原子力発電情報公開ライブラリー「ニューシア」の開発

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カテゴリ: 第1回
1.緒言
昨年初め,原子力発電の信頼回復に向けた 今後の情報公開の進め方として, 1)個人のプ ライバシー, 2)企業秘密, 3)核物質防護, 4) 核拡散の観点から公開できないもの以外は出 来る限り公開し,事故・故障のうち国へ報告 する必要がない軽微な事象についても,メー カなどの産業界,国,大学,研究機関など産 官学で共有するデータベースを構築し,広く 一般に公開していくことを電気事業連合会大 で決定した。従来,国内外の原子力発電所の事故・故障 情報のうち国内電力各社で共有するための情 報や,確率論的安全評価(PSA)用の機器故障率 など原子力発電所の機器信頼性に関する情報 については,電力中央研究所(以下,「当所」 という。)が運用する「原子力発電情報システ ム NICS(Nuclear Information database / Communication System)」に登録し,電力各社 が利用してきた経緯がある。 公開用データベースの構築に当たっては, NICS の開発や, 事故・故障に関する情報の登 録など、データベースシステムの開発・運用 に関する知見を有する当所へ依頼されることとなった。 構築した公開用サイトは『原子力発電情報 公開ライブラリー』と呼び,「ニューシア」 (NUCIA, NUClear Information Archives) & the 称とした。URL は http://www.nucia.jp/とし て,2003年 10月に一般公開をスタートした。 公開している情報は, ・事故・故障情報(「事故・故障の概要(発生 時の状況,原因,対策等)」,「各社の水平 展開実施状況一覧」等) ・信頼性情報(分析方法の解説,機器故障 判定に関わる一般的情報, 事故・故障情報を用いた故障率算出等) の2種類であり,インターネットを通じ,こ れらの情報にアクセスが可能である。本稿では,この『原子力発電情報公開ライ ブラリー「ニューシア」』の概要を紹介する。
2.開発の背景
2.1 開発の目的 原子力発電所の不正問題に端を発し,問題 の再発防止と原子力の信頼回復のため,電力 各社が積極的な情報公開に取り組むとともに, 原子力発電所で発生したトラブルや軽微な事・79象の情報を一元的に集約し、公開するための システムを開発することとなった。 その主な目的は,産官学で事故・故障情報 を共有することで,メーカ,規制当局,学識 経験者など多方面からの意見を取り入れて保 安活動の充実に資すること,また,一般の方々 にも共有情報を閲覧できるようにすることで, * 電力各社の活動の透明性向上を図ること,な どが挙げられている。2.2 対象データ |「ニューシア」に登録されているデータは, 「事故・故障情報」と「信頼性情報」の大き く2つの種類に分けられる。また, 「事故・故 障情報」には,「トラブル情報」, 「保全品質情 報」,「その他情報」(2004年5月に追加)など があり,法令に基づき国への報告が必要とな る情報は、「トラブル情報」に,国へ報告する 必要のない軽微な事象で電力各社はもとより 産官学で情報共有することが有益な情報は, 「保全品質情報」に,共有化の必要のない情 報は,「その他情報」にそれぞれ区分される。3.「ニューシア」の概要「ニューシア」のシステム構成を Fig.1 に 示す。システム構成上,大きく2つの部分に 分かれる。1つは一般公開に供するための「情 報公開用ウェブサイト」,もう1つは,事故・ 故障情報の新規データの登録を受け付ける 「データ登録システム」である。General Public, Industry Government. Academia,Electric UtilityFree AccessData.InternetElectric UtilityInspectionSearch for DataNOCTA****FirewallData ConformationconformationAuthenticationAccessAuthenticationInternetLoad BalancerData EntryFirewall.NICSsauMail Serverwww. Serverwwwwww ServerDB Server For OpenMaster DBServerFirewallNICS-99 DB ServerOpen Information Web SiteData Entry SystemFig.1 Outline of NUCIA SystemFig.2 Event Report (Sample)-803.1 情報公開用ウェブサイト「ニューシア」のデータベースは, 事故・ 故障情報をキーとして,それに関連する各 社の水平展開実施状況一覧や信頼性情報等 の情報を統合している。これにより,ある 事故・故障情報に関連する情報を一望して 検索・閲覧できるウェブサイトを目指して 開発した。主なコンテンツは以下のとおり。(1)事故・故障情報 <閲覧機能> a.「事故・故障の概要」 個別の事故・故障の状況等を記述したデー タである。「トラブル情報」・「保全品質情報」 のデータは, 「会社名」,「ユニット名」,「発 生日時」, 「事象発生時の状況」, 「原因」, 「対 策」など約 40 項目からなり,発生した事故・ 故障の内容を把握するために必要な情報を網 羅している。なお,「その他情報」については, 「会社名」,「ユニット名」, 「発生日時」,「事 象発生時の状況」など9項目が閲覧できる。また, 事故・故障の概要の表示は,画面上で 情報を閲覧することを前提とした通常形式 (Fig.2 参照)のほかに,紙へ印刷を考慮した カード形式を選択して表示できる。「ファイルでの議 録のお気に入りにくいリールのヘルプ! 中部ODDに入りのメディア384回 TK20 Mp //wwwrecia p/whellappheter Trouble Detailcoaclore Revieve seg for 24268 Gorgle.ウェッ ト[ブロックワオリジョン可めおいおいおー11トップページ ブレスのり平日A05のリンクよろ ●軽~2004-18-1033 ●動 会社名東京電力式会社 ●新・ の」Event Date2004年05月09日13時00分 「生日(推定) ユニット福島別一発電所2号 カード形式出力Unit Name ] への1保全品資 m出力ge](1名Subject 「子格納日時温冷却系における水流れについて 日子力の評価RIES)2004年9月13日 更新日----年--月--日 ●事故・故等の詳 ・ 本作所(名)換気設備 「事象発生日に病むその他の 事象発生時所(法名)ポンプは 本金究生所名 事象発生留所名) 事象発生当部品お記 発生初の入出力130454年) 本発生時の状況 F 定格出力にて中のところ、平成16年6月9日13時頃、パトロール中の当社社員が原子格5 当ポンプ付:cawn まーいいかわかり、予備ボンプリに切り替え、水濡れは停止した。点にれがあることを発見した。 れたD escription フレルラジウムミリリットルに相当する であり、PIに 比べ低い値であることを話した。 なお、当じ界的に使用している水から水が 出されたのは、 戦して承わっているナト リウム内 で化されたことによって、射性物質のナトリウム24になったものと考えられる、当ポンプのた いしていること、この時にひびが発生しており、そこから、Analysis夢の回 日当記入Causes【大分】インターネット- b. 「各社の水平展開実施状況一覧」個別の事故・故障に対して,ほかの発電所 でも同様の対策を取る必要があるか,またそ の対策が完了したかなどを示すデータである。 当該電力会社を含め電力各社(10 社)の実施 状況について,◎(反映済み), △(検討中), - (情報周知)などの状況が一覧できる。<情報検索機能> * 情報検索機能は、データとして登録できる ほとんどを検索対象項目として設定したほか 「トラブル情報」・「保全品質情報」について は、一般の方が容易に利用できるよう、「会社 名」,「ユニット名」, 「発生年月日」など 10 項目程度の簡易検索機能を設けた。・ <ダウンロード機能>データ活用の観点から,データを XML 形式 でダウンロードできるようにし, XML 形式を 処理するアプリケーションを準備することで, データを利用し,自分の用途に見合ったデー タベースを構築しなおすことを容易な設計と した。(2)信頼性情報」 * PSA 用の機器故障率算出方法に関する報告 書をはじめ,当所が作成した,公開報告書や 機器バウンダリ図等,分析方法の解説,機器 故障判定に関わる情報が登録されている。また, 「PSA 対象機種」, 「PSA 故障モード」 など,PSA 用機器故障率算出のための評価分 析項目(約 20 項目)が,対象となる事故・故障 事例(ニューシア登録済みの「事故・故障の概 要」)ごとに登録され,閲覧することができる。<情報検索機能> * 情報検索機能は,データとして登録できる ほとんどすべてを検索対象項目として設定し た。<故障率算出> 機種を選択し故障率の算出ができる。故障 率の算出の対象機種は,安全系及び主要な常 用系から,時間故障率では,非常用ディーゼ ル発電機,ポンプ,弁,変圧器等の機械品/ 電気品 29 機種,リレー, トランスミッタ, ス イッチ等の計装品 18 機種の計 47 機種が,デ マンド故障率(作動要求当たりの故障確率)では定期的な起動試験が実施される 15 機種が 選定されている。Fig.3 に時間故障率の算出 結果の例を示す。ファイル表 示りお気に入りしないリールのヘルプ)アドレス0.0Mpa/おせんたーンステムなA: コン故:差枚・ 定 ブルスのお茶が酒のAGAGA子へのをよあのとュプ。●データ分の定義:PSA ●10モード:起動失敗●故障事の種別:1 本 ●運転時間原子1時間● ●電動ポンプ 1982から2002Number of Unit Component Operating Name Quantities Hours ユニット名古道ういう時間Component Failure RateINER上値点 1,82600E89689976/04/181.00669003682324.2615,744918-8BNR合計 PWRSS521_2.10031609058122E+185.310926-101 035408~8191179E-B177956501242.0517022700339661CE-911.455110-83 76030E-3124351.0 14725330.01.053130740.0000000072053613151304734468001.05600E-14 363460-712559504772510001.041648-74924666-7002400F-8 457045E-7 964233684.394436-7バー5・・・64.721148-781399440 603798400 137865.0 5239702.0 0 139346.0 14077100.0 144681.0 6221203.0 133599. 0 6744757.0 0 1998610 472402300 112612.0 4342316001.025101-7 1 6 03690E-803 701148-78,10359E-540.000000030815105842F-1 1.03256E-1487420E-7 4 755136-7Fig.3 Component Failure Rate (Sample) 3.2 データ登録システム (1)事故・故障情報「ニューシア」の構築に際しては、電力会 社と当所双方のデータ登録作業の負荷軽減を 目的として,データをネットワークを介して 転送・登録できるようなシステムとして設計 した。既存 NICS の登録作業では, セキュリテ ィ上の問題,及び原子力発電所等の分散した 事業所におけるネットワークの未整備などの 理由により,情報の伝送はファクシミリ,書 類などの紙媒体,あるいはフロッピーなどの 物理媒体を利用し,その情報を当所において 人手で登録するという二段階の作業を行わざ るを得なかった。しかしながら,電力各社に おいても急速にネットワークが普及し,各原 子力発電所のネットワーク環境が整備された ため, 「ニューシア」では, この環境を活用す ることとした。「ニューシア」の情報登録システムでは, 「事故・故障の概要」データを登録する作業は、 原則としてデータ登録元の電力会社の担当者 が直接入力を行うこととした。データの入力 については, 1)直接入力, 2)一括入力の2種 類を準備した。 *1)の直接入力は,データを入力画面からデ ータの項目ごとに直接入力するものである。31入力に際しては,できる限り作業が軽減され るよう,項目の選択肢を表示してその中から 選択してもらえるように留意し, システムを 開発した。2)の一括入力は,「トラブル情報」・「保全 品質情報」を対象に,入力データを XML 形式 のファイルにまとめ,そのファイルを送信す ることにより,データを一括登録する機能で ある。これは既に電力各社が個別データベー スを所有しており,機械的変換によりデータ 作成の合理化を図る便宜のため作成した。また, 「各社の水平展開実施状況一覧」デー タの登録については,当該電力会社を含め電 力各社の担当者が直接入力を行う。.3 セキュリティ「ニューシア」では,既存 NICS のセキュリ ティ機能をデータの登録システムの一部とし ご利用した。そのため,当所の所内ネットワ ークとは一部ネットワーク的に接続している。 セキュリティの保持を念頭に,当所内部のネ ットワークとの接続点は, ファイアウォール を介し, システム間の通信に不必要なポート は一切開けないような設定とした。また,デ ータの流れも NICS 側からニューシア側への 一方向になるようにした。 登録システム自体は, NICS 上にあるため, ICS の3重のセキュリティ機能をそのまま活 身でき,これにより,不正データの登録,あ るいはデータの改ざん等を防止が図られる。4.まとめ 国内原子力発電所の事故・故障情報を産官 台で共有し,また広く一般の方々に公開する こめのウェブサイト『原子力発電情報公開ラ ●ブラリー「ニューシア」』を構築し, 2003 三 10 月を持って開発の初期段階を完了し,運 目状態に移行した。その後,一般の方々や電 コ各社の意見を踏まえて、使い勝手の改善・能向上に努めてきた。今後も,より使いや 「いサイトを構築することを通じて,原子力 電所の透明性の確保を目指し,安全で安心 さきる原子力発電所の実現のために貢献して きたい。“ “原子力発電情報公開ライブラリー「ニューシア」の開発“ “江刺 伸泰,Nobuyasu ESASHI,桐本 順広,Yukihiro KIRIMOTO,佐賀井 重雄,Shigeo SAGAI,砂川 清志,Kiyoshi SUNAGAWA,高尾 武,Takeshi TAKAO“ “原子力発電情報公開ライブラリー「ニューシア」の開発“ “江刺 伸泰,Nobuyasu ESASHI,桐本 順広,Yukihiro KIRIMOTO,佐賀井 重雄,Shigeo SAGAI,砂川 清志,Kiyoshi SUNAGAWA,高尾 武,Takeshi TAKAO
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