領域周辺設備の解体計画や, 放射性廃棄物の処理計画を策定した。第 2 段階で実 施する内容を以下に示す。 (1)原子炉領域周辺設備の解体撤去 第 2 段階では、原子炉領域を除く管理区域内設 備・機器(原子炉領域周辺設備)の解体撤去を実施 する。第 2 段階で解体撤去または解体に着手する主 な設備は,タービン本体,主復水器,給復水系機器, 主蒸気配管,1,2 号共用排気筒等である。(図 3) 原子炉建屋 タービン 建屋 復水ポンプ (1号機の例) タービン本体(1号機の例) 図 3 第 2 段階の原子炉領域周辺設備解体撤去の対象設備例 (2)汚染状況の調査および系統除染 第 2 段階では,第 3 段階に解体する原子炉領域の 汚染状況の調査を継続実施するとともに,原子炉圧 力容器等の除染を実施する。 (3)放射性廃棄物の処分方法 第 2 段階では,放射性廃棄物として扱う必要のな いものおよび分別・除染により放射性廃棄物として 扱う必要がなくなるものから解体し,できるだけク リアランス制度を適用して金属などの再生利用を目 指す。 第 2 段階以降に発生する放射性廃棄物については, 発生した放射性廃棄物の廃棄先が決まるまでの間, 1,2 号機の建屋内等に安全に保管する。 主蒸気配管(2号機の例) 給水加熱器 1,2 号共用排気筒 希ガスホールド アップ建屋 復水器 復水ポンプ(1号機の例)“ “浜岡 1,2 号機の廃止措置状況と研究について(その1) “ “酒井 章司,Shoji SAKAI,仲神 元順,Motonori NAKAGAMI,清水 義昭,Yoshiaki SHIMIZU,中田 靖広,Yasuhiro NAKADA
浜岡 1,2 号機は,平成 21 年 1 月 30 日に運転を終 え,平成 22 年 11 月 18 日に認可を受けた廃止措置 計画に基づき廃止措置を進めている。 これまでに廃止措置の第 1 段階(解体工事準備期 間)で計画していた燃料の搬出や系統除染,汚染状況の調査を終え,平成 27 年 3 月 16 日に第 2 段階 (原子炉領域周辺設備解体撤去期間)の廃止措置計画変更認可申請を提出し,平成 28 年 2 月 3 日に認可を受け,現在第 2 段階に移行している。 以下に,浜岡 1,2 号機の廃止措置計画の概要と これまでの実施状況について報告する。
2.廃止措置計画の概要 2.1 浜岡 1,2 号機の概要 浜岡 1,2 号機の概要を表 1 に示す。 表 1 浜岡 1,2 号機の概要 1 号機 2 号機 原子炉炉型 BWR 電気出力 54 万 kW 84 万 kW 営業運転開始 昭和 51 年 3 月 17 日 昭和 53 年 11 月 29 日 運転終了 平成 21 年 1 月 30 日 平成 21 年 1 月 30 日 運転期間 約 27 年 約 26 年 2.2 廃止措置の工程 浜岡 1,2 号機の廃止措置計画では,平成 48 年度 まで約 30 年間の廃止措置期間全体を第 1 段階から 第 4 段階までの 4 段階に区分し,廃止措置を段階的 に進めることとしている。(表 2,図 1) 表 2 廃止措置の各段階と実施内容 廃止措置各段階 実施内容 第 1 段階(解体工事準備期 間) ・燃料搬出、系統除染、 汚染状況調査 ・管理区域外の設備の解体撤去 第 2 段階(原子炉領域周辺 設備解体撤去期間) ・原子炉領域を除く設備の解体撤去 第 3 段階(原子炉領域解体 撤去期間) ・原子炉領域の解体撤去 第 4 段階(建屋等解体撤去 期間) ・建屋等の解体撤去 図 1 浜岡 1,2 号機 廃止措置の工程 連絡先:酒井章司, 〒437-1695 静岡県御前崎市佐倉 5561, 中部電力(株)浜岡原子力発電所 廃止措置部, 電話: 050-7772-8874,E-mail:Shoji.Sakai@chuden.co.jp 3.廃止措置の実施状況 - 439 - 3.廃止措置の実施状況 3.1 第 1 段階 (1)燃料の搬出 浜岡 1,2 号機施設内に貯蔵していた使用済燃料 1,370 体と新燃料 296 体について,施設からの搬出 作業を計画的に進め,1 号機については平成 25 年 1 月に,2 号機については平成 27 年 2 月に当該施設 から全ての燃料の搬出作業を完了した。 新燃料 296 体のうち,2 号機の使用済燃料貯蔵プ ールに貯蔵していた新燃料 148 体については,除染 のため施設内で燃料を解体,除染,再組立した後, 燃料加工メーカへの返送を実施した。 (2)汚染状況の調査 被ばく低減に配慮した 解体撤去手順の策定およ び放射性廃棄物のレベル 別物量の評価精度向上を 目的として,建屋内の 床・壁および設置機器の汚染状況の調査を実施した。 汚染状況調査の結果に基づき評価した浜岡 1,2 号機の廃止措置により発生する放射能レベル別物量 (推定発生量)を表 3 に示す。 表 3 浜岡 1,2 号機 放射能レベル別物量(トン) 放射能レベル区分 1 号機 2 号機 合計 放射性廃棄物(L1) 約 40 約 50 約 100 放射性廃棄物(L2) 約 370 約 570 約 1,000 放射性廃棄物(L3) 約 9,990 約 8,860 約 18,900 放射性物質として扱う 必要のないもの(CL) 約 34,050 約 43,680 約 77,700 放射性廃棄物でない もの(NR) 約 155,500 約 198,200 約 353,700 合計 約 199,900 約 251,300 約 451,200 注:表内の数値は除染後の数値 (3)系統除染 解体撤去作業における作業者の被ばく低減のため, 第 1 段階では格納容器内の再循環系、原子炉冷却材 浄化系、余熱除去系の系統除染を実施した。(図 2) 図2 系統除染対象箇所 原子炉圧力容器 (第 2 段階で実施予定) 再循環系 余熱除去系 原子炉 冷却 材浄化系 - 440 - (4)管理区域外の設備の解体 供用を終了した管理区域外の設備について,順次 解体撤去を進めている。 3.2 第 2 段階の計画 第 1 段階で実施した汚染状況調査結果を基に,第 2 段階で実施する原子炉領域周辺設備の解体計画や, 放射性廃棄物の処理計画を策定した。第 2 段階で実 施する内容を以下に示す。 (1)原子炉領域周辺設備の解体撤去 第 2 段階では、原子炉領域を除く管理区域内設 備・機器(原子炉領域周辺設備)の解体撤去を実施 する。第 2 段階で解体撤去または解体に着手する主 な設備は,タービン本体,主復水器,給復水系機器, 主蒸気配管,1,2 号共用排気筒等である。(図 3) 原子炉建屋 タービン 建屋 復水ポンプ (1号機の例) タービン本体(1号機の例) 図 3 第 2 段階の原子炉領域周辺設備解体撤去の対象設備例 (2)汚染状況の調査および系統除染 第 2 段階では,第 3 段階に解体する原子炉領域の 汚染状況の調査を継続実施するとともに,原子炉圧 力容器等の除染を実施する。 (3)放射性廃棄物の処分方法 第 2 段階では,放射性廃棄物として扱う必要のな いものおよび分別・除染により放射性廃棄物として 扱う必要がなくなるものから解体し,できるだけク リアランス制度を適用して金属などの再生利用を目 指す。 第 2 段階以降に発生する放射性廃棄物については, 発生した放射性廃棄物の廃棄先が決まるまでの間, 1,2 号機の建屋内等に安全に保管する。 主蒸気配管(2号機の例) 給水加熱器 1,2 号共用排気筒 希ガスホールド アップ建屋 復水器 復水ポンプ(1号機の例)“ “浜岡 1,2 号機の廃止措置状況と研究について(その1) “ “酒井 章司,Shoji SAKAI,仲神 元順,Motonori NAKAGAMI,清水 義昭,Yoshiaki SHIMIZU,中田 靖広,Yasuhiro NAKADA