浜岡原子力発電所での保全最適化手法の適用性検討

公開日:
カテゴリ: 第2回
1. 緒言
原子力発電設備は、安全・安定転を第一と考え、発電所とともに浜岡原子力発電所への適用にあたっての課題等 の各機器・設備を適切に維持管理するため、最新の技術的・ の抽出を行った。 科学的知見や転実績に基づき保守管理を行っている。試行結果から、米国の保全最適化手法の浜岡原子力発 当社、浜岡原子力発電所においても最新の知見や転実績 電所への適用の見通しが得られたため、今後は保全最適 に基づき、各機器・設備の点検頻度をあらかじめ定め、その 化手法の本格導入に向けて、抽出された課題解決に取り 頻度に従って点検を行う「時間計画保全」を主体とした保守。 組んでいくこととしている。 管理を行っている。
2. 浜岡3号機における試行 一方米国においては、機器・設備毎の故障率、故障モー米国の手法の浜岡原子力発電所への適用性を確認するた ド及び故障時の影響度といったリスクや運転実績に応じ、め、米国FramatameANP社に依頼して、米国で使用されている、 「状態監視保全」、「事後保全」等の最適な保全方法を選重要度、使用環境・条件と保全方法・頻酸の関係を機種毎に 定する RCM(信頼性重視保全 : Reliability Centered定めた指標である保全テンプレートを用いた評価を行った。 Maintenance)の考え方に基づく保全最適化手法を確立する とともに、リスク評価によりプラント運転中の設備保全 2.1評価対象機器 を可能とすることで、高稼働率と低コストの両立を実現 評価対象機器としては浜岡3号機の給水系を構成する している。機器のうち、大型の動的機器を中心に以下の7機種16 このため、当社では 2004年度から、米国の手法を参考 台を選定した。 に、浜岡原子力発電所運営のより一層の信頼度向上と合 浜岡3号機給水系の概略系統図を図-1 に示す。 理化を目指し、リスク評価に基づく新たな運転保守管理1) 高圧給水加熱器(4台) の枠組みの構築に向けた検討を開始している。2) タービン駆動給水ポンプ(2台) 2004 年度は、浜岡原子力発電所3号機(以下浜岡3号3) 給水ポンプ駆動タービン(2台) 機という)の給水系の主要な機器を対象に米国の保全最4) モータ駆動給水ポンプ(2台) 適化手法による評価を試行し、その有効性を確認する。5) 給水ポンプ駆動モータ(2台)6) ポンプ出口電動弁(2台) 連絡先:清水 高、〒461-8680 名古屋市東区東新町17) 給 水 調 整 弁(2台) 中部電力(株)原子力部長期保全G、電話 052-951-8211、 E-mail: Shimizu.Takashi@chuden.co.jp2. 浜岡3号機における試行米国の手法の浜岡原子力発電所への適用性を確認するた め、米国FrantameANP社に依頼して、米国で使用されている、 重要度、使用環境・条件と保全方法・頻度の関係を機種毎に 定めた指標である保全テンプレートを用いた評価を行った。2.1評価対象機器 評価対象機器としては浜岡3号機の給水系を構成する 機器のうち、大型の動的機器を中心に以下の7機種16 台を選定した。浜岡3号機給水系の概略系統図を図-1 に示す。 HCZAL UILO 浜岡3号機給水系の概略系統図を図-1 に示す。* 1) 高圧給水加熱器(4台) 2) タービン駆動給水ポンプ(2台) 3) 給水ポンプ駆動タービン(2台) 4) モータ駆動給水ポンプ(2台) 5) 給水ポンプ駆動モータ(2台)6) ポンプ出口電動弁(2台) (7) 給 水 調 整 弁(2台)91ポンプ出口電動弁タービン駆動給水ポンプ]駆動タービン加熱器 高圧給水どう「給水流量調整#モータ駆動給水ポンプ駆動モータ」図-1 浜岡3号機給水系概略系統図2.2収集データ - 対象機器の評価に必要となるデータは、保守履歴、設 備情報等の図書類から運転・保守員への聞き取り調査ま で多岐に渡るため、評価対象の7機種16台分のデータ だけでもかなりの物量となり、データ準備に相当の期間 を要することとなった。今後保全最適化手法を導入し、 効率的に評価を行っていく上で保全に係るデータの早期 の整備が重要である。今回の試行で準備した主なデータ を以下に示す。 * 1) 機器リスト 2) 保修作業報告書(保守履歴データ) 3) 現状の保守内容 4) 巡視点検、サーベイランスの内容 5) 規制等の要求から実施している保守内容 6) 保守に係るコストデータ 7) 設備図書、運転要領-タ)2.3評価対象機器の重要度分類 保全テンプレートから評価対象機器の保全方法を決め る際の主要な要素となる、機器の重要度を以下の考え方 で3つに分類した。分類は、収集データの分析及び運転・保守担当者から の聞き取りを基に実施した。 1) 最重要その故障が以下のいずれかの事象を引き起こす機器 ・出力の大幅な変化または低下 ・安全機能の冗長性の喪失 ・計画外のLOO・ハーフスクラムあるいはパーシャルトリップ・ハーフスクラムあるいはパーシャルトリップ ・原子炉の停止 ・工学的安全施設の起動 ・原子炉水位/圧力、一次/二次格納容器等の重要な安 全機能の制御不能 ・原子炉を停止しかっ停止状態を維持する能力の低下 ・非常時運転手順の実行不可、あるいはオフサイト線 量が制限を超す可能性のある事故の影響の防止また は緩和不能 <対象機器> - 給水ポンプ駆動タービン - タービン駆動給水ポンプ- 高圧給水加熱器 2)重要最重要機器には該当しないが、その故障により以下 のいずれかの事象を引き起こす機器等 ・人身災害、労働災害、環境安全、放射線安全の許容しがたい増加 ・修理、取替あるいは運転に許容しがたい費用が必要 ・交換部品の納期が長く、即座の修理が不可 ・重要な設備の保守に必要な隔離等が不可 ・故障によって、他の機器の故障を生じる ・規制違反に至る可能性あり ・重要な機器の適時の修理を妨げる ・修理や取替より、機器を保守する費用効果大 <対象機器> - 給水ポンプ駆動モータ - モータ駆動給水ポンプ - 給水流量調整弁- ポンプ出口電動弁 3) 非重要最重要、重要以外の機器 <対象機器>- なし 2.4保全テンプレート 保全最適化検討において機器毎の保守方法を決定する こめには、機器の重要度、使用環境・条件に対して推奨さ てる保全方法・頻酸の関係を定めた、保全テンプレートの活 月が重要となる。 しかし、保全テンプレートは米国電力会社の運転経験に技術的、経済的な要素を加味した、保守方法の標準的推 奨を示すもので、これにより一義的に保全方法・頻度が 決定されるものではなく、最終的な保守方法の決定には、 さらに運転員・保守員の個別の経験等を加味する必要が ある。このため浜岡3号機の試行においても、運転・保 守関係者への聞き取り・意見交換を行った。 保全最適化検討において保全テンプレートは、最適な保 守方法決定の出発点を与えるものとなっている。今回の試行では米国 Duke 社で作成した保全テンプレー トを使用した。保全テンプレートの例を図-2 に示す。・性能トレンド 例として、タービン駆動給水ポンプの場合、状態監 視技術を導入することで、現状の分解点検周期を2倍 に延ばすことが可能となる。 状態監視項目が増えるた め保全項目数としては、増加することになるが、保全 コストが高いポンプの分解点検周期を延長できるこ とで、全体では保全コストを低減することができる。 浜岡3号機タービン駆動給水ポンプの現状の保全方 法と、今回の評価に基づく推奨保全方法の比較を図-3 に示す。×xx定検 境・振動測定(1ヶ月毎)×いてxx-x|×・ポンプ分解点検(2定検毎)NHMNLS 3M 18M3MretterTTTTTTTTYNHS 3M 18M 6MY YYYYYYY YYYYYYYYY DRIETTYTPrEyeartttterEYTY!?状 保全項目NLM 3M AR AR18M機能上の重要性重要() 非重(N)高い(H) 負荷サイクル低い(L) 供用状は、厳しい(S)穏やか(M) PMタスク」 振動解析油分析 状期 「サーモグラフィーモーター電流トレンド 性能トレンド 油フィルター交換、清掃、点検 | カップリング点検ノズルNDE 時間去學 外取目視点検部分分解点検 完全分解点検速乾??? 幹発見機能試験ARCHS CLS CHM CLM 1M 1M1M 3M18MM 18M 6M6M 3M3M 6M 6M6M 18M 1 AR18MAR 18M 5Y5Y 10Y NR 10Y NR6M6M6M16M18M・振動測定(1ヶ月毎) 推油分析 (3ヶ月毎) ト・サーモグラフィ(6ヶ月毎)性能トレンド(6ヶ月毎) 1.amanywwwwwwwwwww.amahannm 疑トカップリング点検(1定検毎》 ・ポンプ分解点検(4定検毎う6M6M 18MAR AR AR 10Y NRARARNR1110AR AR AR ARAR ARAR ARARAR ARARAR AR AR ARAR AR ARARARAR ART ART ARAR図-3 保守方法の現状と推奨の比較(タービン駆動給水ポンプ)図-2 保全テンプレートの例(横型ポンプ)2.5評価結果 米国の保全最適化手法による評価結果を浜岡3号機の 給水系の主要機器に適用することで、設備の信頼性を下 げることなく保全コストの低減を図ることが可能である との見通しが得られ、本手法の有効性を確認することが できた。また、適用にあたっての課題についても抽出し2) 課題の抽出今回の評価の試行を通し、浜岡原子力発電所へ米国 の保全最適化手法を適用して行くにあたって以下の 課題が抽出された。 ・保全最適化を効率的に進めるために必要なデータ整備 ・日本の法規制や社会的要求等の条件を加味した重要度分類の作成 ・保全方法変更(最適化)の妥当性を示すため、保全方法・頻度に関する根拠の明確化 ・状態監視・評価技術の習得 ・機器の運転等履歴から保全方法・頻度を総合的に判断する技術力の習得 ・上記を実現するための人材確保・育成1) 評価内容米国の運転経験、実績及び浜岡3号機給水系の保守履 歴等に基づき評価を行った結果、状態監視保全を導入す ることで、現状の「時間計画保全」の周期延長、変更、 削除が可能となり、全体として保全コストを低減するこ とが可能であることが分かった。状態監視技術として以下の5つの技術の導入が推奨 された・振動解析 ・赤外線サーモグラフィー ・潤滑油分析 ・モータ試験3. まとめ 今回の評価の試行結果から米国の保全最適化手法の有 効性が確認でき、これを浜岡原子力発電所へ適用するに あたって解決すべき課題も抽出された。今後は、各課題 解決に取り組み、浜岡原子力発電所への早期の保全最適 化手法導入を図る計画である。“ “浜岡原子力発電所での保全最適化手法の適用性検討“ “代田 寿彦,Toshihiko SIROTA,清水 高,Takashi SHIMIZU
著者検索
ボリューム検索
論文 (1)
解説記事 (0)
論文 (1)
解説記事 (0)
論文 (0)
解説記事 (0)
論文 (1)
解説記事 (0)
論文 (2)
解説記事 (0)
論文 (2)
解説記事 (0)
論文 (1)
解説記事 (0)
論文 (2)
解説記事 (0)
論文 (0)
解説記事 (0)
論文 (5)
解説記事 (0)
論文 (5)
解説記事 (0)
論文 (0)
解説記事 (0)
論文 (0)
解説記事 (0)