ネットワーク通信を用いた ECT 迅速診断システムの開発について

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カテゴリ: 第1回
1. 緒言
- 近年の原子力発電プラントの高経年化に伴 い, 各種構造物の検査・診断が不可欠となって いる.また、2002 年以来 BWR プラントにおけ る炉内構造物(シュラウド)や再循環配管におけ る欠陥が発見され,その検査・補修が重要な課 題になっている.現在,実プラントにおいて, 目視検査(Visual Testing; VT), 超音波探傷検査 (Ultrasonic Testing; UT), 電磁誘導検査(Eddy Current Testing; ECT)といった非破壊検査が実 施されている.これらの検査の中で, ECT は 材料表面,表面内部の欠陥を探査することが可 能な検査手法であり, シュラウド表面上の応力 腐蝕割れ(SCC)を検査するために適した検査法 である。一方, インターネットを利用した遠隔地医療 支援や教育支援が最近活発となっている.遠隔 医療においては, 高度な医療技術を有する都市 一部の病院が遠隔地の病院の診断を支援するなど, IT の活用により医療サービスの質的向上を 促進することが期待されている.原子力プラン トにおける迅速診断システムの構築について も,インターネットをはじめとする IT 技術の 活用によって,革新的なシステム保全技術が確
|VSOS4-5立できる可能性はある.一般的に, 原子力プラ ントは高度な診断を実施するシステムとは地 理的に離れており, インターネットを利用した 迅速診断が非常に重要な役割を果たすと期待 されている. - 本報告では, ネットワーク通信を用いたECT 迅速診断システムの開発を行う. ECT 診断シス テムは,検査モジュール, 計算モジュール, イ ンターフェースモジュールから構成されてい る.計算モジュールでは,実プラントの検査を 仮想プラントで行うことができる ECT シミュ レータがあり,順解析・逆解析を行うことが可 能である.また, インターフェースモジュール では,他2つのモジュールをオペレータがイン タラクティブに操作することができ,それぞれ のモジュールから得られる検査,解析結果をオ ペレータに提示することが可能である.2. ECT 迅速診断システム- Fig.1に開発する ECT 迅速診断システムの概 念図を示す.前述したように本システムは ●ECT を用いた検査モジュール (InspectionModule)Network.orseComputational Module(Virtuak Plant)Inspection Module(Real Plant)Communication Interface Module(Operator)Fig. 1 ECT Diagnosis System● 計算モジュール (Computational Module) ●インターフェースモジュール(Communication Interface Module) から成っており,これらのモジュールはネット ワークで接続されている.検査モジュールでは, 実プラントにおいて ECT センサを用いて検査 を行う.ここで,各プラントにおける ECT セン サは直接ネットワークに接続することを仮定 しており,得られた検査情報を直接他のモジュ ールに伝送することが可能となる.計算モジュ ールでは,順・逆解析を行う ECT シミュレータ が実装されており,検査モジュールから得られ た検査情報を基に,順・逆解析を行う.ここで 計算モジュールを構成する計算機はネッ ークを用いて解析情報を同様に他のモジ ルに伝送することが可能である.インタ ースモジュールは,他のモジュールをインタラ クティブに操作し,さらに各モジュールから得 られた検査・解析情報をオペレータに提示する. 以下に,各モジュールの詳細を説明する.らでト れ , ワーュフ2.1 ECT を用いた検査モジュール 検査モジュ ールでは,欠陥を発見するため, ECT センサを 用いて計測を行う.ここで, 電磁誘導解析(Eddy Current Analysis)は,検出コイルのインピーダン ス変化を検出することで,実施される.また, 16 チャンネルのマルチコイルプローブを使用 し,同時に計測することで,複雑な形状の欠陥 を検出できる可能性を有している.2.2 計算モジュール SCCの認識と深さ方向の サイジングはきわめて困難な問題である.また 実プラントでの検査環境は複雑であり,measurement region (field point x)coilLift-off ““d““crackplate region (source point x)Fig. 2 Inspection with ECT Camera完全に模擬した順解析シミュレータを実現す ることは,限られた計算資源のもとでは不可能 である.そこで,仮想環境での単純な構成モデ ルの組み合わせによる計算結果を合成するこ とにより,実プラントにおける検査環境に構造 的に適応させる計算機構を開発する.ここで, SCC 形状認識は、● 適応正則化法によるき裂表面形状認識 ●進化計算によるき裂のサイジング という2段階のステップで成り立つ.材料表面のき裂による磁場の特異性は材料 表面に近接したコイルの誘起電圧変化として 記録されるが,特に近接したキズに起因する信 号が重なり合って、キズの枝分かれによるデー タの特異性を観測磁場データから視認するこ とは困難となる.ここでは,特徴抽出のために 2 次元の畳み込み積分に関する新しい正則化ア ルゴリズムを開発する.いま観測点xでのセン サ情報y(x)は次の式で記述できる.y(x) - ST-A() F(x-r12 + d2 |ここで,dはリフトオフと呼ばれる材料表面と センサ間の鉛直距離を示している.ソース源が 近接していると表面き裂によるソース信号の ピークが重なり,またそのピークもリフトオフ 値の存在によりデータの特異性が失われる.し たがって,上記の y(x) から p(x) を求める逆問 題は典型的な不適切問題となる.そこで,式(2) に示す Bounded Variation と呼ばれる新しい修正 項を付加した正則化問題を定式化する.IP]-min, IKp - yar + SIel + = I lon (2) 新たな修正項を付加したことにより,上記の最 (1)-114適解は偏微分方程式の解として求めることが できる.適応正則化法はノイズと信号部分を選 択的に切り分けてデータの平滑化を行うこと により、表面き裂の枝分かれに起因する信号の 特異性を検出することが可能となる. - 適法正則化法により抽出された特徴を基に, 表面き裂のプロファイリングを行う. 特徴抽出 データと観測磁場データは同一の欠陥情報を 表していることから,類似点を調べることによ り欠陥の位置と形状を知ることができる.ここ で,き裂プロファイリングの手順は,以下の通 りである。 Step 1. 特徴抽出データと観測磁場データの位相合わせおよび差分データの取得 Step 2. 差分データ中で下に凸の極点部分座標の抽出 Step 3. Step 2で抽出された座標の前後における特徴抽出データと観測磁場データの傾きから符号が異なる座標の抽出 Step 3 により得られた座標が欠陥座標となり, これにより,き裂の枝分かれを複数の線分によ る分割(セグメント)として表現する.プロファイリングにより得られた各セグメ ントに定性的性質として透磁率および導電率 を,また定量的性質として長さ・深さ・幅をパ ラメータとしたき裂モデルを与える.それぞれ のき裂ごとに電磁非破壊計算シミュレータを 適用し,対応する検査出力を重ねあわせて実デ ータと照合し,もっとも近いパラメータを特定 することで、深さ方向のサイジングを行い,SCC 内部のき裂進展を再構成する.ここで, パラメ ータのチューニングには生物進化を模倣した 最適化手法であるウイルス進化型計算(VEGA) による推定機構を使用する.2.3 インターフェースモジュールインター フェースモジュールでは,他のモジュールの情 報をオペレータに適切に提示し,その提示され た情報に基づき,他のモジュールを操作する双 方向性が求められる.そのため、インターフェ ースの機能として, 12 ● 検査データ・解析データのビジュアリティアリティBI Server - If ADRESS133.30.107.95Get Observed Data From 15Calculation Server -P ADRESSViness 22 133.30 107.98Inverse AnalysisPeak DetectionForward Analysisファイル) () ) () )(0) ヘルプ Warning: Cannot covert string '-lanabraincorecdiur r-normale-1-140・キー」さん0208.183-0to type fontstrFig. 3 Interface Module● 検査・計算モジュールとのインタラクティビティ が必須となる.Fig. 3 に開発したインターフェ ースを示す.右上の4つのウィンドウは検査・ 解析データを可視化するウィンドウであり,左 上は各モジュールとのインタラクティビティ を実現するウィンドウである.ここで, ウィン ドウ中には式(2)で示した適法正則化法のパラ メータであるaとBを任意に設定することがで き,可視化したデータを基にオペレータが決定 することが可能である.3. SCC 実データによる検証実験 - 提案した ECT 迅速診断システムを用いて, SCC 実データによる診断を行う.ここで,検査 モジュールでは,あらかじめ ECT により計測し た観測磁場データを計算機に保持し,インター フェースモジュールからの要求に従い,そのデ ータを提供する. Fig. 5 に実験を行ったInterface moduleTasiInspection moduleたいがたいですmondard withnillantailitsudultanch LiteComputational module2.34.5SCCCPU: Power 41.2 GHzx4| Memory: 8GB OS: AIXFig. 4 Experimental Condition115ICEsererAOC EN201313017.92Cri Obseedium BIGet Observed Data from SCSCATTRESSCENSORENB133110793※12.3.10734ことはImse Analysistowerse.anatyaisPeak DetectionWakutestlesTorward AllystsForvard Analysis(a) Visualization of Measurement Data(b) Visualization of Recovered DataはははOBI... Iかわいさとみにくいですね。forme FOCFEEFACCFEE13:39.1970s11133013Get Ohreved Data From 15Get Ohuarved Data from 151KyotateSassegま1123.30107.3カモをm400MされていないかInverse Antysisnyelte AmeliyatsPraa Delentiner.Pak DetectionTorward AnalsTorward Analysis(c) Visualization of Crack Profiling(d) Visualization of Forward Analysis with VEGA Fig. 5 Experimental Result結果を示す。図中(a)に観測データの可視化結果、 (b)に適応正則化法による特徴抽出データ、(c) に欠陥プロファイリング結果、(d)に VEGA を 用いた順解析データの可視化結果を示す。ここ で、(d)において欠陥プロファイリング可視化ウ ィンドウの波線矩形は順解析の解析領域を示 しており、観測データの可視化ウィンドウにお いて対応する領域の観測データが拡大表示さ れている。これらの結果より、開発した ECT 迅速診断システムにより SCC の診断を行うこ とが可能であることを示した。4. 結言原子力プラントを始めとする大型構造物に おいて,ネットワークを用いた診断システムは 今後発展が期待される.本論文では,ネットワ ーク通信を用いた ECT 迅速診断システムを開 発し,応力腐蝕割れ(SCC)の診断を行った.本 システムでは,検査モジュール・計算モジュー ル・インターフェースモジュールがネットワー クで結合され,オペレータに通信を通して, さ まざまな情報を提供することができる.また,計算モジュールにおいては,適応正則化法を用 いた欠陥プロファイリング, VEGA を用いたサ イジングを行い, SCC の形状認識手法を提案した.謝辞本研究は,「革新的実用原子力技術開発提案 公募事業」((財)エネルギー総合工学研究所)とし て実施した.参考文献[1] F. Kojima, “Inverse Problems related toElectromagnetic Nondestructive Evaluation”, Research Directions in Distriburted Parameter Systems, SIAM Publisher, Philadelphia, 2003,pp.225-241. [2] F. Kojima, N. Kubota, F. Kobayashi and T. Takagi,“Shape Recovery of Natural Crack using Evolutionary Programming related to Eddy Current Testing”, International Journal of Applied Electromagnetics and Mechanics, Vol.15,2001/2002, pp.243-247. [3] C. Vogel, “Computational Method for InverseProblem”, SIAM Philadelphia, 2003.-116“ “ネットワーク通信を用いた ECT 迅速診断システムの開発について“ “小島 史男,Fumio KOJIMA,小林 太,Futoshi KOBAYASHI,西水 亮,Akira NISHIMIZU,小池 正浩,Masahiro KOIKE,松井 哲也,Tetsuya MATSUI“ “ネットワーク通信を用いた ECT 迅速診断システムの開発について“ “小島 史男,Fumio KOJIMA,小林 太,Futoshi KOBAYASHI,西水 亮,Akira NISHIMIZU,小池 正浩,Masahiro KOIKE,松井 哲也,Tetsuya MATSUI
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