原子炉内構造物への超音波探傷技術の適用

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カテゴリ: 第3回
2.水浸フェーズドアレイUT
* 原子力プラントの炉内構造物、配管などは、長期 2.1 原理と特徴 運転や使用環境条件などによって応力腐食割れ フェーズドアレイ UT は、Fig.1 に示すように り、(UT)の 用を図っ (2) UT は、 ちるため、 (3) 、複雑形原子力プラントの炉内構造物、配管などは、長期 運転や使用環境条件などによって応力腐食割れ (SCC)の発生が報告され、構造物の健全性評価の ための点検・検査への要求が高まっている。また、原子力プラントへの維持規格の導入により、 検出したき裂の深さを高精度に測定することはプラ ントの健全性確保にとって極めて重要である。 - 東芝では、炉内構造物のき裂深さ測定を目的に 水浸フェーズドアレイ超音波探傷技術(UT)の 開発にいち早く着手し、積極的に実機適用を図っ ている [1] - [6] 。水浸フェーズドアレイ UT は、 接触媒質を水とした非接触の探傷法であるため、 被検査面の凹凸などの影響を受けにくく、複雑形 状部の探傷に有効な方法である。原子炉圧力容器内には、シュラウドのような比 較的単純な構造物からスタブチューブなどの複 雑形状を有する構造物が多数存在し、また狭隘部 の空間もあり、これらの構造物の UT 検査には形 状に適合した探傷法の適用が必要である。ここでは、当社の代表的な水浸フェーズドアレ イ UT 技術の適用例を紹介し、さらに、EPRI BWRVIP における UT 要領の技量認証について * ここでは、当社の代表的な水浸フェーズドアレ装置を示す。 イ UT 技術の適用例を紹介し、さらに、EPRI アレイ探触子 BWRVIP における UT 要領の技量認証について 対象部位や形 も言及する。して用いるこ - 365 -
フェーズドアレイ UT は、Fig.1 に示すように、 小型振動子群(アレイ探触子)の各振動子から異な ったタイミングで超音波を発信することにより、 任意の方向および深さ位置に、送信波形よりも振 幅値の大きな合成波面を形成させて、材料内部の 検査を行う技術である。以下にその特徴を示す。 (1) 各振動子の発信及び受信タイミング制御によ
り、探傷角度と集束位置を任意に設定可能。 (2) 探傷データの画像表示(断面画像, 平面画像)により対象物の内部を可視化できる。 (3) 水浸法の適用で、従来の直接接触法に比べ溶接部表面の凹凸の影響を低減した探傷が可能。 これらの特徴を生かした探傷を行うことで、強 い超音波を所定の位置に入射することができ、そ の結果、従来法で検出が困難であったき裂からの 微弱な反射波を、溶接金属組織等からの反射波に 比べて高感度に検出することができる。Fig.2 に当社が開発したフェーズドアレイ UT 装置を示す。装置はノート PC による制御装置と アレイ探触子で構成されている。また、探触子は 対象部位や形状に合わせて適切な探触子を選択 して用いることでより適正な探傷が可能となる。Beam focusing Beamisteeringt. Exciting 詰まるたんたー Elements → 点1pulsesElectrical scanning of multi-elementsBeamdirectionsWave frontFocal pointNormal beamAngle beamConv. Linear Array Array probeArray probeBeaufocusingBeaon steering JD!!!. Excitingpulses 上上上生きたまま上。Electrical scanning of multi-elements:UT beam + Beam controlBeamdirectionsLine focus type Linear ArrayArray probeArray probeWave frontocal pointNormal beamAngle beamBeam controlFig.1 Principle of phased array UTThin-type Linear ArrayArray probe(Line focus type)piping3D Phased arrayArray probeontroller (b)Example of array probesFig. 2 Phase array equipmentFocal pointUT Beam3D Beam control探傷法の概要 内には複雑形状を有する構造物が多数存在 おり、これらの構造物に対して適切な探傷を こは、構造物の形状に合致した探触子や探傷 商用する必要があるFig.3Water gap Phase array UT techniques(a)ControllerFig. 2(b)Example of array probes Phase array equipment2.2 探傷法の概要 - 炉内には複雑形状を有する構造物が多数存在 しており、これらの構造物に対して適切な探傷を 行うには、構造物の形状に合致した探触子や探傷 法を適用する必要がある。Fig.3 に当社が保有する代表的な探傷法を示す。 対象形状やアクセス空間などを考慮して探傷法 を選択することで、従来探傷が困難とされていた 構造物についても探傷が可能となり、適用範囲の 大幅な拡大を図ることができる。33.水浸フェーズドアレイ UT の適用例 3.1 シュラウド溶接部への適用 - 当社独自に開発した水浸フェーズドアレイ UT によるシュラウド溶接部下部リングの探傷状況 の一例を Fig.4 に示す [7] 。溶接線に直交方向の探 傷はアレイ探触子の電子走査(リニア走査)、平 行方向の走査は走行装置による走査で行う。Fig.4(b)の探傷画像から、垂直探傷画像で被検 体の表面形状や溶接部位置を確認し、斜角探傷画 像でき裂指示から深さ測定を行う。超音波ビーム 集束条件等の探傷条件を最適化することで、SCC き裂の深さを高精度に測定することができる。Fig. 3Core shroudHectrical scanDe viceMechanical scanH6weld256ch urray probe(a)Inspection imageB-scanwww.....] Surface L.. 2.ini...OdegC-scanFlaw echoWeldsWeldsA-scan(b)B-scan image Fig. 4 Application of Phase array UTon shroud lower ring- 366 -CRD HousingStub-tubeCarritanferentis scan Upper/dowe:scan トッカーのルンルンルン ・FlawStub-tubeweld3.2 貫通部への適用スタブチューブ下部溶接部への適用例[7] [8] を Fig.5 に示す。対象部位は3次元的な複雑形状 であること、その近傍に様々な干渉物が存在する 狭隘部であること、など多くの制約条件があった。 ・ そこで、探傷条件を最適化して得られた UT 信 号をもとに曲面形状を考慮した詳細評価を行う ことでき裂深さ測定や深さ測定分布を求めるこ とができた。RPV128ch array probeFig.5Inspection image of CRD housing/ScanArray probeRPVSurfaceH9FlawTip echo(a)Inspection image (b)B-scan image Fig.6 H9 UT mockup result from inside ofRPVFig.5Inspection image of CRD housing/ stub-tube weldArray probepipingFig.8 Thin type Array probe367Array probe(a) Inspection (b) 3D-image on SCC Imagespecimen Fig.9 3D phased array UT5. UT 要領の認証原子力プラントの供用期間中検査や定期的な検査 において健全性確保のために UT は多用されている。 これら UT データの信頼性確認のために PD (Performance Demonstration;技量試験)の重要性が 認識され、日本では今年度から開始されている。一方、米国では、一次系を中心として検査装置、 探傷要領、検査員に対する PD プログラムが整備さ れており、さらに、炉内構造物に対しても BWRVIP プログラムが整備されている。 - 東芝では、BWRVIP のシュラウドに対して、水浸 フェーズドアレイ UTのPDを受験した。これはEPRI が準備した試験体に対して探傷要領に沿った探傷を 行い、欠陥検出性、サイジング性を評価して頂くも のである。シュラウド溶接部の探傷結果としてのサ イジング精度は、すでに 2005 年度版の BWRVIP-03 に記載されている。さらにシュラウドサポートについても PD 受験し、 探傷結果は今年度の BWRVIP-03 に掲載される予定 である。 - 東芝では、検査技術の高精度化を目指すとともに 技量試験を受験し客観的かつ信頼性の高いサイジン グ技術を確保するために取組んでいる。3. 結言 1. 本稿では、当社が保有する代表的な水浸フェー ズドアレイ UT 技術について紹介した。今後ます ます高経年化プラントが増大していく中、プラン トの健全性と信頼性確保のために、高精度な欠陥 サイジング技術が必要となってくる。東芝では、これらの検査技術に対する要望に対 応すべく信頼性の高い技術開発を進め、プラント の安定運転に貢献していく。参考文献 [11 平澤、長井、古村、村上、高林、櫻井:日本非破壊検査協会「平成第9年度秋季大会講演会概要集」, 1997, P.21-24 [2] 平澤、古村、櫻井:日本非破壊検査協会「平成第 10 年度秋季大会講演会概要集」, 1998,P.5-8 [3] 平澤、古村、島:日本非破壊検査協会「平成第 12 年度春季大会講演会概要集」,2000,P. 119-122 [4] 平澤、古村、成瀬:日本非破壊検査協会「第8回超音波による非破壊評価シンポジウム」,2001, P. 131-134 [5] 平澤、古村、天内、成瀬:日本非破壊検査協会「平成 13 年度春季講演大会講演概要集」,2001, P. 1-2 [6] 平澤、古村:日本非破壊検査協会「平成 13年度第1回超音波分科会講演概要集」,2001 [7] 山本、平澤、大坪、落合、坂口、亀山:日本保全学会「第2回学術講演会要旨集」, 2005,P. 17-20 [8] T. Hirasawa et al. : 3rd Phased arrayseminar, 2003 [9] 川原田、平澤、長井、岩井:日本非破壊検査協会「第 13 回超音波による非破壊評価シンポジウム」, 2006 | [10] Y. Kawaharada, T. Hirasawa et al.:5thInternational Conference on NDE in Relation to Structural Integrity for Nuclear and Pressurized Components, May 10-12,2006- 368 -“ “原子炉内構造物への超音波探傷技術の適用“ “平澤 泰治,Taiji HIRASAWA,長井 敏,Satoshi NAGAI,川原田 義幸,Yoshiyuki KAWAHARADA,村上 功治,Koji MURAKAMI,湯口 康弘,Yasuhiro YUGUCHI
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