六ヶ所再処理工場における保修について
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カテゴリ: 第3回
1. はじめに
六ヶ所再処理工場では、安全の確保を最優先に、 経済的かつ安定的に生産を継続できるように、一般 産業界の考え方や先行原子力プラントでの保全実績 を考慮して、効果的な設備保全を行う計画としてい る。 1以下では、六ヶ所再処理工場の保修の特徴、保修 の基本的考え方、国の検査の関与、設備点検におけ る周期の設定の考え方、保修体制について説明する ものとする。材料を選定し、適切な腐食しろを設定するなど、保 修が不要となるよう設計している。さらに、放射線 業務従事者が直接接触することができないセル内設 置機器については、遠隔保修にて修理・交換を行う 設計としている。
3. 六ヶ所再処理工場の保修の基本的考え
方について再処理工場内の機器は、設置場所、種類あるいは 使用環境等によっていくつかのカテゴリーに分類さ れることから、それぞれについて以下の手順で保修 方法を定めている。 10放射線レベルによって設計上セル内設置の要否が決まることから、そのような配慮の有無をも 再処理工場内の機器は、設置場所、種類あるいは 使用環境等によっていくつかのカテゴリーに分類さ れることから、それぞれについて以下の手順で保修 方法を定めている。 ◎放射線レベルによって設計上セル内設置の要否 が決まることから、そのような配慮の有無をも とに分類 2セル外機器についてもウラン、プルトニウム粉 末などの取り扱う形態によってグローブボック ス内設置の要否が決まることから、そのような配慮の有無をもとに分類 3動的機器か静的機器かによって保修方法が異なるため、機器を分類 ◎再処理工場に特有の腐食、詰まりやすさ、特殊 材料など特別な環境、条件にさらされるものが あるか、放射性物質の内包の有無、安全上重要2. 六ヶ所再処理工場の保修の特徴について再処理工場は、複数の工程をシリーズにつなぐこ とで化学処理を行うプラントであり、原子力発電所 と比べて低温・低圧で、過渡変化の進展速度もゆる やかである。従って、濃度管理等による臨界の防止、 化学薬品を多量に使用することに対する火災・爆発 の防止及び放射性物質の閉じ込め機能に着目した保 修を行うこととなる。また、再処理工場では硝酸環 境下における腐食の問題があるが、耐食性に優れた連絡先:大枝 郁、〒039-3212 青森県上北郡六ヶ所村大 字尾較字沖付 4-108、日本原燃(株)再処理事業部保修部、 電話: 0175-71-2334、e-mail:kaoru.ooeda@jnfl.ne.jp- 297 -3六ヶ所再処理工場の保修の基本的考え 方についてな機器か、振動測定による状態監視が可能か等 を考慮し、機器を分類 以上の分類から、当初設計から予防保全は行わず、 事後保全としている再処理工場特有の機器を除い て、予防保全(定期保全、経時保全、状態監視保全) を基本とする保修方法を採用している。 上記で分類された保修方法の具体例を以下に示す。 1通常時人の立入りが困難なセルに設置された前 処理工程の使用済み燃料をせん断するせん断機 などの機械装置類については、セル内に設置さ れたカメラ等により定期的な状態監視を行いつ つ、万一故障が発生した場合は、遠隔操作にて パーツまたはアセンブリ単位で一式交換を行う。 2セル内に設置されている機器で、遠隔操作で 取り扱わない塔槽類については、先行施設での 腐食事例等を教訓とし、耐食性に優れた材料を 採用するなど腐食対策を講じるとともに、製 作・施工段階での厳重な品質管理により長期の 信頼性を確保していることから、基本的に保修 を必要としない(メンテナンスフリー) 考え方 を採用している。 ただし、国内での使用実績のないジルコニウム 製機器のうち特に腐食環境が厳しい条件にさ らされているもの及びステンレス鋼製機器で 施設寿命中に交換を想定しているものは肉厚 測定等による状態監視保全を行う。 3その他セル内に設置されている特殊機器(抽 出器のかくはん機、槽類廃ガス処理系のフィル タ、セル内に送液部があるポンプ等)について は、不具合が生じた場合専用の放射線遮へい材 付きの特殊容器(メルク)を用いて一式交換す ることとしている。なお、これら機器について は予備品を確保し、保修に要する時間短縮に努 めることとしている。(図1参照) @グローブボックス内機器については、外観等 の定期的な状態監視を行いつつ、グローブを介 した直接保修にて一式交換または修理するこ ととしている。なお、これらの機器については 予備品を確保し、保修に要する期間の短縮に努 めることとしている。(図2参照) 5安全機能維持に必要な設備(連動装置、警報 装置、換気系送排風機、電源設備、安全系ユー ティリティ設備等)については定期保全を基本とする。なお、それ以外の一般系の計測制御設 備、電気設備、ユーティリティ設備等について も施設の安定運転を維持するため定期保全を 基本とし、先行施設の実績を参考に点検周期を 適切に設定している。MERC管理区域| 移動へいハッチセル内有り、図1 メルクによる機器交換グローブボックス総領事へ管品の交換バルセーション バルブグローブ図 2 グローブボー4. 六ヶ所再処理工場図 2 グローブボックスによる保修六ヶ所再処理工場における点検・検査 の区分六ヶ所再処理工場における設備の健全性は、事業 者が自主的に点検を実施して機能・性能の維持をは かることはもちろん、国としても原子炉等規制法の もと、施設定期検査、保安検査として確認すること となっている。また、原子炉等規制法以外の法令に 基づく点検も一般産業と同様に実施している。以下 にこれらの概要を示す。2984-1 法定点検 (1) 施設定期検査 原子炉等規制法第四十六条の二の二に基づき、再 処理規則第七条の十二にある以下のものを性能 維持の観点から年1回施設定期検査として実施さ れる。 1報装置、非常用動力装置その他の非常用装置、安全保護回路及び連動装置の作動 2放射性廃棄物の廃棄施設の処理能力 3主要な放射線管理施設の性能 @放射線管理を必要とする場所における線量当量率及び空気中放射性物質濃度 5核燃料が臨界に達することを防ぐ能力及び使用済燃料等を限定された区域に閉じ込める能力 5製品中の原子核分裂生成物の含有量 1製品の回収率 3火災及び爆発を防止する能力その他の性能 (2) 施設定期自主検査炉規法第四十八条に基づき、再処理規則第十二 条にある、以下のものを性能維持の観点から年1 回または月1回施設定期自主検査として実施す る。(具体的検査内容は保安規定に記載) 1当該施設の性能が第七条の十二に定める技術上 の基準に適合しているかどうかについての検査 を一年ごとに行う。 2警報装置、非常用動力装置その他の非常用装置 については、当該装置の各部分ごとの当該作動 のための性能検査を一月ごとに、当該装置全体 の当該作動のための総合検査を一年ごとに行う。 3再処理施設の保安のために直接関連を有する計 器及び放射線測定器については、較正を一年ごとに行う。 (3) 巡視及び点検炉規法第四十八条に基づき、再処理規則第十一 条にある巡視および点検を保安の観点から、毎日 1回以上実施する。 (4) 保安検査炉規法第五十条に基づき、再処理規則第十七条 にある保安規定の遵守状況の検査が毎年4回実 施される。 1事務所又は工場若しくは事業所への立入り 2帳簿、書類、設備、機器その他必要な物件の検香3従事者その他関係者に対する質問 4核原料物質、核燃料物質、核燃料物質によって汚染された物その他の必要な試料の提出 (5) その他法令に基づく定期点検炉規法以外の法律(労安法、消防法等)に基づ く定期点検として以下のものがある。 1電気事業法に基づく電気設備(受電設備、配電 設備、負荷設備、非常用電源設備)の点検(日 常巡視点検、月例、年次の定期自主検査) 2消防法に基づく自動火災報知設備等の点検(6ヶ月、年次の定期自主検査) 3高圧ガス保安法に基づく高圧ガス製造設備の点 * 検(年次の定期自主検査及び保安検査) ◎ボイラー及び圧力容器安全規則に基づくボイラ ー、第1種、2種圧力容器の点検(月例の定期自 主検査、年次の性能検査) 5クレーン等安全規則に基づくクレーン、ホイス トの点検(月例及び年次の定期自主検査、1回 / 2年の性能検査) 6冷凍保安規則に基づく冷凍高圧ガス製造施設の 点検(年次の自主検査、1回/3年の保安検査)4-2自主点検事業者が自主的に行う点検は、日常的に行うも のと定期的に行うものに分け、これらを適切に実 施していくことで設備の健全性を確保していく こととしている。 (1)日常点検設備・機器の運転状態(軸受温度、振動、異常 音など)を主に5感により点検するもので適宜実施している。 (2)定期的な点検 1簡易点検当該機器の保温材又は遮へい材等を取り外し、 主に機器の外表面から以下に示すような点検・ 整備を行うもので、月例、毎年1回等の頻度で 実施している。 ・回転機器の振動測定、軸受、Vベルト点検、潤滑油の補給・交換 ・弁の漏洩確認、グランド増し締め ・塔槽類の外観点検(腐食、漏洩、損傷など) ・計装、電気品各部の外観点検(腐食、損傷など)299・端子類の締め付け状態 ・コネクター部の点検 など 2本格点検当該機器を分解又は開放し、以下に示すよう な点検・整備を行うもので、原則として1年~ 5年周期で実施する。なお、点検周期について は、設備・機器の重要度及び先行施設での実績 等を勘案して適切に設定する。 ・回転機器の分解、清掃、部品交換、整備 ・機器内面の傷、摩耗、腐食、損傷などの有無の確認(必要に応じて非破壊検査を実施) ・軸受の点検、手入れ又は交換 ・パッキン、ガスケット等のシール材の交換 ・計器の点検・校正 ・盤内の点検、絶縁抵抗測定、清掃など・盤内の点検、絶縁抵抗測定、清掃など5. 設備点検における周期の設定の考え方 設備点検における周期の設定の考え方- 前記 4-1 は法令に明確に実施周期が記載されて いるが、4-2 の自主点検は事業者が設備・機器の重 要度、先行再処理施設(東海工場、ラ・アーグ工場) での実績、機器製作メーカーの推奨を勘案して適切 に設定している。 設定された周期は社内規定として 制定している。 - なお、設定している周期は、今後機器の状態を適 切に把握し、適宜周期を延長・短縮することとして いる。 6. おわりに六ヶ所再処理工場の保修の考え方、点検・検査の 区分について述べてきたが、腐食性の強い硝酸を主 たる試薬として取り扱う化学工場であることから、 念のため自主的に使用期間中において使用機器の耐 食健全性データーを採取し確認していくこととして いる。回転機器については測定可能な振動等のデー ター採取して状態監視保全の適用化について検討し ていく予定である。また、全体的には点検の周期・ 方法について実績を踏まえ適時修正を加えていくこ とから、効果的設備保全について知見が得られると 考える。 * これらについては、採取データー評価、知見がま とまり次第、検討結果について発表していきたい。-300“ “六ヶ所再処理工場における保修について“ “河口 恭寛,Yasuhiro KAWAGUCHI,大枝 郁,Kaoru OOEDA,松井 典夫,Norio MATSUI,尾形 圭司,Keiji OGATA
六ヶ所再処理工場では、安全の確保を最優先に、 経済的かつ安定的に生産を継続できるように、一般 産業界の考え方や先行原子力プラントでの保全実績 を考慮して、効果的な設備保全を行う計画としてい る。 1以下では、六ヶ所再処理工場の保修の特徴、保修 の基本的考え方、国の検査の関与、設備点検におけ る周期の設定の考え方、保修体制について説明する ものとする。材料を選定し、適切な腐食しろを設定するなど、保 修が不要となるよう設計している。さらに、放射線 業務従事者が直接接触することができないセル内設 置機器については、遠隔保修にて修理・交換を行う 設計としている。
3. 六ヶ所再処理工場の保修の基本的考え
方について再処理工場内の機器は、設置場所、種類あるいは 使用環境等によっていくつかのカテゴリーに分類さ れることから、それぞれについて以下の手順で保修 方法を定めている。 10放射線レベルによって設計上セル内設置の要否が決まることから、そのような配慮の有無をも 再処理工場内の機器は、設置場所、種類あるいは 使用環境等によっていくつかのカテゴリーに分類さ れることから、それぞれについて以下の手順で保修 方法を定めている。 ◎放射線レベルによって設計上セル内設置の要否 が決まることから、そのような配慮の有無をも とに分類 2セル外機器についてもウラン、プルトニウム粉 末などの取り扱う形態によってグローブボック ス内設置の要否が決まることから、そのような配慮の有無をもとに分類 3動的機器か静的機器かによって保修方法が異なるため、機器を分類 ◎再処理工場に特有の腐食、詰まりやすさ、特殊 材料など特別な環境、条件にさらされるものが あるか、放射性物質の内包の有無、安全上重要2. 六ヶ所再処理工場の保修の特徴について再処理工場は、複数の工程をシリーズにつなぐこ とで化学処理を行うプラントであり、原子力発電所 と比べて低温・低圧で、過渡変化の進展速度もゆる やかである。従って、濃度管理等による臨界の防止、 化学薬品を多量に使用することに対する火災・爆発 の防止及び放射性物質の閉じ込め機能に着目した保 修を行うこととなる。また、再処理工場では硝酸環 境下における腐食の問題があるが、耐食性に優れた連絡先:大枝 郁、〒039-3212 青森県上北郡六ヶ所村大 字尾較字沖付 4-108、日本原燃(株)再処理事業部保修部、 電話: 0175-71-2334、e-mail:kaoru.ooeda@jnfl.ne.jp- 297 -3六ヶ所再処理工場の保修の基本的考え 方についてな機器か、振動測定による状態監視が可能か等 を考慮し、機器を分類 以上の分類から、当初設計から予防保全は行わず、 事後保全としている再処理工場特有の機器を除い て、予防保全(定期保全、経時保全、状態監視保全) を基本とする保修方法を採用している。 上記で分類された保修方法の具体例を以下に示す。 1通常時人の立入りが困難なセルに設置された前 処理工程の使用済み燃料をせん断するせん断機 などの機械装置類については、セル内に設置さ れたカメラ等により定期的な状態監視を行いつ つ、万一故障が発生した場合は、遠隔操作にて パーツまたはアセンブリ単位で一式交換を行う。 2セル内に設置されている機器で、遠隔操作で 取り扱わない塔槽類については、先行施設での 腐食事例等を教訓とし、耐食性に優れた材料を 採用するなど腐食対策を講じるとともに、製 作・施工段階での厳重な品質管理により長期の 信頼性を確保していることから、基本的に保修 を必要としない(メンテナンスフリー) 考え方 を採用している。 ただし、国内での使用実績のないジルコニウム 製機器のうち特に腐食環境が厳しい条件にさ らされているもの及びステンレス鋼製機器で 施設寿命中に交換を想定しているものは肉厚 測定等による状態監視保全を行う。 3その他セル内に設置されている特殊機器(抽 出器のかくはん機、槽類廃ガス処理系のフィル タ、セル内に送液部があるポンプ等)について は、不具合が生じた場合専用の放射線遮へい材 付きの特殊容器(メルク)を用いて一式交換す ることとしている。なお、これら機器について は予備品を確保し、保修に要する時間短縮に努 めることとしている。(図1参照) @グローブボックス内機器については、外観等 の定期的な状態監視を行いつつ、グローブを介 した直接保修にて一式交換または修理するこ ととしている。なお、これらの機器については 予備品を確保し、保修に要する期間の短縮に努 めることとしている。(図2参照) 5安全機能維持に必要な設備(連動装置、警報 装置、換気系送排風機、電源設備、安全系ユー ティリティ設備等)については定期保全を基本とする。なお、それ以外の一般系の計測制御設 備、電気設備、ユーティリティ設備等について も施設の安定運転を維持するため定期保全を 基本とし、先行施設の実績を参考に点検周期を 適切に設定している。MERC管理区域| 移動へいハッチセル内有り、図1 メルクによる機器交換グローブボックス総領事へ管品の交換バルセーション バルブグローブ図 2 グローブボー4. 六ヶ所再処理工場図 2 グローブボックスによる保修六ヶ所再処理工場における点検・検査 の区分六ヶ所再処理工場における設備の健全性は、事業 者が自主的に点検を実施して機能・性能の維持をは かることはもちろん、国としても原子炉等規制法の もと、施設定期検査、保安検査として確認すること となっている。また、原子炉等規制法以外の法令に 基づく点検も一般産業と同様に実施している。以下 にこれらの概要を示す。2984-1 法定点検 (1) 施設定期検査 原子炉等規制法第四十六条の二の二に基づき、再 処理規則第七条の十二にある以下のものを性能 維持の観点から年1回施設定期検査として実施さ れる。 1報装置、非常用動力装置その他の非常用装置、安全保護回路及び連動装置の作動 2放射性廃棄物の廃棄施設の処理能力 3主要な放射線管理施設の性能 @放射線管理を必要とする場所における線量当量率及び空気中放射性物質濃度 5核燃料が臨界に達することを防ぐ能力及び使用済燃料等を限定された区域に閉じ込める能力 5製品中の原子核分裂生成物の含有量 1製品の回収率 3火災及び爆発を防止する能力その他の性能 (2) 施設定期自主検査炉規法第四十八条に基づき、再処理規則第十二 条にある、以下のものを性能維持の観点から年1 回または月1回施設定期自主検査として実施す る。(具体的検査内容は保安規定に記載) 1当該施設の性能が第七条の十二に定める技術上 の基準に適合しているかどうかについての検査 を一年ごとに行う。 2警報装置、非常用動力装置その他の非常用装置 については、当該装置の各部分ごとの当該作動 のための性能検査を一月ごとに、当該装置全体 の当該作動のための総合検査を一年ごとに行う。 3再処理施設の保安のために直接関連を有する計 器及び放射線測定器については、較正を一年ごとに行う。 (3) 巡視及び点検炉規法第四十八条に基づき、再処理規則第十一 条にある巡視および点検を保安の観点から、毎日 1回以上実施する。 (4) 保安検査炉規法第五十条に基づき、再処理規則第十七条 にある保安規定の遵守状況の検査が毎年4回実 施される。 1事務所又は工場若しくは事業所への立入り 2帳簿、書類、設備、機器その他必要な物件の検香3従事者その他関係者に対する質問 4核原料物質、核燃料物質、核燃料物質によって汚染された物その他の必要な試料の提出 (5) その他法令に基づく定期点検炉規法以外の法律(労安法、消防法等)に基づ く定期点検として以下のものがある。 1電気事業法に基づく電気設備(受電設備、配電 設備、負荷設備、非常用電源設備)の点検(日 常巡視点検、月例、年次の定期自主検査) 2消防法に基づく自動火災報知設備等の点検(6ヶ月、年次の定期自主検査) 3高圧ガス保安法に基づく高圧ガス製造設備の点 * 検(年次の定期自主検査及び保安検査) ◎ボイラー及び圧力容器安全規則に基づくボイラ ー、第1種、2種圧力容器の点検(月例の定期自 主検査、年次の性能検査) 5クレーン等安全規則に基づくクレーン、ホイス トの点検(月例及び年次の定期自主検査、1回 / 2年の性能検査) 6冷凍保安規則に基づく冷凍高圧ガス製造施設の 点検(年次の自主検査、1回/3年の保安検査)4-2自主点検事業者が自主的に行う点検は、日常的に行うも のと定期的に行うものに分け、これらを適切に実 施していくことで設備の健全性を確保していく こととしている。 (1)日常点検設備・機器の運転状態(軸受温度、振動、異常 音など)を主に5感により点検するもので適宜実施している。 (2)定期的な点検 1簡易点検当該機器の保温材又は遮へい材等を取り外し、 主に機器の外表面から以下に示すような点検・ 整備を行うもので、月例、毎年1回等の頻度で 実施している。 ・回転機器の振動測定、軸受、Vベルト点検、潤滑油の補給・交換 ・弁の漏洩確認、グランド増し締め ・塔槽類の外観点検(腐食、漏洩、損傷など) ・計装、電気品各部の外観点検(腐食、損傷など)299・端子類の締め付け状態 ・コネクター部の点検 など 2本格点検当該機器を分解又は開放し、以下に示すよう な点検・整備を行うもので、原則として1年~ 5年周期で実施する。なお、点検周期について は、設備・機器の重要度及び先行施設での実績 等を勘案して適切に設定する。 ・回転機器の分解、清掃、部品交換、整備 ・機器内面の傷、摩耗、腐食、損傷などの有無の確認(必要に応じて非破壊検査を実施) ・軸受の点検、手入れ又は交換 ・パッキン、ガスケット等のシール材の交換 ・計器の点検・校正 ・盤内の点検、絶縁抵抗測定、清掃など・盤内の点検、絶縁抵抗測定、清掃など5. 設備点検における周期の設定の考え方 設備点検における周期の設定の考え方- 前記 4-1 は法令に明確に実施周期が記載されて いるが、4-2 の自主点検は事業者が設備・機器の重 要度、先行再処理施設(東海工場、ラ・アーグ工場) での実績、機器製作メーカーの推奨を勘案して適切 に設定している。 設定された周期は社内規定として 制定している。 - なお、設定している周期は、今後機器の状態を適 切に把握し、適宜周期を延長・短縮することとして いる。 6. おわりに六ヶ所再処理工場の保修の考え方、点検・検査の 区分について述べてきたが、腐食性の強い硝酸を主 たる試薬として取り扱う化学工場であることから、 念のため自主的に使用期間中において使用機器の耐 食健全性データーを採取し確認していくこととして いる。回転機器については測定可能な振動等のデー ター採取して状態監視保全の適用化について検討し ていく予定である。また、全体的には点検の周期・ 方法について実績を踏まえ適時修正を加えていくこ とから、効果的設備保全について知見が得られると 考える。 * これらについては、採取データー評価、知見がま とまり次第、検討結果について発表していきたい。-300“ “六ヶ所再処理工場における保修について“ “河口 恭寛,Yasuhiro KAWAGUCHI,大枝 郁,Kaoru OOEDA,松井 典夫,Norio MATSUI,尾形 圭司,Keiji OGATA