原子力安全規制の基本姿勢について
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カテゴリ: 第1回
I.はじめに
1 原子力安全・保安院は、原子力をはじめエネルギーに係る安全の確保等を図 るための機関として平成13年1月に発足し、以来、約3年半が経過したとこ ろです。その間、当院は、「国民の安全の確保と環境の保全」を組織目標とし、 常に公正、中立そして新しい視点に立ちながら職員一丸となってその目標達成 のため、日夜努力を積み重ねてきました。特に昨年は、我が国に導入されて30余年が経過した原子力の安全規制につ いて、昨今の社会環境の変化及び平成14年夏に明らかとなった原子力発電所 における一連の不正問題を踏まえ、抜本的に見直すという大きな改革を実現し ました。このたびは、これまでの規制改革によって誕生した新たな原子力安全 規制の基本姿勢について、その基本的な考え方に立ち返りながら今一度整理し、 本冊子にわかりやすく示すこととしました。 - なお、本冊子では、原子力安全規制とともに、国民の安全の確保と環境の保 全に必要不可欠な柱である原子力防災やセキュリティ対策についても取り上げ ました。国民の皆様に原子力安全・保安院の仕事の全体像を理解していただく ための手がかりとなれば幸いです。
II. 原子力安全・保安院の基本理念原子力安全・保安院は、基本理念として、以下の組織目標と行動規範を掲げ、 国民から負託を受けたエージェント(代理人)として活動しています。原子力 安全委員会によるダブルチェック体制の下、原子力安全・保安院が行う原子力 安全規制は、これら基本理念に則って実施されています。国民の安全の確保と環境の保全【組織目標】 =【行動規範】 1「強い使命感」 ・常に国民の安全を第一に考え、緊張感をもって任務を行います。 ・緊急時には安全確保のため積極果敢に行動します。 ・業務運営を不断に見直し、活動を質的に向上させます。2「科学的・合理的な判断」 ・安全確保を目標とする専門機関として、現場を正確に把握します。 ・十分な情報・データをもとに科学的知見に基づいた合理的な判断を行います。3「業務執行の透明性」 ・何ごとも秘密にすることなく、日々の業務執行状況について情報公開に取 り組みます。 ・原子力安全・保安院が何を考え、どのように行動したのか、すなわち「自 「分自身を説明する」責任を果たします。4 「中立性・公正性」 ・安全規制機関として常に中立・公正な判断を行います。 ・産業界の利益追求をおもんぱかって判断を左右しません。-5II. 原子力安全規制の基本姿勢原子力安全・保安院は、発足以来、原子力安全規制について、常に新しい視 点で見直しを行ってきました。さらに昨年、昨今の社会環境の変化及び一連の 不正問題を踏まえ、従来の原子力安全規制を抜本的に改めることとしました。 当院は、これらの規制改革を次の三つの基本的考え方に基づいて実施し、これ までに以下のような新たな原子力安全規制及び関係する施策を講じました。11 【事業者の自主保安を大前提とする国の安全規制】事業者が品質保証体制を確立・実践し、さらに国が 度な手法によりチェックすることによって、原子力の安 全を確かなものとします。原子力の安全確保とは、原子力利用に伴うリスクを適切に管理すること によって災害を未然に防止し、国民や従業員の安全並びに周辺環境の保全を 確保することです。それは、原子力事業者が、安全確保のために必要な広範 な活動を自己管理・自己責任のもとに的確に実施するとともに、国が事業者 の活動を規制によりしっかりとチェックすることで実現します。○事業者・・・原子炉等規制法による許認可を受けて、原子力事業を実施 する「プレイヤー」として、国民に原子力安全を提供する一義的責任を負っ ています。規制改革により、事業者は自らの責任において、原子力安全を優 先する明確な経営方針のもとで品質保証体制を構築し的確な安全管理を行っ ていくこととなりました。ここでいう品質保証体制とは、会社の責任者が行 うトップマネジメントにより、トップから現場まで関係者全員が高い意識を 持って、安全確保に取り組む体制を意味します。従って、単に安全という結 果があればいいのではなく、途中のあらゆるプロセスも問われるのです。事 業者は、関連会社も含めたあらゆる従業員が不断に技術的能力を高めつつ、 安全意識をつないでいく必要があります。○国・・・中立公正な「レフェリー」として、事業者の活動を監視、規制 「する責務を負っています。国は、事業者が遵守すべき安全規制制度を整え(ル |ールメイキング)、事業者の活動を適切に審査・検査します(チェック)。規 |制改革により、国は、事業者の品質保証体制をチェックすることとなりまし た。従って、検査の方法も、これまでのような単に結果を確認するだけのマ ニュアル型検査ではなく、抜き打ち検査により途中のプロセスをチェックす るプロセス型検査に変更しました。このように検査が高度化したので、国は、 規制に携わる職員の資質向上に不断の努力を払う必要があります。-6(規制改革の実績) ☆品質保証体制の確立(平成15年10月~)・事業者・・・品質保証体制の確立を図ることにつき、原子炉等規制法に基 づく保安規定に記載。保安に関する組織を指揮し、管理するとともに、保安活 動を継続的に計画、実施、評価し、改善するいわゆるPDCAサイクル(Plan -Do-Check-Act)を回すことにより、継続的な改善を行う。・国・・・安全規制の要求に基づく品質保証活動を盛り込んだ保安規定を認 可し、保安検査により、事業者の遵守状況をチェック。★定期事業者検査制度の導入(平成15年10月~)・事業者・・・従来自主点検としていたものを電気事業法に基づく定期事業 者検査として13か月毎に実施(法定義務化)。・国・・・事業者の検査体制を独立行政法人原子力安全基盤機構(平成15 年10月発足)が審査し、原子力安全・保安院が当該審査結果を評定(国によ るチェック)一定期安全レビューの法定化(平成15年10月~)・事業者・・・従来任意で実施していたものを原子炉等規制法に基づく保安 規定に記載して10年毎に実施。・国・・・保安検査により、事業者が実施しているかどうかをチェック。★国の検査官の資質向上プログラム(平成15年12月~) 原子力安全・保安院は、平成15年度より、特別検査指導官制度を導入し、 優秀なベテラン検査官のノウハウを若手検査官に引き継ぎ、検査官全体の資質 向上を目指す特別プログラムを推進しています。そこが知りたい! Q&AQ:規制改革によって検査内容が増えましたが、国の検査官のあるべき姿 は?A:検査官は、原子力安全・保安院の代表者としてプロ意識を持ち、「安 |全」を実現するために真に重要な事項に着目すべきです。検査の過程で見つ かる不適切な事項から、安全の劣化の予兆を察し、未然に防止することが必 要です。Q:規制改革によって、事業者には過剰な規制が課されたのではないです か?A:過剰というのは誤解です。規制改革は、事業者が本来やるべきことを 法令で明確にしたものです。事業者には、あくまでも安全確保の第一義的な 責任を負う立場で活動することが期待されます。ただ、制度改正の移行期に おける検査項目の重複などは速やかに解消します。-72【安全規制における科学的合理性・客観性・公正性の確保】安全規制は現場の実情に即し、科学的合理性・客観性 ・公正性を重要な尺度として実施されるべきものです。」のため、原子力安全・保安院は、決して立ち止まるこ となく、スピーディにアクティブに動き、規制を絶えず、1 見直し、改革し、前進させます。○科学的合理性・・・技術革新など最新の科学的知見を適切に規制に反映さ せ、安全規制の有効性と効率性を最大限発揮させることが重要です。従って、 原子力安全・保安院は、例えば、原子力安全基盤機構の専門的知見を活用す るなど、常に科学的合理性を追求し、よりよい規制を目指します。また、事 業者の協力を得て、現場のデータを収集し、現実的な規制の実施に努める必 要があります。このほか、様々な規格や基準についての国際的動向に留意す ることも重要です。|○客観性...安全規制の仕組みや基準は明文化されかつ明確であること が、国民や事業者にとって重要です。○公正性・・・原子力安全・保安院は、安全規制機関として常に中立公正な 立場で行動していますが、さらに原子力安全委員会によるチェックを受ける ことにより、公正性が一層確保されます。(規制改革の実績) ☆健全性評価制度における民間規格の導入(科学的合理性の確保)(平成15 年10月~) - 事業者に対し、定期事業者検査の際に健全性評価を実施し、その結果を原子 力安全・保安院へ報告することを義務付けました。その評価に係る審査基準と して、日本機械学会が策定した民間規格の技術的妥当性を確認した上で、これ を基準として活用することとしました。☆工事計画認可対象や事故、故障等の報告基準の明確化(客観性の確保)(平 成15年10月~) - 事業者が工事計画や事故、故障等について、より的確に原子力安全・保安院 に申請、報告出来るよう、従来にも増して認可対象や報告基準等の明確化を行 いました。★安全規制体制の大幅強化 ・原子力安全委員会によるダブルチェック体制の強化(公正性の確保) (平成15年4月~) 原子力安全・保安院の行う一次規制を原子力安全委員会がチェックする、い-8わゆるダブルチェック体制を大幅に強化しました。・独立行政法人原子力安全基盤機構の設立(科学的合理性の確保) (平成15年10月~) 原子力安全に関する専門家集団として、原子力安全基盤機構が設立されまし た。これにより、従来国からの委託で実施していた調査・試験研究事業による 知見の集約を図るとともに、新たに導入された定期安全管理審査を含めて検査 等の業務を行う体制を整備しました。同機構が安全規制の高度化・合理化に貢 献することが期待されます。そこが知りたい! Q&AQ:安全規制は軽々に改変されるべきではないとの考え方もあるし、一方 で今よりもっと合理的な規制を目指すべきではないかとの考え方もありま す。原子力安全・保安院の方向性はどうですか?A:原子力安全規制は、常に最新の科学技術水準に照らし、規制の実施状 況を見直しながら最も合理的な形で実施されるべきものです。従って、既存 の規制を単に固定的あるいは硬直的に運用すべきとの考え方は適切ではあり ません。原子力安全・保安院は、常に科学的合理性を追求しつつ、原子力安全規制 を「より実効性のあるもの」にするための検討を行うこととしています。そ の結果、規制が強化されることも緩和されることもあり得るわけですが、そ の両方を指して「規制の合理化」と言うのが適切です。Q:専門技術的な検査を原子力安全基盤機構が実施するとのことですが、 国がやるべきではないですか? 国の検査への取り組みが後退したように感 じられますがどうですか?* A:原子力安全基盤機構は原子力に関する専門家集団として平成15年1 0月に発足しました。同機構は、原子力安全・保安院と一体となって原子力 安全確保に係る業務を実施する独立行政法人であり、広い意味での国として の取り組みは同機構の設立により充実したものとなっています。原子力安全 ・保安院と原子力安全基盤機構は、正に「車の両輪」です。-93【徹底した情報公開と説明責任】国と事業者は、徹底した情報公開を通じ、透明性の確 保に努めるとともに、説明責任を果たし、国民の理解」 得られるよう努力します。「原子力の安全」についての直接の利害関係者は国民です。従って、事業 者や国の活動については、国民の視点に立って、明らかにされるべきであり、 事業者及び国にはそうした観点から透明性のある徹底した情報公開と説明責 任が求められています。|O事業者・・・原子力の安全確保について一義的な責任を負う者として、国 民に対する徹底した情報公開と説明責任が求められています。|○国・・・国民の視点に立って、安全規制の考え方、各種の基準や実際に講 じた措置、日々の規制活動について、透明性を確保しつつ、十分な説明を行 う必要があります。(規制改革の実績) ☆指導文書(NISA文書)の制定(国の透明性確保)(平成13年9月~) 原子力安全・保安院は、事業者を行政指導するに当たっては、透明性の確保 が重要であることから、特にNISA文書という体系的な指導文書を発行し、 全てホームページで公開しています。☆軽微な事象を含めた情報の収集・提供体制の整備(事業者における情報公開 の強化)(平成15年10月~) - 事業者において、軽微な事象に係る情報を含めたトラブル情報を適切に収集 し整理する体制(NUCIA) を構築しました。10☆国の広聴・広報活動の強化(国における説明責任)(平成15年度~) ・平成15年度中に、原子力安全・保安院のホームページやパンフレットをわ かりやすい内容に改訂したほか、安全規制の最新情報を盛り込んだニュースレ ターを立地地域の皆様全戸に配布するなどの取組みを開始しました。 ・また、平成16年4月1日付けで「原子力安全広報課」を新設したほか、平 成16年度より、原子力安全規制に係る広聴・広報予算を新規で確保しました。 これらの取組みにより、地元の方々をはじめとする国民各層のニーズに対応し たきめ細かなコミュニケーションが可能となりました。 ・さらに、平成16年4月以降、福井県若狭地域、新潟県柏崎刈羽地域、福島 県双葉地域及び青森県六ヶ所地域に原子力安全地域広報官を配置し、地元との 対話を推進しております。そこが知りたい! Q&AQ:原子力安全広報課を新設したということですが、何が変わったのです か?* A:旧来の広報活動に用いられた手法を根本的に改めます。情報発信のみ ならずそれに対する外部からのフィードバックを取り込み、国民をはじめ様 々なステークホルダー(利害関係者)との間で良好な関係を築き、信頼を得 ていくよう努めます。これを「リレーションシップ・マネジメント」と呼び |積極的に推進します。Q:原子力安全地域広報官は何をするのですか?A:原子力安全地域広報官は、立地自治体及び住民に対する定常的な広報 ・広聴活動の責任者、コンタクトポイントです。文字通り、「現場の顔」と して、原子力安全・保安院の活動等安全規制の現状について情報提供を行う とともに、立地地域における意見等の収集を行ってまいります。11IV. 原子力防災への取組原子力発電所の事故等による外部への大量の放射性物質の放出などの原 子力災害は、本来あってはならないことです。しかし、原子力安全・保安院 では、 万一の事態が生じた場合でも、国民の生命、身体、財産を守り、被 害を最小限に抑えることができるよう、常日頃から訓練や準備に努めるなど、 万全の態勢で臨んでいます。(原子力防災施策の実績) ☆原子力防災訓練の実施(平成12年~)毎年一回、内閣総理大臣始め主要閣僚のほか、国、地方公共団体、原子力 事業者、地域住民の方々など幅広い参加者を得て、原子力総合防災訓練を実 施しています。その他にも、原子力安全・保安院内訓練、地方公共団体の訓練支援などを 実施するなど、常に緊急事態に備えた訓練や準備に努めています。☆オフサイトセンターの整備(平成12年~)原子力災害が起こった場合に、地域における緊急時対応の拠点となるオフ サイトセンターを原子力発電所等の近傍に整備しています。オフサイトセン ターには原子力安全・保安院の原子力防災専門官が常駐しています。☆研修等を通じた地域の原子力防災体制整備の支援(平成12年~)地方公共団体の職員はもとより、警察官、消防官、自衛官をも対象として、 原子力防災に関するさまざまな研修や、各種マニュアルの整備を実施してい ます。また、地方公共団体における緊急時ネットワーク整備、原子力防災資 機材整備などに対して、財政的支援を行っています。☆原子力安全・保安院の緊急時対応体制の整備(平成12年~)災害はいつやってくるか分かりません。そこで、原子力安全・保安院では、 研修や院内講演会等を通じて常日頃から職員に緊張感を持たせ、防災意識の 涵養に努めています。また、24時間365日体制で宿直・日直として職員 を常駐させ、強い地震等の突然の事態にも対応できるよう万全の体制をとっ ています。☆アクシデント・マネジメントの実施(平成12年~)原子力発電所は、設置の際の安全審査等において厳しく審査され、安全性 に十分な余裕をもって設計されています。しかし、実際には、設計上の限界 を超える事故が起こる可能性が全くないとは言い切れません。このため、原 子力安全・保安院では、設計上の安全限界を超えた事故を想定し、そうした - 事故にどのように対応すれば被害を最小限に抑えることができるのか、原子 力事業者とともに検討を行っています。国際的な試験研究にも参加して、万 一の事態の収拾策を多角的に研究しています。12V. セキュリティ対策の推進近年、日本人が対象となるテロ事件も発生するなど、テロに対する不安が 高まっています。こうした中で、諸外国では、情報管理に十分な配慮をしつ |つ、原子力施設のセキュリティ対策を進めています。原子力安全・保安院では、原子力施設からの核物質の盗取や、原子力施設に対する攻撃によって、 「国民の生命、身体、財産が脅かされないよう、 国際的な動向を踏まえたセ |キュリティ対策を積極的に進めていきます。(セキュリティ対策の実績) ☆治安当局との連携強化(平成13年~)平成13年9月11日の米国同時多発テロ事件以降、全国の原子力発電所 では、特別の警察部隊、海上保安庁の巡視船艇により、24時間態勢で厳重 な警備が行われています。また、原子力安全・保安院と治安当局との間の人 事交流や定期的な連絡の実施など、治安当局との連携強化を進めています。☆原子力事業者への指導強化(平成13年~)原子力発電所においては、重要な区域を「防護区域」として位置付け、厳 重に管理するなど、従来から万全のセキュリティ関連規制を行ってきました。 原子力安全・保安院では、テロの脅威の増大等近年の国際情勢の変化を受け、 ゲートにおける出入管理の強化、構内巡視態勢の見直し、緊急事態への対応 体制の整備など、原子力発電所のセキュリティの強化を指導しています。☆国際的なセキュリティ強化への貢献(平成13年~)IAEA(国際原子力機関)では、現在、各国の核物質防護体制を整備し、 国際的な観点から原子力施設のセキュリティを強化するため、核物質防護条 約の改正について議論しています。原子力安全・保安院は、この条約改正交 渉に積極的に参加し、国際的な観点からの原子力施設のセキュリティ強化に 貢献しています。☆有事における原子力施設防護策の検討(平成16年)現在、一連のいわゆる有事法制が議論されているなど我が国が外敵からの 武力攻撃等を受けた場合の対応策が真剣に検討されています。原子力安全・ 保安院では、内閣官房や国防・治安当局、原子力安全委員会、地方公共団体 等とも連携し、武力攻撃等を受けた際の安全な原子炉の停止の在り方など、 有事における原子力施設の防護策の検討に着手しています。☆核物質防護対策室の創設(平成16年)原子力施設におけるセキュリティ対策をより一層強化するため、平成16 年4月から、原子力安全・保安院内に「核物質防護対策室」を新たに設置し ました。-13V. おわりに原子力安全・保安院としては、原子力安全規制については、まずは新しい制 度を定着させ、より実効あるものとし、規制の信頼性を向上させるよう努力を 重ねていきます。それと同時に、前述した三つの基本的考え方に基づいて、新 たな課題に取り組み、原子力安全規制をより望ましいものにできるよう不断の 検討を行っていきます。また、原子力防災やセキュリティ対策についても、万 全の体制で取り組んでまいります。 - 本冊子を通じ、原子力安全・保安院の基本姿勢と新たな原子力安全の取り組 みについて、理解を深めていただけることを期待しております。-14“ “原子力安全規制の基本姿勢について“ “原子力安全・保安院“ “原子力安全規制の基本姿勢について“ “原子力安全・保安院
1 原子力安全・保安院は、原子力をはじめエネルギーに係る安全の確保等を図 るための機関として平成13年1月に発足し、以来、約3年半が経過したとこ ろです。その間、当院は、「国民の安全の確保と環境の保全」を組織目標とし、 常に公正、中立そして新しい視点に立ちながら職員一丸となってその目標達成 のため、日夜努力を積み重ねてきました。特に昨年は、我が国に導入されて30余年が経過した原子力の安全規制につ いて、昨今の社会環境の変化及び平成14年夏に明らかとなった原子力発電所 における一連の不正問題を踏まえ、抜本的に見直すという大きな改革を実現し ました。このたびは、これまでの規制改革によって誕生した新たな原子力安全 規制の基本姿勢について、その基本的な考え方に立ち返りながら今一度整理し、 本冊子にわかりやすく示すこととしました。 - なお、本冊子では、原子力安全規制とともに、国民の安全の確保と環境の保 全に必要不可欠な柱である原子力防災やセキュリティ対策についても取り上げ ました。国民の皆様に原子力安全・保安院の仕事の全体像を理解していただく ための手がかりとなれば幸いです。
II. 原子力安全・保安院の基本理念原子力安全・保安院は、基本理念として、以下の組織目標と行動規範を掲げ、 国民から負託を受けたエージェント(代理人)として活動しています。原子力 安全委員会によるダブルチェック体制の下、原子力安全・保安院が行う原子力 安全規制は、これら基本理念に則って実施されています。国民の安全の確保と環境の保全【組織目標】 =【行動規範】 1「強い使命感」 ・常に国民の安全を第一に考え、緊張感をもって任務を行います。 ・緊急時には安全確保のため積極果敢に行動します。 ・業務運営を不断に見直し、活動を質的に向上させます。2「科学的・合理的な判断」 ・安全確保を目標とする専門機関として、現場を正確に把握します。 ・十分な情報・データをもとに科学的知見に基づいた合理的な判断を行います。3「業務執行の透明性」 ・何ごとも秘密にすることなく、日々の業務執行状況について情報公開に取 り組みます。 ・原子力安全・保安院が何を考え、どのように行動したのか、すなわち「自 「分自身を説明する」責任を果たします。4 「中立性・公正性」 ・安全規制機関として常に中立・公正な判断を行います。 ・産業界の利益追求をおもんぱかって判断を左右しません。-5II. 原子力安全規制の基本姿勢原子力安全・保安院は、発足以来、原子力安全規制について、常に新しい視 点で見直しを行ってきました。さらに昨年、昨今の社会環境の変化及び一連の 不正問題を踏まえ、従来の原子力安全規制を抜本的に改めることとしました。 当院は、これらの規制改革を次の三つの基本的考え方に基づいて実施し、これ までに以下のような新たな原子力安全規制及び関係する施策を講じました。11 【事業者の自主保安を大前提とする国の安全規制】事業者が品質保証体制を確立・実践し、さらに国が 度な手法によりチェックすることによって、原子力の安 全を確かなものとします。原子力の安全確保とは、原子力利用に伴うリスクを適切に管理すること によって災害を未然に防止し、国民や従業員の安全並びに周辺環境の保全を 確保することです。それは、原子力事業者が、安全確保のために必要な広範 な活動を自己管理・自己責任のもとに的確に実施するとともに、国が事業者 の活動を規制によりしっかりとチェックすることで実現します。○事業者・・・原子炉等規制法による許認可を受けて、原子力事業を実施 する「プレイヤー」として、国民に原子力安全を提供する一義的責任を負っ ています。規制改革により、事業者は自らの責任において、原子力安全を優 先する明確な経営方針のもとで品質保証体制を構築し的確な安全管理を行っ ていくこととなりました。ここでいう品質保証体制とは、会社の責任者が行 うトップマネジメントにより、トップから現場まで関係者全員が高い意識を 持って、安全確保に取り組む体制を意味します。従って、単に安全という結 果があればいいのではなく、途中のあらゆるプロセスも問われるのです。事 業者は、関連会社も含めたあらゆる従業員が不断に技術的能力を高めつつ、 安全意識をつないでいく必要があります。○国・・・中立公正な「レフェリー」として、事業者の活動を監視、規制 「する責務を負っています。国は、事業者が遵守すべき安全規制制度を整え(ル |ールメイキング)、事業者の活動を適切に審査・検査します(チェック)。規 |制改革により、国は、事業者の品質保証体制をチェックすることとなりまし た。従って、検査の方法も、これまでのような単に結果を確認するだけのマ ニュアル型検査ではなく、抜き打ち検査により途中のプロセスをチェックす るプロセス型検査に変更しました。このように検査が高度化したので、国は、 規制に携わる職員の資質向上に不断の努力を払う必要があります。-6(規制改革の実績) ☆品質保証体制の確立(平成15年10月~)・事業者・・・品質保証体制の確立を図ることにつき、原子炉等規制法に基 づく保安規定に記載。保安に関する組織を指揮し、管理するとともに、保安活 動を継続的に計画、実施、評価し、改善するいわゆるPDCAサイクル(Plan -Do-Check-Act)を回すことにより、継続的な改善を行う。・国・・・安全規制の要求に基づく品質保証活動を盛り込んだ保安規定を認 可し、保安検査により、事業者の遵守状況をチェック。★定期事業者検査制度の導入(平成15年10月~)・事業者・・・従来自主点検としていたものを電気事業法に基づく定期事業 者検査として13か月毎に実施(法定義務化)。・国・・・事業者の検査体制を独立行政法人原子力安全基盤機構(平成15 年10月発足)が審査し、原子力安全・保安院が当該審査結果を評定(国によ るチェック)一定期安全レビューの法定化(平成15年10月~)・事業者・・・従来任意で実施していたものを原子炉等規制法に基づく保安 規定に記載して10年毎に実施。・国・・・保安検査により、事業者が実施しているかどうかをチェック。★国の検査官の資質向上プログラム(平成15年12月~) 原子力安全・保安院は、平成15年度より、特別検査指導官制度を導入し、 優秀なベテラン検査官のノウハウを若手検査官に引き継ぎ、検査官全体の資質 向上を目指す特別プログラムを推進しています。そこが知りたい! Q&AQ:規制改革によって検査内容が増えましたが、国の検査官のあるべき姿 は?A:検査官は、原子力安全・保安院の代表者としてプロ意識を持ち、「安 |全」を実現するために真に重要な事項に着目すべきです。検査の過程で見つ かる不適切な事項から、安全の劣化の予兆を察し、未然に防止することが必 要です。Q:規制改革によって、事業者には過剰な規制が課されたのではないです か?A:過剰というのは誤解です。規制改革は、事業者が本来やるべきことを 法令で明確にしたものです。事業者には、あくまでも安全確保の第一義的な 責任を負う立場で活動することが期待されます。ただ、制度改正の移行期に おける検査項目の重複などは速やかに解消します。-72【安全規制における科学的合理性・客観性・公正性の確保】安全規制は現場の実情に即し、科学的合理性・客観性 ・公正性を重要な尺度として実施されるべきものです。」のため、原子力安全・保安院は、決して立ち止まるこ となく、スピーディにアクティブに動き、規制を絶えず、1 見直し、改革し、前進させます。○科学的合理性・・・技術革新など最新の科学的知見を適切に規制に反映さ せ、安全規制の有効性と効率性を最大限発揮させることが重要です。従って、 原子力安全・保安院は、例えば、原子力安全基盤機構の専門的知見を活用す るなど、常に科学的合理性を追求し、よりよい規制を目指します。また、事 業者の協力を得て、現場のデータを収集し、現実的な規制の実施に努める必 要があります。このほか、様々な規格や基準についての国際的動向に留意す ることも重要です。|○客観性...安全規制の仕組みや基準は明文化されかつ明確であること が、国民や事業者にとって重要です。○公正性・・・原子力安全・保安院は、安全規制機関として常に中立公正な 立場で行動していますが、さらに原子力安全委員会によるチェックを受ける ことにより、公正性が一層確保されます。(規制改革の実績) ☆健全性評価制度における民間規格の導入(科学的合理性の確保)(平成15 年10月~) - 事業者に対し、定期事業者検査の際に健全性評価を実施し、その結果を原子 力安全・保安院へ報告することを義務付けました。その評価に係る審査基準と して、日本機械学会が策定した民間規格の技術的妥当性を確認した上で、これ を基準として活用することとしました。☆工事計画認可対象や事故、故障等の報告基準の明確化(客観性の確保)(平 成15年10月~) - 事業者が工事計画や事故、故障等について、より的確に原子力安全・保安院 に申請、報告出来るよう、従来にも増して認可対象や報告基準等の明確化を行 いました。★安全規制体制の大幅強化 ・原子力安全委員会によるダブルチェック体制の強化(公正性の確保) (平成15年4月~) 原子力安全・保安院の行う一次規制を原子力安全委員会がチェックする、い-8わゆるダブルチェック体制を大幅に強化しました。・独立行政法人原子力安全基盤機構の設立(科学的合理性の確保) (平成15年10月~) 原子力安全に関する専門家集団として、原子力安全基盤機構が設立されまし た。これにより、従来国からの委託で実施していた調査・試験研究事業による 知見の集約を図るとともに、新たに導入された定期安全管理審査を含めて検査 等の業務を行う体制を整備しました。同機構が安全規制の高度化・合理化に貢 献することが期待されます。そこが知りたい! Q&AQ:安全規制は軽々に改変されるべきではないとの考え方もあるし、一方 で今よりもっと合理的な規制を目指すべきではないかとの考え方もありま す。原子力安全・保安院の方向性はどうですか?A:原子力安全規制は、常に最新の科学技術水準に照らし、規制の実施状 況を見直しながら最も合理的な形で実施されるべきものです。従って、既存 の規制を単に固定的あるいは硬直的に運用すべきとの考え方は適切ではあり ません。原子力安全・保安院は、常に科学的合理性を追求しつつ、原子力安全規制 を「より実効性のあるもの」にするための検討を行うこととしています。そ の結果、規制が強化されることも緩和されることもあり得るわけですが、そ の両方を指して「規制の合理化」と言うのが適切です。Q:専門技術的な検査を原子力安全基盤機構が実施するとのことですが、 国がやるべきではないですか? 国の検査への取り組みが後退したように感 じられますがどうですか?* A:原子力安全基盤機構は原子力に関する専門家集団として平成15年1 0月に発足しました。同機構は、原子力安全・保安院と一体となって原子力 安全確保に係る業務を実施する独立行政法人であり、広い意味での国として の取り組みは同機構の設立により充実したものとなっています。原子力安全 ・保安院と原子力安全基盤機構は、正に「車の両輪」です。-93【徹底した情報公開と説明責任】国と事業者は、徹底した情報公開を通じ、透明性の確 保に努めるとともに、説明責任を果たし、国民の理解」 得られるよう努力します。「原子力の安全」についての直接の利害関係者は国民です。従って、事業 者や国の活動については、国民の視点に立って、明らかにされるべきであり、 事業者及び国にはそうした観点から透明性のある徹底した情報公開と説明責 任が求められています。|O事業者・・・原子力の安全確保について一義的な責任を負う者として、国 民に対する徹底した情報公開と説明責任が求められています。|○国・・・国民の視点に立って、安全規制の考え方、各種の基準や実際に講 じた措置、日々の規制活動について、透明性を確保しつつ、十分な説明を行 う必要があります。(規制改革の実績) ☆指導文書(NISA文書)の制定(国の透明性確保)(平成13年9月~) 原子力安全・保安院は、事業者を行政指導するに当たっては、透明性の確保 が重要であることから、特にNISA文書という体系的な指導文書を発行し、 全てホームページで公開しています。☆軽微な事象を含めた情報の収集・提供体制の整備(事業者における情報公開 の強化)(平成15年10月~) - 事業者において、軽微な事象に係る情報を含めたトラブル情報を適切に収集 し整理する体制(NUCIA) を構築しました。10☆国の広聴・広報活動の強化(国における説明責任)(平成15年度~) ・平成15年度中に、原子力安全・保安院のホームページやパンフレットをわ かりやすい内容に改訂したほか、安全規制の最新情報を盛り込んだニュースレ ターを立地地域の皆様全戸に配布するなどの取組みを開始しました。 ・また、平成16年4月1日付けで「原子力安全広報課」を新設したほか、平 成16年度より、原子力安全規制に係る広聴・広報予算を新規で確保しました。 これらの取組みにより、地元の方々をはじめとする国民各層のニーズに対応し たきめ細かなコミュニケーションが可能となりました。 ・さらに、平成16年4月以降、福井県若狭地域、新潟県柏崎刈羽地域、福島 県双葉地域及び青森県六ヶ所地域に原子力安全地域広報官を配置し、地元との 対話を推進しております。そこが知りたい! Q&AQ:原子力安全広報課を新設したということですが、何が変わったのです か?* A:旧来の広報活動に用いられた手法を根本的に改めます。情報発信のみ ならずそれに対する外部からのフィードバックを取り込み、国民をはじめ様 々なステークホルダー(利害関係者)との間で良好な関係を築き、信頼を得 ていくよう努めます。これを「リレーションシップ・マネジメント」と呼び |積極的に推進します。Q:原子力安全地域広報官は何をするのですか?A:原子力安全地域広報官は、立地自治体及び住民に対する定常的な広報 ・広聴活動の責任者、コンタクトポイントです。文字通り、「現場の顔」と して、原子力安全・保安院の活動等安全規制の現状について情報提供を行う とともに、立地地域における意見等の収集を行ってまいります。11IV. 原子力防災への取組原子力発電所の事故等による外部への大量の放射性物質の放出などの原 子力災害は、本来あってはならないことです。しかし、原子力安全・保安院 では、 万一の事態が生じた場合でも、国民の生命、身体、財産を守り、被 害を最小限に抑えることができるよう、常日頃から訓練や準備に努めるなど、 万全の態勢で臨んでいます。(原子力防災施策の実績) ☆原子力防災訓練の実施(平成12年~)毎年一回、内閣総理大臣始め主要閣僚のほか、国、地方公共団体、原子力 事業者、地域住民の方々など幅広い参加者を得て、原子力総合防災訓練を実 施しています。その他にも、原子力安全・保安院内訓練、地方公共団体の訓練支援などを 実施するなど、常に緊急事態に備えた訓練や準備に努めています。☆オフサイトセンターの整備(平成12年~)原子力災害が起こった場合に、地域における緊急時対応の拠点となるオフ サイトセンターを原子力発電所等の近傍に整備しています。オフサイトセン ターには原子力安全・保安院の原子力防災専門官が常駐しています。☆研修等を通じた地域の原子力防災体制整備の支援(平成12年~)地方公共団体の職員はもとより、警察官、消防官、自衛官をも対象として、 原子力防災に関するさまざまな研修や、各種マニュアルの整備を実施してい ます。また、地方公共団体における緊急時ネットワーク整備、原子力防災資 機材整備などに対して、財政的支援を行っています。☆原子力安全・保安院の緊急時対応体制の整備(平成12年~)災害はいつやってくるか分かりません。そこで、原子力安全・保安院では、 研修や院内講演会等を通じて常日頃から職員に緊張感を持たせ、防災意識の 涵養に努めています。また、24時間365日体制で宿直・日直として職員 を常駐させ、強い地震等の突然の事態にも対応できるよう万全の体制をとっ ています。☆アクシデント・マネジメントの実施(平成12年~)原子力発電所は、設置の際の安全審査等において厳しく審査され、安全性 に十分な余裕をもって設計されています。しかし、実際には、設計上の限界 を超える事故が起こる可能性が全くないとは言い切れません。このため、原 子力安全・保安院では、設計上の安全限界を超えた事故を想定し、そうした - 事故にどのように対応すれば被害を最小限に抑えることができるのか、原子 力事業者とともに検討を行っています。国際的な試験研究にも参加して、万 一の事態の収拾策を多角的に研究しています。12V. セキュリティ対策の推進近年、日本人が対象となるテロ事件も発生するなど、テロに対する不安が 高まっています。こうした中で、諸外国では、情報管理に十分な配慮をしつ |つ、原子力施設のセキュリティ対策を進めています。原子力安全・保安院では、原子力施設からの核物質の盗取や、原子力施設に対する攻撃によって、 「国民の生命、身体、財産が脅かされないよう、 国際的な動向を踏まえたセ |キュリティ対策を積極的に進めていきます。(セキュリティ対策の実績) ☆治安当局との連携強化(平成13年~)平成13年9月11日の米国同時多発テロ事件以降、全国の原子力発電所 では、特別の警察部隊、海上保安庁の巡視船艇により、24時間態勢で厳重 な警備が行われています。また、原子力安全・保安院と治安当局との間の人 事交流や定期的な連絡の実施など、治安当局との連携強化を進めています。☆原子力事業者への指導強化(平成13年~)原子力発電所においては、重要な区域を「防護区域」として位置付け、厳 重に管理するなど、従来から万全のセキュリティ関連規制を行ってきました。 原子力安全・保安院では、テロの脅威の増大等近年の国際情勢の変化を受け、 ゲートにおける出入管理の強化、構内巡視態勢の見直し、緊急事態への対応 体制の整備など、原子力発電所のセキュリティの強化を指導しています。☆国際的なセキュリティ強化への貢献(平成13年~)IAEA(国際原子力機関)では、現在、各国の核物質防護体制を整備し、 国際的な観点から原子力施設のセキュリティを強化するため、核物質防護条 約の改正について議論しています。原子力安全・保安院は、この条約改正交 渉に積極的に参加し、国際的な観点からの原子力施設のセキュリティ強化に 貢献しています。☆有事における原子力施設防護策の検討(平成16年)現在、一連のいわゆる有事法制が議論されているなど我が国が外敵からの 武力攻撃等を受けた場合の対応策が真剣に検討されています。原子力安全・ 保安院では、内閣官房や国防・治安当局、原子力安全委員会、地方公共団体 等とも連携し、武力攻撃等を受けた際の安全な原子炉の停止の在り方など、 有事における原子力施設の防護策の検討に着手しています。☆核物質防護対策室の創設(平成16年)原子力施設におけるセキュリティ対策をより一層強化するため、平成16 年4月から、原子力安全・保安院内に「核物質防護対策室」を新たに設置し ました。-13V. おわりに原子力安全・保安院としては、原子力安全規制については、まずは新しい制 度を定着させ、より実効あるものとし、規制の信頼性を向上させるよう努力を 重ねていきます。それと同時に、前述した三つの基本的考え方に基づいて、新 たな課題に取り組み、原子力安全規制をより望ましいものにできるよう不断の 検討を行っていきます。また、原子力防災やセキュリティ対策についても、万 全の体制で取り組んでまいります。 - 本冊子を通じ、原子力安全・保安院の基本姿勢と新たな原子力安全の取り組 みについて、理解を深めていただけることを期待しております。-14“ “原子力安全規制の基本姿勢について“ “原子力安全・保安院“ “原子力安全規制の基本姿勢について“ “原子力安全・保安院