ステンレス鋼配管超音波探傷技術

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カテゴリ: 第1回
1. 緒言
原子力発電所を始めとした各種発電プラン トにおいて安全性の確保及びトラブルの未然 防止は重要なテーマである.また,プラントの 寿命延長に伴い,構成部位の余寿命診断も重要 な課題となっている.非破壊検査は発電プラン トの安全性を確保するために必要な技術であ るが,その一つとして超音波探傷(以下 UT: Ultrasonic Testing) が適用されている.しかしな がら,PWR 型原子力プラントで広く利用されて いるステンレス鋼配管の溶接部は一般的に超 音波の透過性が低く,また複雑な形状をした部 位への適用が難しい.一方,亀裂進展評価から 割れ等欠陥の検出性向上とサイジングが注目 されている. 1. 本報では,弊社にて適用しているステンレス 鋼配管の検出性及びサイジングを目指したフ ェーズドアレイ UT 技術について紹介する. 2. 検査手法 - ステンレス鋼配管では超音波の透過性及び 形状の複雑化により UT 探傷不可範囲の低減及びサイジング技術の向上の課題がある. 2.1 UT 探傷不可範囲の低減 形状が単純な部位では十分な欠陥検出性や欠 陥定量性が得られているが, UT プローブの走 査が困難な複雑な形状をした部位の検査は難 しい.そこで,超音波を任意の角度へ発生させ たり,任意の位置へ収束させたりすることが可 能なフェーズドアレイ UT プローブの小型化を 検討し,複雑形状部においても超音波ビームス キャニングにより検査範囲をカバーし,探傷を 可能にした. Fig.1 にプローブ走査が困難なノズ ル部からの探傷状況と結果 (B-Scope) を示す.
Phased Array ProbeElectrical Variable Angle35°~71NozzlenanmanywayDefect EchoPhoto of Probe Fig. 1 Result of mock-up test using Phased Array UT-255のものか2.2 サイジング技術の向上開発したマトリックスアレイにより試験片で 検出された欠陥は亀裂進展評価のためにサイ の斜め欠陥(人工)の検出性試験を行った.試 ジングする必要がある.サイジング手法として, 験結果を Fig.4 に示す.試験結果から通常のリ 割れ端部による回折波を検出する TOFD(Time ニアアレイでは欠陥の傾きが 20 度では検出で of Flight Diffraction)法及び端部エコー法がある. きなかったことに対して, マトリックスアレイ ここでは,回折波検出性の向上を目的にフェーでは明瞭に検出できていることがわかる. ズドアレイ UT を用いた TOFD 法を開発した. 3.2点集束型アレイ Receiver Transmitterマトリックスアレイは検出性が向上したが, 振動子数が非常に多いため,データ処理も複雑 化し,探傷器・解析装置も高価になる.そこで, 深さ方向の焦点位置が可変で,かつ振動子数が少ない点集束型のリニアアレイを開発した.こ Photo of Phased Array の点集束型プローブで溶接金属中欠陥のサイ Phased Array UT TOFDUT TOFDジング精度向上を検証した.Fig.5 に点集中型ア Fig. 2 Result of Phased Array UT TOFDレイの原理及び検出例を示す.試験は端部エコー法を適用した。実深さ 3.5mm(板厚 10%)に 3. フェーズドアレイを用いたこれからの UT 技術的対して評価深さ 3.9mm となり,高い精度でサイ フェーズドアレイ UT によって従来技術で困ジングができた。 難な箇所の探傷やサイジングの高精度化が可 能となるが,更なる高度化を目指して, マトリ158~600 ックスフェーズドアレイと点集束型リニアア(b) Scanning Image レイを開発した..Assessed ** 3.1 マトリックスフェーズドアレイ:3.9mm 一般のフェーズドアレイは振動子を一次元配Tip Echo 列した構造であるが, マトリックスフェーズド(a) Principle of PointFocus Array アレイは二次元に配列した構造とし,超音波ビCorner ームの 3次元スキャニングが可能となる3.開 発したプローブの概観図を Fig. 3 に示す.Real Depth:3.5mm 3 次元スキャニングによる点集束が可能とな(c) Result of SizingFig. 5 Point Focus Phased Array UT り欠陥の検出性向上が期待できる上に,走査方 向と斜めの欠陥の検出性向上も期待できる. 4.結言ステンレス鋼配管検査の高度化を目的に, フ ェーズドアレイ UT を用いた4種の手法を開発 した。これら手法にて,これまでの UT では検 査困難な部位の検査や,検出性及びサイジングの向上が可能となった。今後,安心・安全な社 (a) Transducer Alignment (b) Photo of Probe会の実現に向け,本技術を展開していく。 Fig. 3 Matrix Phased Array UT Probe Impossible toPossible to detect 参考文献35mm]kayEuntaini(コンティーdetect slant defectにゃんこProbeP12009< ) 2007 ( ) [1] 川浪精一ほか,“非破壊検査の信頼性向上を可能にしたフェーズドアレイ UT 技術”, 三菱重工技報, p18~19 nat0 ALL [21 A. Birks, et al., “Non Destructive Testing Handbook, 1-2080107452] - 20% 108058]second edition, v7, Part3: Test with closelypositioned transducer”, ASNT publication Result of Matrix Phased Array UT-256Fig. 4“ “ステンレス鋼配管超音波探傷技術 “ “増本 光一郎,Koichiro MASUMOTO,斉藤 徹哉,Tetsuya SAITO,松浦 貴之,Takayuki MATSUURA,黒川 正秋,Masaaki KUROKAWA,川浪 精一,Seiichi KAWANAMI“ “ステンレス鋼配管超音波探傷技術 “ “増本 光一郎,Koichiro MASUMOTO,斉藤 徹哉,Tetsuya SAITO,松浦 貴之,Takayuki MATSUURA,黒川 正秋,Masaaki KUROKAWA,川浪 精一,Seiichi KAWANAMI
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