MR センサおよび ECT センサを用いた オーステナイト系ステンレス鋼の疲労損傷評価

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カテゴリ: 第3回
1. 緒言
- 近年、機器・構造体の大型化、複雑化が進みつつあ り、その安全性、信頼性の確保が求められている。特 に、オーステナイト系ステンレス鋼は、原子炉プラン ト等様々な機器・構造体に用いられてきており、長期 耐久性の確保の上で、疲労過程中に生じる損傷、き裂 を高精度に検出する非破壊評価技術の確立が重要な課 題となっている。オーステナイト系ステンレス鋼は非磁性相である準 安定オーステナイトから構成されるが、外力や変形を 受けることにより強磁性相であるa'-マルテンサイト に変態する。したがって、電磁気的な手法を用いた非 破壊評価技術が適していると考えられる。MR センサは磁界によって抵抗値が変化することを 利用した磁気センサであり、ホール素子と比較して感 度が高いこと、小型化が容易であること等の特徴を有 する。すでに、いくつかの産業機器に用いられており、 非破壊評価センサに使用することも可能であると考え られる。また、ECT センサはこれまでもき裂の検出に 用いられているが、き裂のみならず材料の相変態等の 材質評価にも有効であることが示されている。[1] 連絡先:鈴木隆之、〒305-8564 茨城県つくば市並木 1-2-1、産総研つくば東、先進製造プロセス研究部門、 suzuki-takayuki@aist.go.jp本研究では、これらの磁気センサを用いてオーステ ナイト系ステンレス鋼 SUS304 の疲労過程中に生じる。 損傷、き裂を測定し、センサの出力と損傷、き裂との 関係を明らかにした。
2. 材料および実験方法
2.1 材料および試験片材料はオーステナイト系ステンレス鋼 SUS304 であ る。試験片には幅 15mm 板厚3mm の平滑材およびその 両端に局率半径 1mm、長さ 2mm の切り欠きを設けた 切り欠き材を用いた。 2.2 実験方法 * 疲労試験は電気油圧式材料試験装置を用い、応力比 0.1、繰返し速度 10Hzにて行った。MR センサは 2 つの磁気抵抗素子および磁気バイア スを与えるマグネットから構成されるものを用いた。 各々の磁気抵抗素子の磁界の差に応じて出力電圧が変 化する。ECT センサは内径 2.0mm、外径 2.4mm の励磁 コイルと検出コイルから構成される3連コイルを用い、 印加電圧 1V、周波数 100kHz にて試験を行った[1]。3. 実験結果および考察1413.1 平滑材 - Fig. 1に平滑材の各段階における顕微鏡写真を示す。 Fig.2 には ECT センサの測定結果を示す。本試験の荷 重振幅は 400MPa であり、低サイクル疲労試験の範囲 であるが、繰り返し数の増加とともに出力の増加が認 められた。)こいさん0.2mm (a) N=2250000(6) N=2270000 Fig.1 Micrographs of fatigue damage and crack for SUS304 plain specimen.0.07* N=1000000 -N%3D2250000N=2270000 メーN=2270050ECT output v-0.01 10_5101520 Location mmFig.2 Changes in ECT output with increasing number of cycles for SUS304 plain specimen.NE0N=1000000MR output vN=2250000N=22700001110 15Location mm2025Fig. 3 Changes in MR output with increasing number of cycles for SUS304 plain specimen.これは疲労過程中にひずみ誘起マルテンサイト変態が 生じ、a'-マルテンサイトが生成したためである。また、 き裂発生とともに、その近傍ではより顕著な出力の増 加が認められた。Fig.3 には MR センサの測定結果を示 す。繰り返し数の増加とともに N=225 万回において若 千の出力の変化は認められるものの、その程度は ECT センサの測定結果と比較して少ない。しかしながらき 裂発生、進展後は明瞭に出力が増加していることはわ かる。3.2 切り欠き材 - Fig. 4 に切り欠き材の顕微鏡写真を示す。応力振幅は 265MPa であり、N=38.9万回においてき裂が発生した 後、本試験の範囲では da/dN=10°m/cycle のオーダーに てほぼ安定的にき裂進展した。Fig.5 には ECT センサ の測定結果を示す。繰り返し数の増加とともに若干出 力が増加し、特にき裂の発生、進展後は明瞭に増加す るがその程度は平滑材の場合と比較して小さい。0.5mm (a) N=389000(6) N=414000 Fig.4 Micrographs of fatigue damage and crack for SUS304 notched specimen.MR センサの測定結果を Fig.6に示す。き裂発生以前 より切り欠き近傍で明瞭に出力が増加し、き裂進展に 対応してセンサ出力分布も変化していくことがわかる。 Fig. 7には各段階におけるき裂進展方向の MR センサ の出力分布を示す。き裂長よりも先端の領域にて高出 力を呈しており、き裂先端の疲労損傷域まで含んで測 定されていることがわかる。MR センサ出力よりき裂 長を測定するためには、今後さらに詳細な測定が必要 である。以上のように、平滑材のように比較的広範囲に疲労 損傷に損傷が生成し、強磁性相であるa-マルテンサイ トが一様に分布する場合にはECTセンサによる測定が142有効であるものの、切り欠き近傍のように限定された 領域に損傷が生成する場合においては、磁界分布が均 一ではないため、本試験に用いた MR センサよる測定 が有効であることがわかる。4.結言 略。 4.結言 略。5. 謝辞MR センサ測定に御協力いただいたニッコーシ株式 会社電子部品事業本部開発室中林玄氏に謝意を申し上 げます。参考文献 [1] 寺本徳郎,ECT 法を用いたオーステナイト系ステンレス鋼の高精度損傷評価,日本 AEM 学会誌, Vol.13, No.2, 2005, pp.87-93. -0.3Crack initiationne1km line line 1200-- line 1 - - line 4 -a-line7ECT output0-0.44- 44444-0.5 10_510_ Location mm1520(a) N=389000 -0.3...... fine1line 4 line 7ECT output1 -0.5L10_ 5_ 10_ 1520Location mm (6) N=414000 Fig. 5 Changes in ECT output with increasing number of cycles for SUS304 notched specimen.Crack initiationline 1line 720line 720MR output vline 1 line 2 line 3 line 4 line 5 line 6 Tine 72010_ 5, 10 15Location mm (a) N=389000MR output Vline 1 line 2 line 3 line 4 line 5 line 6」 line 70.210_51015) N=414000 Fig.6 Changes in MR output with increasing number of cycles for SUS304 notched specimen.3.21Crack tipMR output v[ N=0N20500dN%3D20750d | *N=38900d | N=40400gN=41400dCrack tipLocation mm Fig.7 MR output distribution along crack growth direction for SUS304 notched specimen.143 -“ “MR センサおよび ECT センサを用いた オーステナイト系ステンレス鋼の疲労損傷評価“ “鈴木 隆之,Takayuki SUZUKI,寺本 徳郎,Tokuo TERAMOTO,笹本 明,Akira SASAMOTO
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