炉内検査装置の開発及び実機適用
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カテゴリ: 第1回
1.緒言
近年、原子力発電プラントの炉内構造物に対 Shroud して、応力腐食割れ(SCC)の発生が報告され、 Shroud Support 炉内構造物の点検の必要性が高まっている。 Jet Pump原子力プラントの原子炉圧力容器は、シュラ . Core Spray ウド、ジェットポンプ等が内蔵されていて、複 CRD Stub Tube 雑かつ狭隘な空間があるため、従来はテレビカO:Applied, O:Developed, *:Accessibility メラや超音波探傷プローブ等の各種検査装置WT T TTTTTM || Order Shroud の搬送、位置決め、保持が困難という課題があJet Pump った。これに対して、炉内検査装置(以下、ビ ークル)は,各種検査技術の適用範囲の拡大、Shroud Support 工期短縮に大きく寄与し、実機での作業実施に 不可欠である。ビークルの開発においては、次 の要求事項が重要である。 (1)検査可能範囲(狭隘部、炉底部等、水深30m) (2)検査用として汎用性の高さ(目視点検(VT)、超音波探傷試験(UT)等の共用化) (3)準備作業の簡便さ、速さ(遊泳、走行等)Shroud Vehicle 東芝は90年代より上記要求を満足する小型、Vessel Bottom 汎用かつ広範囲に炉内構造物にアクセスでき るビークルの開発と適用を行い、Table 1 に示 す検査能力を持つに至った。本稿では、Fig.1 に示す代表的なビークルの機能、構成及び適用 効果、適用実績について述べる。
2. シュラウド用ビークル 2.1 目的/用途 - シュラウド用ビークルは、原子炉内構造物 (Fig.1 参照)において、特にシュラウドを対 象として、短時間で広範囲の検査や予防保全作 業ができるように開発された[1]。本装置の目 的は、各種の作業装置(検査、予防保全用ツー ル)を選択的に搭載して炉内の狭隘な対象部位 へ接近し、作業ツールの搬送、位置決め、保持 を行うことである。これらの要求機能のうち、 VT 検査及び UT 検査は既に実用化している。2.2 構成及び機能 - 本装置は、シュラウド内外面の検査用に開発 され、目標へのアクセス性を向上するために遊 泳機能と壁面走行機能を併せ持たせている。 Fig.2,3に本装置の本体およびコントローラの 外観を、Table 2に本装置の仕様を示す。/ Thrusters、FloatCasterBodyWheelsThrusters/ DThrustersSUT ModuleUT ProbeFig. 2Shroud VehicleFig. 3 Controllerfig. 4 Phased Array UT ProbeTable 2 Specifications of Shroud Vehicle | Dimensions | W230mmxH650mmxT90mm*1 Mass 10kg(in air) Motion Swim:Up, Down, Forward, Backward,Turn left & right,Wheel drive: Horizontally Speed | 0.3-20mm/s *1:Body Dimensions for Access from Shroud ID(1)遊泳機能本装置は、水平/垂直方向の4つのスラスタ で浮上/潜航、左右、前後進、旋回の各方向に 遊泳できる。水中の高放射線環境下で使用され るため、主要な構成部品を耐水性および耐放射 線性に優れたエンジニアリングプラスチック 等で構成し、水中重量の軽量化を図り、水中重 量と浮力をほぼ等しく(以下、中性浮力化とい う)している。また、上下の姿勢が常に一定に 保たれるように、浮心を重心より上にするため 上部にフロートを配置している。 (2)壁面走行機能 - UT を実施するためには、UT プローブを対象 面に対して一定の距離を保って支持できるこ と、一定間隔で探傷データを取得することが求 められる。 本装置は、周溶接線に対する探傷を 効率よく実施するため、水平方向に駆動する車 輪を上下に2個配置し、その各々の車輪近傍に おける走行距離を計測する回転センサを設け た。また、ボールキャスタを配置し、水平スラ スタを作動させることで車輪とボールキャス タで対象面に接触し、回転センサでの速度計測 値をフィードバックして、一定速度での走行速 度制御を行う。 (3)操縦方法 - 遊泳移動の場合には、ハンディコントローラ によって操縦する。対象面への吸着後には、パ ソコン操作画面のコンソールから姿勢角調整、 速度制御を行う。 (4)検査機能本装置は、超音波探傷プローブ (Fig.4 参照) 等を搭載することにより、超音波探傷試験等の その他の検査を実施できる。さらに、CCD カメ ラ、照明、ミラーを組み込んだ VT モジュール を搭載することにより、目視検査を実施する。
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近年、原子力発電プラントの炉内構造物に対 Shroud して、応力腐食割れ(SCC)の発生が報告され、 Shroud Support 炉内構造物の点検の必要性が高まっている。 Jet Pump原子力プラントの原子炉圧力容器は、シュラ . Core Spray ウド、ジェットポンプ等が内蔵されていて、複 CRD Stub Tube 雑かつ狭隘な空間があるため、従来はテレビカO:Applied, O:Developed, *:Accessibility メラや超音波探傷プローブ等の各種検査装置WT T TTTTTM || Order Shroud の搬送、位置決め、保持が困難という課題があJet Pump った。これに対して、炉内検査装置(以下、ビ ークル)は,各種検査技術の適用範囲の拡大、Shroud Support 工期短縮に大きく寄与し、実機での作業実施に 不可欠である。ビークルの開発においては、次 の要求事項が重要である。 (1)検査可能範囲(狭隘部、炉底部等、水深30m) (2)検査用として汎用性の高さ(目視点検(VT)、超音波探傷試験(UT)等の共用化) (3)準備作業の簡便さ、速さ(遊泳、走行等)Shroud Vehicle 東芝は90年代より上記要求を満足する小型、Vessel Bottom 汎用かつ広範囲に炉内構造物にアクセスでき るビークルの開発と適用を行い、Table 1 に示 す検査能力を持つに至った。本稿では、Fig.1 に示す代表的なビークルの機能、構成及び適用 効果、適用実績について述べる。
2. シュラウド用ビークル 2.1 目的/用途 - シュラウド用ビークルは、原子炉内構造物 (Fig.1 参照)において、特にシュラウドを対 象として、短時間で広範囲の検査や予防保全作 業ができるように開発された[1]。本装置の目 的は、各種の作業装置(検査、予防保全用ツー ル)を選択的に搭載して炉内の狭隘な対象部位 へ接近し、作業ツールの搬送、位置決め、保持 を行うことである。これらの要求機能のうち、 VT 検査及び UT 検査は既に実用化している。2.2 構成及び機能 - 本装置は、シュラウド内外面の検査用に開発 され、目標へのアクセス性を向上するために遊 泳機能と壁面走行機能を併せ持たせている。 Fig.2,3に本装置の本体およびコントローラの 外観を、Table 2に本装置の仕様を示す。/ Thrusters、FloatCasterBodyWheelsThrusters/ DThrustersSUT ModuleUT ProbeFig. 2Shroud VehicleFig. 3 Controllerfig. 4 Phased Array UT ProbeTable 2 Specifications of Shroud Vehicle | Dimensions | W230mmxH650mmxT90mm*1 Mass 10kg(in air) Motion Swim:Up, Down, Forward, Backward,Turn left & right,Wheel drive: Horizontally Speed | 0.3-20mm/s *1:Body Dimensions for Access from Shroud ID(1)遊泳機能本装置は、水平/垂直方向の4つのスラスタ で浮上/潜航、左右、前後進、旋回の各方向に 遊泳できる。水中の高放射線環境下で使用され るため、主要な構成部品を耐水性および耐放射 線性に優れたエンジニアリングプラスチック 等で構成し、水中重量の軽量化を図り、水中重 量と浮力をほぼ等しく(以下、中性浮力化とい う)している。また、上下の姿勢が常に一定に 保たれるように、浮心を重心より上にするため 上部にフロートを配置している。 (2)壁面走行機能 - UT を実施するためには、UT プローブを対象 面に対して一定の距離を保って支持できるこ と、一定間隔で探傷データを取得することが求 められる。 本装置は、周溶接線に対する探傷を 効率よく実施するため、水平方向に駆動する車 輪を上下に2個配置し、その各々の車輪近傍に おける走行距離を計測する回転センサを設け た。また、ボールキャスタを配置し、水平スラ スタを作動させることで車輪とボールキャス タで対象面に接触し、回転センサでの速度計測 値をフィードバックして、一定速度での走行速 度制御を行う。 (3)操縦方法 - 遊泳移動の場合には、ハンディコントローラ によって操縦する。対象面への吸着後には、パ ソコン操作画面のコンソールから姿勢角調整、 速度制御を行う。 (4)検査機能本装置は、超音波探傷プローブ (Fig.4 参照) 等を搭載することにより、超音波探傷試験等の その他の検査を実施できる。さらに、CCD カメ ラ、照明、ミラーを組み込んだ VT モジュール を搭載することにより、目視検査を実施する。
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