シュラウドサポート用遠隔駆動装置の開発

公開日:
カテゴリ: 第3回
1.緒言
近年、原子力発電プラントの炉内構造物に対し | Shroud て、応力腐食割れ (SCC) の発生が報告され、炉内 | Shroud Support 構造物の点検の必要性が高まっている。Jet Pump 原子力圧力容器内には、シュラウドなどの炉内 Core Spray 構造物が存在するため、複雑かつ狭隘な空間が多 CRDStub Tube い。そのため、目視検査 (VT) を行うためのテレビO:Applied, O:Developed, *:Accessibility カメラや超音波探傷試験 (UT) を行うための UT プ ローブを点検対象部位に接近、位置決めすることShroud は困難である。東芝は上記課題を克服する小型、Jet Pump 汎用かつ広範囲に炉内構造物にアクセスできるShroud Supp 炉内検査装置(ビークル)の開発と実機に適用し、 Table 1 および Fig.1 に示す検査能力を確立した [1] ~ [9] 。一部のプラントのシュラウドサポートはイン コネル 600 およびインコネル 182 で構成されてい るために SCC 感受性があり、国内外で損傷事例が 確認されており、VT および UT の必要性が高まっShroud Vehている。本構造物に対する VT は技術を確立し、Vessel Bottom 既に実機に適用されている。一方、UTについては 点検対象部位へのアクセスは可能であったが、UT に要求される動作性能を満足するビークルは開 発されていない。そこで、東芝ではシュラウドサ ポートの UT および VT に適用可能なビークルを開TIS-30Crawler 発したので、本稿で紹介する。
2. シュラウドサポート用遠隔駆動装置Table 2 Specifications of Delivery Systemfor Shroud Support 2.1 目的/用途| Dimensions | W 520mm x H 830mm x T 630mm*1 - シュラウドサポート用遠隔駆動装置は、シュラ | Mass | 35kg (in air) ウドサポートの H8 および H9 溶接部 (Fig. 2 参照)| Motion Submerge: Back / Forward, Left / | を対象として、短時間で広範囲の検査ができるよRight turn, Up / down うに開発された[10] 。本装置の目的は、各種の作| Wheel drive: Horizontal 業装置(目視検査、超音波探傷試験)を選択的にSpeed | 0.6-20 mm/s 搭載して炉内の狭隘な対象部位へ接近し、作業ツ *1: Maximum ールの搬送、位置決め、保持、探傷を行うことで ある。(1) 遊泳機能Pressure Vessel(1) 遊泳機能 * 本装置は、バラストタンク内に空気あるいは水 を注入することによって浮力を調整し、浮上/潜 航を行う。また、スラスタの回転方向等を調整す ることにより、前後進および旋回の各方向に遊泳 できる。水中の高放射線環境下で使用できるよう に、主要な構成部品を耐水性および耐放射線性に 優れたエンジニアリングプラスチック等で構成 している。さらに、遊泳を容易にするために、重 量の軽量化を図り、水中重量と浮力をほぼ等しく (以下、中性浮力化という)できる構成としてい る。また、上部にフロートを配置することにより、 浮心が重心より上に位置付けられて、上下の姿勢 が常に一定に保たれる。また、上部格子板や炉心支持板などの狭隘部を 通過するために、固定アームおよび駆動車輪アー ムは収納可能とした (Fig. 4 参照)。Shroud support cylinderH9Reactor Pressure Vesse(RPV)Shroud 'support plate Fig. 2 Shroud support2.2 構成及び機能 - 本装置は、目標部位へのアクセス性と走行精度 を向上するために遊泳機能と壁面走行機能を併 せ持たせている。Fig. 3に本装置の外観を、Table 2に本装置の仕様を示す。Phased Array UT ProbePassive wheelClamping armScannerDriving wheel ThrusterDriving wheel ar?Ballast tankScanner armFig. 3 Delivery System for Shroud SupportBallast tankUnit : mmCore PlatShroud SupportFig. 4 Device configurationApprox. 中270円MMANGRAMen-stonmensteratake knstaStanessemissesanameramApprox. W620Top Guideglamox.510IFTTTTTINIUnit : mm““Core Plate94(2) 壁面固定機能UT を実施するためには、UT プローブを対象面 に対して一定の距離を保って支持できること、 JEAG4207 に規定されるように探傷漏れを起こさ ないために、一定間隔で探傷データを取得するこ とが求められる。本装置は、周溶接線に対する探 傷を効率よく実施するため、固定アームおよび駆 動車輪アームは RPV およびシュラウドサポートシ リンダに対して固定される機構とした。また、タ ンク内に空気を注入して発生する浮力によりバ ッフルプレートに受動車輪を押し当てる機構と した。ビークル本体は、駆動車輪により RPV 周方 向に走行する(Fig. 5 参照)。H8Passive wheelShroud support plateShroud support cylinderRPYClamping armDriving wheel arm-Ballast tankFig. 5 Set up condition (In case of H8UT)(3) 操縦方法遊泳移動の場合には、操作を簡易にするために、 ハンディコントローラによって操縦する。対象部 へ固定後、RPV 周方向への移動の際には、走行精 度を良くするために速度制御を行う。(4) 検査機能H8 や H9 溶接線に存在する垂直方向のひびの UT を行う場合は、スキャナ(Fig. 6 参照)を用いて 探傷を行う。スキャナは3つの駆動軸を有してお り、これらの軸を制御することにより、フェーズ ドアレイ UT プローブ (Fig.7参照)を当該構造物 に倣って駆動できる (Fig.8参照)。当該部はフェ ーズドアレイ UT プローブによる水浸法を適用す るため、対象部が凸凹を有していても探傷するこ とができる。本スキャナを用いて EDM スリットが 付与された H9 試験体に対する探傷性確認試験をDear axis行い、Fig. 9 に示すように良好に探傷できること を確認した。.. Rotating axisRotating axisLinear axisFig. 6 ScannerFig. 7 Phased Array UT ProbeShroud support plateCrackハハハハハハハハハハハハハハハハTHScan directionUT probeShroud support → cylinderハハハハハハハハハハハハハハ - TTTScan direction UT probev6Shroud support cylinder→Fig. 8 UT probe scanning methodSurface echoTip echoFig. 9 H9 UT Mock-Up result95さらに、CCD カメラ、照明、ミラーを組み込ん だ VT モジュールを搭載することにより、目視検 査に適用できる。 - 本装置の位置決め精度は、ビークルは走行距離 2600mm に対して走行誤差(二乗平均誤差)が約 4mm、スキャナは駆動距離 108mm に対して駆動誤 差(同上)が約 1mm である。ビークルの走行誤差 は、周方向のひびの長さ計測精度、スキャナの駆 動誤差は縦ひびの長さ計測精度となるが、いずれ も非常に良好な精度を有していることを確認した。2.3 適用効果Fig. 10 に 1, 100MWe 級プラントのシュラウドサ ポート (H8 および H9) 展開図中に各溶接部に対す る UT 可能範囲を示す。H8、H9 共に全周の UT が 可能である。また、本装置は遊泳式装置であるた めに、制御棒ハウジングへの据付型装置と比較し て、投入回数が4回で全周にアクセスすることが 可能となり、工期短縮に寄与できる。A-A Section180““90-270““のおか。O: Initial position 11: Scanning directionFig. 10Shroud support UT range3. 結言1. 本稿では、従来のアクセス手法では UT が困難 であったシュラウドサポートに対して UT ビーク ルを開発し、アクセス範囲を拡大、かつ、効率的 に点検などの作業を行うためのビークルの構成および機能、適用効果について述べた。今後も研究開発等によって、さらに所要時間が 短縮化するための改良、適用方法を検討する。ま た、炉内保全工事への適用を検討する。これらの 炉内検査装置を用いた炉内作業の高度化が、プラ ント稼働率の向上に大いに貢献すると考える。参考文献 [1] 成瀬 克彦他 日本保全学会 第1回学術講演会要旨集“炉内検査装置の開発及び実機適用““、p.243 [2] M. Shimamura, et al, ““Underwater RemotelyOperated Vehicle for Core Shroud Inspection““ 10““““ Robotics & System Mtg. Proceeding, Gainesville, Florida ? March28-31, 2004 p183..190 [3] M. Kimura, etal, ““Underwater RemoteHandling Equipment for Reactor Internals Maintenance ““Proceedings of 10th International Conference on NuclearEngineering Arlington VA Apr. 2002 [4] M. Kimura et al., ““Compact VisualInspection Submersible for NPP's““ Proceedings of ANS Topical Meeting on Robotics and Remote Systems, Monterey CA,Feb. 1995, p25.. 311 [5] 木村元比古,他,日本原子力学会誌 原子炉用水中目視検査装置の開発 38, 10 1996p. 826..823 [6] M. Shimamura et al., ““Development of VacuumCleaning Device in BWR Vessels““ Proceedings of ANS Topical Meeting on Robotics and Remote Systems, Augusta GAApr. 1997, p794..801 [7] 島村 光明他 日本原子力学会年会予稿集炉内洗浄装置の開発 1996年春 p. 185 [8]島村 光明他 日本原子力学会年会予稿集炉内洗浄装置の開発(第2報) 1997 年春p.375 [9] 中川 哲郎他 日本原子力学会年会予稿集シュラウド検査ビークルの開発、2006 年春 * p. 652 [10] 安達 弘幸他、日本原子力学会年会予稿集シュラウドサポート遠隔駆動装置の開発、 2006年春 p. 651.“ “シュラウドサポート用遠隔駆動装置の開発 “ “安達 弘幸,Hiroyuki ADACHI,湯口 康弘,Yasuhiro YUGUCHI,島村 光明,Mitsuaki SHIMAMURA,前原 剛,Takeshi MAEHARA
著者検索
ボリューム検索
論文 (1)
解説記事 (0)
論文 (1)
解説記事 (0)
論文 (0)
解説記事 (0)
論文 (1)
解説記事 (0)
論文 (2)
解説記事 (0)
論文 (2)
解説記事 (0)
論文 (1)
解説記事 (0)
論文 (2)
解説記事 (0)
論文 (0)
解説記事 (0)
論文 (5)
解説記事 (0)
論文 (5)
解説記事 (0)
論文 (0)
解説記事 (0)
論文 (0)
解説記事 (0)