TFG センサを用いた漏洩磁束測定による非破壊評価の研究

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カテゴリ: 第2回
1. 緒言
磁性体の表面または内部に傷などの欠陥があると, 磁性体と欠陥部との境界で磁気的性質が異なるため, その周囲で磁力線が変化して試験片表面から漏れる. この漏洩磁束密度の分布と強度を適当な磁界センサを 用いて計測することで欠陥の同定を行うのが漏洩磁束 探傷法 (Magnetic Flux Leakage Testing: MFLT) である. 本研究では検出素子としてTFG センサを用い,試験 片表面に平行な磁束密度分布を測定することで,試 験片に生じた欠陥を検出することを試みた. TFG セ ンサは測定中のドリフトが非常に少なく,センサチ ップが小型であるという特徴がある.今回用いた (株)島津製作所製の TFG センサはこの小型なセン サチップ部を独立して動かすことで自由度の高い計 測が可能となっている, Fig.1 参照
2. TFG センサによる漏洩磁束の測定 2.1 試験片及び測定法今回は Fig.2 及び Fig.3 に示す二つの試験片を用い た. 試験片1(SS400)は背面に約 1mm の幅の四つ の非貫通溝をもち,それぞれ溝の深さを変えてある. 試験片2(SUS304) は片側から 10mm のスリット加 工をしたのち、疲労負荷によりき裂を進展させてお り,幅方向に 10mm 程度を残すまでき裂が進展して いる.これらの試験片を交流極間式磁化器を用いて 長手方向(x軸方向とする)に磁化し試験片表面から 約1mm 上の空間領域における水平方向 (x 軸方向) の磁束密度を測定した. 連絡先:安部正高,〒606-8501,京都府京都市左京 区吉田本町京都大学大学院エネルギー科学研究科, e-mail:abe@system.energy.kyoto-u.ac.jp-63MovingSpecimenTFG sensorControlBoardDC +5VGP-IBPower supplyA/D converter (Digital multimeter)Power supplyDC -5VPersonal computerFig.1 Experimental system 2 40 、 40 40 ,ト 6510gifLNotch1Notch2,Notch3Notch4gb| 12.95〒250Fig.2 Specimen1d%3D5.3き裂1-180100.2 |300Fig.3 Specimen2TEL OPELLICALI|60d=35.3840き一fo0.2300Ky(mm)aga420reato-80Notch1Notch2Notch3Notch40.000013332 0.00001333 0.000013328 0.000013326 0.000013324 0.000013322 0.00001332-60-60180-401060x(mm)Fig.4 Magnetic flux density Bx(T) outside of Specimen10.00001350.0000130.00001250.000012Crack(wt) A0.0000115 0,000011-10-0.00001050.000010.0000095-20-254 1 -25 -20 -15 -10 -5 0x(mm)0.0000095101520250.0000085Fig.5 Magnetic flux density Bx(T) outside of Specimen22.2 測定結果それぞれの試験片についての測定結果を Fig.4 お よび Fig.5 に示した. Fig.4 は試験片1についての測 定結果であり,背面に欠陥のある部分では,磁束密 度が減少し,欠陥を反映した磁束密度の分布があら われている.これは透磁率の低い欠陥部を避けるよ うにして生じた漏洩磁束が周囲の磁場と打ち消しあ った結果である.また,一番左の溝(Notch1) はよ く検出されているが,一番右の溝(Notch4)はほと んど検出されていない. これより,試験片表面から 浅いところにある傷ほど検出しやすいことがわかる. 試験片表面から深いところにある傷を精度よく検出 するには,より強く磁化し十分な漏洩磁束密度を得 ることが必要である.また,全体として縞模様のパ ターンがあらわれているが,これは試験片表面に生 じた縞状の錆びなどの影響によるものであると考え られる.Fig.5には試験片2の測定結果を示す. スリット部 やき裂部において漏洩磁束が生じ,周囲の磁場と強 めあった結果,欠陥の形状を反映した磁束密度の分 布があらわれている. SUS304 は非磁性体であるが,欠陥部では加工時にマルテンサイト変態を起こして いるためこのように検出が可能となる.き裂先端部 で一度磁束密度が減少し少し離れた部分でまた増加 しているのも,加工に伴う塑性変形に起因した相変 態の影響ではないかと考えられる.また,スリット 部とき裂部とで磁束密度のパターンにあまり明瞭な 違いがあらわれていないことがわかる. このように, 漏洩磁束は欠陥の形状より大きな範囲で計測される という特徴がある.3.結言1) 背面に2)背面に非貫通溝を持つ試験片(SS400)を磁化 し,試験片表面近傍における水平方向の磁束密 度を測定した.その結果,背面に非貫通溝の存 在する部位では磁束密度が減少するパターンが あらわれ,これを検出することが出来た. スリットおよび疲労負荷により進展したき裂を もつ試験片(SUS304)を磁化し,同様に磁束密 度を測定した.その結果,スリットおよびき裂 部では磁束密度が増加するパターンがあらわれ, これを検出することができた.また,それ以外 の加工に伴い相変態が起きたと思われる部位も 検出することができた.参考文献[1] 石原, “TFG センサを用いた漏洩磁束測定による欠陥の同定”, 第9回MAGDAコンファレンス講演論文集、2000、 pp.89-92. [2] 吉見、藤山、務中,山田,中西,吉田, “小型薄膜フラックスゲート磁気センサとその応用”、 島津評論、56-1・2, 1999、pp.19-28.-64“ “TFG センサを用いた漏洩磁束測定による非破壊評価の研究“ “安部 正高,Masataka ABE,琵琶 志朗,Shiro BIWA,松本 英治,Eiji MATSUMOTO
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