光ファイバブラッググレーティングセンサのプラントモニタリングへの適用性
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カテゴリ: 第1回
1.緒言
近年ますます原子力の安全性への社会的な関 心が寄せられるようになってきている。このため、 原子力プラントの安全性をさらに高め、より大き な安全が得られるようにする努力が求められて おり、原子力プラントの健全性について、配管等 の温度変化・歪み・振動状態のリアルタイム多点 モニタリングシステムを開発することは意義深 いと考えられる。 - 光ファイバは軽量性、可撓性、電磁誘導雑音の 無誘導性などの優れた特性を持つ。そのような特 長を活かしつつ、さらにセンサとしての機能を併 せ持たせた光ファイバセンサの開発が進められ ている。近年急速な発展を遂げている光ファイバ ブラッググレーティング(FBG) もそのような光 ファイバセンサの一種である。FBG は光ファイ バの長手方向に周期的な屈折率の変調(周期A) を与えることによって、Bragg反射条件 入=2n A を満たす特定の波長の光を反射させる機 能を持たせたものである。ここでn は実効屈折率 である。Aは光ファイバの歪み、温度によって変 化するため、それら複数の物理量の情報を入のシフトとして得ることが可能である。 - また、FBG は一本の光ファイバ上に複数個配置 することが可能であり、測定点ごとにAを変化さ せてFBGを作成し、白色光を入射することでそれ ぞれのFBG での反射波長を区別でき、多点からの 情報を容易に弁別することができる。このため、 多点におけるマルチパラメータの取得を単一の 光ファイバで行うことができる電源不要なイン ラインセンサとして期待されている。一方でプラントモニタリングにおいては、ボル トの脱落やポンプ回転体の損耗などによる固有 振動数の変化を捕捉することにより事故を未然 に防ぐことが可能である。しかし現在のところ温 度、歪み測定に関して優れた光ファイバセンサが 開発されているものの、それらと同時に使用で きるような振動センサは開発されていない。FBG を測定箇所に適切に固定して用いれば、振動によ る歪み量の変動を反射波長の時間変化として見 ることで振動モニタとして利用できる可能性が ある。そこで本研究では測定対象として振動も想 定し、より高い安全性が求められる原子力施設へ のFBG センサの適用可能性について、1振動測定 も含めた計測系の開発とその実証2放射線環境下におけるセンサ系の健全性を検証した。
2. 高速中性子を含む放射線場におけるFBG の挙動本研究で開発を目指す測定系は原子力プラン トの強力な放射線環境下に敷設することを想定 している。主に高速中性子を含む中性子線場およ びy線場であると考えられる。そこで東京大学大 学院工学系研究科附属原子力工学研究施設の高 速中性子源炉「弥生」のグレージング孔でFBGの 照射実験を行なうと同時に、FBGからの反射波長 および反射強度の測定を行なった。入射光源には 発光ダイオード(LED、安藤電気製A04215 (131)) を使用し、2×2光カプラを通して照射中のFBGに 光を入射させ、反射光は再び2×2光カプラを通し て光スペクトラムアナライザ(安藤電気、AQ6317) へと導き反射スペクトルを取得した。Fig.1は反射波長約1330nmのFBGについて、中 性子照射による反射スペクトルの変化をプロッ トしたものである。Aは未照射時、Bは弥生炉の出 力が1kWに達した時点、Cは積算出力6kWhに測定さ れたものである。いずれにおいても反射スペクト ル形状の変化は認められない。Cでは反射光の減 弱が見られるが、ピークの検出は充分可能なレベ ルである。これは主に光ファイバ自身の放射線誘 起損失によるものが大きいと考えられる。6kWh の時、中性子フルエンスは3-6×10''n/cm2と見積 もられており、この程度までの中性子環境下では FBGの反射波長に有意な影響はないと考えられる。7100ーA 照射時 ・81kW途時610toeoptical intensity[mW]1101329 1329.5 1330 1330.5 1331 1331.5 13321332.5wavalength[nm]Fig. 1Reflection spectrum under fastneutron field.3.y線環境下における振動測定6°Co 照射装置を使用してFBG センサによるy 線照射下での振動センシングの可能性を調査し た。FBG がマルチパラメータに感度があるため、 測定対象を限定した場合にそれ以外の物理量が 誤差要因となる。このような問題点を克服するべ くFBG センサを温度や歪みに感度を持たないよ うにした振動計測システムを構築し3、y線環境 下において実際に振動の測定を行った。このシス テムの概略図をFig.2 に示す。ここでは直列に 繋いだ同じ反射波長を持つ2つのFBGを厚さ0.2mm の鉄板の表裏に貼付けており、振動源であるスピ ーカーの上に置かれている。広帯域なスーパール ミネッセントダイオード(SID、フルウチ化学社、 SLD2001) 光源からの光はFBG 1を通過したあと でFBG2に入射する。もし、FBG1と2の反射波長 が同じ場合にはFBG 2で反射するべき光はすで にFBG 1によって反射されているため、FBG 2か らは光が反射されない。逆に、FBG 1と2の反射 波長が異なる場合には、それぞれから反射光が戻 ってくるためフォトダイオード(THORLABS 社、 D400FC)で受光する光量は大きくなる。鉄板に曲 げ応力が加わった場合、凸となる面に設置された FBGは他方より強く引き張りされ反射波長がFBG 1と2では異なることになり、PDに入射する光量 が増大する。ここで2つのFBG を一体として同じ 場所に置いているので、環境(温度)が変化して も各々の反射波長のシフトを相殺することがで きる。また、FBG の反射波長の変化を光スペクト ルの取得およびその解析から得るのではなく、PD へ入射する光量の変化として測定することによ って、比較的安価で数kHz 以上の高速な振動を捕 捉することが可能となっている。Co 照射施設に おいて50Gy/h の線量率でy線照射をしながら振 動の測定を行った。照射開始から断続的に照射を 行い、約100 日経過した時点(積算線量124kGy) でフォトダイオードからの出力及びスピーカー へ与える電圧の信号をオシロスコープ (Tektronix 社、TDS3032) に入力し、FFT プロ グラムを使用して得られた周波数スペクトルを Fig.3に示す。この図においてスピーカーの駆動 周波数を変化させても入力信号と出力信号のピ ーク周波数が一致しており、y線環境下でも振動-234周波数の測定が可能であることを示している。さらにこの測定システムは、長期間(100日程 度)の照射下でもメンテナンス無しでも安定に動 作したが、これは通常運転中に立ち入りのできな い場所の多い原子力プラントの監視に有効な特 長である。SLDFBGO及び197 AP00オシロス光カプセル 正弦波発生装置 (周波数可変)ースピーカー(編動発生器) Fig. 2 Schematic illustration of vibrationmeasurement system.-FBGセンサ| ------ source signalamplitude[au.]LILLI501 150 200 frequency[Hz]--v-fe** source signal-FBGセンサ、「?!amplitude[a.u.]200501001 150frequency[Hz] Fig. 3. Frequency spectrum at the total dose of100 kGy.4.高速中性子源炉「弥生」冷却系における 振動測定4.1 振動測定原理本節の実験では入の変化を光強度の変化へと 変換する方法として、反射波長がほぼ同じである 2つのFBG をセンサおよびフィルタとして使用す る方法を試みた。即ち、SLD 光源からの広帯域光 をセンサ用FBG およびフィルタ用FBG で2回反 射させ、その光をフォトダイオードで受光する。 この場合、センサ用およびフィルタ用FBG の反射 スペクトルの一部が重なるようなものを選択し ており、振動によってセンサ用FBG の反射波長が シフトするとその重なり部分の大きさが変化す。 る。シフトによって完全に重なった場合には最大 の光量が入射し、重なりがなくなった場合には光 は入射しない。その結果、スペクトルを取得して 入を測定することなく、振動による反射波長の変 化を光量の大小に変換することによって、より高 速に波長の変化を捉えることができる。ここで、 一方のFBG の反射波長さえ固定していればフィ ルタとして機能するためそれぞれのFBG での反 射の順序は問わないが、今回の実験ではセンサ用 FBGからの反射光をフィルタ用FBG に入射し、そ の反射光をフォトダイオードへと導光した。4.2 実験体系 * 実機レベルの大型の構造物における適用性を 検証するため、東京大学所有の高速中性子源炉 「弥生」の冷却系排気ブロワ近傍にFBG を設置し 振動の測定を行った。実験体系をFig.4に示す。 センサ用FBG とそれに繋がる光ファイバのみを ブロワ近傍に設置し、フィルタ用FBG を含むその 他の機器は全て管理区域外に設置した。ここでも センサ用及びフィルタ用FBG は常温でほぼ同じ 反射波長のものを選択した。しかしながら、ブロ ワ近傍は運転中に温度が上昇するため、センサ用 FBG とフィルタ用FBG の反射波長が離れてしま い振動の測定が不可能になる。このためフィルタ 用FBG の温度を調節するによって、常に重なり合 いを持たせてある程度の反射光がフォトダイオ ードに入射するようにした。測定は4.1 節で示した測定体系で行い、3章と 同様のフォトダイオードで電気信号に変換した-235後、アンプを通して増幅しそれをFFT アナライザ (OROS 社、OR24J) で処理して周波数スペクトル を算出した。FFT アナライザのサンプリング周波 数は2kS/sec に設定して測定を行い、FFT 解析後 の周波数分解能は約0.31Hz であり20 回の平均 化処理を行った。また、比較のために電気式セン サによる測定も平行して行い、このときに使用し たセンサはアンプが内蔵されたICP 規格の加速 度計(PCB社、352C65)であり、信号は前述と同 様のFFT アナライザで処理した。FBG は両端をエポキシ系接着剤によって固定 し、さらにFBG 部の上にアルミテープを貼付けて 固定するという方法で直径約1m の消音器の胴体 部分に設置した。また、片端が固定端となってい る場所に設置すれば、光ファイバの長手方向の伸 縮が生じるためにFBG の変位に対する感度が上 昇するのではないかと考え、消音器を床に固定し ている支柱への設置を試みた。この位置の測定は FBG を埋め込んだ歪みゲージなどに使用される ポリイミド箔をシアノアクリレートの瞬間接着測定室ブロワ付近SLD光源センサ用FBGフィルタ用FBGPD pp] CAMPコAMPPCFFTアナライザFig. 4 Schematic illustration of vibration measurement system for YAYOI cooling system. 剤で貼付けて行った。4.3 実験結果および考察ブロワの起動前後の支柱に貼付けたFBG セン サの周波数パワースペクトルをFig.5 に示す。 冷却系のブロワを起動することによって消音器 に振動が発生するが、ブロワの起動によって起動 前にはなかった周波数ピークが発生しているこ とから、振動を捕捉できていると考えられる。さ らに、それらの周波数ピークと機器の振動周波数 の比較を行うためにFBG を設置した位置に加速0.001プロワ起動前 ......... プロワ起験amplitude(V)0.0001102LLLLLLLLLLLLL10_200400 6000001000frequency(Hz)Fig. 5Vibration spectrum before/after blowerof YAYOI started.度計を設置し、周波数パワースペクトルを取得し FBG センサによるものと比較した。消音器支柱、 及び胴体における結果をそれぞれFig.6、7に示 す。ピークとなっている周波数はほぼ一致してお り、さらに強度も傾向としてはほぼ同じである。 ただし、FBGセンサによって取得された信号は加 速度計で取得したものに比べてかなり小さく、電 源ノイズ (50Hz及びその倍波)やベースラインの ノイズが大きくなっている点に注意が必要であ る。これはフォトダイオードに入射する光量が微 弱であったため信号の強度が十分に得られず、相 対的にノイズが大きくなってしまったことが原 因と考えられ、より強い光源の使用、光カプラに 換えた光サーキュレータの使用、接続損失の低減 などによって改善可能であると考えられる。また、 消音器の胴体に敷設したFBG センサによって加 速度計で測定した時とほぼ同じ周波数ピークが 観測できたことから、大型の構造物に設置する場 合においても片方を固定してFBG が伸縮する方 向に振動を変換することなく測定可能であるこ とが分かった。消音器胴体と支柱で得られたパワ ースペクトルにおいて、加速度計のピーク強度は 高々1/3 程度の変化しかないにもかかわらず、 FBG センサのピーク強度は1/10 以下になってい る。これは測定時に支柱に設置したFBG から反射 してフォトダイオードに入射する光強度が1/2 程度しか得られなかったことが要因と考えられ るが、支柱とFBG の間にある瞬間接着剤やポリイ ミドフィルムなどによって振動が吸収されたこ とも原因の一つであると考えられる。-236-FBGセンサ一加速度計0.000120.0001日10amplitude (V2)amplitude ((m/s)?)-4102001000400 600800 frequency (Hz)Fig. 6Vibration spectrum around mufflersuspension.-FBGセンサ一加速度計0.00150.0010.0005amplitude (v^)amplitude ((m/s)?)-0.0005-0.001-0.00150_8001000200400 600frequency (Hz)Fig. 7Vibration spectrum around mufflermain body.しかしながら、実際に原子炉で使用されている 機器の振動状態がFBG センサによって取得でき ること、さらに今回は2点であるものの直列に繋 がれたFBG による同時計測が可能であることが 実証できたことは重要である。5.「常陽」1次冷却系への設置5.1 概要「弥生」冷却系において振動測定が可能である ことを実証できたことを踏まえて、核燃料サイクル開発機構の高速実験炉「常陽」の1次系配管へ 設置し検証を行なっている。より原子力発電プラ ントに近い規模の大きさであり、配管近傍は約 100Gy/h程度のy線場という厳しい環境での使用 が実証できれば、商業炉へのモニタリングへの適 用が可能と考えられる。5.2 設置概要「常陽」1次主冷却系への敷設系統図をFig.8 に示す。配管外装板の上もしくは配管の重みを支 えるハンガーサポートなど6箇所に計15個のFBG を設置した。計15個のFBGセンサは光ファイバA ~Cにそれぞれ4つずつ、光ファイバDに3つ接続さ れている。FBG部分と伝送用ファイバ部分とは放 電融着により接続されている。光ファイバAのそ れぞれのFBG部両端はエポキシ系接着剤で測定対 象物に固定した。光ファイバBは配管に接触させ ながらも応力負荷によるひずみや振動を拾わぬ ように設置した。光ファイバCは参照用として測 定対象物に接触させぬよう、近傍に設置した。光 ファイバDは光ファイバAと異なる方法(ポリイミ ドフィルムによる貼付)で配管に固定した。原子炉起動前はほぼ雰囲気が室温程度で保た れていたため温度センシングに関する実験は行 なわず、1次系ポンプ運転の有無に関連して配管 の振動測定が可能かどうか、FBGセンサ系を用い て測定することとした。本章における振動の測定 はセンサとなるFBGによって反射された光を約 1nm幅の透過ピークを持つフィルタを通すことに よって、波長のシフトを強度変化に変換したもの を測定した。F-01Fワーマンになるので57-205ポンプTCG・T・A・C1 Fa・i・スプリングバンカー FG-2130Fig. 8Schematic illustration of FBG sensorlayout on JOYO site.-237原子炉起動後はサイクルごとにセンサ部の温 度が変動するため、放射線環境下におけるFBGセ ンサの温度に対する感度を見ることとした。5.3 原子炉起動前の測定結果Fig.9に1次系ポンプ流量変化時における光 ファイバAラインFBG No.1について取得した振動 スペクトルを例として示す。電源ノイズ(50Hz の倍数)が多少見られるものの、流量の変化によ ってスペクトルにも変化が生じていることが確 認された。さらにFBGセンサからの振動スペクトルを、加 速度計を用いて測定した結果と比較した結果を Fig. 10に示す。強度の大きなピークの周波数は 加速度計とFBGセンサで一致しており、FBGセンサ によってポンプ出力の上昇に伴う冷却系の振動 状態を捕捉できることが実証された。ーポンプ252m2/h ボンブ流量 1538m2/hOptical power spectrum (V2)みなさんFig. 9 Vibration spectrum for FBG A-1.10~12L10 200400600 800 1000 1200 1400Frequency (Hz)....... 一連計FBGセンサ10000100Fig. 10 Vibration spectrum for FBG A-1 and comparison with acceleration sensor.Optical power spectrum (V23 oo0,000110315005001000Frequency(Hz)Fig. 9 Vibration spectrum for FBG A-1.5.4 原子炉起動後の測定 - 平成15年から始まった「常陽」MK-III性能試験 中にFBG A-1センサの温度感度を測定した (Fig. 11)。原子炉は主に8~11月にわたって起動され、FBG-A1ピーク波長1304.71304.61304.51304.41304.31304.2Fig. 11 024 6 8 10 12 14 16 18 2022 24 26 28 30Correlation 熱電対測定によるFBG1 付近の温度between 54,00wavelength 52.00andtemperature 46.00around FBG 44.00A1 42.00 40.00after JOYO 1-02 4 6 8 10 12 14 16 18 20 22 24 26 28 30 |502018FBG設置箇所の積算線量はy線が4.0x10°C/kg, 中性子が5.9x10''n/cm2であった。高放射線下にお いても反射波長が雰囲気温度に追従しており、放 射線環境下での配管温度測定が実証された。6.結論FBG センサに基づいたプラントセンシングシ ステムを構築して、中性子・60Coy 線照射下、「弥 生」の冷却系ブロワ近傍および「常陽」1次系配 管に設置し、その動作を確認した。測定システム はそれぞれで異なるものの、放射線環境下におい てもFBG は振動測定に使用可能であることが確 認され、さらに原子炉で使用されている機器の温 度や振動を一本の光ファイバ上で多点にわたっ て測定可能であることが実証された。この結果、 原子力プラントにおいてFBG による振動/温度 監視への適用可能性が示されたと言える。「謝辞本研究の一部は核燃料サイクル公募型研究の 援助により行なわれたものである。参考文献 [1] K. O. Hill, Y. Fujii, D. C. Johnson and B. S. Kawasaki, Applied Physics Letters, 32 (1978)p647 [2] A. Kimura et al., Measurement Science and Technology, 12 (2001)p966 [3] Ka On Lee, Kin Seng Chiang and Zhihao Chen, Optical Engineering, 40(2001) p2582-238“ “光ファイバブラッググレーティングセンサのプラントモニタリングへの適用性“ “雨宮 邦招,Kuniaki AMEMIYA,高橋 浩之,Hiroyuki TAKAHASHI,藤田 薫,Kaoru FUJITA,中澤 正治,Masaharu NAKAZAWA,伊藤 敬輔,Masahiko ARIYOSHI“ “光ファイバブラッググレーティングセンサのプラントモニタリングへの適用性“ “雨宮 邦招,Kuniaki AMEMIYA,高橋 浩之,Hiroyuki TAKAHASHI,藤田 薫,Kaoru FUJITA,中澤 正治,Masaharu NAKAZAWA,伊藤 敬輔,Masahiko ARIYOSHI
近年ますます原子力の安全性への社会的な関 心が寄せられるようになってきている。このため、 原子力プラントの安全性をさらに高め、より大き な安全が得られるようにする努力が求められて おり、原子力プラントの健全性について、配管等 の温度変化・歪み・振動状態のリアルタイム多点 モニタリングシステムを開発することは意義深 いと考えられる。 - 光ファイバは軽量性、可撓性、電磁誘導雑音の 無誘導性などの優れた特性を持つ。そのような特 長を活かしつつ、さらにセンサとしての機能を併 せ持たせた光ファイバセンサの開発が進められ ている。近年急速な発展を遂げている光ファイバ ブラッググレーティング(FBG) もそのような光 ファイバセンサの一種である。FBG は光ファイ バの長手方向に周期的な屈折率の変調(周期A) を与えることによって、Bragg反射条件 入=2n A を満たす特定の波長の光を反射させる機 能を持たせたものである。ここでn は実効屈折率 である。Aは光ファイバの歪み、温度によって変 化するため、それら複数の物理量の情報を入のシフトとして得ることが可能である。 - また、FBG は一本の光ファイバ上に複数個配置 することが可能であり、測定点ごとにAを変化さ せてFBGを作成し、白色光を入射することでそれ ぞれのFBG での反射波長を区別でき、多点からの 情報を容易に弁別することができる。このため、 多点におけるマルチパラメータの取得を単一の 光ファイバで行うことができる電源不要なイン ラインセンサとして期待されている。一方でプラントモニタリングにおいては、ボル トの脱落やポンプ回転体の損耗などによる固有 振動数の変化を捕捉することにより事故を未然 に防ぐことが可能である。しかし現在のところ温 度、歪み測定に関して優れた光ファイバセンサが 開発されているものの、それらと同時に使用で きるような振動センサは開発されていない。FBG を測定箇所に適切に固定して用いれば、振動によ る歪み量の変動を反射波長の時間変化として見 ることで振動モニタとして利用できる可能性が ある。そこで本研究では測定対象として振動も想 定し、より高い安全性が求められる原子力施設へ のFBG センサの適用可能性について、1振動測定 も含めた計測系の開発とその実証2放射線環境下におけるセンサ系の健全性を検証した。
2. 高速中性子を含む放射線場におけるFBG の挙動本研究で開発を目指す測定系は原子力プラン トの強力な放射線環境下に敷設することを想定 している。主に高速中性子を含む中性子線場およ びy線場であると考えられる。そこで東京大学大 学院工学系研究科附属原子力工学研究施設の高 速中性子源炉「弥生」のグレージング孔でFBGの 照射実験を行なうと同時に、FBGからの反射波長 および反射強度の測定を行なった。入射光源には 発光ダイオード(LED、安藤電気製A04215 (131)) を使用し、2×2光カプラを通して照射中のFBGに 光を入射させ、反射光は再び2×2光カプラを通し て光スペクトラムアナライザ(安藤電気、AQ6317) へと導き反射スペクトルを取得した。Fig.1は反射波長約1330nmのFBGについて、中 性子照射による反射スペクトルの変化をプロッ トしたものである。Aは未照射時、Bは弥生炉の出 力が1kWに達した時点、Cは積算出力6kWhに測定さ れたものである。いずれにおいても反射スペクト ル形状の変化は認められない。Cでは反射光の減 弱が見られるが、ピークの検出は充分可能なレベ ルである。これは主に光ファイバ自身の放射線誘 起損失によるものが大きいと考えられる。6kWh の時、中性子フルエンスは3-6×10''n/cm2と見積 もられており、この程度までの中性子環境下では FBGの反射波長に有意な影響はないと考えられる。7100ーA 照射時 ・81kW途時610toeoptical intensity[mW]1101329 1329.5 1330 1330.5 1331 1331.5 13321332.5wavalength[nm]Fig. 1Reflection spectrum under fastneutron field.3.y線環境下における振動測定6°Co 照射装置を使用してFBG センサによるy 線照射下での振動センシングの可能性を調査し た。FBG がマルチパラメータに感度があるため、 測定対象を限定した場合にそれ以外の物理量が 誤差要因となる。このような問題点を克服するべ くFBG センサを温度や歪みに感度を持たないよ うにした振動計測システムを構築し3、y線環境 下において実際に振動の測定を行った。このシス テムの概略図をFig.2 に示す。ここでは直列に 繋いだ同じ反射波長を持つ2つのFBGを厚さ0.2mm の鉄板の表裏に貼付けており、振動源であるスピ ーカーの上に置かれている。広帯域なスーパール ミネッセントダイオード(SID、フルウチ化学社、 SLD2001) 光源からの光はFBG 1を通過したあと でFBG2に入射する。もし、FBG1と2の反射波長 が同じ場合にはFBG 2で反射するべき光はすで にFBG 1によって反射されているため、FBG 2か らは光が反射されない。逆に、FBG 1と2の反射 波長が異なる場合には、それぞれから反射光が戻 ってくるためフォトダイオード(THORLABS 社、 D400FC)で受光する光量は大きくなる。鉄板に曲 げ応力が加わった場合、凸となる面に設置された FBGは他方より強く引き張りされ反射波長がFBG 1と2では異なることになり、PDに入射する光量 が増大する。ここで2つのFBG を一体として同じ 場所に置いているので、環境(温度)が変化して も各々の反射波長のシフトを相殺することがで きる。また、FBG の反射波長の変化を光スペクト ルの取得およびその解析から得るのではなく、PD へ入射する光量の変化として測定することによ って、比較的安価で数kHz 以上の高速な振動を捕 捉することが可能となっている。Co 照射施設に おいて50Gy/h の線量率でy線照射をしながら振 動の測定を行った。照射開始から断続的に照射を 行い、約100 日経過した時点(積算線量124kGy) でフォトダイオードからの出力及びスピーカー へ与える電圧の信号をオシロスコープ (Tektronix 社、TDS3032) に入力し、FFT プロ グラムを使用して得られた周波数スペクトルを Fig.3に示す。この図においてスピーカーの駆動 周波数を変化させても入力信号と出力信号のピ ーク周波数が一致しており、y線環境下でも振動-234周波数の測定が可能であることを示している。さらにこの測定システムは、長期間(100日程 度)の照射下でもメンテナンス無しでも安定に動 作したが、これは通常運転中に立ち入りのできな い場所の多い原子力プラントの監視に有効な特 長である。SLDFBGO及び197 AP00オシロス光カプセル 正弦波発生装置 (周波数可変)ースピーカー(編動発生器) Fig. 2 Schematic illustration of vibrationmeasurement system.-FBGセンサ| ------ source signalamplitude[au.]LILLI501 150 200 frequency[Hz]--v-fe** source signal-FBGセンサ、「?!amplitude[a.u.]200501001 150frequency[Hz] Fig. 3. Frequency spectrum at the total dose of100 kGy.4.高速中性子源炉「弥生」冷却系における 振動測定4.1 振動測定原理本節の実験では入の変化を光強度の変化へと 変換する方法として、反射波長がほぼ同じである 2つのFBG をセンサおよびフィルタとして使用す る方法を試みた。即ち、SLD 光源からの広帯域光 をセンサ用FBG およびフィルタ用FBG で2回反 射させ、その光をフォトダイオードで受光する。 この場合、センサ用およびフィルタ用FBG の反射 スペクトルの一部が重なるようなものを選択し ており、振動によってセンサ用FBG の反射波長が シフトするとその重なり部分の大きさが変化す。 る。シフトによって完全に重なった場合には最大 の光量が入射し、重なりがなくなった場合には光 は入射しない。その結果、スペクトルを取得して 入を測定することなく、振動による反射波長の変 化を光量の大小に変換することによって、より高 速に波長の変化を捉えることができる。ここで、 一方のFBG の反射波長さえ固定していればフィ ルタとして機能するためそれぞれのFBG での反 射の順序は問わないが、今回の実験ではセンサ用 FBGからの反射光をフィルタ用FBG に入射し、そ の反射光をフォトダイオードへと導光した。4.2 実験体系 * 実機レベルの大型の構造物における適用性を 検証するため、東京大学所有の高速中性子源炉 「弥生」の冷却系排気ブロワ近傍にFBG を設置し 振動の測定を行った。実験体系をFig.4に示す。 センサ用FBG とそれに繋がる光ファイバのみを ブロワ近傍に設置し、フィルタ用FBG を含むその 他の機器は全て管理区域外に設置した。ここでも センサ用及びフィルタ用FBG は常温でほぼ同じ 反射波長のものを選択した。しかしながら、ブロ ワ近傍は運転中に温度が上昇するため、センサ用 FBG とフィルタ用FBG の反射波長が離れてしま い振動の測定が不可能になる。このためフィルタ 用FBG の温度を調節するによって、常に重なり合 いを持たせてある程度の反射光がフォトダイオ ードに入射するようにした。測定は4.1 節で示した測定体系で行い、3章と 同様のフォトダイオードで電気信号に変換した-235後、アンプを通して増幅しそれをFFT アナライザ (OROS 社、OR24J) で処理して周波数スペクトル を算出した。FFT アナライザのサンプリング周波 数は2kS/sec に設定して測定を行い、FFT 解析後 の周波数分解能は約0.31Hz であり20 回の平均 化処理を行った。また、比較のために電気式セン サによる測定も平行して行い、このときに使用し たセンサはアンプが内蔵されたICP 規格の加速 度計(PCB社、352C65)であり、信号は前述と同 様のFFT アナライザで処理した。FBG は両端をエポキシ系接着剤によって固定 し、さらにFBG 部の上にアルミテープを貼付けて 固定するという方法で直径約1m の消音器の胴体 部分に設置した。また、片端が固定端となってい る場所に設置すれば、光ファイバの長手方向の伸 縮が生じるためにFBG の変位に対する感度が上 昇するのではないかと考え、消音器を床に固定し ている支柱への設置を試みた。この位置の測定は FBG を埋め込んだ歪みゲージなどに使用される ポリイミド箔をシアノアクリレートの瞬間接着測定室ブロワ付近SLD光源センサ用FBGフィルタ用FBGPD pp] CAMPコAMPPCFFTアナライザFig. 4 Schematic illustration of vibration measurement system for YAYOI cooling system. 剤で貼付けて行った。4.3 実験結果および考察ブロワの起動前後の支柱に貼付けたFBG セン サの周波数パワースペクトルをFig.5 に示す。 冷却系のブロワを起動することによって消音器 に振動が発生するが、ブロワの起動によって起動 前にはなかった周波数ピークが発生しているこ とから、振動を捕捉できていると考えられる。さ らに、それらの周波数ピークと機器の振動周波数 の比較を行うためにFBG を設置した位置に加速0.001プロワ起動前 ......... プロワ起験amplitude(V)0.0001102LLLLLLLLLLLLL10_200400 6000001000frequency(Hz)Fig. 5Vibration spectrum before/after blowerof YAYOI started.度計を設置し、周波数パワースペクトルを取得し FBG センサによるものと比較した。消音器支柱、 及び胴体における結果をそれぞれFig.6、7に示 す。ピークとなっている周波数はほぼ一致してお り、さらに強度も傾向としてはほぼ同じである。 ただし、FBGセンサによって取得された信号は加 速度計で取得したものに比べてかなり小さく、電 源ノイズ (50Hz及びその倍波)やベースラインの ノイズが大きくなっている点に注意が必要であ る。これはフォトダイオードに入射する光量が微 弱であったため信号の強度が十分に得られず、相 対的にノイズが大きくなってしまったことが原 因と考えられ、より強い光源の使用、光カプラに 換えた光サーキュレータの使用、接続損失の低減 などによって改善可能であると考えられる。また、 消音器の胴体に敷設したFBG センサによって加 速度計で測定した時とほぼ同じ周波数ピークが 観測できたことから、大型の構造物に設置する場 合においても片方を固定してFBG が伸縮する方 向に振動を変換することなく測定可能であるこ とが分かった。消音器胴体と支柱で得られたパワ ースペクトルにおいて、加速度計のピーク強度は 高々1/3 程度の変化しかないにもかかわらず、 FBG センサのピーク強度は1/10 以下になってい る。これは測定時に支柱に設置したFBG から反射 してフォトダイオードに入射する光強度が1/2 程度しか得られなかったことが要因と考えられ るが、支柱とFBG の間にある瞬間接着剤やポリイ ミドフィルムなどによって振動が吸収されたこ とも原因の一つであると考えられる。-236-FBGセンサ一加速度計0.000120.0001日10amplitude (V2)amplitude ((m/s)?)-4102001000400 600800 frequency (Hz)Fig. 6Vibration spectrum around mufflersuspension.-FBGセンサ一加速度計0.00150.0010.0005amplitude (v^)amplitude ((m/s)?)-0.0005-0.001-0.00150_8001000200400 600frequency (Hz)Fig. 7Vibration spectrum around mufflermain body.しかしながら、実際に原子炉で使用されている 機器の振動状態がFBG センサによって取得でき ること、さらに今回は2点であるものの直列に繋 がれたFBG による同時計測が可能であることが 実証できたことは重要である。5.「常陽」1次冷却系への設置5.1 概要「弥生」冷却系において振動測定が可能である ことを実証できたことを踏まえて、核燃料サイクル開発機構の高速実験炉「常陽」の1次系配管へ 設置し検証を行なっている。より原子力発電プラ ントに近い規模の大きさであり、配管近傍は約 100Gy/h程度のy線場という厳しい環境での使用 が実証できれば、商業炉へのモニタリングへの適 用が可能と考えられる。5.2 設置概要「常陽」1次主冷却系への敷設系統図をFig.8 に示す。配管外装板の上もしくは配管の重みを支 えるハンガーサポートなど6箇所に計15個のFBG を設置した。計15個のFBGセンサは光ファイバA ~Cにそれぞれ4つずつ、光ファイバDに3つ接続さ れている。FBG部分と伝送用ファイバ部分とは放 電融着により接続されている。光ファイバAのそ れぞれのFBG部両端はエポキシ系接着剤で測定対 象物に固定した。光ファイバBは配管に接触させ ながらも応力負荷によるひずみや振動を拾わぬ ように設置した。光ファイバCは参照用として測 定対象物に接触させぬよう、近傍に設置した。光 ファイバDは光ファイバAと異なる方法(ポリイミ ドフィルムによる貼付)で配管に固定した。原子炉起動前はほぼ雰囲気が室温程度で保た れていたため温度センシングに関する実験は行 なわず、1次系ポンプ運転の有無に関連して配管 の振動測定が可能かどうか、FBGセンサ系を用い て測定することとした。本章における振動の測定 はセンサとなるFBGによって反射された光を約 1nm幅の透過ピークを持つフィルタを通すことに よって、波長のシフトを強度変化に変換したもの を測定した。F-01Fワーマンになるので57-205ポンプTCG・T・A・C1 Fa・i・スプリングバンカー FG-2130Fig. 8Schematic illustration of FBG sensorlayout on JOYO site.-237原子炉起動後はサイクルごとにセンサ部の温 度が変動するため、放射線環境下におけるFBGセ ンサの温度に対する感度を見ることとした。5.3 原子炉起動前の測定結果Fig.9に1次系ポンプ流量変化時における光 ファイバAラインFBG No.1について取得した振動 スペクトルを例として示す。電源ノイズ(50Hz の倍数)が多少見られるものの、流量の変化によ ってスペクトルにも変化が生じていることが確 認された。さらにFBGセンサからの振動スペクトルを、加 速度計を用いて測定した結果と比較した結果を Fig. 10に示す。強度の大きなピークの周波数は 加速度計とFBGセンサで一致しており、FBGセンサ によってポンプ出力の上昇に伴う冷却系の振動 状態を捕捉できることが実証された。ーポンプ252m2/h ボンブ流量 1538m2/hOptical power spectrum (V2)みなさんFig. 9 Vibration spectrum for FBG A-1.10~12L10 200400600 800 1000 1200 1400Frequency (Hz)....... 一連計FBGセンサ10000100Fig. 10 Vibration spectrum for FBG A-1 and comparison with acceleration sensor.Optical power spectrum (V23 oo0,000110315005001000Frequency(Hz)Fig. 9 Vibration spectrum for FBG A-1.5.4 原子炉起動後の測定 - 平成15年から始まった「常陽」MK-III性能試験 中にFBG A-1センサの温度感度を測定した (Fig. 11)。原子炉は主に8~11月にわたって起動され、FBG-A1ピーク波長1304.71304.61304.51304.41304.31304.2Fig. 11 024 6 8 10 12 14 16 18 2022 24 26 28 30Correlation 熱電対測定によるFBG1 付近の温度between 54,00wavelength 52.00andtemperature 46.00around FBG 44.00A1 42.00 40.00after JOYO 1-02 4 6 8 10 12 14 16 18 20 22 24 26 28 30 |502018FBG設置箇所の積算線量はy線が4.0x10°C/kg, 中性子が5.9x10''n/cm2であった。高放射線下にお いても反射波長が雰囲気温度に追従しており、放 射線環境下での配管温度測定が実証された。6.結論FBG センサに基づいたプラントセンシングシ ステムを構築して、中性子・60Coy 線照射下、「弥 生」の冷却系ブロワ近傍および「常陽」1次系配 管に設置し、その動作を確認した。測定システム はそれぞれで異なるものの、放射線環境下におい てもFBG は振動測定に使用可能であることが確 認され、さらに原子炉で使用されている機器の温 度や振動を一本の光ファイバ上で多点にわたっ て測定可能であることが実証された。この結果、 原子力プラントにおいてFBG による振動/温度 監視への適用可能性が示されたと言える。「謝辞本研究の一部は核燃料サイクル公募型研究の 援助により行なわれたものである。参考文献 [1] K. O. Hill, Y. Fujii, D. C. Johnson and B. S. Kawasaki, Applied Physics Letters, 32 (1978)p647 [2] A. Kimura et al., Measurement Science and Technology, 12 (2001)p966 [3] Ka On Lee, Kin Seng Chiang and Zhihao Chen, Optical Engineering, 40(2001) p2582-238“ “光ファイバブラッググレーティングセンサのプラントモニタリングへの適用性“ “雨宮 邦招,Kuniaki AMEMIYA,高橋 浩之,Hiroyuki TAKAHASHI,藤田 薫,Kaoru FUJITA,中澤 正治,Masaharu NAKAZAWA,伊藤 敬輔,Masahiko ARIYOSHI“ “光ファイバブラッググレーティングセンサのプラントモニタリングへの適用性“ “雨宮 邦招,Kuniaki AMEMIYA,高橋 浩之,Hiroyuki TAKAHASHI,藤田 薫,Kaoru FUJITA,中澤 正治,Masaharu NAKAZAWA,伊藤 敬輔,Masahiko ARIYOSHI