保修作業における高年齢作業者と若手作業者のチームワーク

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カテゴリ: 第1回
1.緒言
21 世紀初頭の現在、日本は高齢化社会である と言われており、今後半世紀は更に高齢化が進 むと予測されている。国立社会保障・人口問題 研究所年報平成 14 年度版(国立社会保障・人口 問題研究所、2002)によると、老年(65 歳以上) 人口は、2043 年にピークに達し、2050 年頃ま で老年人口の割合が増加すると推計されてい る。 従って、今後作業者の高年齢化はますます進 み、高年齢作業者特有の事情により災害などが 増える可能性がある。これらのことは、原子力 発電所の作業者にも当てはまると言える(志澤 他、2003)。本研究では、原子力発電所における保修作業 を対象にして、高年齢作業者のために改善した 方がよいと思われる施設や環境の把握、および 若手作業者とのチームワークについて検討す ることを目的とした。
2. 質問紙調査
2.1 調査対象および方法 質問紙は、関西電力(株)の原子力発電所でOS2-3保修作業を行う協力会社の作業者を対象とし、 2001 年から 2002 年までに各社の作業者に配布 し、回収した。質問紙は 344 部を配布して、276 部を回収し た(回収率 80.2%)。このうち年齢の回答がなか った2部を除いた 274 部を有効回答とした。回 答者の年齢内訳は、中央値 35 歳、範囲が 19 歳 から 65 歳であった。なお、質問紙上では、高年齢作業者の良い面 を強調する意味で「ベテラン」、これに対して「若手」という言葉を用いた。それぞれの回答 三者には、自分が「ベテランであると思う」か「ま だベテランではないと思う」かについて回答させた。2.2 調査結果 2.2.1 高年齢作業者のために改善してほしい施設や環境 全ての回答者に対して集計を行い、現場の作業 者がどのような改善要望を持っているかを Fig. 1 に示す。その結果、要望は多い順に「夏場の冷房」、「エ レベータ設置」、「冬場の暖房」、「重量物の軽減」、 「照明」、「高所の足場」、「休憩室」であり、これ らの要望は 2 割以上の作業者から出されていた。-65一方、「防護服」や「階段の手すり」に対する要 望は多くなかった。上記の要望を選択した作業者と選択しなかっ た作業者の年齢を相関分析によって比較した結 果を Fig.2 に示す。「エレベータ設置」、「重量物の軽減」、「照明」 について年齢との相関がみられた(順に、r=0.14, 0.15, 0.13, n=274)。すなわち、これらの3項目は 年齢が若い場合には比較的軽視されがちである ことがわかった。N%3D274No answerOver 50's 040's 030's 010-20'sFrequency of RespondentsCooling in Heating inBetterRest Stair Rall Summertime wintertime UghtingRoom Installation of Making Things Scaffolding Protective an Elevator Less Heavy on High ClothingFig. 1 Frequency of respondents forimprovement demandsO: Non-Selection 10: SolectionP<.05P<.05P<.05Age of RespondentsP305 TI II II II II II IIIYI Y IICooling in Heating inBotterRest Stair Rail Summertime WintertimeLightingRoom Installation of Making Things Scaffolding Protective an Elevator Less Heavy on High ClothingFig. 2 Comparison of age of respondents between non-selection and selection2.2.2 高年齢作業者と若手作業者のチームワーク質問紙項目のうち、「普段一緒に働いているべ テランと協力的にうまくやっていると感じてい ますか」の問いを外的基準変数に、「仕事上の役 割分担は」、「ベテランからの指導項目は」、「ベテランと仕事上の話をするか」、「ベテランに近寄り 難い点があるか」の問いを説明変数とし、数量化 II類を用いて分析を行った。その結果を Fig.3 に示す。ベテランと若手作業 者のチームワークがうまくいっていると回答し ている群は、 . 若手が中心となって作業・ ベテランが中心となって作業 1. ベテランが頑固でない 1. ベテランが仕事中に仕事の話をよくする * . ベテランが人生訓を話してくれる と回答している。どちらとも言えないと回答している群は、 * . それぞれが仕事を分担している と回答している。一方、うまくいっていないと回答している群は、 * . ベテランが仕事中に仕事の話をしない・ ベテランが頑固である ・ ベテランが怖い と回答していることがわかった。Axis 2141X Unfavorable A NeutralFavorable. Each of Workers shares the Jobす。。A booAxle1 |15000.903099ccescooooooooooooooooodorocoocoroceecorg9 Leadership of Younger Workerin the Job Leadership of Older Worker in the Job Veteran is not a old Hickory Good Communication with the Veteran at Work Veteran teaches a Knowledge of Life2019/01/31No Communication with the veteran at Work Veteran is a old Hickory Feel Fear the VeteranFig. 3 Analysis by quantification method II3.結言高年齢作業者のための改善要望のうち、「エ レベータ設置」、「重量物の軽減」、「照明」の3 項目は、比較的年齢の若い者には気づきにくい 要望であることが示された。作業環境の改善は、 比較的若い現場の作業監督者が行うことが多 いので、高年齢作業者の要望に注意を払ってお36、く必要がある。また、高年齢作業者と若手作業者のチームワ ークにいては、チームのまとめ役が明確になっ ていること、および高年齢作業者が頑固でなく、 士事や人生訓を話してくれるチームがよりよ協調関係を築いていることがわかった。 謝辞本研究の成果は、(財)労働科学研究所 酒 キ一博氏、北島洋樹氏、鶴原亜紀氏との共同研 究によって得られたものであり、大阪教育大学 教授 高橋誠氏からは多大なるご協力を戴い た。ここに深く感謝の意を表する。参考文献 1] 国立社会保障・人口問題研究所、“国立社会保障・人口問題研究所年報”2002 2] 志澤康弘、酒井一博、北島洋樹、鶴原亜紀、大橋智樹、作田博、“原子力発電所における高齢 作業者のための施設・環境の改善要望”、 日本 原子力学会 2003 年春の年会要旨集第 II 分冊、 2003、 pp.425.67“ “保修作業における高年齢作業者と若手作業者のチームワーク “ “作田 博,Hiroshi SAKUDA,志澤 康弘,Yasuhiro SHIZAWA,大橋 智樹,Tomoki OHASHI“ “保修作業における高年齢作業者と若手作業者のチームワーク “ “作田 博,Hiroshi SAKUDA,志澤 康弘,Yasuhiro SHIZAWA,大橋 智樹,Tomoki OHASHI
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