標準体系における漏えい管理ガイドラインの位置付けに関する考察

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カテゴリ: 第3回
.緒言
学協会で精力的に策定されている規格類は学術的、 一般に、構造物は時間の経過とともにその構成部品技術的な基盤の上にこれまでの知見を集大成したもの 物性が徐々に変化し、それがさらに進展すると経年であり、社会の安全と発展を支える重要な創造物であ 化(き裂、減肉など)として顕在化し、故障、破壊る。したがって、これらの規格類が体系的に整備され 三の機能喪失に至ることがある。これは如何なる産業れば、その社会的貢献度は大きいものがあると考えら に用いられている設備/機器にも言えることであり、供れる。そこで本研究では、保全に関連する規格類の体 ■時間の経過とともに発生・進展する。このため、たと系や構造について検討するとともに、昨年度、日本保 設備/機器に経年劣化が発生・進展したとしても、そ全学会「漏えい事象評価研究分科会」 [2] が開発した「原 ・「機能」、特に「安全機能」が常に確保されるように子力発電所機器のシール部からの漏えいに関する管理 持管理する必要がある。言い換えると、「安全機能」。ガイドライン案(以下、漏えい管理ガイドライン案と 日常に維持される範囲内で経年劣化を許容する、といいう。)」の保全規格体系内における位置付けについて 考え方をとる必要がある。しかしながら、だからと検討した。以下にその検討内容について述べる。 って経年劣化の進展を無制限に許容することはでき こい。そこで、経年劣化が発生・進展することを前提に2.保全標準体系 三備/機器の「安全機能」が常に確保される範囲内とい 一定の制限を掛けて経年劣化を許容する考え方が現2.1 保全標準の構成一保全指針と維持機規格一 三一般的となっている [1]。また、その考え方は広く、設備/機器の機能を維持するために実施する保全に 社会に受け入れられるようなものでなくてはならなは大別して下記の2つがあると考えられる。 ため、最近では中立性、公平性、公開性などを備え(1) 特定の経年劣化を想定していない、または軽度の -学協会でその考え方が盛り込まれた、多くの規格等経年劣化を想定した保全(一般保全) 写策定されている。通常、設備/機器は想定される経年劣化に対応でき
設備/機器に経年劣化が発生・進展したとしても、そ 機能」、特に「安全機能」が常に確保されるように 管理する必要がある。言い換えると、「安全機能」 に維持される範囲内で経年劣化を許容する、とい え方をとる必要がある。しかしながら、だからと って経年劣化の進展を無制限に許容することはでき つ。そこで、経年劣化が発生・進展することを前提に /機器の「安全機能」が常に確保される範囲内とい 一定の制限を掛けて経年劣化を許容する考え方が現 一般的となっている [1]。また、その考え方は広く・ -会に受け入れられるようなものでなくてはならな 定されている。各先:青木孝行、〒101-0053 東京都千代田区神田美土 町 1-1、日本原子力発電(株)発電管理室、電話: 4415-6008, e-mail:takayuki-aoki @japc.co.jp dealing withmaintenancee following 三協会で精力的に策定されている規格類は学術的、 奇的な基盤の上にこれまでの知見を集大成したもの あり、社会の安全と発展を支える重要な創造物であ あり、社会の安全と発展を支える重要な創造物であしたがって、これらの規格類が体系的に整備され ば、その社会的貢献度は大きいものがあると考えら う。そこで本研究では、保全に関連する規格類の体 →構造について検討するとともに、昨年度、日本保 ⇒会「漏えい事象評価研究分科会」 [2] が開発した「原 コ発電所機器のシール部からの漏えいに関する管理 イドライン案(以下、漏えい管理ガイドライン案と う。)」の保全規格体系内における位置付けについて 寸した。以下にその検討内容について述べる。1 保全標準の構成一保全指針と維持機規格一 設備/機器の機能を維持するために実施する保全に 大別して下記の2つがあると考えられる。 定の経年劣化を想定していない、または軽度の 手劣化を想定した保全(一般保全) 常、設備/機器は想定される経年劣化に対応でき 吉干の保全を定期的に繰り返せば、その都度、機回復でき、健全性を維持できるので長期間の使 が可能である。このような保全は予め設計段階で 用開始後に実施することを想定していた若干の保 であり、機器の機能を維持するために行う保全活 の中で一般的、基盤的な保全である。具体的には、 耗品取替、潤滑油取替、汚れ除去、補修塗装など 保全活動が含まれる。 ように設計・製作されているので、手入れや整備な や設備/機器を設計する段階で使用開始後に顕在化 三若干の保全を定期的に繰り返せば、その都度、機 することが想定されたが十分な対策が取れなかった 毛を回復でき、健全性を維持できるので長期間の使 経年劣化に対し、当該機器の機能を維持するために 目が可能である。このような保全は予め設計段階で実施する保全である。この保全は、特定の経年劣化 巨用開始後に実施することを想定していた若干の保 が時間軸に沿って発生・進展し、回復することはない であり、機器の機能を維持するために行う保全活 ので、これを予め想定、予測し、その結果に基づき の中で一般的、基盤的な保全である。具体的には、 検査、評価、補修などを適時実施することにより機 耗品取替、潤滑油取替、汚れ除去、補修塗装など 能が確保されていることを常に確認するとともに、 保全活動が含まれる。必要に応じて補修などの是正措置を施して機能を維 この一般保全に分類される保全は、原子力発電所 持・確保する特別保全である。具体的には、SCC など のような巨大プラントを構成している多数の機器に の各経年劣化に応じた検査(対象箇所、検査方法、 対する定例的な保全であるので、取り扱う情報量も 検査頻度など)、評価(評価方法、許容基準など)及 また膨大である。したがって、この種の保全を取り び補修(特殊工法、適用条件など)などの保全活動 及うには保全内容を機種毎あるいはグループ毎に一 が含まれる。 律に定型化あるいはテンプレート化して取扱えるよ 上記の一般保全と特別保全の具体的イメージ(ポ うにすると効率的である。また、統計的取扱いをす。 ンプの例)を Fig.1 に示す。 るのにも適している。ここで上記 2 つの保全を標準化あるいは規格化した 特定の経年劣化の顕在化を想定した保全 (特別保全)場合のことを考える。前者の保全に対応する標準また た膨大である。したがって、この種の保全を取り うには保全内容を機種毎あるいはグループ毎に一 に定型化あるいはテンプレート化して取扱えるよ にすると効率的である。また、統計的取扱いをす のにも適している。 特定の経年劣化の顕在化を想定した保全 (特別保全) 共用開始後に顕在化することが判明した経年劣化g.1 Objectives of regular maintenance and special maintenance (ex. of pump)- 251 - ・設備/機器を設計する段階で使用開始後に顕在化 ることが想定されたが十分な対策が取れなかった 三年劣化に対し、当該機器の機能を維持するために 実施する保全である。この保全は、特定の経年劣化 時間軸に沿って発生・進展し、回復することはない っで、これを予め想定、予測し、その結果に基づき査、評価、補修などを適時実施することにより機 毛が確保されていることを常に確認するとともに、 要に応じて補修などの是正措置を施して機能を維 手・確保する特別保全である。具体的には、SCC など ○各経年劣化に応じた検査(対象箇所、検査方法、査頻度など)、評価(評価方法、許容基準など)及 び補修(特殊工法、適用条件など)などの保全活動 が含まれる。 は規格(以下、標準と規格をまとめて標準という。)は、 一般的、基盤的な保全に対するものであり、また、こ れに分類される保全は、機器の健全性を維持するため こ必要な要求事項を満足する保全方法が多種多様にあ り、一つの固定した保全内容を限定要求しなければな らないような種類のものではないと考えられる。この ため、このような一般的、基盤的「保全」の標準は「指 ト(ガイドライン)」と呼ぶのが相応しいように思われる。 そこで、ここではこれを「保全指針」と呼ぶこととす る。なお、これは ASME 等で既に用いられている「OM 指針(Operation & Maintenance 指針)」に対応するので、 DM 指針と呼ぶこともできる。 一方、後者の保全に対 応する標準は、経年劣化が進展すると当該機器が破壊 する等の機能喪失に至り、安全問題につながる可能性 も考えられるため、特定の評価手法や基準を要求する 必要のある標準であると考えられる。(社)日本機械学 会の維持規格[3]はこの標準に分類されると考えられ、 すでに「維持規格」という用語が定着しているので、 この標準を「維持規格」と呼ぶ。以上述べた2つの標準、すなわち「保全指針(OM 指針)」と「維持規格」を総称して、ここでは「保全標 準」と呼ぶこととする。このようにすると、保全標準 の体系は Fig.2 のように表現できる。一般に、産業界等 で用いられている設備は、機械、電気、制御、土木、 建築の各設備から構成されているので、これらの設備 をすべて視野に入れて保全標準の整備を考えれば、保 全標準の全体体系が構築される。特定の経年劣化を想定して いない、または軽徴の経年劣. 化を想定した一般保全Swearner(例)CCポンプ 保全プログラム、 1. 保全項目 2.保全方法 3.保全時期保全指針 ( 一般保全)保全標準維持規格 (特別保全)特別検査 1. 検査 2. 評価 3.補修特定の経年劣化の発生 を想定した特別保全Fig.2Structure of code and standard system for maintenance2.2 有意な経年劣化が無い場合の保全の基本的考え方 前節で述べたように、通常、設備/機器は手入れや整 備など若干の保全を定期的に繰り返せば長期間使用で きる場合が多い。このような定例的保全のプログラムは一般に「保全対象」「保全項目 保全タスク)」「保全 方法」「保全時期」から成っており、予め設計段階で供 用開始後に実施することが想定されていたベースとな る保全である。(Fig.3)保全対象●保全の対象である設際,機器対象の種族などに基づき選定保全項目●保全の必要な部位 、シールなど) 保全の必要な部位に対する保全実施項目(点検・検査、消耗品取替、油取替、修塗装など)保全ブログラム●保全株式(IBM.CBM、BOM) 点検・検査の手法(分解、非破後、モニタリングなど) 消耗品等の手法保全方法点検・検査などの現場工事方法 「どのような方法で工事するか/足場、 設備などをどう使うか 現場工事計(作業員の助員、工具類、工事、管理)保全時期分解点検や消耗品取替などの時期、乗度全 メーカ推導などをまえて決定 ⇒数理的、統計的手法などにより決定Fig.3 Four (4) elements of maintenance programこれに分類される保全は軽微な劣化(あるいは軽微 な変化)しか発生しない機器が対象であり、故障が発 見された部品はその都度、修理、取替が行われるので、 明確な故障率の増加傾向期は現れない[4]。その劣化に よってシステマティックに故障が発生し、故障率が経 年的に増加するのではなく、不規則に低頻度で発生す る。(Fig.4)故障率故障率は全体的に低く、 時間の経過とともに大き、 な増加は見られない。当初高くその後安定使用時間に係わらず一定当初低くその後増加するが、後は安定時間Fig.4 Failure rate of equipment partsしたがって、特定のパラメータに対して一定の管理値 を設定して当該設備/機器の健全性を維持管理する手 法がとられる。このような特性を持つ軽微な劣化(あ るいは軽微な変化)が想定される設備/機器は一般に数 が多いので、ある特定の故障率で故障が発生すると仮 定して数理的に取り扱うと効率的である。特に、原子 力発電所のような巨大プラントは単純なシステムでは なく、いくつかのサブシステムによって構成され、サ ブシステムは多数の機器や装置から成り、さらにそれ252ぞれの機器や装置は膨大な数の部品等から構成されて いる。このような複雑で階層的な構造を持つ全体シス テムの個々の構成要素に発生する劣化あるいは故障を 予測するには数理的手法、すなわち統計的な手法を用 いて取り扱うのが現実的である。2.3 特定の経年劣化が顕在化することを想定した保全の基本的考え方 - 2.1 節で述べたように、維持規格は想定される特定 の経年劣化が発生・進展することを前提に、設備機器 の各種機能が維持・確保されるように規定する必要が ある。この考え方は、経年劣化が発生・進展した結果と して生じる機能喪失に対して十分な余裕を確保した範 囲内においてのみ経年劣化の発生・進展を許容すると いうものであり、この考え方を図示すると、Fig.5 に示 すようになる[5]。機能低下劣化度機能喪失十分な安全率十分な時間余裕jac:機能喪失に対応する劣化量許容範4 :次回点検までの劣化進展量| 劣化進展AE:検査による測定誤差|ao:検査による測定値運耗時間今回検査時次回検査時Fig.5Acceptance limit of ageing degradationこのような考え方をとると、特定の経年劣化の発生・ ・ 進展を想定して下記の保全活動を実施することになるので、これらの標準化、規格化が必要である。 (1) 点検・検査点検・検査は、その時点および次回までの当該設備 /機器の健全性が確保されるか確認するために実施 する。したがって、その健全性を担保できるように 点検・検査の時期と手法を規定する必要がある。 (2) 評価評価は、経年劣化の発生・進展を予測し、どの時点 まで許容できるか確認するために実施する。したが って、機能がどのように低下するかを評価する手法 とその低下がどの程度まで許容できるかを判断する 基準の設定方法を規定する必要がある。(3) 補修等の是正措置評価の結果、許容不可と判定された場合、機能を 復旧あるいは一部回復させるため是正処置を実施す る必要がある。したがって、是正措置後の健全性を 担保できるような是正方法を規定する必要がある。Fig.5 は特定の経年劣化事象だけでなく、機能を有す る機械、電気、制御、土木、建築の各設備の経年劣化 事象すべてに対して当てはまる共通の概念である。た とえば、これら設備の機能の例を列挙してみると、下 記のようになる。 機械設備(ポンプ) ⇒ 流体輸送機能、耐圧機能(構造* 強度)、密閉機能 (配管) ⇒ 耐圧機能(構造強度)、密閉機能 電気設備(モータ) ⇒ 回転力発生機能(ケーブル) → 電路機能(伝導機能)、絶縁機能 制御設備(制御回路) ⇒ 制御信号発信機能 土建設備(建物) ⇒ 空間保持機能(構造強度)、密閉機能、保温機能 このように、各種の設備・機器毎にその機能と顕在化す る可能性のある経年劣化事象をすべて視野に入れて検 討すれば、維持規格体系の全貌が明らかとなる。2.4 保全標準(保全指針と維持規格)の体系 * 2.3節および2.4節で検討した内容を踏まえて、保 全標準を構成する保全指針および維持規格の体系につ いて検討した。その結果をそれぞれ Fig.6 および Fig.7 に示す。ポンプ配管 容器など寸法の不適合真直度の不適合 面粗さの不適合 - センタリングの不適合寸法不足、隙間大 曲がり 面荒れ 位置ずれ保全指針発電機ーブル 変圧器など制御回路変換器センサーなど -土木建築建屋(床、壁) 取排水路などFig.6 Structure of OM guideline system保全指針は、有意な経年劣化の顕在化を想定してい ない保全の内容を標準化したものである。Fig.6に示す ように、保全指針は機械、電気、制御、土木建築の全 設備に亘って機器単位で整備し、その内容は前述の各 「保全対象」に対し「保全項目 保全タスク)」「保全方253法」「保全時期」を標準化したものが規定される。維持規格も、保全指針同様に、基本的に機械、電気、 制御、土木建築の全設備に亘って機器単位で整備され るものと考えられるが、この規格は特定の経年劣化が 進展し対象機器の機能が低下することを想定している ので、対象機器の機能と経年劣化事象の組合せを念頭 に入れて規格体系を確立する必要がある。(Fig.7) 経年 劣化評価手法は経年劣化事象毎に機器横断的にまとめ て標準化、規格化することもできる。内圧保持機能經年劣化事象* 成肉など一機械日 一耐圧機器.... ポンプト内部構造物 配管 容器などその他 一電気モータ 発電機 ケーブル 変圧器など密閉機能経年劣化事象維持規格*耐圧障壁を貫通した 経年劣化(機労SCC.* シール部分化制御回路 ??器 センサーなど 土木建築 建屋(床、壁) 取排水路など対象機器の機能と経年劣化事象の組合せを考慮した体系化が必要Fig. 7 Structure of fitness-for-service code system3.維持規格体系内における漏えい管理ガイ ドラインの位置付け3.1 き裂に対する維持規格と漏えい管理ガイ. ドラインの考え方の違い 一般に配管や容器のような耐圧機器は流体を内包す る。したがって、これら耐圧機器は下記の2つの機能 を持っていると考えられる。 O圧力障壁としての内圧保持機能 当該機器に作用する内圧に耐え、内包流体を保持 する役割の構造強度すなわち「内圧保持機能」 2密閉機能 内包流体を外部に漏らさないようにする役割の「密閉機能」 耐圧機器の圧力障壁にき裂などの経年劣化が発生・進 展すると、上記2つの機能が低下あるいは喪失し、内 部流体の漏えいや機器の破壊に至ることがある。漏え いや破壊のプロセスは Fig.8 に示すように、複数考えら れる。ここで、特に注目すべきことは漏えい事象には 大別して下記の2つのケースがあり、後者は構造強度 の低下を伴わないことである。 a) 圧力障壁にき裂、減肉等の経年劣化が発生・進展て漏えいすし、それが貫通して漏えいする場合 b) 機器シール部の機能が低下(劣化)して漏えいす る場合日本機械学会の「維持規格」は 漏えい防止を前提に「破壊」に対する許容基準を規定破壊構造強度を前提に 「えい」に対する許容基準を規定経年劣化 の発生進展漏えい許容(漏えい発生)破断き裂等から、 の漏えい、漏えい許容 漏えい事破壊(漏えい発生)漏えい(漏えい発生)許容 漏えい事えい増大 (機能喪失)Fig. 8 Ageing degradation process of pressure retaining component(from initiation to propagation and function failure)機器の安全性を確保するには、上記2つの機能が一 定の値以下に低下しないように管理する基準を定め、 それに従って対応する必要がある。その管理基準を策 定する視点は2つあると考えられる。まず、(社)日本 機械学会の「維持規格」は耐圧機器の圧力障壁にき裂 等の経年劣化が発生・進展し、構造強度が一定限度内で 低下することは許容するが、その経年劣化が耐圧障壁 を貫通すること(内包流体が漏えいすること)は許容 しない。すなわち、「密閉機能」が確保されることを前 提として構造強度がどの程度まで低下しても「内圧保 持機能」を維持できるかについて評価できる手法を規 定していると言える。これに対し、日本保全学会の「漏 えい事象評価研究分科会」が開発した漏えい管理ガイ ドライン案は構造強度が確保されたシール部の漏えい を対象としているので、「内圧保持機能」が確保される ことを前提に「密閉機能」が低下して発生した漏えい がどの程度まで増加しても安全性を維持できるかにつ いて評価できる手法を規定している。(Fig. 9)耐E機器 ........内圧保持機能(社)日本機械学会維持規格ポンプ内部構造物機能低下未開発その他維持規格密閉機能容器など 電気 モータ 発電機 ケーブル 変圧器など 制御 制御回路日本保全学会 漏えい管理GLMセンサーなど 土木建築 建屋(床、壁) 取排水路などFig. 9 JSME rules on fitness-for-service for nuclear power plants and JSM leakage management guideline in the fitness-for-service code system254なお、き裂等の経年劣化が耐圧障壁を貫通し、内圧 保持機能と密閉機能の両方が同時に低下するような条 件で両機能が常に維持されるように規定された基準は 未だ開発されていない。3.2 耐圧機器の維持規格の構造と漏えい管理ガイドラインの位置付け 耐圧機器に対する維持規格体系内における漏えい管 理ガイドライン案の位置付けについて以下に検討した。前述のように、耐圧機器に対する維持規格は下記の 3つの観点から開発することが考えられる。 O密閉機能の確保を前提として内圧保持機能の低下を想定した維持規格 2内圧保持機能の確保を前提として密閉機能の低下を想定した維持規格 3内圧保持機能と密閉機能の両方の低下を想定した維持規格 これら3つの維持規格を念頭に、想定される経年劣化 事象を体系的に表現したものをFig. 10 に示す。1.検査 2. 評価 3. 正措置(補造強度機能の維持「耐圧機器に対する維持規格構造強度機能機能低下で古き状欠陥 T機械度分構造強度に関する維持規格 LSCCIGSCC FIASCC PWSCC1. 検査(監視)2. TGSCC3.是正措置(補貫通後、 に非き裂状欠陥肉 一ー全面開いて閉機能の維持 一局院食10 -FACなど漏えい漏えいに関する維持規格 レシール部劣化 ーパッキン(スナッカー 材質劣化?元以締付力低下パッキンケース紹食食など ーメカシール理??密閉機能、Fig. 10 Structure of fitness-for-service code system for pressureretaining componentsこの図では上記1を「構造強度に関する維持規格」と 表現した。また、耐圧機器から漏えいが発生するケー スとしては、き裂等の進展によって構造強度が低下し、 さらにそれが貫通して生じる漏えいとシール部の劣化 によって生じる漏えいの2つが考えられるので、上記 2、3をまとめて「漏えいに関する維持規格」と表現 した。ここで、日本保全学会「漏えい事象評価研究分 科会」が策定した「漏えい管理ガイドライン案」は上 記2二対応し、Fig. 10 では「シール部の劣化」の部分 に対応する。4.結言(1) 保全標準の体系は、定例的な保全を標準化した「保 全指針」と特定の経年劣化に対応するための保全を 標準化した「維持規格」の2つから成っていると考 えられる。 (2) 「保全指針」は、定例的保全の内容を標準化したものであり、保全対象に対し保全項目 (保全タスク)、 保全方法、保全時期に関する事項が記載される。し たがって、機器単位で指針体系を整備すべきであると考えられる。 (3) 一方、「維持規格」は対象機器の機能と経年劣化事 象の組合せを想定し、機器の機能が常に維持される ように検査、評価、対応措置に関する事項が記載さ れる。したがって、この事を考慮して機器単位で規 格体系を整備すべきであると考えられる。 (4) 耐圧機器は、「内圧保持機能」と「密閉機能」の2 つの機能を持っている。したがって、耐圧機器の維 持規格は、これらの機能を同時に確保できるような 基準を規定したものと言える。 (5) 日本保全学会の「漏えい管理ガイドライン案」は 内圧保持機能の確保を前提として密閉機能がどの 程度まで低下しても許容できるかを定めたもので あり、維持規格体系内に位置付けられる。(社)日 本機械学会の維持規格は密閉機能の確保を前提と して内圧保持機能がどの程度まで低下しても許容 できるかを定めたものと考えることができる。参考文献[1] 原子力安全・保安院ホームページ、“健全性評価制度”( http://www.nisa.meti.go.jp/7_nuclear/02_unten/kenzenhyouka.htm). [2] 漏えい事象評価研究分科会、“漏えい事象評価研究分科会の活動状況”、 保全学、 Vol.4,No.2、2005、pp.19-24. [3] (社)日本機械学会 “JSME S NA1-2004 発電用原子力設備規格 維持規格(2004年版)” [4] 松田、“航空機整備の方式とその適用について”、発電コスト・ミニマムを支えるプラントの科学的保守管理計画に関する講習会、火原協 関東支部 1997. [5] 青木、宮、高瀬、千種、“保全学の構築に向けて(4)”、保全学、 Vol.3,No.1、2004、 pp.57-69.255“ “?標準体系における漏えい管理ガイドラインの位置付けに関する考察“ “青木 孝行,Takayuki AOKI,関村 直人,Naoto SEKIMURA,出町 和之,Kazuyuki DEMACHI
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