加圧水型原子力発電所におけるニッケル基合金使用部に関する保全技術について
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カテゴリ: 第3回
1.緒言
際にこれまでにも国内外で多くの損傷事例が報告され 我が国には、55 基の発電用原子力発電所が存在してている。加圧器安全弁・過がし弁 おり、原子力は国内の総発電量の約 30%を占め、重要 な役割を果たしている。一方で、原子力発電所は、ウ ラン・プルトニウムといった核燃料物質を扱うことか ら、放射能に関わる細心の管理が必要であることから、 単に発電設備の健全性確保だけでなく、そこで働く従というかサージ 業員さらには広く周辺環境に対しても十分配慮した安牛丼容器 全性を確保していく使命がある。 - 原子力発電所は、その設計段階において使用環境や原子機器や内核装備管台 想定される外部事象に対して十分な裕度を持って設 計・製作されているが、発電設備の長時間にわたる運図1:600系 Ni基合金の主な使用部位 用や高経年化に伴い、日常の運転、検査、評価、補修。 * 代表的な損傷事例として、海外では 2000 年 10月米 といった保全活動の充実が原子力発電所の安全性確保国 V.C.Summer 発電所において、原子炉容器出口管台溶 の上で、必要不可欠であることは言うまでもない。 接部で、建設時の補修溶接による高い引張残留応力に 1. 本稿では、原子力発電所の重要機器で使用されてい 起因した PWSCC による貫 る600系 Ni 基合金使用部の保全技術について述べる。 通き裂が発見され、また、2003年4月米国 South Texas 2.これまでの損傷事例Project 発電所 1 号機におい 原子力発電所における重要機器の一つである原子炉て、原子炉容器下部貫通部で 容器、蒸気発生器及び加圧器の管台部には、強度、耐 溶接欠陥に起因した PWSCC 食性、熱処理性及び溶接性を考慮して、多くのプラン どち隠して、多くのファンによる貫通き裂が確認されg2:South Texas Project 発1号機の損傷状況」 トで600系 Ni基合金が使用されているが、この 600 系 た。さらに国内では、2004 Ni基合金は、一次冷却材環境下で、かつ、高引張応力 年5月関西電力(株)大飯発電所3号機において、原子炉 の条件が重畳した場合には応力腐食割れ(Primary 容器上蓋管台 J溶接部で、製造時の表面処理(バフ仕 Water Stress Corrosion Cracking)(以下「PWSCC」とい上げ)が十分でなく、それにより高い引張残留応力が発生しPWSCC による貫通き裂が確認された。掛橋術 (一次冷都水がえいし、 ほうが析出)、
3.600系 Ni 基合金使用部に対する保全技術当社では国内外の損傷事例やこれまでの研究成果を 踏まえて、予防保全技術、検査・評価技術、補修・取 替技術の向上を図っており、それらについて以下に述べる。3.1 予防保全技術 (1) ウォータージェットピーニング(WJP) 原子炉容器出入口管台、原子炉容器下部貫通部等の 水中環境下で適用可能な応力改善技術としてウォータ ージェットピーニング(Water Jet Peeninng: WJP)があ る。この技術の原理は、水中にて高圧ジェット水を噴 射すると、ジェット水と周囲停止水の境界において、 渦流の生成により渦中心の低圧部で水が蒸発しキャビ テーション気泡群が発生する。これが下流に流される に従い、圧力が回復してキャビテーション気泡群が瞬 時に崩壊し、その崩壊時の衝撃圧を利用して、金属表 面を塑性変形させ、表面近傍の引張残留応力を圧縮応 カへ改善するものである。この崩壊が金属表面で起こると・・・衝撃取はキャビテーションをキャビテーション!発生 11 成長en'sがんナンパかりしてい??力 ......1000以上金属表面の 酸性変形付与図3:ウォータージェットパーニングの原理180残留応力(MPa)600合金 管台180 金から30mm上.....一a00204060810 1.2 1.4間からの深(mm)図4:ウォータージェットピーニングの効果と施工概要(2) 超音波ショットピーニング(USP)蒸気発生器出入口管台等の気中環境下で適用可能な 応力改善技術として超音波ショットピーニング(Ultrasonic Shot Peeninng: USP) がある。この技術は、 圧電素子であるピエゾ素子に変動する電圧を与えるこ とにより超音波振動を発生させ、その超音波振動が伝 達された振動子面、対象物、及びチャンバーに囲まれニングの効果た空間において、ショットを対象物と振動子間で往復 運動させることでショットピーニングを行う手法であ る。応力改善の原理は往復運動したショットが金属表 面に衝突した時に、ショットの運動エネルギーにより 金属表面を押し延ばすような塑性変形を与え、板厚内 の拘束により表面近傍の引張残留応力を圧縮応力へ改 善するものである。対象物溶接線方向●溶接金属!投射距離残留応力(MPa)■NCF600(HAZ A NCF600(30mm) OSUS316(30mm) NCF600 ()→変動 120kHz)BOE10. 00. 51.01.5 表面からの深さ(mm)図5:超音波ショットビーニングの施工概要図6:超音波ショットピーニングの効果(3) レーザ外面照射応力改善法(L-SIP)加圧器管台等の構造的に管台内面からのアクセスが 困難である部位に対し適用可能な応力改善技術として、 レーザ外面照射応力改善法(outer surface irradiated Laser Stress Improvement Process : L-SIP)がある。この 技術の原理は、配管外表面にレーザを局所的に照射す ることにより、板厚の内外面に温度差を与えると、外 表面の熱膨張により外面が伸びようとして板厚内で曲 げの変形が発生するが、配管自体が剛体であるので変 形が拘束される結果、外面側が圧縮、内面側が引張の 降伏状態となる。その後、レーザ照射を止め外表面が 冷却される過程において、今度は外表面の収縮により 外表面が縮もうとして、板厚内で曲げの変形が発生(膨 張時とは逆の方向)するが、配管が剛体であるので、 変形が拘束される結果、外面側が引張、内面側が圧縮 の降伏状態となり、すなわち、内面の引張残留応力を 圧縮応力へ低減できるものである。格含安蒂拉金期ランス一 部商方向応力) ニーレーザ (周方向応力> 一方向応力) ミーレーザ機(軸方向応力)」周方向応力(MP)1100-25-50280660が100方向依tm)図7:レーザ外面照射応力改善法の施工概要図8:レーザ外面照射応力改善法の効果294初期状線光学系1照射前、進行方向自由診療外には照射時| B-B照射移動熱源・非定常加熱で内外 面の温度差を確保する.. 外来圧縮応力応力引機応力EaAoyの場合降伏変形初期状標後提 (自由 )収縮 初期重み:e冷却時IC-C外内面接応カー歪み線図図9:レーザ外面照射応力改善法の原理 3.2 検査技術 1 一般に溶接部の検査については、その形状や材料組織等の影響で母材に比べて困難であるが、600系 Ni合 金部の検査技術を確立することは重要であることから、 Ni基合金の検査技術の精度向上のため、国の研究プロ ジェクト「炉内構造物等特殊材料溶接部検査技術調査 (Nondestructive Inspection Technologies on the Ni Alloy Welded Joint)」 や NRC (米国原子力規制委員会:Nuclear Regulatory Commission)による国際研究プロジェクト[Program for Inspection of the Nickel alloy Component] 等に参画することによって、検査技術の高度化に取り 組んでいる。 3.3 経年劣化評価技術機器の健全性を確保するためには、検査結果を踏ま えてき裂の発生・進展を予測し、適切な時期に点検あ るいは補修を実施する点検・評価手法の確立が重要で ある。なお、現状、炉内計装筒母材に対するき裂の発 生・進展の評価手法、点検時期の策定方法について確 立済みであるため、原子炉容器出入口管台、蒸気発生 器出入口管台等のその他重要部位に対しても同様の点 検・評価手法を確立すべく取り組んでいる。 3.4 補修・取替技術 (1) クラッディング工法 原子炉容器出入口管台や蒸気発生器出入口管台で、 万が一、き裂等の欠陥が確認された場合の補修工法と して、き裂を含む 600系 Ni合金部を切削除去し、耐食 性に優れた 690系 Ni基合金によりクラッド溶接を行う技術及び装置を開発済みである。 0God'?????1次冷却材管 (ステンレス鋼)線控露得恰到封 出口管台(低合金鋼)-3仕上げ図10:クラッディング工法の概要(2) キャップ式補修工法 1 原子炉容器下部貫通部で、き裂等の欠陥が確認され た場合の補修工法として、キャップ式補修工法を開発 済みである。これは、キャップ状の構造物を欠陥があ る下部貫通部を含む原子炉容器外面に溶接によって取 り付け、キャップ自体を新たな原子炉容器冷却材圧力 バウンダリとして、万が一き裂が貫通した場合でも漏 えいを防止する機能を有するものである。微小な欠陥」キャップ式橋修図11:キャップ式補修工法の概要 (3) スプールピース取替工法 原子炉容器出入口管台や蒸気発生器出入口管台に対 する取替技術として、スプールピース取替工法を開発 済みである。これは、600系 Ni基合金を含む短管部分 を、690系 Ni基合金を使用して短管を一体で取替える ものである。なお、この溶接方法については、低合金 鋼に直接溶接することから、溶接後熱処理が不要なテ ンパービード溶接工法を開発済みである。Tweetsteresushrometain(ステンレス線)子伊勢冷細 出口撃合(含象類)新しい管識) 図12:スプールピース取替工法の概要2954. まとめ以上、600系 Ni基合金使用部の PWSCC に対する当 社の保全内容について紹介したが、原子力発電所の安 全を揺らぎないものにしていくためには、今後も国内 外の損傷事例や新たな知見等に基づき保全技術の開発 を積極的に進めることが重要である。また、これら開発した技術を事象が顕在化する前に 計画的に実機に適用していくことで設備の信頼性が向 上し、プラントの安全・安定運転が可能と考えている。 1. 本稿では、原子力発電所における重要部位である600 系 Ni基合金部の保全技術について紹介したが、今後も 原子力発電所のあらゆる機器に対して保全技術の向上 に努め、安全性向上に尽力していきたいと考えている。以上 - 296 -“ “加圧水型原子力発電所におけるニッケル基合金使用部に関する保全技術について“ “伊藤 肇,Hajime ITO,平野 伸朗,Shinro HIRANO
際にこれまでにも国内外で多くの損傷事例が報告され 我が国には、55 基の発電用原子力発電所が存在してている。加圧器安全弁・過がし弁 おり、原子力は国内の総発電量の約 30%を占め、重要 な役割を果たしている。一方で、原子力発電所は、ウ ラン・プルトニウムといった核燃料物質を扱うことか ら、放射能に関わる細心の管理が必要であることから、 単に発電設備の健全性確保だけでなく、そこで働く従というかサージ 業員さらには広く周辺環境に対しても十分配慮した安牛丼容器 全性を確保していく使命がある。 - 原子力発電所は、その設計段階において使用環境や原子機器や内核装備管台 想定される外部事象に対して十分な裕度を持って設 計・製作されているが、発電設備の長時間にわたる運図1:600系 Ni基合金の主な使用部位 用や高経年化に伴い、日常の運転、検査、評価、補修。 * 代表的な損傷事例として、海外では 2000 年 10月米 といった保全活動の充実が原子力発電所の安全性確保国 V.C.Summer 発電所において、原子炉容器出口管台溶 の上で、必要不可欠であることは言うまでもない。 接部で、建設時の補修溶接による高い引張残留応力に 1. 本稿では、原子力発電所の重要機器で使用されてい 起因した PWSCC による貫 る600系 Ni 基合金使用部の保全技術について述べる。 通き裂が発見され、また、2003年4月米国 South Texas 2.これまでの損傷事例Project 発電所 1 号機におい 原子力発電所における重要機器の一つである原子炉て、原子炉容器下部貫通部で 容器、蒸気発生器及び加圧器の管台部には、強度、耐 溶接欠陥に起因した PWSCC 食性、熱処理性及び溶接性を考慮して、多くのプラン どち隠して、多くのファンによる貫通き裂が確認されg2:South Texas Project 発1号機の損傷状況」 トで600系 Ni基合金が使用されているが、この 600 系 た。さらに国内では、2004 Ni基合金は、一次冷却材環境下で、かつ、高引張応力 年5月関西電力(株)大飯発電所3号機において、原子炉 の条件が重畳した場合には応力腐食割れ(Primary 容器上蓋管台 J溶接部で、製造時の表面処理(バフ仕 Water Stress Corrosion Cracking)(以下「PWSCC」とい上げ)が十分でなく、それにより高い引張残留応力が発生しPWSCC による貫通き裂が確認された。掛橋術 (一次冷都水がえいし、 ほうが析出)、
3.600系 Ni 基合金使用部に対する保全技術当社では国内外の損傷事例やこれまでの研究成果を 踏まえて、予防保全技術、検査・評価技術、補修・取 替技術の向上を図っており、それらについて以下に述べる。3.1 予防保全技術 (1) ウォータージェットピーニング(WJP) 原子炉容器出入口管台、原子炉容器下部貫通部等の 水中環境下で適用可能な応力改善技術としてウォータ ージェットピーニング(Water Jet Peeninng: WJP)があ る。この技術の原理は、水中にて高圧ジェット水を噴 射すると、ジェット水と周囲停止水の境界において、 渦流の生成により渦中心の低圧部で水が蒸発しキャビ テーション気泡群が発生する。これが下流に流される に従い、圧力が回復してキャビテーション気泡群が瞬 時に崩壊し、その崩壊時の衝撃圧を利用して、金属表 面を塑性変形させ、表面近傍の引張残留応力を圧縮応 カへ改善するものである。この崩壊が金属表面で起こると・・・衝撃取はキャビテーションをキャビテーション!発生 11 成長en'sがんナンパかりしてい??力 ......1000以上金属表面の 酸性変形付与図3:ウォータージェットパーニングの原理180残留応力(MPa)600合金 管台180 金から30mm上.....一a00204060810 1.2 1.4間からの深(mm)図4:ウォータージェットピーニングの効果と施工概要(2) 超音波ショットピーニング(USP)蒸気発生器出入口管台等の気中環境下で適用可能な 応力改善技術として超音波ショットピーニング(Ultrasonic Shot Peeninng: USP) がある。この技術は、 圧電素子であるピエゾ素子に変動する電圧を与えるこ とにより超音波振動を発生させ、その超音波振動が伝 達された振動子面、対象物、及びチャンバーに囲まれニングの効果た空間において、ショットを対象物と振動子間で往復 運動させることでショットピーニングを行う手法であ る。応力改善の原理は往復運動したショットが金属表 面に衝突した時に、ショットの運動エネルギーにより 金属表面を押し延ばすような塑性変形を与え、板厚内 の拘束により表面近傍の引張残留応力を圧縮応力へ改 善するものである。対象物溶接線方向●溶接金属!投射距離残留応力(MPa)■NCF600(HAZ A NCF600(30mm) OSUS316(30mm) NCF600 ()→変動 120kHz)BOE10. 00. 51.01.5 表面からの深さ(mm)図5:超音波ショットビーニングの施工概要図6:超音波ショットピーニングの効果(3) レーザ外面照射応力改善法(L-SIP)加圧器管台等の構造的に管台内面からのアクセスが 困難である部位に対し適用可能な応力改善技術として、 レーザ外面照射応力改善法(outer surface irradiated Laser Stress Improvement Process : L-SIP)がある。この 技術の原理は、配管外表面にレーザを局所的に照射す ることにより、板厚の内外面に温度差を与えると、外 表面の熱膨張により外面が伸びようとして板厚内で曲 げの変形が発生するが、配管自体が剛体であるので変 形が拘束される結果、外面側が圧縮、内面側が引張の 降伏状態となる。その後、レーザ照射を止め外表面が 冷却される過程において、今度は外表面の収縮により 外表面が縮もうとして、板厚内で曲げの変形が発生(膨 張時とは逆の方向)するが、配管が剛体であるので、 変形が拘束される結果、外面側が引張、内面側が圧縮 の降伏状態となり、すなわち、内面の引張残留応力を 圧縮応力へ低減できるものである。格含安蒂拉金期ランス一 部商方向応力) ニーレーザ (周方向応力> 一方向応力) ミーレーザ機(軸方向応力)」周方向応力(MP)1100-25-50280660が100方向依tm)図7:レーザ外面照射応力改善法の施工概要図8:レーザ外面照射応力改善法の効果294初期状線光学系1照射前、進行方向自由診療外には照射時| B-B照射移動熱源・非定常加熱で内外 面の温度差を確保する.. 外来圧縮応力応力引機応力EaAoyの場合降伏変形初期状標後提 (自由 )収縮 初期重み:e冷却時IC-C外内面接応カー歪み線図図9:レーザ外面照射応力改善法の原理 3.2 検査技術 1 一般に溶接部の検査については、その形状や材料組織等の影響で母材に比べて困難であるが、600系 Ni合 金部の検査技術を確立することは重要であることから、 Ni基合金の検査技術の精度向上のため、国の研究プロ ジェクト「炉内構造物等特殊材料溶接部検査技術調査 (Nondestructive Inspection Technologies on the Ni Alloy Welded Joint)」 や NRC (米国原子力規制委員会:Nuclear Regulatory Commission)による国際研究プロジェクト[Program for Inspection of the Nickel alloy Component] 等に参画することによって、検査技術の高度化に取り 組んでいる。 3.3 経年劣化評価技術機器の健全性を確保するためには、検査結果を踏ま えてき裂の発生・進展を予測し、適切な時期に点検あ るいは補修を実施する点検・評価手法の確立が重要で ある。なお、現状、炉内計装筒母材に対するき裂の発 生・進展の評価手法、点検時期の策定方法について確 立済みであるため、原子炉容器出入口管台、蒸気発生 器出入口管台等のその他重要部位に対しても同様の点 検・評価手法を確立すべく取り組んでいる。 3.4 補修・取替技術 (1) クラッディング工法 原子炉容器出入口管台や蒸気発生器出入口管台で、 万が一、き裂等の欠陥が確認された場合の補修工法と して、き裂を含む 600系 Ni合金部を切削除去し、耐食 性に優れた 690系 Ni基合金によりクラッド溶接を行う技術及び装置を開発済みである。 0God'?????1次冷却材管 (ステンレス鋼)線控露得恰到封 出口管台(低合金鋼)-3仕上げ図10:クラッディング工法の概要(2) キャップ式補修工法 1 原子炉容器下部貫通部で、き裂等の欠陥が確認され た場合の補修工法として、キャップ式補修工法を開発 済みである。これは、キャップ状の構造物を欠陥があ る下部貫通部を含む原子炉容器外面に溶接によって取 り付け、キャップ自体を新たな原子炉容器冷却材圧力 バウンダリとして、万が一き裂が貫通した場合でも漏 えいを防止する機能を有するものである。微小な欠陥」キャップ式橋修図11:キャップ式補修工法の概要 (3) スプールピース取替工法 原子炉容器出入口管台や蒸気発生器出入口管台に対 する取替技術として、スプールピース取替工法を開発 済みである。これは、600系 Ni基合金を含む短管部分 を、690系 Ni基合金を使用して短管を一体で取替える ものである。なお、この溶接方法については、低合金 鋼に直接溶接することから、溶接後熱処理が不要なテ ンパービード溶接工法を開発済みである。Tweetsteresushrometain(ステンレス線)子伊勢冷細 出口撃合(含象類)新しい管識) 図12:スプールピース取替工法の概要2954. まとめ以上、600系 Ni基合金使用部の PWSCC に対する当 社の保全内容について紹介したが、原子力発電所の安 全を揺らぎないものにしていくためには、今後も国内 外の損傷事例や新たな知見等に基づき保全技術の開発 を積極的に進めることが重要である。また、これら開発した技術を事象が顕在化する前に 計画的に実機に適用していくことで設備の信頼性が向 上し、プラントの安全・安定運転が可能と考えている。 1. 本稿では、原子力発電所における重要部位である600 系 Ni基合金部の保全技術について紹介したが、今後も 原子力発電所のあらゆる機器に対して保全技術の向上 に努め、安全性向上に尽力していきたいと考えている。以上 - 296 -“ “加圧水型原子力発電所におけるニッケル基合金使用部に関する保全技術について“ “伊藤 肇,Hajime ITO,平野 伸朗,Shinro HIRANO