人工物保全のための自己修復型センサネットワークの研究
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カテゴリ: 第3回
1.緒言
は故障が発生してもシステム全体の機能を保持し続けることができる自己修復機能をもつことが望ましい。 インターネットをはじめとする各種ネットワークの自己修復機能とは、故障判定、故障診断、修復計画、 発達により、情報流通の利便性は格段に向上した。し 修復実行を自動的に行う機能のことである。本研究でかし、実世界の時々刻々変わる環境情報の取得や、広はセンサネットワークに自己修復機能を付加するため 域にわたる情報の同時把握については、新たな技術開の専用集積回路を開発することを目的とする。 発の余地が残されている。その中でも、センサネット ワークは、これまで工場や化学プラントなどの特殊な
- 2.自己修復機能への要求 場所での利用が主であったが、センサの小型化やネッ トワーク環境の整備が急速に進んだことにより、利用 2.1 自己修復機能 する場所がより広範囲になり、より我々に身近なアプ近年の科学技術の著しい進歩にも関わらず生体では可 リケーション例も検討されつつある。それに従い、人能であっても人工物では実現不可能なことはまだまだ 手介入なしで、センサネットワーク間の連携により、 多数ある。両者においてその違いは「生産」と「保守」 面的な拡がりを実現するものが求められるようになっのしくみに端的に現れている。つまり、生体は増殖、 た。
形態形成、修復などのしくみを内蔵しているのに対し、 ・ センサネットワークの普及に伴い、より高機能・高 人工物はこれらをすべて外部に依存している。つまり 信頼性を実現するものが求められつつある。多数のセ 人工物に生体の細胞のように増殖機能を持たせること ンサを含むセンサネットワークをもつ人工物において は難しいと言える。本来は人工物が自身の故障箇所を は、各センサの故障は、ときに人工物自体の致命的な完全に修復する自己修復機能を持つことが望ましいが、 故障に発展する。原理的に故障を伴わない人工物は実 人工物が増殖機能を持たない以上、そのようなシステ 現不可能なので、本研究では、センサの故障の発生をムは現実的ではない。そこで本研究で提案するシステ 前提とした上で、故障に耐性のあるセンサネットワー ムでは故障発生によるシステム全体への影響を最小限 クを実現することを考える。故障に耐性をもつために にとどめ、全体としての機能を保持するものとする。Fig.1 のように均質なユニットで構成された人工物(セ 連絡先:藤原 健、〒113-0032 東京都文京区弥生 2-11-16 東京大学原子力国政専攻高橋研究室ンサネットワーク)に対し、故障箇所を正常に動作し 電話: 03-5841-6974、fujiwara@sophie.q.t.u-tokyo.ac.jp ているユニットで補完することによって人工物の保全2.自己修復機能への要求2.1 自己修復機能 近年の科学技術の著しい進歩にも関わらず生体では可 能であっても人工物では実現不可能なことはまだまだ 多数ある。両者においてその違いは「生産」と「保守」 のしくみに端的に現れている。つまり、生体は増殖、 形態形成、修復などのしくみを内蔵しているのに対し、 人工物はこれらをすべて外部に依存している。つまり 人工物に生体の細胞のように増殖機能を持たせること は難しいと言える。本来は人工物が自身の故障箇所を 完全に修復する自己修復機能を持つことが望ましいが、 人工物が増殖機能を持たない以上、そのようなシステ ムは現実的ではない。そこで本研究で提案するシステ ムでは故障発生によるシステム全体への影響を最小限 にとどめ、全体としての機能を保持するものとする。 Fig.1 のように均質なユニットで構成された人工物(セ ンサネットワーク)に対し、故障箇所を正常に動作し ているユニットで補完することによって人工物の保全-132を実現できると考えた(Fig.1)。2.2 定性推論 自己修復を実現するにあたって故障検知は最も重要な 要素であるといえる。生体は故障検知のベースとなる 情報を神経から得るが人工物はセンサから得ることに なる。しかし閾値では故障を判断できない場合も多く、 単に一つセンサの値だけでは故障を検知できないケー スが多い。このようなケースではセンサの故障検知に 定性推論を用いることが有効であると考えられる。定 性推論とは現象の定性的な側面に注目して推論を行っ ていくものである[1]。例えば空気に関して、 PV = nRT という式と現在の温度と圧力から、体積を 厳密に求める方法を定量的推論とすると、定性推論で は「Tが増えればVも増える」「T1⇒V」とより抽 象化して推論を行う。自己修復機能に必要なのは故障 部分を推定することであり、特定の部分に関する厳密 な情報ではない、よって定性推論が有効に用いられて きた。すなわち、隣接するセンサが検知する値はオー バーラップしている確率が高いという考えのもと、セ ンサ群の値を包括的に扱い、各センサが近傍のセンサ と値を比較し、整合性を確かめ合うことによりセンサ の故障を検知する。そして本研究ではネットワーク化 された複数センサ間で情報を共有し、各センサの故障 を判定する際の尺度となる“信頼度”を与えることに よってセンサの故障を検知する(Fig.2)。- 133 -HighReliability IndexSensor ModuleLowSensor ModuleFig.2 信頼度の概念図による演算部の設計 マン型の)計算機は処理装置及び主記 2.3 専用回路による演算部の設計 一般的な(ノイマン型の)計算機は処理装置及び主記 憶装置から成り立つ。一方、定性推論型の演算を行う ための装置について考えてみると、ここの演算それ自 体は大まかなものでよく、演算精度の高さは求められ ない。すなわち定性推論演算においては演算の種類が ある程度限定されるので、現在の標準的なCPUの能 力でも十分である。しかし、高度な演算が求められな いのとは逆に、人工物が複雑になればなるほど、人工 物の規模が大きくなればなるほど、物理モデルは複雑 化し、その演算の量は極めて多くなり、既存のCPU では計算が追いつかなくなる。以上をまとめると、従 来の計算機は定性推論型の演算には最適であるとはい えない。本研究では自己修復型人工物に適した、新し い分散型情報処理チップを実現することを目指して研 究を進めている。これは、定性推論のための演算に必 要十分な程度の、比較的低機能で回路サイズの小さい 定性演算機を多数用意し、独立に動作させることがで きるようにするもので、物理モデルに応じて、それら の定性演算機間の結線を行い、ネットワークを組み上 げる、高速かつ大量の情報処理を実現するものである。 * 本システムの利点は、リアルタイムでの並列情報処 理が可能である点である。複数の専用回路による分散 処理であるため、一つ演算部が故障したとしても、故 障を含むユニット以外には影響が生じない。このよう にモジュールを組み合わせることによりロバスト性を 持った大規模な演算処理が可能になると考えられる。形状・移動検知センサネットワーク 本研究ではまず、 光センサを多数配置した形状・移動検知センサネットOKOKOKT/OKワークを構築した。これは光に反応するフォトトラン あまり離れたセンサ同士は情報を共有し ジスタで構成されていて、多数配置されたセンサ間で信頼性評価を互いにするのは適切ではない 値を比較することによって、対象となる物体の影の形 隣より遠いセンサとの比較は行わないよ やその動きを検知する。本研究では、この光センサの 故障を検知し、そのセンサからの情報を処理し、自己 | OK H or H | 修復機能を実現するエージェントのネットワークを専 用集積回路で実現する。この形状・移動検知センサは OK H NG 4 OK | 単純な構造で同質な光センサから構成されているので、 故障検知のためのアルゴリズムの実装に適しているの | OK H or Hok |OK に加え、個々のセンサの故障が全体の動作に大きく影 響するため本研究の題材として選んだ。woul ークにおいて光Fig.4再配線機能 3.自己修復システムのシミュレーション 3.1 アルゴリズム 演算部を設計するにあたってまずコンピュータ上で自 己修復アルゴリズムのシミュレーションを行い、信頼 度がどのように変化するか調べた。 上記の形状・移動検知センサネットワークにおいて光 センサと比較して形状・移動検知の対象となる物体が 十分な大きさを持っている場合隣接するセンサは同じ 値をとる可能性が高い。したがって一様に並べられた センサ群において、各センサの信頼度は隣接する8近 傍のセンサと値を比較することによって(Fig.3)各々の センサの信頼度を決定する。Compare the value of adjoining sensor0000 D000 - ロコSaneDifferValueReliability Point0000 090 ロロロFig.3 信頼度決定アルゴリズム故障と判断されたセンサは形状・移動検知機能、故障 診断機能に悪影響を及ぼす恐れがあるため、配線を変 更する機能を加えた。故障と診断されたモジュールが 出たとき、配線を Fig.4 のように変更する。すなわち、故障と判断されたモジュールに代わり、2 つ隣のセンサに対応するモジュールが比較対象となる。 隣のセンサからの情報を遮断しても比較対象となるセ ンサを確保することで評価の客観性を保つ。次に述べ る移動を検知する機能の保持にも効用がある。ただしあまり離れたセンサ同士は情報を共有してはおらず、 信頼性評価を互いにするのは適切ではないので、2 つ 隣より遠いセンサとの比較は行わないようにした。OKOKOKOKOKOKOKOK3.2 シミュレーション結果 信頼度を導入した自己修復アルゴリズムの有効性を確 かめるためにコンピュータシミュレーションを行った。 まず、このような機能を有する演算部を実装するため にプログラムをハードウェア記述言語(HDL: Hardware Description Language)により作成し、想定される故障を コンピュータ上でシミュレートし、信頼度の変化を調 べた。シミュレーション環境は Quartus III 、設計言語は Verilog-HDL である。近接するセンサはほぼ同じ強度の 光に照らされるはずであるので、隣接するセンサから 得られる値は同じである可能性が高い。そこで各セン サは近接するセンサから得られる値と比較することに より信頼性を決定する。図(Fig.5)に想定される故障の例の一つを示す。図の 左部は16個のセンサで構成されるセンサネットワー クの中の一つのセンサ(5番)が故障しており、20 クロック後にさらに隣接するもう一つのセンサが故障 した場合であることを示す。図の右部はそのときの信 頼度の変化の様子を示す。故障したセンサノード(1 番と9番) の信頼度が時間変化とともに下がっていき、 反対に正常なセンサの信頼度は上がっている。134reliability00000-0000Fig.5 想定される故障発生事例と信頼度変化4. ディジタル ASIC の設計と動作検証 設計したプログラムの動作がコンピュータシミュレー ションで確認できたので、実際に FPGA にプログラム をロードして実際にセンサを繋いでその動作を確認し た。30しますKVKNHK)(KVKTER*XKHS(金)本美緒211111Fig.61 telTEINALenom:HOTOTEyominal Burnet19]もえるるるるる150xnno000Fighl Cine2miniimminime(東京本社F%E61★マが100000000000 Maya Coxx 2013|crollow1日13年11月10日(チ!exe」Fry.6.1 LINEFig.6 信頼度の時間変化図(Fig.6)は3つの異なるケースにおいて時間が十分に 経ったときの信頼度の変化の様子を示す。四角はセン サを示し、中の数字は信頼度を表す。黒く塗られた四 角は故障を示し、赤く塗られた箇所は信頼度が不適切 に変化してしまっていることを示す。Fig.6-1 や Fig.6-2 のように故障したセンサが複数あってもセンサ同士が 隣接してかたまってない場合は故障したセンサの信頼 度が適切に下がり、正確に故障診断されている事が分 かった。つまりセンサの故障率が低い場合はセンサの 故障を適切に検知しているが Fig.6-3 ようにセンサがまとまって故障した場合は正常なセンサも故障と誤認さ れてしまった。それでも特定の配列に注目すると N 個 のエージェントが同時に故障する確率は個々のエージ ェントの故障確率 P の N乗になるのでこのような事象 の生成する確率はPに比べて大幅に小さくなるといえ る。故障率100偶発故障感無故障初期故障 期間Fig.7 故障率のバスタブ曲線代表的な電子機器・部品素子の故障率2 (t) は一般に 時刻t の関数として表わすことができる。この典型的 な形を示すと、Fig.7 のようになる。この図から素子の 一生ははじめ非常に故障の起こりやすい状態から段々 と起こりにくい状態に移行する期間,故障率がほぼ一 定となる期間および段々と故障が起こりやすくなる期 間に大別することができる. このそれぞれの期間を1) 初期故障期間 (early failure)(0
は故障が発生してもシステム全体の機能を保持し続けることができる自己修復機能をもつことが望ましい。 インターネットをはじめとする各種ネットワークの自己修復機能とは、故障判定、故障診断、修復計画、 発達により、情報流通の利便性は格段に向上した。し 修復実行を自動的に行う機能のことである。本研究でかし、実世界の時々刻々変わる環境情報の取得や、広はセンサネットワークに自己修復機能を付加するため 域にわたる情報の同時把握については、新たな技術開の専用集積回路を開発することを目的とする。 発の余地が残されている。その中でも、センサネット ワークは、これまで工場や化学プラントなどの特殊な
- 2.自己修復機能への要求 場所での利用が主であったが、センサの小型化やネッ トワーク環境の整備が急速に進んだことにより、利用 2.1 自己修復機能 する場所がより広範囲になり、より我々に身近なアプ近年の科学技術の著しい進歩にも関わらず生体では可 リケーション例も検討されつつある。それに従い、人能であっても人工物では実現不可能なことはまだまだ 手介入なしで、センサネットワーク間の連携により、 多数ある。両者においてその違いは「生産」と「保守」 面的な拡がりを実現するものが求められるようになっのしくみに端的に現れている。つまり、生体は増殖、 た。
形態形成、修復などのしくみを内蔵しているのに対し、 ・ センサネットワークの普及に伴い、より高機能・高 人工物はこれらをすべて外部に依存している。つまり 信頼性を実現するものが求められつつある。多数のセ 人工物に生体の細胞のように増殖機能を持たせること ンサを含むセンサネットワークをもつ人工物において は難しいと言える。本来は人工物が自身の故障箇所を は、各センサの故障は、ときに人工物自体の致命的な完全に修復する自己修復機能を持つことが望ましいが、 故障に発展する。原理的に故障を伴わない人工物は実 人工物が増殖機能を持たない以上、そのようなシステ 現不可能なので、本研究では、センサの故障の発生をムは現実的ではない。そこで本研究で提案するシステ 前提とした上で、故障に耐性のあるセンサネットワー ムでは故障発生によるシステム全体への影響を最小限 クを実現することを考える。故障に耐性をもつために にとどめ、全体としての機能を保持するものとする。Fig.1 のように均質なユニットで構成された人工物(セ 連絡先:藤原 健、〒113-0032 東京都文京区弥生 2-11-16 東京大学原子力国政専攻高橋研究室ンサネットワーク)に対し、故障箇所を正常に動作し 電話: 03-5841-6974、fujiwara@sophie.q.t.u-tokyo.ac.jp ているユニットで補完することによって人工物の保全2.自己修復機能への要求2.1 自己修復機能 近年の科学技術の著しい進歩にも関わらず生体では可 能であっても人工物では実現不可能なことはまだまだ 多数ある。両者においてその違いは「生産」と「保守」 のしくみに端的に現れている。つまり、生体は増殖、 形態形成、修復などのしくみを内蔵しているのに対し、 人工物はこれらをすべて外部に依存している。つまり 人工物に生体の細胞のように増殖機能を持たせること は難しいと言える。本来は人工物が自身の故障箇所を 完全に修復する自己修復機能を持つことが望ましいが、 人工物が増殖機能を持たない以上、そのようなシステ ムは現実的ではない。そこで本研究で提案するシステ ムでは故障発生によるシステム全体への影響を最小限 にとどめ、全体としての機能を保持するものとする。 Fig.1 のように均質なユニットで構成された人工物(セ ンサネットワーク)に対し、故障箇所を正常に動作し ているユニットで補完することによって人工物の保全-132を実現できると考えた(Fig.1)。2.2 定性推論 自己修復を実現するにあたって故障検知は最も重要な 要素であるといえる。生体は故障検知のベースとなる 情報を神経から得るが人工物はセンサから得ることに なる。しかし閾値では故障を判断できない場合も多く、 単に一つセンサの値だけでは故障を検知できないケー スが多い。このようなケースではセンサの故障検知に 定性推論を用いることが有効であると考えられる。定 性推論とは現象の定性的な側面に注目して推論を行っ ていくものである[1]。例えば空気に関して、 PV = nRT という式と現在の温度と圧力から、体積を 厳密に求める方法を定量的推論とすると、定性推論で は「Tが増えればVも増える」「T1⇒V」とより抽 象化して推論を行う。自己修復機能に必要なのは故障 部分を推定することであり、特定の部分に関する厳密 な情報ではない、よって定性推論が有効に用いられて きた。すなわち、隣接するセンサが検知する値はオー バーラップしている確率が高いという考えのもと、セ ンサ群の値を包括的に扱い、各センサが近傍のセンサ と値を比較し、整合性を確かめ合うことによりセンサ の故障を検知する。そして本研究ではネットワーク化 された複数センサ間で情報を共有し、各センサの故障 を判定する際の尺度となる“信頼度”を与えることに よってセンサの故障を検知する(Fig.2)。- 133 -HighReliability IndexSensor ModuleLowSensor ModuleFig.2 信頼度の概念図による演算部の設計 マン型の)計算機は処理装置及び主記 2.3 専用回路による演算部の設計 一般的な(ノイマン型の)計算機は処理装置及び主記 憶装置から成り立つ。一方、定性推論型の演算を行う ための装置について考えてみると、ここの演算それ自 体は大まかなものでよく、演算精度の高さは求められ ない。すなわち定性推論演算においては演算の種類が ある程度限定されるので、現在の標準的なCPUの能 力でも十分である。しかし、高度な演算が求められな いのとは逆に、人工物が複雑になればなるほど、人工 物の規模が大きくなればなるほど、物理モデルは複雑 化し、その演算の量は極めて多くなり、既存のCPU では計算が追いつかなくなる。以上をまとめると、従 来の計算機は定性推論型の演算には最適であるとはい えない。本研究では自己修復型人工物に適した、新し い分散型情報処理チップを実現することを目指して研 究を進めている。これは、定性推論のための演算に必 要十分な程度の、比較的低機能で回路サイズの小さい 定性演算機を多数用意し、独立に動作させることがで きるようにするもので、物理モデルに応じて、それら の定性演算機間の結線を行い、ネットワークを組み上 げる、高速かつ大量の情報処理を実現するものである。 * 本システムの利点は、リアルタイムでの並列情報処 理が可能である点である。複数の専用回路による分散 処理であるため、一つ演算部が故障したとしても、故 障を含むユニット以外には影響が生じない。このよう にモジュールを組み合わせることによりロバスト性を 持った大規模な演算処理が可能になると考えられる。形状・移動検知センサネットワーク 本研究ではまず、 光センサを多数配置した形状・移動検知センサネットOKOKOKT/OKワークを構築した。これは光に反応するフォトトラン あまり離れたセンサ同士は情報を共有し ジスタで構成されていて、多数配置されたセンサ間で信頼性評価を互いにするのは適切ではない 値を比較することによって、対象となる物体の影の形 隣より遠いセンサとの比較は行わないよ やその動きを検知する。本研究では、この光センサの 故障を検知し、そのセンサからの情報を処理し、自己 | OK H or H | 修復機能を実現するエージェントのネットワークを専 用集積回路で実現する。この形状・移動検知センサは OK H NG 4 OK | 単純な構造で同質な光センサから構成されているので、 故障検知のためのアルゴリズムの実装に適しているの | OK H or Hok |OK に加え、個々のセンサの故障が全体の動作に大きく影 響するため本研究の題材として選んだ。woul ークにおいて光Fig.4再配線機能 3.自己修復システムのシミュレーション 3.1 アルゴリズム 演算部を設計するにあたってまずコンピュータ上で自 己修復アルゴリズムのシミュレーションを行い、信頼 度がどのように変化するか調べた。 上記の形状・移動検知センサネットワークにおいて光 センサと比較して形状・移動検知の対象となる物体が 十分な大きさを持っている場合隣接するセンサは同じ 値をとる可能性が高い。したがって一様に並べられた センサ群において、各センサの信頼度は隣接する8近 傍のセンサと値を比較することによって(Fig.3)各々の センサの信頼度を決定する。Compare the value of adjoining sensor0000 D000 - ロコSaneDifferValueReliability Point0000 090 ロロロFig.3 信頼度決定アルゴリズム故障と判断されたセンサは形状・移動検知機能、故障 診断機能に悪影響を及ぼす恐れがあるため、配線を変 更する機能を加えた。故障と診断されたモジュールが 出たとき、配線を Fig.4 のように変更する。すなわち、故障と判断されたモジュールに代わり、2 つ隣のセンサに対応するモジュールが比較対象となる。 隣のセンサからの情報を遮断しても比較対象となるセ ンサを確保することで評価の客観性を保つ。次に述べ る移動を検知する機能の保持にも効用がある。ただしあまり離れたセンサ同士は情報を共有してはおらず、 信頼性評価を互いにするのは適切ではないので、2 つ 隣より遠いセンサとの比較は行わないようにした。OKOKOKOKOKOKOKOK3.2 シミュレーション結果 信頼度を導入した自己修復アルゴリズムの有効性を確 かめるためにコンピュータシミュレーションを行った。 まず、このような機能を有する演算部を実装するため にプログラムをハードウェア記述言語(HDL: Hardware Description Language)により作成し、想定される故障を コンピュータ上でシミュレートし、信頼度の変化を調 べた。シミュレーション環境は Quartus III 、設計言語は Verilog-HDL である。近接するセンサはほぼ同じ強度の 光に照らされるはずであるので、隣接するセンサから 得られる値は同じである可能性が高い。そこで各セン サは近接するセンサから得られる値と比較することに より信頼性を決定する。図(Fig.5)に想定される故障の例の一つを示す。図の 左部は16個のセンサで構成されるセンサネットワー クの中の一つのセンサ(5番)が故障しており、20 クロック後にさらに隣接するもう一つのセンサが故障 した場合であることを示す。図の右部はそのときの信 頼度の変化の様子を示す。故障したセンサノード(1 番と9番) の信頼度が時間変化とともに下がっていき、 反対に正常なセンサの信頼度は上がっている。134reliability00000-0000Fig.5 想定される故障発生事例と信頼度変化4. ディジタル ASIC の設計と動作検証 設計したプログラムの動作がコンピュータシミュレー ションで確認できたので、実際に FPGA にプログラム をロードして実際にセンサを繋いでその動作を確認し た。30しますKVKNHK)(KVKTER*XKHS(金)本美緒211111Fig.61 telTEINALenom:HOTOTEyominal Burnet19]もえるるるるる150xnno000Fighl Cine2miniimminime(東京本社F%E61★マが100000000000 Maya Coxx 2013|crollow1日13年11月10日(チ!exe」Fry.6.1 LINEFig.6 信頼度の時間変化図(Fig.6)は3つの異なるケースにおいて時間が十分に 経ったときの信頼度の変化の様子を示す。四角はセン サを示し、中の数字は信頼度を表す。黒く塗られた四 角は故障を示し、赤く塗られた箇所は信頼度が不適切 に変化してしまっていることを示す。Fig.6-1 や Fig.6-2 のように故障したセンサが複数あってもセンサ同士が 隣接してかたまってない場合は故障したセンサの信頼 度が適切に下がり、正確に故障診断されている事が分 かった。つまりセンサの故障率が低い場合はセンサの 故障を適切に検知しているが Fig.6-3 ようにセンサがまとまって故障した場合は正常なセンサも故障と誤認さ れてしまった。それでも特定の配列に注目すると N 個 のエージェントが同時に故障する確率は個々のエージ ェントの故障確率 P の N乗になるのでこのような事象 の生成する確率はPに比べて大幅に小さくなるといえ る。故障率100偶発故障感無故障初期故障 期間Fig.7 故障率のバスタブ曲線代表的な電子機器・部品素子の故障率2 (t) は一般に 時刻t の関数として表わすことができる。この典型的 な形を示すと、Fig.7 のようになる。この図から素子の 一生ははじめ非常に故障の起こりやすい状態から段々 と起こりにくい状態に移行する期間,故障率がほぼ一 定となる期間および段々と故障が起こりやすくなる期 間に大別することができる. このそれぞれの期間を1) 初期故障期間 (early failure)(0