オンライン監視によるセンサーの点検周期判断支援技術

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カテゴリ: 第2回
1.緒言
1 原子力発電プラントにおける計測制御システムの校 正作業は以下のステージから構成されている(Fig.1)。センサーの校正 ● 信号処理システムの校正 ヒューマンインタフェース及びプラントコンピ ュータ(PCCS)
PCCS Calibration
Sensors (Transmitters)Signal Processing SysteniPCCS (VDU)ElectricTest cardsource cardMonitor cardInterlock outputTest PointsTPSingle Transmitter Calibrations()5 levels calibration (up/down) Statie pressure characteristics calibrationIndicators/ RecordersLoop Calibration() -5 levels calibration fup/down)Human Interface CalibrationFig.1 Calibration work at planned outage保守コストの低減及びプラントの計画停止期間短縮 のため、計測制御システムの保守作業低減が必要とさ れている。センサー部分以外の校正作業に対しては、 システムのデジタル化により、相当の作業低減が可能 となる一方、センサー部分に対しては、効果的な校正 作業低減手法がなく、各計画停止時には必要であるか 否かにかかわらず全てのセンサーに対して校正作業を 実施している。このため、センサー及び伝送器のフル2. オンラインセンサー監視システム- システムは検査直後にセンサーの特性をモデル化し、 センサードリフト(真の値とセンサーの計測値の差) を監視、評価し、ドリフトが十分小さい、即ち校正が 不要なセンサーを識別する。本システムの構成を Fig.2 に示す。Plant DataInpurTrue Value EstimationFull-Span CompensationCalibrationInterval SupportUncertainty EvaluationCalibrationHistory1&C SystemFig 2. Configuration of the online sensor monitoring systemFig.2 の各ブロックの機能を以下に記す。 ●プラントデータ入力:計測制御システムからプラン トデータを入力し、必要に応じ、単位系変換、正規化及びノイズ除去を行う。 ●真値推定:真値推定モデルを用いてプロセスパラメ ータの値を推定する。推定手法にはいくつかの方法 があるが、本システムでは、自己連想型ニューラル351ネットワーク(AANN - Auto Associative Neural Network)を用いている(Fig.3)。AANN には測定値 が入力され、AANN は入力に対応した真値の推定値 を出力するように学習する[1]。Input (measured value)Output (estimated value)Sensor 1 - Sensor 2 -Sensor 1 ? Sensor2Sensor NSensor N --ba----b-Sensor? SensorNFig.3 Structure of AANN実プラントではセンサー数が 400~500 個に達する ため、複数の推定モデルが備えられている。1つの センサーに対して複数の推定モデルから推定値が得 られるが、これらは信頼性向上のため、重み付け平 均などにより処理される。 ● 不確実性評価:真値推定モデルでは相関する一つ以 上のセンサー出力を用いているため、各センサーの ドリフトは各々のセンサーの推定値に影響を及ぼ す。即ち、推定値には不確実さが含まれており、不 確実性評価部分では推定モデルの感度特性及びセ ンサー固有の不確実さに基づき、推定値に含まれる この不確実さを評価する。 フルスパン補償:我が国の原子力発電プラントは、 一定の出力で運転されているため、測定値は運転状 態に対応した定常点にあり、フルレンジに渡る各セ ンサーの測定値と真値の差を推定することは難し い。ここでは、センサードリフトは2つの成分に分 離することができるという点に着目することによ り、フルスパン補償を行う方法を導入した。センサ ードリフトの一つの成分は「ゼロ点シフト」と呼ば れるドリフトの並行移動成分であり、もう一つの成 分は「スパンシフト」と呼ばれるドリフトの変動成 分である。ゼロ点シフトは真値推定によって推定さ れ、スパンシフトはセンサーのドリフト特性から統 計的手法により導かれる[2]。 校正間隔支援:センサーのフルレンジに渡る補償結 果から評価された現在の健全性及びセンサーのド リフト特性に基づき,将来の健全性を予測する。予 測されたドリフト範囲が許容されるレベルを超過 するのであれば、当該センサーは校正が必要となる。3. システムパフォーマンス評価 実プラントのデータを用いて、真値評価手法の試験 を実施した。試験グループは、原子炉冷却系(RCS)、 主給水/主蒸気系(FW/MS)に装着された 16個のセ ンサーから構成されている。推定モデルの学習の後、 模擬ドリフトが意図的に実際のプロセス値に加えられ、 推定モデルに入力された。Fig.4 に、主蒸気圧力に対す る試験結果を示す。推定モデルは元の値とほぼ同じ推 定値を出力しており、推定モデルによって模擬ドリフ トが除去されていることがわかる。65.4Input Value65.2Level (%)Estimated Value64.20 64.00 63.800FronmithランプリンターOriginal Value120240360480600720Fig.4 True value estimation4.結言* センサー及び伝送器のフルレンジに渡るドリフトを 評価し、校正の必要性の有無を評価するため、オンラ インセンサー監視システムを開発した。今後、システ ムの改善を図り、実際の PWR におけるパフォーマン ス検証を行い、実際の PWR プラントへの適用を計画 している。このシステムは、保守コストの低減及び保 守時の被ばく低減に寄与するものと考えている。参考文献[1] J.W. Hines and R.E. Uhrig. (1998). Use of AutoAssociative Neural Networks for Signal Validation. Journal of Intelligent and Robotic Systems 21,pp143-154 [2] Asada, H. Iba. (2002). Optimization of InstrumentCalibration Intervals by On-line Sensor Monitoring Techniques, ISOFIC2002 (International Symposium on the Future I&C NPP), pp128-130, Seoul, Korea352“ “オンライン監視によるセンサーの点検周期判断支援技術“ “渡辺 長深,Osami WATANABE,林 宣宏,Nobuhiro HAYASHI,野村 真澄,Masumi NOMURA
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