欠陥サイジング性能が原子力配管の信頼度に及ぼす影響

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カテゴリ: 第2回
1. 緒言
2003 年の 10 月より,原子力発電設備に対する維持 規格(1(以降,維持規格と呼ぶ)の利用が可能となっ た。維持規格の適用により,検査により機器に欠陥が 検出された場合,その欠陥の挙動を評価した上で安全 上支障がなければ補修や交換を行わずに継続利用でき るようになった。これまでは欠陥を評価する規定が存 在しなかったため,原子力発電プラントの機器に欠陥 が検出された場合,検出された欠陥はすべて補修され た上で無欠陥状態に戻し,設計に用いる規格[2]に基づ いて健全性が評価されていた。これを受け,これまで の確率論的破壊力学解析(PFM)では,欠陥を検出し た場合にはそれらをすべて補修するシナリオに基づい て破損確率を計算していた。この計算では検査におけ る欠陥検出確率に基づいてサンプルの存在確率をコン トロールすることにより,破損確率を計算していた[3]。 しかし、維持規格が導入された場合,欠陥が検出でき た場合でもそれが安全上問題とならない寸法であると 判断された場合には継続運転が許容されるため、欠陥 の検出性ばかりでなく,欠陥のサイジング性能も信頼 性に影響を及ぼす。 1. 本研究では維持規格を導入したプラント運用を想定 し,欠陥サイジング性能が配管破損確率に及ぼす影響 について検討した。
2. 欠陥サイジング性能の評価方法2002 年度に沸騰水型原子炉 (BWR)のシュラウドや 再循環系(PLR)配管に応力腐食割れ(SCC)による 欠陥が検出されて以来,欠陥のサイジングについて多 くの検討が実施されているが,検査手法,欠陥の大き さ,位置などによって欠陥サイジングに大きなばらつ きがあることが判ってきた[4]。PLR 配管に SCC による 欠陥が検出された後,欠陥サイジング性能に関する研 究が実施され,原子力安全・保安院よりの評価におけ る欠陥寸法の考え方が提案された[5]。ここでは,欠陥 サイジング性能は欠陥の大きさに依存しない正規分布 で表されている。本研究ではこれに習い,欠陥サイジ ング性能の正規分布でモデル化した。維持規格を適用し,欠陥サイジング性能の影響を確 PFM コードに組込む場合の基本的な考え方を Fig. 2 に 示す。通常の PFM 解析では,破損評価や欠陥検出確率 の評価において,確率密度関数で定義される初期欠陥 寸法やそれが進展した後の寸法を用いる。これは欠陥 サイジング性能に左右されないき裂寸法(真のき裂寸 法)に基づく評価である。一方,維持規格を適用して 運転継続が可能であるか補修を行うかの判断は,非破 壊検査で計測されたばらつきを含む欠陥寸法(認識き 裂寸法)を用いて評価される。欠陥のサイジング評価 が入ることによって生じるこれら二つのき裂寸法の差 が,維持規格を導入し欠陥を許容した状態で運転を行 う場合と,検出された欠陥をすべて補修する従来の運 用を行った場合で,破壊確率の差となって現れる。た296Existing probabilityRenewal of crack existing probabilityPI%3DP+(1-POD)Renewal of a crack sizeReal crack sizea%3Data c%3Dc+Failure assessmentProbability of detectionPODRecognizedsizeBreak?YESFailure Probability PF-A1-POD)*PsApplied LoadLimit LoadPbgPerPbr>PerYES>0.75Crack growthRepairFig.2 PFM considering Rules on Fitness-for-Service だし,維持規格では,き裂の安定性評価において安全 率を見込むため,安全率が欠陥サイジング性能をカバ ーすれば,これらの破損確率に有意な差は生じず,欠 陥サイジング性能が安全上有意でなくなる。維持規格 を適用した場合,補修を行うか否かの判断は,き裂の 深さと安定性評価結果に基づいて行われる。評価期間 の末期において一次曲げ応力 Rが以下に示す許容曲 げ応力 Sc未満であるか,き裂深さが板厚の 75%であ れば,継続運転が可能となる[1]。DSC-J-(2-P]-P[1-7.3F)-1ここで,P'は塑性崩壊時の曲げ応力, Pは熱膨張 応力, Pm は一次膜応力,SF は安全率, ZはZ係数 である[1]。3.欠陥サイジング性能の影響評価維持規格のき裂安定性評価では,許容状態 A, B に対 して 2.77, 許容状態 C, D に対して 1.35 の安全率が, 一 次応力に対して考慮される。一方,二次応力(熱膨張 応力)に対しては安全率が考慮されないため,本研究 では一次応力のみが作用する場合と,主として二次応 力が作用する場合の 2 ケースについて,欠陥サイジン グ性能が配管の破損確率に及ぼす影響を検討した。3.1 評価条件 疲労によるき裂進展を想定して,欠陥サイジング性sc=32-RD-P (1-2.jp)|こで,P'は塑性崩壊時の曲げ応力, Pは熱膨張 一力 , In は一次膜応力,SF は安全率, ZはZ係数 - 71能が配管の破壊確率に及ぼす影響を評価した。解析対 象は,BWR の主蒸気管を想定し, Table 1 に示す3種 類(小,中,大口径配管)を想定する。Table 1 Analyzed pipe4B 16BPipeDiamet114.3406.426B 660.4 3 3.3Thickness [mm]11.126. 2初期き裂には,配管周方向の表面き裂を仮定する。初 期き裂の深さには,評価の保守性を考慮して W. Marshall の指数分布[6]を用いる。exp6.25 )f(a) =[a:mm]6.25ここで, a は真のき裂深さである。アスペクト比の分 布には,以下の対数正規分布を用いる[7]。expB 1 .J_1[ In(P/1.336)|| 70.5382 BJ2TI2L 0.5382 |ここで,Bはアスペクト比, cは真のき裂半長である。 配管材料は STS410 とし, 300°Cの条件で設計基準べ ースの材料物性値を定義した[2]。解析に用いた材料 定数を Table 2 に示す。Table 2 Material properties of pipes Flow stressof = 293[MPa] Design stress intensity Sm = 123[MPa] Modulus of elasticityE=185[GPa]き裂進展評価用荷重は, Table 3 に示す BWR の主蒸気 系配管の LBB 評価におけるき裂進展評価に用いられ る荷重を用いる[8]。 Table 3 Fatigue crack-growth analysis conditionsMembrane stress Bending stress m Freq. [MPa][MPa] [year] ?Min. Max. Min. Max. 1 7 0 _ 123_ 12_1849.218450_ 0_ * 3_ 320 92.2 123_ 0_ 04 8_ 0_ 0_ -123 1235 16 0_ 0_ -61.5 61.5 1 6 _ 330_ 0_ 0_ - 12.3 12.31 1297破壊力学パラメータには, Raju-Newman の平板の半楕 円き裂に対する応力拡大係数[9]を用いる。き裂進展速 度は,維持規格[1]に基づき,応力拡大係数範囲(AK [MPa/m])に対して以下の Paris 則を用いて求 める [8]。da = 1.738x10-13 AK5.95 (AK < 13.2) (4) dN.00 = 5.325×10~AK1.95 |(AK 213.2)dN本評価では,き裂が板厚を貫通するまでき裂進展解 析を行う。き裂貫通後のき裂進展計算は実施せず,貫 通に至ったサンプルはその時点で計算を終了する。不 安定破壊の判定は貫通の判定に先立って実施し,不安 定破壊に至ったサンプルはその時点で計算を終了する。 また,補修後の破損については考慮しない。真のき裂 に対するき裂安定性評価は,式(1)において安全率 SF を 1.0 とし,真のき裂深さaと真のき裂半角度0を用い て評価する。 - 欠陥検査として供用前検査 (PSI) と供用中検査 (ISI) を実施する。ISI は,維持規格におけるクラス1機器に 対する検査割合を参考にし, 10 年で 100%の割合で実 施する。欠陥の見逃し確率 は真のき裂寸法を用いて以 下の式で評価する[7]。_x0 = ju-of-airmalierale doac (20S Dp) laDe==-2AED(2c > DB)A =-a*Ds, = 0.005 , Ds = 25.4 mm v = 1.33, a =6.35mm==6.35mm(2cs Dr)A|2 = 4-aDB(2c > DB)T*““DB, =0.005, DB = 25.4mm,V = 1.33 , a* = 6.35mm本研究では欠陥サイジング性能として,正規分布を 仮定し,その標準偏差を1.0~3.0mm の範囲でパラメー タとした。き裂安定性評価用荷重は,一次応力のみが作用する 場合(Load-A)と,熱膨張応力に代表される二次応力 が主に作用する場合(Load-B)の2ケースを想定する。 配管の場合,評価部位において弾性追従が大きい場合 には熱膨張応力も一次応力的に振舞い,塑性崩壊が生 じる場合が想定される。このため,き裂安定性評価を保守的に行う場合には熱膨張応力を一次応力と見なす 場合がある。破断前漏えい(LBB) 評価においてもこ のような保守的な想定が採用されている[8]。一次応力 のみが作用する場合(Load-A)は,許容状態 A および B に対する一次応力制限[2]を参考に,安定性評価荷重 として,膜応力 2. = 0.55m , 曲げ応力 P = Sm を考慮 した。 - 二次応力が主に作用する場合(Load-B)の応力条件 は Table 4 のように想定した。Table 4 Crack stability assessment conditions (Load-B)Stress [MPa] Stress114B16B26B23.2 34.944.6 5. 05.05.0 139.4 109.491.1ここで, 一次膜応力 P は内圧による応力であり, BWR における一次系の最高使用圧力から9MPa を想定して 算出した。一次曲げ P, 応力は,実機における自重に対 する応力の実績から 5 MPa と想定した。二次曲げ応力 Q, は熱膨張による応力を 38m と想定し,最大熱膨張 応力が多くの場合エルボで発生することから, エルボ の応力係数 C, を用いて以下の式から算出した[2]。10, - 38m12-7ここで,応力係数 C はスケジュール 80 のロングエル ボを想定して算出した。式(1)では,安全率は一次応力 にのみ考慮され,熱膨張応力には考慮されない。この ため, Table 4 のように熱膨張応力が大きく,一次応力 が小さな実機プラントに近い応力条件を想定した場合, 欠陥サイジング性能の効果が大きく現れる。 3.2 評価結果 (1) 欠陥寸法にサイジング性能を考慮しない場合 - 評価用の欠陥寸法にサイジング性能を考慮せず,認 識寸法をそのまま用いて評価する場合の安全率と破損 確率の関係について検討した。 - き裂安定性評価用荷重として一次応力のみを考慮し た Load-A において, 検出したすべての欠陥を補修する 場合の破損確率の経時変化を Fig. 2 に示す。この場合, PSI および 10 年毎の ISI を実施するため,運転中の破 損確率の上昇は顕著ではない。40年後の条件付累積破 断確率は, 4B 配管で 1.4x102 [1/crack], 16B 配管で-6298““ima......... -0.....................Yetimes................日...........日...............日Cumulative Probability (crack ']??????????????????......................エット20510354015 20 25 30 Operation YearFig. 2 Cumulative failure probability by Load-A for the casedetected all defects will be repaired 1. (一: break, ...: leak, O: 4B, :16B, A: 26B)B-NFSSF-1.0 SF-1.25B-FSDENA025gooRatio of break probabilit01 2 26B33 0 1 2 3 0 1 2104B Standard deviation [mm]Fig. 3 Ratio of break probability (Load-A)5.6x10 [1/crack], 26B 配管で 4.2×10” [1/crack]となる。 検出された欠陥をすべて補修する場合の破断確率 (PB-NES ) と,維持規格を導入し評価上安全な欠陥を 許容して運転する場合の破断確率(PB_) を比較し, Fig. 3 に示す。ここでは,維持規格における安全率 (SF)を 1.0~3.0 の範囲でパラメータに取った。鋼種は異なるが,BWR の PLR 配管 (オーステナイ ト系ステンレス鋼管)の SCC き裂に対して原子力安 全・保安院で確認されたサイジング性能は, 20 で 4.4mm である[9]。フェライト鋼においても,これと同程度以上の欠陥サイジング性能があると仮定すれば, サイジング性能はo =3mm で包絡される。この場合, 4B 配管では安全率が 2.0, 16B および 26B 配管では安 全率が 1.5 を上回ると検出された欠陥をすべて補修す る場合と,維持規格を導入し評価上安全な欠陥を許容 して運転する場合の破断確率は同等となる。従って, 供用状態 A およびBに対する安全率2.77 で欠陥サイジ ング性能はカバーされ,欠陥サイジング性能は安全上 問題とならないことがわかる。式(1)に示すように許容 応力は,き裂の角度と相対き裂深さ(alt)の関数とな るため,維持規格を導入した場合,板厚や管の周長が 相対的に小さな小口径配管ほど, リガメントの残存割 合に対してサイジング性能が大きく影響し,結果とし て大きな安全率を必要とする。維持規格では,破断に対しては式(1)のように許容状 態に応じた安全率を考慮した制限を設けている。一方 で、漏えいに対してはき裂の深さを板厚の 75%に制限 しているものの,これに対する安全率は考慮されてい ない。破断に比べてプラントの安全性や社会に及ぼす 影響は少ないが,漏えいが生じた場合においても経済 的損失は計り知れない。そこで, Fig. 4 に維持規格を導 入せずに検出された欠陥をすべて補修する場合の漏え い確率(PI_NES)と,維持規格を導入し評価上安全な 欠陥を許容して運転する場合の漏えい確率(PI-Fs) を比較した。SF-1.0SF-1.25 ASF-1.5SF1.75 SF-32.0 SF-3.0Ratio of leak probability, P LES PLANES・・・・マママママママ・・・ソソソソソソ・・ベスト01211900/01/01326B3 0 1 2 3 01 16B Standard deviation [mm]124BFig. 4 Ratio of leak probability (Load-A)図より欠陥サイジング性能が漏えい確率に及ぼす影響 は,破断確率に及ぼす影響よりも大きくなる。欠陥サ イジング性能がき裂寸法の絶対値であると仮定すると, 破断と同様に漏えいの場合も小口径配管ほど大きな安 全率を必要とする。しかし,上述の破断の場合と同様299に,欠陥サイジング性能が0=3mm で包絡できると考 えると, 4B 配管で 2.0, 16B および 26B 配管で 1.75 の 安全率を想定することで,検出された欠陥をすべて補 修する場合と,維持規格を導入し評価上安全な欠陥を 許容して運転する場合の漏えい確率が同等となる。従 って,この場合も供用状態 A および B に対する安全率 2.77 であれば,欠陥サイジング性能が安全率にカバー されることがわかる。次に,き裂安定性評価用荷重として主に二次応力が 作用する実プラントに近い荷重条件(Load-B)で評価 を行った。検出された欠陥をすべて補修する場合の破 損確率の経時変化を Fig.5 に示す。.................11.00-.11.10..Cumulative Probability (crack ']107 LLLLLI」 10.5 10 15 20 25 30 35 40Operation Year Fig. 5 Cumulative failure probability by Load-B for thecase detected all defects will be repaired(一: break, ......: leak, O: 4B, 0:16B, A: 26B) き裂進展荷重は, Fig. 2 に示した一次応力のみが作用す る場合(Load-A)と同じであるが,一次応力のみが作 用する場合と比べて破断確率が1桁(26B 配管)から 半桁(4B 配管)程度低くなる。一方,破断確率が低下 する影響で,逆に漏えい確率は一次応力のみが作用す る場合に比べて若干増加する。 - 検出された欠陥をすべて補修する場合の破断確率(PB-NES )および漏えい確率(PE-NES)と,維持規 格を導入し評価上安全な欠陥を許容して運転する場合 の破断確率(PB-Fs )および漏えい確率(PL-Fs )をそれぞれ比較し, Fig. 6 および Fig.7 に示す。安全率が 考慮されない熱膨張応力が主に作用する Load-B の場 合,欠陥サイジング性能の影響による破損確率の増加 は,安全率を大きく取っても改善されない。この結果 は,検出された欠陥をすべて補修する場合と同等の信 頼度を得るためには,欠陥サイジング性能を向上させ るか,維持規格を用いた欠陥評価にサイジング性能を 見込むといった処置が必要であることを示唆している。ロ SF1.0 ISF-31.25 OSF-1.5■SF31.75OA SF%3D2.0SF=3.0Ratio of break probability, P Bes/ PE-NES201 2 26B1900/01/0201230121900/01/02Standard deviation [mm]Fig. 6 Ratio of break probability (Load-B)OIRANDSF-1.0 SF-1.25SF-1.5 円 SF1.75SF%3D2.0 SF-3.0Ratio of leak probability, P LES PLANESKマイ021900/01/021 2 26B3 0 1 2 3 016B Standard deviation [mm]1 114BFig. 7 Ratio of leak probability (Load-B)(2) 欠陥寸法にサイジング性能を考慮する場合上述の検討により,評価用の欠陥寸法にサイジング 性能を考慮せず,認識寸法をそのまま用いて欠陥評価 を行った場合,熱膨張応力が主体となった場合には, 検出された欠陥をすべて補修する場合に比べて破損確 率が上昇することがわかった。ここでは,き裂安定性 評価用荷重として,二次応力が主に作用する場合 (Load-B)について,評価を行う場合の欠陥寸法にサ300イジング性能を予め見込む効果について検討する。原子力安全保安院で確認されたステンレス鋼の SCC き裂に対するサイジング性能(20 = 4.4mm) 参考とし て[5], 認識き裂寸法に対して 4.4mm のマージンを見込 んだ場合の破損確率を算出した。維持規格を導入せず に検出された欠陥をすべて補修する場合の破断および 漏えい確率と,維持規格を導入し評価上安全な欠陥を 許容して運転する場合の破断および漏えい確率の比較 を Table 5 に示す。Table 5 Cumulative failure probabilities at 40ch year for the case considering inaccurate of defect sizingUnit: [year'] Repair all cracks SF=1.5 SF=3.0 PipeLeak Break Leak Break Leak Break 4B 9.2x102 7.3x109.2x102 7.4x109.2x102 7.3x104 16B 1.4x101.1x10° 1.4x101.2×101.4x101.1×105 26B 4.0x1054.2x108 4.3x10* 4.4x10** 4.3x104.2x108表に示すように,評価欠陥寸法に予め欠陥サイジング 性能を考慮することで,破断確率は検出されたすべて の欠陥を補修する場合と同程度となる。漏えいに関し ては大口径管において若干確率が大きくなるが,これ は, 4.4mm のマージンが20 点であるため,これを超 える欠陥の影響が現れると考えられる。しかし,大口 径配管の漏えい確率は,小口径管と比べて2桁程度小 さくなることから,配管の信頼度に対しては実質大き な影響はないと考えられる。この結果より,維持規格 を適用する場合には,欠陥サイジング性能を明らかに し,それを評価欠陥寸法に加味した評価を行うことで, 検出された欠陥をすべて補修する従来のプラント運用 と同等の信頼度を確保することが可能である。4.まとめ配管に作用する応力を全て一次応力と仮定した場合, 欠陥サイジング性能は,欠陥サイジング性能を評価欠 陥寸法に考慮しない場合においても維持規格が有する 許容状態 A およびBに対する安全率 2.77 でカバーされ, 破断および漏えい確率は検出された欠陥をすべて補修 する場合と同等となる。しかし,実機における荷重に 近い条件として,主に二次応力が作用すると仮定した 場合,維持規格では二次応力に安全率が考慮されない ため,破断および漏えい確率は検出された欠陥をすべて補修する場合よりも増加する。この結果は,荷重条 件によっては維持規格の安全率は欠陥サイジング性能 をカバーできないことを示唆している。 - 欠陥評価を行う場合に評価欠陥寸法にサイジング性 能を予め見込んだ場合,破断および漏えい確率は検出 された欠陥をすべて補修する場合と同等となり,検出 された欠陥をすべて補修する従来のプラント運用と同 等の信頼度を確保することができる。これらの結果より,維持規格の適用にあたっては, 欠陥サイジング性能を明確化と,これを考慮した欠陥 評価が,信頼性を確保する上で重要であることが明ら かになった。「謝辞本研究にあたり,横浜国立大学 安藤 柱教授より, 貴重なご意見とご指導をいただいた。ここに記すとと もに,深く感謝の意を表します。参考文献[1]社団法人 日本機械学会. 発電用原子炉設備規格 維 * 持規格(2002 年度改訂版). JSME S NA1-2002. [2]社団法人 日本機械学会, 発電用原子力設備規格 設計・建設規格 発電用設備規格. JSME S NC1-2001 [3]Machida, H., and Yoshimura, S., “Probabilisticfracture mechanics analysis of nuclear piping considering variation of seismic loading,” IJPVP, Vol.79, 2002, pp. 193-202. [4]財団法人 発電設備技術検査協会.平成 13 年度 実用原子力発電施設検査技術等開発に関する事業報告書. [5]原子炉再循環系配管等に係わる健全性評価方法について(案),原子力安全・保安院, 平成16年6月1日 [6]Marshall, W., An Assessment of the Integrity of PWRPressure Vessel, UKAEA, 1976. [7]Probability of pipe failure in the reactor coolant loops ofcombustion engineering PWR plants, Vol. 2: Pipe failureinduced by crack growth, NUREG/CR-3663, 1984 [8]社団法人 日本機械学会.発電用原子力設備規格 配管破損防護設計規.JSME SND1-2002 [9]Newman Jr. J. C. and Raju, I. S., “An empirical stressintensity factor equation for the surface crack,” Eng. of Fracture Mechanics, Vol. 15, 1981, pp. 185.301“ “欠陥サイジング性能が原子力配管の信頼度に及ぼす影響“ “町田 秀夫,Hideo MACHIDA
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