渦電流探傷試験逆問題に対する確率論的評価
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カテゴリ: 第1回
1.緒言
つながるものかという知見が得られておらず、 数値電磁場解析の高度化に伴い、近年渦電流 これは渦電流探傷信号から欠陥形状を推定す 探傷法によって得られた探傷信号より欠陥形 る技術の実用化においてもっとも大きな問題 状を推定するための逆解析技術に関する研究 の一つとなっている。 が数多く行われている[1]。渦電流探傷信号は本研究は以上のような背景により実施され 本来は超音波探傷信号のように欠陥の形状に たものであり、渦電流探傷信号の差異が欠陥形 関する情報を直接的に伝えるものではないが、 状の推定誤差に及ぼす影響を定量的に評価す これらの研究の結果、計算機上の逆解析により、 ることを目的としたものである。数値解析によ 渦電流探傷信号から欠陥の断面形状を良好な り構築された、十分な数の渦電流探傷信号-欠 精度で推定することが可能であると認識され 陥形状データを含むデータベースに基づき、渦 るようになっている。電流探傷信号から欠陥形状を推定するという しかしながら、計算機上で複雑な逆問題解析 逆問題の不適切性について検討する。 を行う必要があるということは、渦電流探傷信 号から欠陥形状を推定するという作業には、不2.数値解析による不適切性評価 適切性という問題が潜在しているということ を意味している。不適切性とは逆問題が一般的 2.1 解析体系 に有する問題であり、この場合では、推定され 本研究では、渦電流探傷法が実際に適用され た欠陥形状から計算される探傷信号が探傷試 ている、軽水炉蒸気発生器伝熱管に発生した軸 験によって得られたものと全く同じであった 方向欠陥をパンケーキ型プローブを用いて探 としても真の形状とは異なったものである可傷し、得られた探傷信号より欠陥の形状を推定 能性があることや、わずかな雑音の混入が欠陥 したことを想定して解析を行った。プローブの 推定結果に大きな影響を及ぼしてしまうこと 励磁周波数は 300 kHz、リフトオフは 0.5 mm と などを意味している。設定した。数値解析における伝熱管の物性値は 現実的には、ある欠陥の形状がどの程度正し 導電率が 1.0 MS/m、比透磁率は 1.0 である。解 く推定されたかどうかの基準には探傷信号の析においてはプローブは欠陥直上を軸方向に 一致の度合いを用いる以外は無いのだが、現状走査するものとし、0.5mm 間隔 41 点からの探傷
PS 6 ? 5ではある信号の差異がどの程度の推定誤差に つながるものかという知見が得られておらず、 これは渦電流探傷信号から欠陥形状を推定す る技術の実用化においてもっとも大きな問題 の一つとなっている。 1. 本研究は以上のような背景により実施され たものであり、渦電流探傷信号の差異が欠陥形 状の推定誤差に及ぼす影響を定量的に評価す ることを目的としたものである。数値解析によ り構築された、十分な数の渦電流探傷信号-欠 陥形状データを含むデータベースに基づき、渦 電流探傷信号から欠陥形状を推定するという 逆問題の不適切性について検討する。2信号を用いて以下の評価は行った。2.2 欠陥モデル -用いた欠陥モデルを Fig.1 に示す。欠陥の境 界形状は図に示す a, b, d, xo, Loの計5つのパラ メータを用いて表現されるものとした。この欠 陥モデルは半楕円形から矩形までの多彩な欠 陥を表すことが出来ることから、実機に発生す る複雑な形状を模擬するだけの十分な表現力 を有するものであると考えられる。欠陥の各パ ラメータは Fig. 1 中に示される値をとるものと し、これら全ての組み合わせ 2,863,245 通りに ついて数値解析を行い、欠陥データベースを作 成した。以下この形状推定を行うべき欠陥を含 んだデータベースをデータベース A と記す。な お、欠陥の幅については、断面形状と比べて探 傷信号に対する影響が小さいことから、本研究 においては 0.2 mm の一定値とした。 _ しかしながら、実際には欠陥の厳密な形状ま でを明らかにすることは必ずしも必要ではな く、欠陥の最大深さと長さについての情報が得 られれば十分であることが多い。また、欠陥形 状の推定において複雑な欠陥モデルを用いる ことは、推定すべきパラメータの数の増大につ ながり、結果として逆解析が困難となることが 予想される。そのため、本研究においては、実 際には Fig. 1のような形状を有する欠陥を、Fig. 2、Fig. 3 のような半楕円形もしくは矩形形状 のものとして形状推定を行うこととした。それ ぞれの場合についてパラメータの組み合わせ は 87,906 通りであり、以後半楕円形欠陥のデ ータベースをデータベース B、矩形欠陥のもの をデータベース C と呼ぶ。いずれの場合につい ても、欠陥の幅はデータベース A と同様、 0.2mm と固定して解析を行っている。2.3 不適切性評価結果データベース A と B、もしくは A と C に含まれ る欠陥の組み合わせ全てについて、 __c = 2/2(cm)-2(cree) 12/2(cm)* と定義する探傷信号の差 と、最大深さおよび長さ の誤差であるAd および Al の値を計算し、渦電流 探傷信号からの欠陥形状推定における推定誤差の評価を行った。ここで Ad と AI の正負はAd = d -d', Al = (a+b)-2a' によって定義した。 - 得られた結果をまとめたものが Table 1, 2 であ る。半楕円モデルを用いた場合は欠陥形状を大き く見積もるのに対し、矩形モデルの場合は小さく 見積もる傾向があることが確認できる。また、全 体的に矩形モデルの方が良好な推定結果を与え るものであることも明らかとなった。inner surface of tube wallLOX=0ParameterValueFrom 0.5 to 5.0mm in 0.25 mm pitch From 0.5 to 5.0mm in 0.25 mm pitch From 10% to 100% in 2.5% pitch From -5.0 to 5.0 mm in 0.5 mm pitch From 0.0 to (a+b) mm in 1.0 mm pitch =Lo × al(a+b) =Lo xb/(a+b)ParameterOooo33Fig. 1 Defect modeling and parametersより定量的な議論を行うために、得られた結 果より深さおよび長さの推定誤差の累積分布関数 を求めたものが Fig. 4 および Fig.5 である。このよ うな累積分布関数を用いることで、探傷信号の差異 であるとより推定形状の誤差の確率を定量的に評価 することが可能となる。例えば、矩形モデルを用い た場合であればP(Ad < 5% | c < 0.050) = 0.99,P(lad < 5% \ e < 0.100) = 0.81,-26010% | < 0.100) - 0.98,Table 1 Relationship between ε and Ad, ALusing the semi-elliptic model (Database B) P(lad < と計算される。 inner surface of tube wallwwwww inner surface of tube walla* XoX-0ParameterarValue From 0.5 to 5.0mm in 0.1 mm pitch A XO X=0arameter<0.075 3.54 <0.1004.03 <0.125 4.50 <0.1505.01 <0.1755.59 <0.2006.21_Value From 0.5 to 5.0mm in 0.1 mm pitch From 10% to 100% in 1% pitch From -5 to 5 mm in 0.5 mm pitch6.75 9.45 12.35 15.53 19.16 23.360.42 0.49 0.55 0.62 0.69 0.770.92 1.45 2.05 2.75 3.56 4.48arXorFig. 2 Semi-elliptic defect modelTable 2 Relationship between ε and Ad , Alusing the rectangular model (Database C)--- inner surface of tube wall▲d(%wt)Al(mm)ble < 0.1001) - 0.98,Table 1 Relationship between ε and Ad, AL using the semi-elliptic model (Database B)ner surface of tube wall▲d(%wt)mean variance <0.050 -2.33 6.18 <0.075 -2.92 10.77 <0.100 -3.03 16.41 <0.125 -2.97 | 23.76 <0.150 2.80 32.79 <0.175 -2.58 43.67 <0.200 -2.31 56.45Al(mm) mean variance -0.18 0.77 -0.30 1.82 -0.36 2.99 -0.39 4.44 -0.41 6.24 -0.43 8.40 0.45 10.93All (mm)a'variance 0.360.92\ad (%wt)mean variance E<0.050 2.72 4.23<0.0753.54 6.75 <0.100 4.03 9.45 <0.125 4.50 12.35 <0.1505.01 15.53 <0.1755.59 19.16 <0.2006.21_ 23.36mean 0.30 0.42 0.49 0.55 0.62 0.69 0.77Value 0.5 to 5.0mm in 0.1 mm pitch 10% to 100% in 1% pitch -5 to 5 mm in 0.5 mm pitch1.45 2.05 2.75 3.56 4.48liptic defect modelTable 2 Relationship between ε and Ad, Alusing the rectangular model (Database C)her surface of tube wallTerray▲d(%wt)mean variance 6<0.0500.77 3.23<0.075 1.49 7.78 <0.100 1.90 13.05 <0.125 2.17 19.40 <0.150 2.41 27.13 <0.175 2.65 36.34 <0.200 2.90 47.18Al(mm) mean variance 0.26 0.73 0.36 1.44 0.40 2.18 0.41 3.13 0.41 4.32 0.40 5.797.590.39XValue -5 to 5.0mm in 0.1 mm pitch 0% to 100% in 1% pitch 5 to 5 mm in 0.5 mm pitchAd %wt)mean variance E<0.050 1.46_ 1.70<0.075 2.42 4.12 <0.1003.16 6.72 <0.125 3.82 9.58 <0.1504.48 12.90 <0.175 5.16 16.75 <0.2005.86 21.20All (mm) mean variance 0.30 0.51 0.42 0.96 0.49 1.34 0.55 1.75 0.62 2.19 0.69 2.69 0.77 2.68gular defect model261 inner surface of tube wallrememorrayway..........wwwwwwwwwwarParameterX=0Value From 0.5 to 5.0mm in 0.1 mm pitchar▲d(%wt)mean variance <0.050 -2.33_ 6.18 <0.075 -2.92 10.77 <0.100 -3.03 16.41 <0.125 -2.97 23.76 <0.150 -2.80 32.79 <0.175 -2.58 43.67 <0.200 -2.31 56.45 11Al(mm) mean variance -0.18 0.77 -0.30 1.82 -0.36 2.99 -0.39 4.44 -0.41 6.24 -0.43 8.40 .0.45 10.93*Ad (%wt)mean variance E <0.0502.72 4.23<0.1755.59_ 19.16 <0.2006.21_ 23.36|AL| (mm) mean variance 0.30 0.36 0.69 3.56 0.77 4.48▲d(%wt)mean variance <0.050 0.77 3.23 <0.075 1.49 7.78 <0.100 1.90 13.05 <0.1252.17 19.40 <0.1502.41 27.13 <0.1752.65 36.34 <0.2002.90 47.18AL(mm) mean variance 0.26 0.73 0.36 1.44 0.40 2.18 0.41 3.13 0.41 4.32 0.40 5.79 0.39 7.59|Ad (%wt)All (mm)Emean <0.0501.46 <0.0752.42 <0.1003.16 <0.1253.82 <0.150 4.48 <0.1755.16 <0.2005.86variance1.70 4.12 6.72 9.58 12.90 16.75 21.20mean 0.30 0.42 0.49 0.55 0.62 0.69 0.77variance 0.51 0.96 1.34 1.75 2.19 2.69 2.68cumulative distribution functionE<0.0500.100 0.150 0.20010 115120 125error in maximum depth (%wt)(a) DepthTerrenamesmarammaningcumulative distribution functionE<0.0500.100 0,150 0.200024!.0.51.0 11.52.53error in length (mm)(b) length Fig. 4 Cumulative distribution function of error in the reconstructions using thesemi-elliptic model. 3.まとめ渦電流探傷信号から欠陥形状を推定するた めの逆問題における不適切性の評価を数値解 析に基づいて行った。誤差の累積分布関数を計 算することで、欠陥形状推定結果がどの程度の 誤差の確率を含んでいるのかに関する定量的 な評価が可能となることを示した。 通常、本研究で取り扱ったように特別な雑音 源が存在しない体系においては、精密探傷によ って得られた探傷信号と、数値解析との差の度 合いは 5%程度である。本結果より、そのよう な体系においては、得られた渦電流探傷信号よ り欠陥形状を精度良く推定することは十分に 可能であり、またその際に複雑な欠陥モデルを 用いずとも欠陥の最大深さ、長さについては精 度良く推定することが可能であるということcumulative distribution function!E<0.0500,100 0.150 0.200?253010 15 2 0 error in maximum depth (%wt)(a) Depthcumulative distribution function£50.0500.100 0.150 0.200ドクター10202515 error in maximum depth (%wt)(b) Length Fig. 5 Cumulative distribution function of error in the reconstructions using therectangular modelも明らかとなった。今回取り扱った体系においては、形状を半楕 円もしくは矩形として欠陥形状の推定を行っ た場合、前者は欠陥を大きく見積る傾向がある のに対し、後者は小さく見積もる傾向があると いうことが明らかとなった。また、全体的に、 形状を矩形として行った推定結果の方が、半楕 円形として行った場合よりも、探傷信号のずれ の程度が同じであるのならば良好な推定結果 となっている可能性が高いということも判明 した。参考文献 [1] B.A. Auld and J.C. Moulder, “Review ofadvances in quantitative eddy current nondestructive evaluation”, Journal of Nondestr. Eval., Vol. 18, 1999, pp. 3-36.-262“ “渦電流探傷試験逆問題に対する確率論的評価 “ “遊佐 訓孝,Noritaka YUSA,陳 振茂,Zhenmao ZHEN,宮 健三,Kenzo MIYA“ “渦電流探傷試験逆問題に対する確率論的評価 “ “遊佐 訓孝,Noritaka YUSA,陳 振茂,Zhenmao ZHEN,宮 健三,Kenzo MIYA
つながるものかという知見が得られておらず、 数値電磁場解析の高度化に伴い、近年渦電流 これは渦電流探傷信号から欠陥形状を推定す 探傷法によって得られた探傷信号より欠陥形 る技術の実用化においてもっとも大きな問題 状を推定するための逆解析技術に関する研究 の一つとなっている。 が数多く行われている[1]。渦電流探傷信号は本研究は以上のような背景により実施され 本来は超音波探傷信号のように欠陥の形状に たものであり、渦電流探傷信号の差異が欠陥形 関する情報を直接的に伝えるものではないが、 状の推定誤差に及ぼす影響を定量的に評価す これらの研究の結果、計算機上の逆解析により、 ることを目的としたものである。数値解析によ 渦電流探傷信号から欠陥の断面形状を良好な り構築された、十分な数の渦電流探傷信号-欠 精度で推定することが可能であると認識され 陥形状データを含むデータベースに基づき、渦 るようになっている。電流探傷信号から欠陥形状を推定するという しかしながら、計算機上で複雑な逆問題解析 逆問題の不適切性について検討する。 を行う必要があるということは、渦電流探傷信 号から欠陥形状を推定するという作業には、不2.数値解析による不適切性評価 適切性という問題が潜在しているということ を意味している。不適切性とは逆問題が一般的 2.1 解析体系 に有する問題であり、この場合では、推定され 本研究では、渦電流探傷法が実際に適用され た欠陥形状から計算される探傷信号が探傷試 ている、軽水炉蒸気発生器伝熱管に発生した軸 験によって得られたものと全く同じであった 方向欠陥をパンケーキ型プローブを用いて探 としても真の形状とは異なったものである可傷し、得られた探傷信号より欠陥の形状を推定 能性があることや、わずかな雑音の混入が欠陥 したことを想定して解析を行った。プローブの 推定結果に大きな影響を及ぼしてしまうこと 励磁周波数は 300 kHz、リフトオフは 0.5 mm と などを意味している。設定した。数値解析における伝熱管の物性値は 現実的には、ある欠陥の形状がどの程度正し 導電率が 1.0 MS/m、比透磁率は 1.0 である。解 く推定されたかどうかの基準には探傷信号の析においてはプローブは欠陥直上を軸方向に 一致の度合いを用いる以外は無いのだが、現状走査するものとし、0.5mm 間隔 41 点からの探傷
PS 6 ? 5ではある信号の差異がどの程度の推定誤差に つながるものかという知見が得られておらず、 これは渦電流探傷信号から欠陥形状を推定す る技術の実用化においてもっとも大きな問題 の一つとなっている。 1. 本研究は以上のような背景により実施され たものであり、渦電流探傷信号の差異が欠陥形 状の推定誤差に及ぼす影響を定量的に評価す ることを目的としたものである。数値解析によ り構築された、十分な数の渦電流探傷信号-欠 陥形状データを含むデータベースに基づき、渦 電流探傷信号から欠陥形状を推定するという 逆問題の不適切性について検討する。2信号を用いて以下の評価は行った。2.2 欠陥モデル -用いた欠陥モデルを Fig.1 に示す。欠陥の境 界形状は図に示す a, b, d, xo, Loの計5つのパラ メータを用いて表現されるものとした。この欠 陥モデルは半楕円形から矩形までの多彩な欠 陥を表すことが出来ることから、実機に発生す る複雑な形状を模擬するだけの十分な表現力 を有するものであると考えられる。欠陥の各パ ラメータは Fig. 1 中に示される値をとるものと し、これら全ての組み合わせ 2,863,245 通りに ついて数値解析を行い、欠陥データベースを作 成した。以下この形状推定を行うべき欠陥を含 んだデータベースをデータベース A と記す。な お、欠陥の幅については、断面形状と比べて探 傷信号に対する影響が小さいことから、本研究 においては 0.2 mm の一定値とした。 _ しかしながら、実際には欠陥の厳密な形状ま でを明らかにすることは必ずしも必要ではな く、欠陥の最大深さと長さについての情報が得 られれば十分であることが多い。また、欠陥形 状の推定において複雑な欠陥モデルを用いる ことは、推定すべきパラメータの数の増大につ ながり、結果として逆解析が困難となることが 予想される。そのため、本研究においては、実 際には Fig. 1のような形状を有する欠陥を、Fig. 2、Fig. 3 のような半楕円形もしくは矩形形状 のものとして形状推定を行うこととした。それ ぞれの場合についてパラメータの組み合わせ は 87,906 通りであり、以後半楕円形欠陥のデ ータベースをデータベース B、矩形欠陥のもの をデータベース C と呼ぶ。いずれの場合につい ても、欠陥の幅はデータベース A と同様、 0.2mm と固定して解析を行っている。2.3 不適切性評価結果データベース A と B、もしくは A と C に含まれ る欠陥の組み合わせ全てについて、 __c = 2/2(cm)-2(cree) 12/2(cm)* と定義する探傷信号の差 と、最大深さおよび長さ の誤差であるAd および Al の値を計算し、渦電流 探傷信号からの欠陥形状推定における推定誤差の評価を行った。ここで Ad と AI の正負はAd = d -d', Al = (a+b)-2a' によって定義した。 - 得られた結果をまとめたものが Table 1, 2 であ る。半楕円モデルを用いた場合は欠陥形状を大き く見積もるのに対し、矩形モデルの場合は小さく 見積もる傾向があることが確認できる。また、全 体的に矩形モデルの方が良好な推定結果を与え るものであることも明らかとなった。inner surface of tube wallLOX=0ParameterValueFrom 0.5 to 5.0mm in 0.25 mm pitch From 0.5 to 5.0mm in 0.25 mm pitch From 10% to 100% in 2.5% pitch From -5.0 to 5.0 mm in 0.5 mm pitch From 0.0 to (a+b) mm in 1.0 mm pitch =Lo × al(a+b) =Lo xb/(a+b)ParameterOooo33Fig. 1 Defect modeling and parametersより定量的な議論を行うために、得られた結 果より深さおよび長さの推定誤差の累積分布関数 を求めたものが Fig. 4 および Fig.5 である。このよ うな累積分布関数を用いることで、探傷信号の差異 であるとより推定形状の誤差の確率を定量的に評価 することが可能となる。例えば、矩形モデルを用い た場合であればP(Ad < 5% | c < 0.050) = 0.99,P(lad < 5% \ e < 0.100) = 0.81,-26010% | < 0.100) - 0.98,Table 1 Relationship between ε and Ad, ALusing the semi-elliptic model (Database B) P(lad < と計算される。 inner surface of tube wallwwwww inner surface of tube walla* XoX-0ParameterarValue From 0.5 to 5.0mm in 0.1 mm pitch A XO X=0arameter<0.075 3.54 <0.1004.03 <0.125 4.50 <0.1505.01 <0.1755.59 <0.2006.21_Value From 0.5 to 5.0mm in 0.1 mm pitch From 10% to 100% in 1% pitch From -5 to 5 mm in 0.5 mm pitch6.75 9.45 12.35 15.53 19.16 23.360.42 0.49 0.55 0.62 0.69 0.770.92 1.45 2.05 2.75 3.56 4.48arXorFig. 2 Semi-elliptic defect modelTable 2 Relationship between ε and Ad , Alusing the rectangular model (Database C)--- inner surface of tube wall▲d(%wt)Al(mm)ble < 0.1001) - 0.98,Table 1 Relationship between ε and Ad, AL using the semi-elliptic model (Database B)ner surface of tube wall▲d(%wt)mean variance <0.050 -2.33 6.18 <0.075 -2.92 10.77 <0.100 -3.03 16.41 <0.125 -2.97 | 23.76 <0.150 2.80 32.79 <0.175 -2.58 43.67 <0.200 -2.31 56.45Al(mm) mean variance -0.18 0.77 -0.30 1.82 -0.36 2.99 -0.39 4.44 -0.41 6.24 -0.43 8.40 0.45 10.93All (mm)a'variance 0.360.92\ad (%wt)mean variance E<0.050 2.72 4.23<0.0753.54 6.75 <0.100 4.03 9.45 <0.125 4.50 12.35 <0.1505.01 15.53 <0.1755.59 19.16 <0.2006.21_ 23.36mean 0.30 0.42 0.49 0.55 0.62 0.69 0.77Value 0.5 to 5.0mm in 0.1 mm pitch 10% to 100% in 1% pitch -5 to 5 mm in 0.5 mm pitch1.45 2.05 2.75 3.56 4.48liptic defect modelTable 2 Relationship between ε and Ad, Alusing the rectangular model (Database C)her surface of tube wallTerray▲d(%wt)mean variance 6<0.0500.77 3.23<0.075 1.49 7.78 <0.100 1.90 13.05 <0.125 2.17 19.40 <0.150 2.41 27.13 <0.175 2.65 36.34 <0.200 2.90 47.18Al(mm) mean variance 0.26 0.73 0.36 1.44 0.40 2.18 0.41 3.13 0.41 4.32 0.40 5.797.590.39XValue -5 to 5.0mm in 0.1 mm pitch 0% to 100% in 1% pitch 5 to 5 mm in 0.5 mm pitchAd %wt)mean variance E<0.050 1.46_ 1.70<0.075 2.42 4.12 <0.1003.16 6.72 <0.125 3.82 9.58 <0.1504.48 12.90 <0.175 5.16 16.75 <0.2005.86 21.20All (mm) mean variance 0.30 0.51 0.42 0.96 0.49 1.34 0.55 1.75 0.62 2.19 0.69 2.69 0.77 2.68gular defect model261 inner surface of tube wallrememorrayway..........wwwwwwwwwwarParameterX=0Value From 0.5 to 5.0mm in 0.1 mm pitchar▲d(%wt)mean variance <0.050 -2.33_ 6.18 <0.075 -2.92 10.77 <0.100 -3.03 16.41 <0.125 -2.97 23.76 <0.150 -2.80 32.79 <0.175 -2.58 43.67 <0.200 -2.31 56.45 11Al(mm) mean variance -0.18 0.77 -0.30 1.82 -0.36 2.99 -0.39 4.44 -0.41 6.24 -0.43 8.40 .0.45 10.93*Ad (%wt)mean variance E <0.0502.72 4.23<0.1755.59_ 19.16 <0.2006.21_ 23.36|AL| (mm) mean variance 0.30 0.36 0.69 3.56 0.77 4.48▲d(%wt)mean variance <0.050 0.77 3.23 <0.075 1.49 7.78 <0.100 1.90 13.05 <0.1252.17 19.40 <0.1502.41 27.13 <0.1752.65 36.34 <0.2002.90 47.18AL(mm) mean variance 0.26 0.73 0.36 1.44 0.40 2.18 0.41 3.13 0.41 4.32 0.40 5.79 0.39 7.59|Ad (%wt)All (mm)Emean <0.0501.46 <0.0752.42 <0.1003.16 <0.1253.82 <0.150 4.48 <0.1755.16 <0.2005.86variance1.70 4.12 6.72 9.58 12.90 16.75 21.20mean 0.30 0.42 0.49 0.55 0.62 0.69 0.77variance 0.51 0.96 1.34 1.75 2.19 2.69 2.68cumulative distribution functionE<0.0500.100 0.150 0.20010 115120 125error in maximum depth (%wt)(a) DepthTerrenamesmarammaningcumulative distribution functionE<0.0500.100 0,150 0.200024!.0.51.0 11.52.53error in length (mm)(b) length Fig. 4 Cumulative distribution function of error in the reconstructions using thesemi-elliptic model. 3.まとめ渦電流探傷信号から欠陥形状を推定するた めの逆問題における不適切性の評価を数値解 析に基づいて行った。誤差の累積分布関数を計 算することで、欠陥形状推定結果がどの程度の 誤差の確率を含んでいるのかに関する定量的 な評価が可能となることを示した。 通常、本研究で取り扱ったように特別な雑音 源が存在しない体系においては、精密探傷によ って得られた探傷信号と、数値解析との差の度 合いは 5%程度である。本結果より、そのよう な体系においては、得られた渦電流探傷信号よ り欠陥形状を精度良く推定することは十分に 可能であり、またその際に複雑な欠陥モデルを 用いずとも欠陥の最大深さ、長さについては精 度良く推定することが可能であるということcumulative distribution function!E<0.0500,100 0.150 0.200?253010 15 2 0 error in maximum depth (%wt)(a) Depthcumulative distribution function£50.0500.100 0.150 0.200ドクター10202515 error in maximum depth (%wt)(b) Length Fig. 5 Cumulative distribution function of error in the reconstructions using therectangular modelも明らかとなった。今回取り扱った体系においては、形状を半楕 円もしくは矩形として欠陥形状の推定を行っ た場合、前者は欠陥を大きく見積る傾向がある のに対し、後者は小さく見積もる傾向があると いうことが明らかとなった。また、全体的に、 形状を矩形として行った推定結果の方が、半楕 円形として行った場合よりも、探傷信号のずれ の程度が同じであるのならば良好な推定結果 となっている可能性が高いということも判明 した。参考文献 [1] B.A. Auld and J.C. Moulder, “Review ofadvances in quantitative eddy current nondestructive evaluation”, Journal of Nondestr. Eval., Vol. 18, 1999, pp. 3-36.-262“ “渦電流探傷試験逆問題に対する確率論的評価 “ “遊佐 訓孝,Noritaka YUSA,陳 振茂,Zhenmao ZHEN,宮 健三,Kenzo MIYA“ “渦電流探傷試験逆問題に対する確率論的評価 “ “遊佐 訓孝,Noritaka YUSA,陳 振茂,Zhenmao ZHEN,宮 健三,Kenzo MIYA