簡易振動計を用いた小口径配管の振動応力評価手法
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カテゴリ: 第3回
1.緒言
料が同じ場合に許容応力が同じとなる弱点がある。ま た、詳細な加速度測定に基づく方法[4]もあるものの、 - 小口径配管の振動に伴う疲労破壊による漏えい事象 詳細測定は簡単ではなく迅速性にも課題があると考え は、原子力発電所で生じるトラブルの一つである。こ られる。 の事象は発電所の計画外停止につながることもあり、 本研究では、簡易振動計を用いて任意形状の小口径 原子力発電所の安全・安定運転の実現のために解決す配管の振動応力を迅速に評価する方法の開発を目的と べき課題の一つである。する。具体的には、実際の振動測定で得た値と有限要 このトラブルの原因としては、従来は設計・施工時 素(FEM)プログラムをベースとして開発した、任意形 における溶接不良や振動影響の検討不足と考えられる状の小口径配管の振動応力を推定する方法の提案と、 ものが多かった。しかし、最近では保全作業や改造工 その方法の妥当性確認のために行った、モックアップ 事のあと、仮設配管使用時にも漏えい事象が生じてい試験体を用いた加振試験の結果について報告するもの る。この主な原因としては、各種の保全作業にともな である。 い配管系の振動特性が変化し、過大な振動応力が生じ たためと推定される。原子力発電所の高経年化にとも2.任意形状小口径配管の振動応力評価手法 ない、保全作業の増加も予想されるため、現場で簡単 かつ迅速に振動測定を行い、振動応力を評価する手法 - 複数の曲がり、分岐、接続からなる図1に示すよう が今後必要になると考えられる。な任意形状の小口径配管の場合、形状だけでなく振動 * 振動測定については、加速度計やひずみゲージを用 特性も複雑になるため、一般的に有限要素法(FEM)を いて供試体に直接貼付して測定するよりも、簡易振動用いて振動応力は評価される。本報告で提案する評価 計を用いて供試体に単に押し付けるだけで測定する方手法は、Excel をベースとし、FEM に基づく構造解析 が、簡単かつ迅速に結果が得られる。小口径配管の振プログラムの一つであるSAPを利用した評価手法であ 動応力評価手法として、簡単な形状については評価方る。その評価手法の具体的な手順を図2に示す。ここ 法が提案されており[1]、良い結果を得ている。複雑形で、小口径配管の振動は、剛体的な動きによる母管自 状の小口径配管に対しては、付根部の速度または変位身の振動成分および小口径配管の振動モードによる応 を最大応力と関連付ける方法[2][3]もあるが、口径と材 答する振動成分の組み合わせと考える。この組み合わせを合成比率と定義する。手順の詳細は、以下のとおりである。 美浜町佐田 64、(株)原子力安全システム研究所、手順1:配管形状やサポート情報を含む FEM モデル
2.任意形状小口径配管の振動応力評価手法複数の曲がり、分岐、接続からなる図1に示すよう な任意形状の小口径配管の場合、形状だけでなく振動 特性も複雑になるため、一般的に有限要素法(FEM)を 用いて振動応力は評価される。本報告で提案する評価 手法は、Excel をベースとし、FEM に基づく構造解析 プログラムの一つであるSAPを利用した評価手法であ る。その評価手法の具体的な手順を図2に示す。ここ で、小口径配管の振動は、剛体的な動きによる母管自 身の振動成分および小口径配管の振動モードによる応 答する振動成分の組み合わせと考える。この組み合わ せを合成比率と定義する。手順の詳細は、以下のとお りである。 手順1:配管形状やサポート情報を含む FEM モデルを作り、小口径配管付根部の振動応力に影響を与えると考えられるサポートを選定する。 手順 2: FEMモデルの固有値解析結果と実際に測定した共振振動数が近づくように、手順1で選定したサポート剛性を最適化する。 手順3 :実際に測定した振動加速度とFEM 解析から得られる応答加速度の差が最小となるように、合成比率の値を求める。 手順 4 : 手順 3 で推定した振動成分の合成比率を用いて、FEM の静解析に適用して、振動応力を 求める。LegendMain pipingP1 Small-bore piping:Support(spring hanger) ~:Support(restraint)P3Points P1, P2, P3 etc.: Representative pointsPoints S1 and 52: Support points. Fig. 1 The example model for explaining how to calculatethe vibration-induced stress3.加振試験3.1 試験体と試験方法 - 本報告で提案する振動応力の推定方法の妥当性確認 のため、モックアップ試験体を用いて加振試験を行っ た。試験体の形状と各種センサーによる計測位置を図 3に示す。試験体は、小口径配管(1 インチ)、サポート、 おもりで構成され、試験体の付根部を加振機が接続す る台に固定した。サポートを交換することで、サポー ト剛性の条件を変更した。おもりは、配管長を補うた めに用いた。 * 最初に、打撃試験を行ない、各条件における試験体 の固有振動数を測定した。 次に、正弦波とランダム波を用いてX方向に加振を行 なった。各加振時には、試験体に取り付けた各種セン サーによる計測以外に、各曲がり部の X、Y、Z方向の 加速度を簡易振動計で測定した。Procedurel: Making up a FEM modelFEM modelingSelecting the supports for optimizingProcedure2: Adjusting the FEM modelEigen value analysis and Selectingeffective vibration modeDeveloping the influence matrix onfrequenciesAdjusting the stiffness of supports to obtain the best fit resonances andnatural frequenciesLargeDifference between measuredand analyzed frequencies----- Small||Procedure3: Calculating composite ratioCalculate the composite ratio of vibration modes to minimize the difference between measured and analyzed accelerationsProcedure4:Calculating the stresses Combine stresses of vibration modes by using the abovecomposite ratioFig.2 Procedure to calculate vibration induced stress in small-bore piping with general piping configuration11800/\10001 100/..400700Shaking by vibration exciter1200600LegendSONS. ENE2016●:Accelerometers 0 : Strain gauges: Weight *: SupportTop viewFig.3The mock-up pipe and measuring point3.2 試験結果図2に示すように、本提案手法は、2 つの最適化機 能により構成される。1つ目の最適化機能の内容は、 上述の手順 2 で示す固有振動数を一致させる最適化で ある。また、2つ目の最適化機能は、上述の手順 3 で-98示す振動加速度値を一致させる最適化である。おのお のの最適化機能について、その具体的なやり方を以下 に説明する。 - まず、手順1に従い、図3に示す試験体の FEM 解析 モデルを作成し、全てのサポートを対象として最適化 する。それから、手順 2 に従い、打撃試験により実際 に固有振動数を測定する。この値とFEM による固有値 解析の結果を比較し、収束性を図りモデリングの精度 を上げる。図4および図5はこの一例を示す。図の横 軸は打撃試験から得た固有振動数、縦軸は FEM 解析か ら求めた最適化前後の固有振動数を示す。図4は、図3に示すモックアップ配管を対象にして 最適化を行った結果であるが、最適化の前後であまり 変化が認められない。また、図5は、解析モデルの最 適化機能の有効性の確認のために、剛性の初期値を柔 らかい値とし、かつ剛性の変化率を小さくして最適化 を行った結果である。この場合は最適化前後で、モデ リングが修正され、非常に精度が向上していることが 分かる。図4の変化のない原因は、FEM 解析モデルの 最適化機能が有効に働いていないか、初期値として入 力した剛性値が真値に近く十分に最適化されているか の2つの相反する事由が考えられる。このように初期 値の設定や変化率の選定によって、最適化が有効に働 く場合と働かない場合があることが理解でき、図2の 手順2の条件設定が重要であることが分かった。さらに、手順3に従い、実際に測定した振動加速 二度と FEM 解析の応答加速度の差が最小となるように合成比率を最適化し、手順4に従い振動応力を推 定した。その結果を図6に示す。ここで、横軸はひ ずみゲージから求めた測定応力、縦軸は実際に加速 度計と簡易振動計で測定した加速度を用いて求めた 推定振動応力である。この図の破線は、測定応力に 対する推定振動応力の比が 1/2 倍、1倍、2倍である ことを示す。図6から、振動応力が非常に小さい範囲では過大 評価の傾向が見られるが、それ以外の範囲では 1/2 倍から2倍の範囲でばらつくことが分かる。簡易振 動計および加速度計で測定した場合でも同様にばら つきを示すことが分かる。このように本提案手法では、振動応力の推定値が 1/2 倍から 2 倍にばらつく結果となったものの、振 動に関する専門知識のない作業員が、現場で簡単か-99つ迅速に振動応力を推定できることが分かる。従っ て、健全性評価の観点から、推定値にばらつきがあ るけれども、一次スクリーニング法として十分に適 用できる方法であると言える。 分かる。使っ ばらつきがあ して十分に適---------50(Hz)Before Optimization After OptimizationAnalysyed natural frequency (Hz)120406080 Measured natural frequency (Hz)Fig.4 Measured natural frequency vs. measured oneBefore Optimization After OptimizationAnalysed natural frequency (Hz)50 100 150 Measured natural frequency (Hz)200Fig.5 Measured natural frequency vs. measured oneRatio175 HVibrometer AccelerometerEvaluated stress (MPa)41/20_25501 75 Measured stress (MPa)100Fig.6 Measured stress vs. Evaluated one4.結言本研究により、以下のことがわかった。 (1)複雑形状の小口径配管については、FEM モデリング を提案し、実際に測定した固有振動数と応答加速度 を用いて最適化し、振動応力を推定する方法を提案した。(2)複雑形状の小口径配管に対する FEM モデリングの 方法では、推定応力にばらつきがあることが分かっ たが、専門知識のない作業員が現場で簡単かつ迅速 に振動応力を推定する、一次スクリーニング法とし て十分に適用できると言える。謝辞本研究を行なうにあたり、カワサキプラントシステ ムズ(株)の佐々木亨氏、高橋常夫氏には多大なるご助 言・ご協力を賜りました。ここに心から感謝の意を表 します。参考文献[1] 平松美樹、佐々木亨,“小口径配管の振動応力評価に関する研究”, INSS Journal, Vol.8, pp.92-99. [2] Moussou, P., “An Excitation Spectrum Criterion forthe Vibration-Induced Fatigue of Small-bore Pipes,““ IMECE2002-32847, Proceedings ofASME-IMECE ,2002. [3] Wachel, J.C., “Displacement Method for DeterminingAcceptable Piping Vibration Amplitudes,”ASME-PVP, Vol. 313-2, pp. 197-208, 1995. [4] 田中守、猫本善続、松本一博,“配管振動診断システムの開発”, 三菱重工技報, Vol.33, No.4, pp.278-281, 1996.100“ “簡易振動計を用いた小口径配管の振動応力評価手法“ “野田 満靖,Michiyasu NODA,鈴木 道明,Michiaki SUZUKI,藤田 勝久,Katsuhisa FUJITA
料が同じ場合に許容応力が同じとなる弱点がある。ま た、詳細な加速度測定に基づく方法[4]もあるものの、 - 小口径配管の振動に伴う疲労破壊による漏えい事象 詳細測定は簡単ではなく迅速性にも課題があると考え は、原子力発電所で生じるトラブルの一つである。こ られる。 の事象は発電所の計画外停止につながることもあり、 本研究では、簡易振動計を用いて任意形状の小口径 原子力発電所の安全・安定運転の実現のために解決す配管の振動応力を迅速に評価する方法の開発を目的と べき課題の一つである。する。具体的には、実際の振動測定で得た値と有限要 このトラブルの原因としては、従来は設計・施工時 素(FEM)プログラムをベースとして開発した、任意形 における溶接不良や振動影響の検討不足と考えられる状の小口径配管の振動応力を推定する方法の提案と、 ものが多かった。しかし、最近では保全作業や改造工 その方法の妥当性確認のために行った、モックアップ 事のあと、仮設配管使用時にも漏えい事象が生じてい試験体を用いた加振試験の結果について報告するもの る。この主な原因としては、各種の保全作業にともな である。 い配管系の振動特性が変化し、過大な振動応力が生じ たためと推定される。原子力発電所の高経年化にとも2.任意形状小口径配管の振動応力評価手法 ない、保全作業の増加も予想されるため、現場で簡単 かつ迅速に振動測定を行い、振動応力を評価する手法 - 複数の曲がり、分岐、接続からなる図1に示すよう が今後必要になると考えられる。な任意形状の小口径配管の場合、形状だけでなく振動 * 振動測定については、加速度計やひずみゲージを用 特性も複雑になるため、一般的に有限要素法(FEM)を いて供試体に直接貼付して測定するよりも、簡易振動用いて振動応力は評価される。本報告で提案する評価 計を用いて供試体に単に押し付けるだけで測定する方手法は、Excel をベースとし、FEM に基づく構造解析 が、簡単かつ迅速に結果が得られる。小口径配管の振プログラムの一つであるSAPを利用した評価手法であ 動応力評価手法として、簡単な形状については評価方る。その評価手法の具体的な手順を図2に示す。ここ 法が提案されており[1]、良い結果を得ている。複雑形で、小口径配管の振動は、剛体的な動きによる母管自 状の小口径配管に対しては、付根部の速度または変位身の振動成分および小口径配管の振動モードによる応 を最大応力と関連付ける方法[2][3]もあるが、口径と材 答する振動成分の組み合わせと考える。この組み合わせを合成比率と定義する。手順の詳細は、以下のとおりである。 美浜町佐田 64、(株)原子力安全システム研究所、手順1:配管形状やサポート情報を含む FEM モデル
2.任意形状小口径配管の振動応力評価手法複数の曲がり、分岐、接続からなる図1に示すよう な任意形状の小口径配管の場合、形状だけでなく振動 特性も複雑になるため、一般的に有限要素法(FEM)を 用いて振動応力は評価される。本報告で提案する評価 手法は、Excel をベースとし、FEM に基づく構造解析 プログラムの一つであるSAPを利用した評価手法であ る。その評価手法の具体的な手順を図2に示す。ここ で、小口径配管の振動は、剛体的な動きによる母管自 身の振動成分および小口径配管の振動モードによる応 答する振動成分の組み合わせと考える。この組み合わ せを合成比率と定義する。手順の詳細は、以下のとお りである。 手順1:配管形状やサポート情報を含む FEM モデルを作り、小口径配管付根部の振動応力に影響を与えると考えられるサポートを選定する。 手順 2: FEMモデルの固有値解析結果と実際に測定した共振振動数が近づくように、手順1で選定したサポート剛性を最適化する。 手順3 :実際に測定した振動加速度とFEM 解析から得られる応答加速度の差が最小となるように、合成比率の値を求める。 手順 4 : 手順 3 で推定した振動成分の合成比率を用いて、FEM の静解析に適用して、振動応力を 求める。LegendMain pipingP1 Small-bore piping:Support(spring hanger) ~:Support(restraint)P3Points P1, P2, P3 etc.: Representative pointsPoints S1 and 52: Support points. Fig. 1 The example model for explaining how to calculatethe vibration-induced stress3.加振試験3.1 試験体と試験方法 - 本報告で提案する振動応力の推定方法の妥当性確認 のため、モックアップ試験体を用いて加振試験を行っ た。試験体の形状と各種センサーによる計測位置を図 3に示す。試験体は、小口径配管(1 インチ)、サポート、 おもりで構成され、試験体の付根部を加振機が接続す る台に固定した。サポートを交換することで、サポー ト剛性の条件を変更した。おもりは、配管長を補うた めに用いた。 * 最初に、打撃試験を行ない、各条件における試験体 の固有振動数を測定した。 次に、正弦波とランダム波を用いてX方向に加振を行 なった。各加振時には、試験体に取り付けた各種セン サーによる計測以外に、各曲がり部の X、Y、Z方向の 加速度を簡易振動計で測定した。Procedurel: Making up a FEM modelFEM modelingSelecting the supports for optimizingProcedure2: Adjusting the FEM modelEigen value analysis and Selectingeffective vibration modeDeveloping the influence matrix onfrequenciesAdjusting the stiffness of supports to obtain the best fit resonances andnatural frequenciesLargeDifference between measuredand analyzed frequencies----- Small||Procedure3: Calculating composite ratioCalculate the composite ratio of vibration modes to minimize the difference between measured and analyzed accelerationsProcedure4:Calculating the stresses Combine stresses of vibration modes by using the abovecomposite ratioFig.2 Procedure to calculate vibration induced stress in small-bore piping with general piping configuration11800/\10001 100/..400700Shaking by vibration exciter1200600LegendSONS. ENE2016●:Accelerometers 0 : Strain gauges: Weight *: SupportTop viewFig.3The mock-up pipe and measuring point3.2 試験結果図2に示すように、本提案手法は、2 つの最適化機 能により構成される。1つ目の最適化機能の内容は、 上述の手順 2 で示す固有振動数を一致させる最適化で ある。また、2つ目の最適化機能は、上述の手順 3 で-98示す振動加速度値を一致させる最適化である。おのお のの最適化機能について、その具体的なやり方を以下 に説明する。 - まず、手順1に従い、図3に示す試験体の FEM 解析 モデルを作成し、全てのサポートを対象として最適化 する。それから、手順 2 に従い、打撃試験により実際 に固有振動数を測定する。この値とFEM による固有値 解析の結果を比較し、収束性を図りモデリングの精度 を上げる。図4および図5はこの一例を示す。図の横 軸は打撃試験から得た固有振動数、縦軸は FEM 解析か ら求めた最適化前後の固有振動数を示す。図4は、図3に示すモックアップ配管を対象にして 最適化を行った結果であるが、最適化の前後であまり 変化が認められない。また、図5は、解析モデルの最 適化機能の有効性の確認のために、剛性の初期値を柔 らかい値とし、かつ剛性の変化率を小さくして最適化 を行った結果である。この場合は最適化前後で、モデ リングが修正され、非常に精度が向上していることが 分かる。図4の変化のない原因は、FEM 解析モデルの 最適化機能が有効に働いていないか、初期値として入 力した剛性値が真値に近く十分に最適化されているか の2つの相反する事由が考えられる。このように初期 値の設定や変化率の選定によって、最適化が有効に働 く場合と働かない場合があることが理解でき、図2の 手順2の条件設定が重要であることが分かった。さらに、手順3に従い、実際に測定した振動加速 二度と FEM 解析の応答加速度の差が最小となるように合成比率を最適化し、手順4に従い振動応力を推 定した。その結果を図6に示す。ここで、横軸はひ ずみゲージから求めた測定応力、縦軸は実際に加速 度計と簡易振動計で測定した加速度を用いて求めた 推定振動応力である。この図の破線は、測定応力に 対する推定振動応力の比が 1/2 倍、1倍、2倍である ことを示す。図6から、振動応力が非常に小さい範囲では過大 評価の傾向が見られるが、それ以外の範囲では 1/2 倍から2倍の範囲でばらつくことが分かる。簡易振 動計および加速度計で測定した場合でも同様にばら つきを示すことが分かる。このように本提案手法では、振動応力の推定値が 1/2 倍から 2 倍にばらつく結果となったものの、振 動に関する専門知識のない作業員が、現場で簡単か-99つ迅速に振動応力を推定できることが分かる。従っ て、健全性評価の観点から、推定値にばらつきがあ るけれども、一次スクリーニング法として十分に適 用できる方法であると言える。 分かる。使っ ばらつきがあ して十分に適---------50(Hz)Before Optimization After OptimizationAnalysyed natural frequency (Hz)120406080 Measured natural frequency (Hz)Fig.4 Measured natural frequency vs. measured oneBefore Optimization After OptimizationAnalysed natural frequency (Hz)50 100 150 Measured natural frequency (Hz)200Fig.5 Measured natural frequency vs. measured oneRatio175 HVibrometer AccelerometerEvaluated stress (MPa)41/20_25501 75 Measured stress (MPa)100Fig.6 Measured stress vs. Evaluated one4.結言本研究により、以下のことがわかった。 (1)複雑形状の小口径配管については、FEM モデリング を提案し、実際に測定した固有振動数と応答加速度 を用いて最適化し、振動応力を推定する方法を提案した。(2)複雑形状の小口径配管に対する FEM モデリングの 方法では、推定応力にばらつきがあることが分かっ たが、専門知識のない作業員が現場で簡単かつ迅速 に振動応力を推定する、一次スクリーニング法とし て十分に適用できると言える。謝辞本研究を行なうにあたり、カワサキプラントシステ ムズ(株)の佐々木亨氏、高橋常夫氏には多大なるご助 言・ご協力を賜りました。ここに心から感謝の意を表 します。参考文献[1] 平松美樹、佐々木亨,“小口径配管の振動応力評価に関する研究”, INSS Journal, Vol.8, pp.92-99. [2] Moussou, P., “An Excitation Spectrum Criterion forthe Vibration-Induced Fatigue of Small-bore Pipes,““ IMECE2002-32847, Proceedings ofASME-IMECE ,2002. [3] Wachel, J.C., “Displacement Method for DeterminingAcceptable Piping Vibration Amplitudes,”ASME-PVP, Vol. 313-2, pp. 197-208, 1995. [4] 田中守、猫本善続、松本一博,“配管振動診断システムの開発”, 三菱重工技報, Vol.33, No.4, pp.278-281, 1996.100“ “簡易振動計を用いた小口径配管の振動応力評価手法“ “野田 満靖,Michiyasu NODA,鈴木 道明,Michiaki SUZUKI,藤田 勝久,Katsuhisa FUJITA