原子力風土の改善のためにNPO-IOJができること
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カテゴリ: 第1回
1.NPO法人IOJ設立の経緯
IOJ (Innovation of Japan) 「日本の将来(あ した)を考える会」は、平成 15 年5月に設立総 会が開催され、エネルギー・環境問題、教育や国 際問題の解明と社会への提言に向けてのボラン ティア活動ベースの組織として正式に発足した。 引き続き、会員の活動を組織立てて有効に生かし ていくために、NPO(特定非営利活動) 法人と しての認証を得るための準備が進められた。この総会に先立つ数ヶ月間、発起人の呼びかけ に応えて、少なからぬ有志が「NPOとしての組 織・活動のあり方」、「会員増強の手立て」「財政 見通し」、「一般への呼びかけ、広報活動」等につ いて議論がなされていた。その議論をもとに、N PO法改正を学び、手探りで必要書類等を整え、 総会の翌月には認証のための申請に漕ぎつけた。 その後、若干の曲折はあったが、事務局の精力的 努力により平成 15 年 10月にはNPO法人として の認証が得られた。 2.IOJ活動の目的
2.1 個人と社会との架け橋
IOJは日本の将来に向けて社会全体をより よいものにするために、エネルギー・環境や教育 に関わる、一つ一つの問題を自分のこととして捉 え、一人ひとりが声をあげ、それを大きな民意と して育て上げることを目的としている。言い換え れば、志を持った個々人の声を有機的に結集し、 社会に働きかけていくことによって、原子力を始 めとする科学技術に対する風土を、より合理的か つ妥当な判断が容易となるように変えていこう とするものである。12.2 具体的な活動目標* 上記の大局的な目標に向けて、IOJは地方の 問題、国全体に関わる問題各々について活動して いく。当然のことながら、地方の問題と国全体の 問題は常に深く関わっており、ここで述べた区分 はあくまでも活動を円滑に進めていく上での方 法論から生まれたものである。具体的には、次の ような活動が考えられている。 1) 地方支部の活動 地域が抱える問題を積極的に解決していく。 ・地域に根ざした教育の推進:地域性を生かした 教育が子供の情操面や社会性を育む上で有効で あることを例を挙げて示し、これまでの教育と併-201用できるよう国及び自治体へ働きかけて実現を 目指す。 ・地方と都市部との情報格差の解消:地方の活性 化のために、IT(情報技術)を浸透させるよう に、国及び自治体に働きかけて実現を目指す。 2)本部の活動 - わが国全体に関わる問題を摘出し、その解決を めざす。 ・将来に向けた自前のエネルギーの確保:資源小 国日本において、一人ひとりが原子力発電等のエ ネルギーに関する正しい知識を身につけられる よう専門家を交え、意見交換し、その結果をマス ●メディア等を通じて一般へフィードバックし、原 子力や科学技術に対する風土の改善に資する。 ・学力の低下問題の解決、教育の自由化の推進: 参加型のプログラムを開発、実施し、若者の知力 向上を目指す。また、専門家による独自の参考書、 教材を作成し、個性を尊重した教育内容を提言する。・国際感覚を持った若者の育成:国際的に通用す る人材を育成するために、海外から専門家を招き 講演会等を行う。これらの課題のうち、特に原子力発電について は、国・自治体、電気事業者、発電所立地地元住 民というこれまでの枠組みに、第三者的な立場の NPO組織が加わることによって、一般市民の理 解を獲得しながら、原子力発電の社会的受容度を 高める活動を行う。3.IOJの組織 1. 会員は全国から、また広く官界、学会、産業界、一般の分野から募集する。会員には「会員」と「一 一般会員」の種別があり、後者の会費は無料である。 また、法人会員を募っている。平成 16 年 6月の 時点で、会員数は約 2,300 人である。組織構成は総会、理事会、運営委員会、幹事会 及び事務局から成る。具体的活動は、「エネルギ ー・環境部会」「教育部会」及び「国際問題部会」 の三部会のもとで行われている。現在のところ、 エネルギー・環境と教育問題を重点的に取り上げ ている。支部組織は長崎、長崎県奈良尾及び茨城 県にあり、各支部独自の活動を行っている。現在、 幾つかの地域で支部を立ち上げるべく計画中である。組織の詳細はIOJのホームページを参照 されたい[1]。さらに、他のNPO法人等との協 力をも視野に入れて活動している[2-10]。4.具体的活動 4.1 ホームページによる情報発信IOJ活動の柱の一つはインターネットを利 用した情報発信と会員や一般の方々の意見集約 である。現在、ホームページ(HP) 上ではIO Jの目的、活動、組織等はもちろん、会員募集、 支部活動、IOJだよりなどIOJ全体に関わる 情報が発信されている。また、エネルギー・環境 部会と教育部会各々の取組を載せて、会員や広く 一般からの意見や質問を待っている。4.2 エネルギー・環境部会の活動 - エネルギー・環境部会ではHP上で、次の三つ の項目のもとに会員の考えを掲載している。Recent Topics ●わたしの、わたしたちの主張 ●基本講座 IOJの活動のイメージを示すために、表1と表 2に Recent Topics と基本講座のタイトルを示す。表1 エネルギー・環境部会の Recent Topics タイNE 1 エネルギー・環境部会の Recent Topics タイトル一覧原子力の安全確保体制の構築に向けた提案 エネルギー基本計画――わが国におけるエネルギーの消費量 米国大停電の訳 原子力利用による水素製造への取り組み ITERについて。表2 エネルギー・環境部会の基本講座タイトルー・「原子力安全」はどうやって担保できるのですか?-どれだけ安全なら納得か ・核燃料サイクルの必要性 ・各種発電方式とその特徴 ・原子力とトリレンマ-202また、わたしの、わたしたちの主張には、「原発ト ピックに発展的議論を~踏み絵から考える日本的問 題~」が掲載されている。 4.3 教育部会の活動 - 教育部会の活動はIOJの設立目的からも明 かのように、エネルギー・環境部会の活動と密接 に結びついているが、教育という観点から原子力 技術に対する風土を変えていくので、より長期的 視野に立つとともに、若年層を対象とする活動が 主となる。HP上では教育部会もエネルギー・環境部会と 同様の項目のもとに会員や一般からの意見や知 見の発信を行っている。表3、表4 及び表5に 各々、Recent Topics、わたしの、 わたしたちの主張、基本講座のタイトルを示す。表3 教育部会の Recent Topics タイトル一覧 ・NPOが何を貢献できるか ・本当の省エネルギー ・学力世界一のフィンランドに学べ ・不登校は子供の問題か?親の問題か?表4 教育部会「わたしの、わたしたちの主張」イトル一覧 ・しぼる ・単語の木、ツリーを利用した英単語記憶法 ・社会における人間の最小単位 ・「自然」とは何ですか? ・教育に関して思うこと ・教育の原点は?- 教育部会では、このようなHP上の情報発信に 加えて、現行の教育のあり方についてのアンケー ト調査や会員が地域の教育活動に直接関わる取 組の検討等を進めている。その一つの事例がエネ ルギー・環境部会との協力で進めている「知求クラブ一知の発見講座」の取組である。これは会 員がエネルギーや環境に関わる課題について実 験等を交えて若年層に働きかけるものである。 4.4 知求クラブ活動上に述べた趣旨に沿って、地球クラブの活動、 「知の基本講座」が平成 16年2月と3月に、い ずれも東京のIOJ本部において開催された。ま た5月には長崎県奈良尾町の奈良尾中学校におい ても開催されている。このうち2月の「知の発見講座シリーズ」は「と っても身近!発見 エネルギーと環境問題」とい うキャッチフレーズで、土曜日の午前中3日、ま た、3月の講座は「とっても身近!エネルギー 記 憶の不思議!単語の木」ということで、連続5日 間、実験デモンストレーションや講演が行われ、 参加した高校生、中学生また保護者の方々に大変 好評であった。特に3月の講座では、エネルギー に関する講演に加えて、(株)普遍学国際研究所 が独自に開発した英単語記憶のツリーをパソコ ンを使って学習するプログラムを実施したため に、講座に幅が加わったといえる。 - 奈良尾中学校では、このプログラムをより系統 的に実践した。表6に第1回と第2回の知の発見講座シリーズ のタイトルを示す。表6 第1回及び第2回の知の発見講座シリーズのタイトル一覧 第1回: ・未来のエネルギー一中学生にもわかる核融合の はなし/自然を守りながら暮らせます ・高温超電導のあれこれ/地球温暖化とは何でしょう ・電気はこんなふうに作られます/野生動物の危機とわたしたち 第2回 ・英単語攻略 |/生活に必要なエネルギー ・英単語攻略/核エネルギーの利用 ・英単語攻略/発電のしくみ(原子力・火力) ・英単語攻略-20312/放射能って何でしょう・英単語攻略 11/核融合の原理」 4.5 理科大好きコーディネーター活動このように知求クラブの知の発見講座シリー ズが好評であることを受けて、教育部会はエネル ギー・環境部会の協力を得て、(独)科学技術振 興機構の「地域科学技術理解増進人材の活動推 進・人材育成事業(理科大好きコーディネーター 活動支援)」プログラムに急遽応募することとし た。関連各位の支援協力を得てこの度、企画実施 申請書が認められた。平成 16 年度は知の発見講座開催の経験を生か して茨城県等を中心に3回程度、実験と講義の会 の開催を予定している。この理科大好きコーディ ネーター・プログラムの企画としては、 1) 霧箱内の放射線の実験と放射能のお話 2) 磁石が超電導体の上で浮き上がる実験とお話 3) 核融合とエネルギーのお話 4) クイズで学ぶエネルギー・放射線 等を考えている。3.まとめと今後の取組 1. 本稿ではIOJ(日本の将来(あした)を考 える会)の設立の経緯と現在の活動状況につい て報告した。原子力及び科学技術を取り巻く風 土を改善するために、第三者的専門家集団とし て実行可能な事柄は、まだまだたくさんある。 今後、会員や支援してくださる方々の意見を集 約して、積極的な活動方針に反映できればと考 えている。 参考文献 [1] IOJ ホームページ, [1] IOJ ホームページ, http://www.ioj-japan.org[2] 宮健三、青野千晶、「NPO の現場から:エネルギー問題に重点をおき、11月に発足」、原子 力 eye、vol.49, 2003, pp.30-31. 青野千晶、「原子力政策のプロセスが見えるしくみを」、ibid. vol.49, 2003, pp.30-31. [4] 青野千晶、釜田真佐子、「学校教育への危惧を行動に」、ibid. vol.50, 2004, pp.54-55. [5] 村垣 孝、「米国のNPO活動を検証一原子力エネルギーに関する市民レベルの理解のために」、 ibid. vol.50, 2004, pp.62-63.[4][5][6] 石川智子、「教育における公の限界へのアプローチ」ibid. vol.50, 2004, pp.30-31. (7) 衛藤基邦、「世界と自分の科学的論理的理解に向けて」、ibid. vol.50, 2004, pp.34-35.[8] 後藤裕宣、「私の IOJ―日本の原子力をトキにしないために」、ibid. vol.50, 2004, pp.56-57. [9] 松永一郎、「2020 年、そのときあなたは?」 ibid.vol.50, 2004, pp.56-57. [10]田中利幸、「自分の感性を磨こう」、ibid.vol.50, 12月 2004, pp.64-65._50,-204“ “原子力風土の改善のためにNPO-IOJができること “ “井口 哲夫,Tetsuo IGUCHI,衛藤 基邦,Motokuni ETO,宮 健三,Kenzo MIYA,釜田 真佐子,Masako KAMATA,青野 千晶,Chiaki AONO“ “原子力風土の改善のためにNPO-IOJができること “ “井口 哲夫,Tetsuo IGUCHI,衛藤 基邦,Motokuni ETO,宮 健三,Kenzo MIYA,釜田 真佐子,Masako KAMATA,青野 千晶,Chiaki AONO
IOJ (Innovation of Japan) 「日本の将来(あ した)を考える会」は、平成 15 年5月に設立総 会が開催され、エネルギー・環境問題、教育や国 際問題の解明と社会への提言に向けてのボラン ティア活動ベースの組織として正式に発足した。 引き続き、会員の活動を組織立てて有効に生かし ていくために、NPO(特定非営利活動) 法人と しての認証を得るための準備が進められた。この総会に先立つ数ヶ月間、発起人の呼びかけ に応えて、少なからぬ有志が「NPOとしての組 織・活動のあり方」、「会員増強の手立て」「財政 見通し」、「一般への呼びかけ、広報活動」等につ いて議論がなされていた。その議論をもとに、N PO法改正を学び、手探りで必要書類等を整え、 総会の翌月には認証のための申請に漕ぎつけた。 その後、若干の曲折はあったが、事務局の精力的 努力により平成 15 年 10月にはNPO法人として の認証が得られた。 2.IOJ活動の目的
2.1 個人と社会との架け橋
IOJは日本の将来に向けて社会全体をより よいものにするために、エネルギー・環境や教育 に関わる、一つ一つの問題を自分のこととして捉 え、一人ひとりが声をあげ、それを大きな民意と して育て上げることを目的としている。言い換え れば、志を持った個々人の声を有機的に結集し、 社会に働きかけていくことによって、原子力を始 めとする科学技術に対する風土を、より合理的か つ妥当な判断が容易となるように変えていこう とするものである。12.2 具体的な活動目標* 上記の大局的な目標に向けて、IOJは地方の 問題、国全体に関わる問題各々について活動して いく。当然のことながら、地方の問題と国全体の 問題は常に深く関わっており、ここで述べた区分 はあくまでも活動を円滑に進めていく上での方 法論から生まれたものである。具体的には、次の ような活動が考えられている。 1) 地方支部の活動 地域が抱える問題を積極的に解決していく。 ・地域に根ざした教育の推進:地域性を生かした 教育が子供の情操面や社会性を育む上で有効で あることを例を挙げて示し、これまでの教育と併-201用できるよう国及び自治体へ働きかけて実現を 目指す。 ・地方と都市部との情報格差の解消:地方の活性 化のために、IT(情報技術)を浸透させるよう に、国及び自治体に働きかけて実現を目指す。 2)本部の活動 - わが国全体に関わる問題を摘出し、その解決を めざす。 ・将来に向けた自前のエネルギーの確保:資源小 国日本において、一人ひとりが原子力発電等のエ ネルギーに関する正しい知識を身につけられる よう専門家を交え、意見交換し、その結果をマス ●メディア等を通じて一般へフィードバックし、原 子力や科学技術に対する風土の改善に資する。 ・学力の低下問題の解決、教育の自由化の推進: 参加型のプログラムを開発、実施し、若者の知力 向上を目指す。また、専門家による独自の参考書、 教材を作成し、個性を尊重した教育内容を提言する。・国際感覚を持った若者の育成:国際的に通用す る人材を育成するために、海外から専門家を招き 講演会等を行う。これらの課題のうち、特に原子力発電について は、国・自治体、電気事業者、発電所立地地元住 民というこれまでの枠組みに、第三者的な立場の NPO組織が加わることによって、一般市民の理 解を獲得しながら、原子力発電の社会的受容度を 高める活動を行う。3.IOJの組織 1. 会員は全国から、また広く官界、学会、産業界、一般の分野から募集する。会員には「会員」と「一 一般会員」の種別があり、後者の会費は無料である。 また、法人会員を募っている。平成 16 年 6月の 時点で、会員数は約 2,300 人である。組織構成は総会、理事会、運営委員会、幹事会 及び事務局から成る。具体的活動は、「エネルギ ー・環境部会」「教育部会」及び「国際問題部会」 の三部会のもとで行われている。現在のところ、 エネルギー・環境と教育問題を重点的に取り上げ ている。支部組織は長崎、長崎県奈良尾及び茨城 県にあり、各支部独自の活動を行っている。現在、 幾つかの地域で支部を立ち上げるべく計画中である。組織の詳細はIOJのホームページを参照 されたい[1]。さらに、他のNPO法人等との協 力をも視野に入れて活動している[2-10]。4.具体的活動 4.1 ホームページによる情報発信IOJ活動の柱の一つはインターネットを利 用した情報発信と会員や一般の方々の意見集約 である。現在、ホームページ(HP) 上ではIO Jの目的、活動、組織等はもちろん、会員募集、 支部活動、IOJだよりなどIOJ全体に関わる 情報が発信されている。また、エネルギー・環境 部会と教育部会各々の取組を載せて、会員や広く 一般からの意見や質問を待っている。4.2 エネルギー・環境部会の活動 - エネルギー・環境部会ではHP上で、次の三つ の項目のもとに会員の考えを掲載している。Recent Topics ●わたしの、わたしたちの主張 ●基本講座 IOJの活動のイメージを示すために、表1と表 2に Recent Topics と基本講座のタイトルを示す。表1 エネルギー・環境部会の Recent Topics タイNE 1 エネルギー・環境部会の Recent Topics タイトル一覧原子力の安全確保体制の構築に向けた提案 エネルギー基本計画――わが国におけるエネルギーの消費量 米国大停電の訳 原子力利用による水素製造への取り組み ITERについて。表2 エネルギー・環境部会の基本講座タイトルー・「原子力安全」はどうやって担保できるのですか?-どれだけ安全なら納得か ・核燃料サイクルの必要性 ・各種発電方式とその特徴 ・原子力とトリレンマ-202また、わたしの、わたしたちの主張には、「原発ト ピックに発展的議論を~踏み絵から考える日本的問 題~」が掲載されている。 4.3 教育部会の活動 - 教育部会の活動はIOJの設立目的からも明 かのように、エネルギー・環境部会の活動と密接 に結びついているが、教育という観点から原子力 技術に対する風土を変えていくので、より長期的 視野に立つとともに、若年層を対象とする活動が 主となる。HP上では教育部会もエネルギー・環境部会と 同様の項目のもとに会員や一般からの意見や知 見の発信を行っている。表3、表4 及び表5に 各々、Recent Topics、わたしの、 わたしたちの主張、基本講座のタイトルを示す。表3 教育部会の Recent Topics タイトル一覧 ・NPOが何を貢献できるか ・本当の省エネルギー ・学力世界一のフィンランドに学べ ・不登校は子供の問題か?親の問題か?表4 教育部会「わたしの、わたしたちの主張」イトル一覧 ・しぼる ・単語の木、ツリーを利用した英単語記憶法 ・社会における人間の最小単位 ・「自然」とは何ですか? ・教育に関して思うこと ・教育の原点は?- 教育部会では、このようなHP上の情報発信に 加えて、現行の教育のあり方についてのアンケー ト調査や会員が地域の教育活動に直接関わる取 組の検討等を進めている。その一つの事例がエネ ルギー・環境部会との協力で進めている「知求クラブ一知の発見講座」の取組である。これは会 員がエネルギーや環境に関わる課題について実 験等を交えて若年層に働きかけるものである。 4.4 知求クラブ活動上に述べた趣旨に沿って、地球クラブの活動、 「知の基本講座」が平成 16年2月と3月に、い ずれも東京のIOJ本部において開催された。ま た5月には長崎県奈良尾町の奈良尾中学校におい ても開催されている。このうち2月の「知の発見講座シリーズ」は「と っても身近!発見 エネルギーと環境問題」とい うキャッチフレーズで、土曜日の午前中3日、ま た、3月の講座は「とっても身近!エネルギー 記 憶の不思議!単語の木」ということで、連続5日 間、実験デモンストレーションや講演が行われ、 参加した高校生、中学生また保護者の方々に大変 好評であった。特に3月の講座では、エネルギー に関する講演に加えて、(株)普遍学国際研究所 が独自に開発した英単語記憶のツリーをパソコ ンを使って学習するプログラムを実施したため に、講座に幅が加わったといえる。 - 奈良尾中学校では、このプログラムをより系統 的に実践した。表6に第1回と第2回の知の発見講座シリーズ のタイトルを示す。表6 第1回及び第2回の知の発見講座シリーズのタイトル一覧 第1回: ・未来のエネルギー一中学生にもわかる核融合の はなし/自然を守りながら暮らせます ・高温超電導のあれこれ/地球温暖化とは何でしょう ・電気はこんなふうに作られます/野生動物の危機とわたしたち 第2回 ・英単語攻略 |/生活に必要なエネルギー ・英単語攻略/核エネルギーの利用 ・英単語攻略/発電のしくみ(原子力・火力) ・英単語攻略-20312/放射能って何でしょう・英単語攻略 11/核融合の原理」 4.5 理科大好きコーディネーター活動このように知求クラブの知の発見講座シリー ズが好評であることを受けて、教育部会はエネル ギー・環境部会の協力を得て、(独)科学技術振 興機構の「地域科学技術理解増進人材の活動推 進・人材育成事業(理科大好きコーディネーター 活動支援)」プログラムに急遽応募することとし た。関連各位の支援協力を得てこの度、企画実施 申請書が認められた。平成 16 年度は知の発見講座開催の経験を生か して茨城県等を中心に3回程度、実験と講義の会 の開催を予定している。この理科大好きコーディ ネーター・プログラムの企画としては、 1) 霧箱内の放射線の実験と放射能のお話 2) 磁石が超電導体の上で浮き上がる実験とお話 3) 核融合とエネルギーのお話 4) クイズで学ぶエネルギー・放射線 等を考えている。3.まとめと今後の取組 1. 本稿ではIOJ(日本の将来(あした)を考 える会)の設立の経緯と現在の活動状況につい て報告した。原子力及び科学技術を取り巻く風 土を改善するために、第三者的専門家集団とし て実行可能な事柄は、まだまだたくさんある。 今後、会員や支援してくださる方々の意見を集 約して、積極的な活動方針に反映できればと考 えている。 参考文献 [1] IOJ ホームページ, [1] IOJ ホームページ, http://www.ioj-japan.org[2] 宮健三、青野千晶、「NPO の現場から:エネルギー問題に重点をおき、11月に発足」、原子 力 eye、vol.49, 2003, pp.30-31. 青野千晶、「原子力政策のプロセスが見えるしくみを」、ibid. vol.49, 2003, pp.30-31. [4] 青野千晶、釜田真佐子、「学校教育への危惧を行動に」、ibid. vol.50, 2004, pp.54-55. [5] 村垣 孝、「米国のNPO活動を検証一原子力エネルギーに関する市民レベルの理解のために」、 ibid. vol.50, 2004, pp.62-63.[4][5][6] 石川智子、「教育における公の限界へのアプローチ」ibid. vol.50, 2004, pp.30-31. (7) 衛藤基邦、「世界と自分の科学的論理的理解に向けて」、ibid. vol.50, 2004, pp.34-35.[8] 後藤裕宣、「私の IOJ―日本の原子力をトキにしないために」、ibid. vol.50, 2004, pp.56-57. [9] 松永一郎、「2020 年、そのときあなたは?」 ibid.vol.50, 2004, pp.56-57. [10]田中利幸、「自分の感性を磨こう」、ibid.vol.50, 12月 2004, pp.64-65._50,-204“ “原子力風土の改善のためにNPO-IOJができること “ “井口 哲夫,Tetsuo IGUCHI,衛藤 基邦,Motokuni ETO,宮 健三,Kenzo MIYA,釜田 真佐子,Masako KAMATA,青野 千晶,Chiaki AONO“ “原子力風土の改善のためにNPO-IOJができること “ “井口 哲夫,Tetsuo IGUCHI,衛藤 基邦,Motokuni ETO,宮 健三,Kenzo MIYA,釜田 真佐子,Masako KAMATA,青野 千晶,Chiaki AONO