連続超音波探傷技術を用いた、設備の劣化検査と寿命予測
公開日:
カテゴリ: 第3回
1. はじめに
高圧ガス保安協会が発表している高圧ガス製造事業所事故件数の推移データによれば、事故は増加傾向にあり、その 主な原因の1つは腐食劣化であることが知られている。高経年化・老朽化が、その背景にあることは、疑いのない事実 であろう。高経年化設備のメンテナンスでは、劣化管理の網羅性が重要であり、さらに劣化程度を適切に見極め評価す るための、検査、診断、寿命予測、及びデータ管理等の技術が重要である。 2. 劣化確認方法 図1は、設備劣化の確認方法を表す。この中で、高経年化・老朽化プラントの腐食劣化に最も重要かつ効果的な検 査は面詳細検査である。すなわち、従来から設計時点で見込まれていた劣化である、広範な部分がほぼ均等に腐食劣化 し減肉する場合の検査は、図―1でいうスポット検査(点検査)が効果的であり、定点法として確立されているが、最 近問題が多発している局部的な減肉に対しては、無力であることが多い。例えば、図―2は平底屋外タンクの裏面腐食で貫通したサンブルの一部であるが、図からも明らかな通り、定点法で は減肉を検出することが出来ない。こうした、局部減肉を正確に検出するため、連続超音波探傷技術を用いた検査装置 を開発し、現場に適用している。図-3は、平底の底板裏面腐食検査結果の一例を、また図-4は、ジャケット付圧力 容器の本体外面腐食検査結果の一例を示す。
図-1. 設備劣化の確認方法。
AVAION・現場パトロール ・モニタリング - - 連続オンラインモニタリング- 半連続テンポラリーオンラインモニタリング- 非連続コンディションモニタリング ・劣化進行度檢?面詳細檢? スポット検査(点検査) グローバル検査 部分検査全長検査系全般檢? ・開放・オーバーホール検査 「図2. 底板裏面腐食貫通例と各種UT測定法による腐食検出能力30mmMingimx1m)30mm定点測定Mn値 (1mピッチ)| 全面測定Mint板厚Min績獲選穴厚計による選定箇所Thickness 3. 劣化管理の網羅性と寿命予測 -- 高経年化設備に対しては、劣化の可能性を全ての部位に対して網羅的に検討し、劣化なしと確定できれば安全である が、劣化の可能性のあるものについては、前述のような定量的かつ全面的な検証を行うことが重要である。(図-5) 劣化部位の寿命は、通常、複数の経年劣化データに基づいて行う。- 393 -最小板厚 1.3mm100 %以上 16.4 % 90 % 71.4 % 80 % 3.3 % 70% 0.1 %70%未満 0.1 % 未測定 要常?0.101図3. 超音波連続全面検査装置(B-Mapp)で得られた底板全面検査結果 図-4.容器シェル本体 全面検査例クラッド鋼又はG1ジャケット母材ジャケットを切断して確認した写真外面篇食検査装置KI IL図 - 5. 高経年化プラントへの対応。 劣化の可能性を網羅 的に検討する。劣化なしと確定できれば安全である。劣化の可能性のあるものについては、 定量的な検証を行う。<参考文献> 1) 屋外タンク底板の検査と劣化予測、防錆管理、Vol.38 No.12 94年別冊、佐藤信義 2) タンク底板の劣化管理と寿命予測、フラントエンジニア、98年1月号、佐藤信義 3) 高速タンク底板全面検査装置の開発、日本設備管理学会誌、01年2月号、佐藤信義、同様論文、他専門雑誌等7編 4) プラント設備保全の基礎知識と変遷、化学装置、04年12月号、佐藤信義 5)超音波法による配管検査技術、配管技術、04年6月号、佐藤信義、今中拓一 6)第5回事故の教訓と保安対策、05年度KHK自主保安セミナー、高圧ガス保安協会 7) 高経年化設備のメンテナンスの基礎と応用、化学装置、05年12月号、佐藤信義 8)05年11月メンテナンス・テクノショー2005合同オープニング講演会資料、会場東京ビッグサイト、主催日本能率協会、佐藤信義1 - 394 -で得られた底板全面検査結果“ “連続超音波探傷技術を用いた、設備の劣化検査と寿命予測“ “佐藤 信義
高圧ガス保安協会が発表している高圧ガス製造事業所事故件数の推移データによれば、事故は増加傾向にあり、その 主な原因の1つは腐食劣化であることが知られている。高経年化・老朽化が、その背景にあることは、疑いのない事実 であろう。高経年化設備のメンテナンスでは、劣化管理の網羅性が重要であり、さらに劣化程度を適切に見極め評価す るための、検査、診断、寿命予測、及びデータ管理等の技術が重要である。 2. 劣化確認方法 図1は、設備劣化の確認方法を表す。この中で、高経年化・老朽化プラントの腐食劣化に最も重要かつ効果的な検 査は面詳細検査である。すなわち、従来から設計時点で見込まれていた劣化である、広範な部分がほぼ均等に腐食劣化 し減肉する場合の検査は、図―1でいうスポット検査(点検査)が効果的であり、定点法として確立されているが、最 近問題が多発している局部的な減肉に対しては、無力であることが多い。例えば、図―2は平底屋外タンクの裏面腐食で貫通したサンブルの一部であるが、図からも明らかな通り、定点法で は減肉を検出することが出来ない。こうした、局部減肉を正確に検出するため、連続超音波探傷技術を用いた検査装置 を開発し、現場に適用している。図-3は、平底の底板裏面腐食検査結果の一例を、また図-4は、ジャケット付圧力 容器の本体外面腐食検査結果の一例を示す。
図-1. 設備劣化の確認方法。
AVAION・現場パトロール ・モニタリング - - 連続オンラインモニタリング- 半連続テンポラリーオンラインモニタリング- 非連続コンディションモニタリング ・劣化進行度檢?面詳細檢? スポット検査(点検査) グローバル検査 部分検査全長検査系全般檢? ・開放・オーバーホール検査 「図2. 底板裏面腐食貫通例と各種UT測定法による腐食検出能力30mmMingimx1m)30mm定点測定Mn値 (1mピッチ)| 全面測定Mint板厚Min績獲選穴厚計による選定箇所Thickness 3. 劣化管理の網羅性と寿命予測 -- 高経年化設備に対しては、劣化の可能性を全ての部位に対して網羅的に検討し、劣化なしと確定できれば安全である が、劣化の可能性のあるものについては、前述のような定量的かつ全面的な検証を行うことが重要である。(図-5) 劣化部位の寿命は、通常、複数の経年劣化データに基づいて行う。- 393 -最小板厚 1.3mm100 %以上 16.4 % 90 % 71.4 % 80 % 3.3 % 70% 0.1 %70%未満 0.1 % 未測定 要常?0.101図3. 超音波連続全面検査装置(B-Mapp)で得られた底板全面検査結果 図-4.容器シェル本体 全面検査例クラッド鋼又はG1ジャケット母材ジャケットを切断して確認した写真外面篇食検査装置KI IL図 - 5. 高経年化プラントへの対応。 劣化の可能性を網羅 的に検討する。劣化なしと確定できれば安全である。劣化の可能性のあるものについては、 定量的な検証を行う。<参考文献> 1) 屋外タンク底板の検査と劣化予測、防錆管理、Vol.38 No.12 94年別冊、佐藤信義 2) タンク底板の劣化管理と寿命予測、フラントエンジニア、98年1月号、佐藤信義 3) 高速タンク底板全面検査装置の開発、日本設備管理学会誌、01年2月号、佐藤信義、同様論文、他専門雑誌等7編 4) プラント設備保全の基礎知識と変遷、化学装置、04年12月号、佐藤信義 5)超音波法による配管検査技術、配管技術、04年6月号、佐藤信義、今中拓一 6)第5回事故の教訓と保安対策、05年度KHK自主保安セミナー、高圧ガス保安協会 7) 高経年化設備のメンテナンスの基礎と応用、化学装置、05年12月号、佐藤信義 8)05年11月メンテナンス・テクノショー2005合同オープニング講演会資料、会場東京ビッグサイト、主催日本能率協会、佐藤信義1 - 394 -で得られた底板全面検査結果“ “連続超音波探傷技術を用いた、設備の劣化検査と寿命予測“ “佐藤 信義