歪付加材の磁気特性
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カテゴリ: 第5回
1. 緒言
現在、柏崎刈羽原子力発電所は新潟県中越沖地震 の影響の安全確認作業中のため運転を停止している。 この地震により配管や炉内金属構造物に応力が塑性 領域に入り、残留歪が発生している可能性も考えら れる。原子力発電所は地震などによって応力が加わ った場合、機器や構造物の損傷が健全性に問題がな い確証が得られなければ運転の再開、継続ができな くなっている。そこで残留歪による金属の磁気的変 化の有無を電磁非破壊検査によって診断することに よって材料の健全性の評価を行うことを検討した。 本報は、残留歪をパラメータとした SUS316L と SS400 について磁気特性による評価を行なったので 報告する.
2. 磁気特性評価原理
- Fig. 1 に今回の実験に使用した回路図を、Table 1 に各試験片の残留歪と形状を示す。回路は、磁化コ イルにより交流磁束を発生させ、磁化器と試験片で 磁気回路を構成している。磁気回路中の磁束を測定 するために試験片に直接コイルを巻き特性を調べた。 しかし実機で適用する際、鋼材にコイルを直接巻く ことはできない。よって、非破壊的に計測するため にヨークに巻いたコイルにより測定を行なった。試 験片は、SUS316L と SS400 を作製した。 SUS316Lは 0~50%、SS400 は 0~10%の残留歪を付与している。バラつきを調べるため、各試験片で同じ残留歪のも のを3枚ずつ作製した。 オシロスコープ直巻きコイル 20ターン試驗片ヨークコイル 10ターンカレントプローブパワー磁化器 700ターンFig. 1 回路図0.2SS4Table 1 歪試験 ISUS316L 残留歪[%][SS400 残留歪[%] SUSI-1SS1.1 SUS120 SS120 SUS1-3SS13 SUS2SS2 SUS3SS3 10.2 SUS4 SUS5SS5 SUS6 0.5 SS6 0.5 SUS7SS7 SUS8SS8 SUS9SS9 SUS10SS10 SUS11SS11 SUS12 12 SS12 SUS13SS13 SUS14SS14 SUS15 15 SS15 SUS16SS16 SUS17SS17 SUS18 110 SS1810 SUS19SS19 SUS20 SUS21 120 試験片形状 SUS22縦:70mm SUS23横:70mm SUS24厚さ:3mm SUS25501583.1 SUS316L における直巻きコイルによる磁気特性評価直巻きコイルを用いた時の SUS316L において磁 気特性の測定を行なった。磁化電流周波数は 10Hz、 101Hz で行なった。10Hz のときの最大磁束密度を Fig.2 に、残留磁気を Fig. 3 に、保持力を Fig. 4 に示 す。なお、保持力は磁界ではなく磁化電流となって いる。Fig. 2、3をみると共に残留歪と良い相関が得 られている。この様に最大磁束密度や残留磁気が増 加する原因は、応力が加わった事により、強磁性体 であるマルテンサイトが発生したことが考えられる。 しかし Fig. 4 の保持力は、同じ残留歪のものでもバ ラつきがあり、全体としては減少する傾向にはある が保持力と残留歪の間に良い相関が得られなかった。 これらの結果、図中における近似直線の傾きから 10Hz の最大磁束密度が最もバラつきも少なく良い 相関が得られることが分かった。3.2 SS400 における直巻きコイルによる磁気特性評価次に SS400についてSUS316Lと同様の実験を行なっ た。Fig. 5 に 10Hz における最大磁束密度、Fig. 6に 残留磁気、Fig.7に保持力を示す。この保持力につい ても磁化電流の値となっている。最大磁束密度と残 留磁気は歪と良い相関が得られた。保持力も近似直 線は他の2つと同じ傾向にあるが、バラつきが見ら れた。以上の結果から、SUS 材の実験と同様に 10Hz の最大磁束密度が最も残留歪と良好な相関を得る事 が出来た。0.140.135 に0.13_y = 0,0005x + 0.10941 0.125 照0.12超 0.115 ●0.110.1050.14 1 0_ 1020 30 40 50 60残留歪[%] Fig.2 10Hz SUS 残留歪試験片の最大磁束密度_y = 0.0001 x + 0.0358 )、三?燃0.046 0.044 0.0420.04 0.038 0.036 0.034 0.032 0.03 - 0.03 - TTT 0_ 10 20 : 30 40 50 60残留歪[%] Fig. 3 10Hz SUS 残留歪試験片の残留磁気Fig. 3Fos保持力[A/m]食口y = -0.0004x + 0.9402600.91 0_ 10 20 30 40 50残留歪[%] Fig. 4 10Hz SUS 残留歪試験片の保持力Fig. 4memeeeeeeeeeeeeNessewowowomeonessy = -0.0104x + 2.089最大磁束密度[T]Memonymotoramarroreremiemmanmmnmm10 _2 4 _ 6_ 8_ 10残留歪[%] Fig.5 SS 材 10Hz各残留歪試験片の最大磁束密度159[ U嵐1.9 1.88 1.86 1.84 1.821.8 1.78y = -0.0087x + 1.87771.76+残留歪[% Fig.6 SS 材 10Hz各残留歪試験片の残留磁気Fig. 6~目4/1.65 1.64 1.63 1.621.61 11.61.59 1.58_y = -0.0046x + 1.6189 1.56 0_ 2_ 4. 6 8 10残留歪[%] Fig.7 SS 材 10Hz各残留歪試験片の保持力1.57123.3 SUS316L におけるヨークコイルによる非破壊的検査手法の検討 .今までの実験は試験片に直接コイルを巻いて実験 を行ない、その特性を評価してきた。しかし、実機 で歪診断を行なう場合は、検査対象物にコイルを巻 いて測定をすることはできない。そこで、ヨークに コイルを巻いて、非破壊的に診断を行なえる可能性 を検討した。試験片は SUS316L を用いて、Fig. 1 のヨークに 巻いてあるコイルで実験を行なった。その時の最大 磁束密度、残留磁気、保持力を Fig. 8~10 に示す。 直巻きコイルとは違い、どのグラフにおいても残留 歪との明確な相関は見られず、また同じ歪でもバラ つきが見られた。しかし、歪を付与しないデータを 除くと Fig. 8、9には相関がみられる。これは受入材の特性のバラつきによるものと考えられる。炉内 では熱時効を長期間受けていると考えるとこのバラ つきは少なくなっていると考えられる。3.4 SS400 におけるヨークコイルによる非破壊的検査手法の検討同様の実験を SS400 について行なった。10Hz のと きのヨークコイルの最大電圧を Fig. 11 に示す。この 図から、残留歪との相関が得られていることが分か る。しかし、歪が大きくなるに従いバラつきが大き くなっている。10%の歪材において、局所的に歪が 大きかった可能性もある。y = -0.0005x + 0.1788Hmax磁束密度]y=-4E-05x+0.1629----10.1 ----------- ---- ---0 _ 10 20-------- -----30 残留歪[%]-- 4050Fig. 8 10Hz SUS 残留歪試験片の最大磁束密度ヨークコイル0.070.065Ty== -2E-05x + 0.0545E 0.066.1残留磁気[T]機 0.055日0.05 年y = -0.0002x + 0.06030.0450.041500 _ 10 20 30 40 10_10 20 30 40 50残留歪[%] Fig. 9 10Hz SUS 残留歪試験片の残留磁気ヨークコイル1900/06/08y'=-7E-05x + 0.9628保持力[A/m]y = 1E-05x + 0.9595600_ 10 20 30 40 50残留歪[%] Fig. 10 10Hz SUS 残留歪試験片の保持力ヨークコイル最大電圧[V]y = -0.069x + 2.931021T 10. 2 4 6 8 2_ 4_ 6_ 8_ 10残留歪[%] Fig. 11 10Hz SS 残留歪試験片の最大電圧ヨークコイル3.5 SS400 におけるバルクハウゼンノイズ による非破壊的検査手法の検討3.4 の実験で得られたヨークコイル電圧をハイパス フィルターに通すことにより、磁壁が不連続に移動 する際の磁気の乱れであるバルクハウゼンノイズを 検出し比較を行なった。磁化電流を 10Hz のときハ イパスフィルターを 1kHz として得たバルクハウゼ ンノイズを Fig. 12 に示す。また、その時の最大電 圧を Fig. 13 に示す。Fig. 12 には磁化電流波形も併 せて示している。この様に電流の正負が入れ替わる たびにバルクハウゼンノイズが発生している。Fig.13 では最大電圧と残留歪に相関がみられ、Fig. 11 と比較してもバラつきが一部を除き無くなっている ことが分かる。 1. 次に、このバルクハウゼンノイズに FFT 処理を施 した。そのグラフを Fig. 14 に示す。このグラフか ら 2000Hz 以降で分布が各残留歪で違っていること が分かる。そこで、3つの周波数領域に分割し、そ られを積分して各歪試験片を比較した。500~ 1400Hz を Fig. 15 に、1400~2300Hz を Fig.16に、 2300~3200Hzを Fig.17 に示す。これらの結果を見 ると、どれも残留歪と相関関係にあるが周波数の低 い領域ほど同じ歪試験片でもバラつきが見られる。 しかし Fig17 はバラつきが少なく良好な相関が得ら れた。2.008-010.150.10.05電圧[V]0-0.05-0.1-0.15-2.00E-01 -0.06 , -0.04 0.02 0 0.02 0.04時間(sec] Fig. 12 10Hz SS バルクハウゼンノイズ ヨークークコイル0.18 0.160.14 50.120.1 50.08 日◆y%3D -0.0039x +0.09220.04 0.0202_468_10_12残留歪[%] Fig. 13 最大バルクハウゼンノイズノイズ1610.0074 まとめ0.0060.005 30.0040.003 0.002110_ 2000 4000 6000 8000 10000周波数[Hz] 14 バルクハウゼンノイズ FFT ヨークコイル残留歪が SUS316L と SS400 に与える特性の変化 を調べ、非破壊的に残留歪を検出できる可能性の検 討を行なった。 直に試験片に巻いたコイルを用いれば SUS316L、 SS400 は共に残留歪と良い相関関係を得る事が出来 た。しかし、ヨークに巻いたコイルで計測を行なっ た場合 SUS316Lについては、相関を得ることはで きなかった。しかし、受入材の特性のバラつきが考 えられ、5%以下の残留歪の少ないものを除けば、一 定の相関が得られた。SS400 の場合は最大電圧と残 留歪に相関が得られたが、歪の大きいものはバラっ きが大きくなった。しかし、バルクハウゼンノイズ の最大値を計測した結果、バラつきが減少し、一定 の相関が得られた。また、バルクハウゼンノイズを FFT 処理し、周波数領域で分割し積分した。その結 果、2300~3200Hz の領域で積分した結果が最も良」 い相関を得る事が出来た。SS400 については、残留歪の非破壊検査の可能性 が得られた。__y = -0.0078x + 0.2284JV(500~1400)24 68 10 12残留歪[%] Fig. 15 積分領域 500~1400Hzy = -0.0065x + 0.0966JV(1400~2300)10_1210_ 2_ 4 6 _ 8_残留歪[%] Fig. 16 積分領域 1400~2300HzJV(2300~3200)y = -0.01x + 0.121210_ 2_ 4 6 _ 8_ 10_残留歪[%] Fig. 17 積分領域 2300~3200Hz 討を行なった。 ・ 直に試験片に巻いたコイルを用いれば SUS316L、 SS400 は共に残留歪と良い相関関係を得る事が出来 た。しかし、ヨークに巻いたコイルで計測を行なっ きなかった。しかし、受入材の特性のバラつきが考 えられ、5%以下の残留歪の少ないものを除けば、一 定の相関が得られた。SS400 の場合は最大電圧と残 留歪に相関が得られたが、歪の大きいものはバラー きが大きくなった。しかし、バルクハウゼンノイズ の最大値を計測した結果、バラつきが減少し、一定 の相関が得られた。また、バルクハウゼンノイズを FFT 処理し、周波数領域で分割し積分した。その結 果、2300~3200Hz の領域で積分した結果が最も良 い相関を得る事が出来た。 SS400 については、残留歪の非破壊検査の可能性- 162 -
“ “?歪付加材の磁気特性“ “水上 祥次,Shoji MIZUKAMI,小坂 大吾,Daigo KOSAKA,橋本 光男,Mitsuo HASHIMOTO
現在、柏崎刈羽原子力発電所は新潟県中越沖地震 の影響の安全確認作業中のため運転を停止している。 この地震により配管や炉内金属構造物に応力が塑性 領域に入り、残留歪が発生している可能性も考えら れる。原子力発電所は地震などによって応力が加わ った場合、機器や構造物の損傷が健全性に問題がな い確証が得られなければ運転の再開、継続ができな くなっている。そこで残留歪による金属の磁気的変 化の有無を電磁非破壊検査によって診断することに よって材料の健全性の評価を行うことを検討した。 本報は、残留歪をパラメータとした SUS316L と SS400 について磁気特性による評価を行なったので 報告する.
2. 磁気特性評価原理
- Fig. 1 に今回の実験に使用した回路図を、Table 1 に各試験片の残留歪と形状を示す。回路は、磁化コ イルにより交流磁束を発生させ、磁化器と試験片で 磁気回路を構成している。磁気回路中の磁束を測定 するために試験片に直接コイルを巻き特性を調べた。 しかし実機で適用する際、鋼材にコイルを直接巻く ことはできない。よって、非破壊的に計測するため にヨークに巻いたコイルにより測定を行なった。試 験片は、SUS316L と SS400 を作製した。 SUS316Lは 0~50%、SS400 は 0~10%の残留歪を付与している。バラつきを調べるため、各試験片で同じ残留歪のも のを3枚ずつ作製した。 オシロスコープ直巻きコイル 20ターン試驗片ヨークコイル 10ターンカレントプローブパワー磁化器 700ターンFig. 1 回路図0.2SS4Table 1 歪試験 ISUS316L 残留歪[%][SS400 残留歪[%] SUSI-1SS1.1 SUS120 SS120 SUS1-3SS13 SUS2SS2 SUS3SS3 10.2 SUS4 SUS5SS5 SUS6 0.5 SS6 0.5 SUS7SS7 SUS8SS8 SUS9SS9 SUS10SS10 SUS11SS11 SUS12 12 SS12 SUS13SS13 SUS14SS14 SUS15 15 SS15 SUS16SS16 SUS17SS17 SUS18 110 SS1810 SUS19SS19 SUS20 SUS21 120 試験片形状 SUS22縦:70mm SUS23横:70mm SUS24厚さ:3mm SUS25501583.1 SUS316L における直巻きコイルによる磁気特性評価直巻きコイルを用いた時の SUS316L において磁 気特性の測定を行なった。磁化電流周波数は 10Hz、 101Hz で行なった。10Hz のときの最大磁束密度を Fig.2 に、残留磁気を Fig. 3 に、保持力を Fig. 4 に示 す。なお、保持力は磁界ではなく磁化電流となって いる。Fig. 2、3をみると共に残留歪と良い相関が得 られている。この様に最大磁束密度や残留磁気が増 加する原因は、応力が加わった事により、強磁性体 であるマルテンサイトが発生したことが考えられる。 しかし Fig. 4 の保持力は、同じ残留歪のものでもバ ラつきがあり、全体としては減少する傾向にはある が保持力と残留歪の間に良い相関が得られなかった。 これらの結果、図中における近似直線の傾きから 10Hz の最大磁束密度が最もバラつきも少なく良い 相関が得られることが分かった。3.2 SS400 における直巻きコイルによる磁気特性評価次に SS400についてSUS316Lと同様の実験を行なっ た。Fig. 5 に 10Hz における最大磁束密度、Fig. 6に 残留磁気、Fig.7に保持力を示す。この保持力につい ても磁化電流の値となっている。最大磁束密度と残 留磁気は歪と良い相関が得られた。保持力も近似直 線は他の2つと同じ傾向にあるが、バラつきが見ら れた。以上の結果から、SUS 材の実験と同様に 10Hz の最大磁束密度が最も残留歪と良好な相関を得る事 が出来た。0.140.135 に0.13_y = 0,0005x + 0.10941 0.125 照0.12超 0.115 ●0.110.1050.14 1 0_ 1020 30 40 50 60残留歪[%] Fig.2 10Hz SUS 残留歪試験片の最大磁束密度_y = 0.0001 x + 0.0358 )、三?燃0.046 0.044 0.0420.04 0.038 0.036 0.034 0.032 0.03 - 0.03 - TTT 0_ 10 20 : 30 40 50 60残留歪[%] Fig. 3 10Hz SUS 残留歪試験片の残留磁気Fig. 3Fos保持力[A/m]食口y = -0.0004x + 0.9402600.91 0_ 10 20 30 40 50残留歪[%] Fig. 4 10Hz SUS 残留歪試験片の保持力Fig. 4memeeeeeeeeeeeeNessewowowomeonessy = -0.0104x + 2.089最大磁束密度[T]Memonymotoramarroreremiemmanmmnmm10 _2 4 _ 6_ 8_ 10残留歪[%] Fig.5 SS 材 10Hz各残留歪試験片の最大磁束密度159[ U嵐1.9 1.88 1.86 1.84 1.821.8 1.78y = -0.0087x + 1.87771.76+残留歪[% Fig.6 SS 材 10Hz各残留歪試験片の残留磁気Fig. 6~目4/1.65 1.64 1.63 1.621.61 11.61.59 1.58_y = -0.0046x + 1.6189 1.56 0_ 2_ 4. 6 8 10残留歪[%] Fig.7 SS 材 10Hz各残留歪試験片の保持力1.57123.3 SUS316L におけるヨークコイルによる非破壊的検査手法の検討 .今までの実験は試験片に直接コイルを巻いて実験 を行ない、その特性を評価してきた。しかし、実機 で歪診断を行なう場合は、検査対象物にコイルを巻 いて測定をすることはできない。そこで、ヨークに コイルを巻いて、非破壊的に診断を行なえる可能性 を検討した。試験片は SUS316L を用いて、Fig. 1 のヨークに 巻いてあるコイルで実験を行なった。その時の最大 磁束密度、残留磁気、保持力を Fig. 8~10 に示す。 直巻きコイルとは違い、どのグラフにおいても残留 歪との明確な相関は見られず、また同じ歪でもバラ つきが見られた。しかし、歪を付与しないデータを 除くと Fig. 8、9には相関がみられる。これは受入材の特性のバラつきによるものと考えられる。炉内 では熱時効を長期間受けていると考えるとこのバラ つきは少なくなっていると考えられる。3.4 SS400 におけるヨークコイルによる非破壊的検査手法の検討同様の実験を SS400 について行なった。10Hz のと きのヨークコイルの最大電圧を Fig. 11 に示す。この 図から、残留歪との相関が得られていることが分か る。しかし、歪が大きくなるに従いバラつきが大き くなっている。10%の歪材において、局所的に歪が 大きかった可能性もある。y = -0.0005x + 0.1788Hmax磁束密度]y=-4E-05x+0.1629----10.1 ----------- ---- ---0 _ 10 20-------- -----30 残留歪[%]-- 4050Fig. 8 10Hz SUS 残留歪試験片の最大磁束密度ヨークコイル0.070.065Ty== -2E-05x + 0.0545E 0.066.1残留磁気[T]機 0.055日0.05 年y = -0.0002x + 0.06030.0450.041500 _ 10 20 30 40 10_10 20 30 40 50残留歪[%] Fig. 9 10Hz SUS 残留歪試験片の残留磁気ヨークコイル1900/06/08y'=-7E-05x + 0.9628保持力[A/m]y = 1E-05x + 0.9595600_ 10 20 30 40 50残留歪[%] Fig. 10 10Hz SUS 残留歪試験片の保持力ヨークコイル最大電圧[V]y = -0.069x + 2.931021T 10. 2 4 6 8 2_ 4_ 6_ 8_ 10残留歪[%] Fig. 11 10Hz SS 残留歪試験片の最大電圧ヨークコイル3.5 SS400 におけるバルクハウゼンノイズ による非破壊的検査手法の検討3.4 の実験で得られたヨークコイル電圧をハイパス フィルターに通すことにより、磁壁が不連続に移動 する際の磁気の乱れであるバルクハウゼンノイズを 検出し比較を行なった。磁化電流を 10Hz のときハ イパスフィルターを 1kHz として得たバルクハウゼ ンノイズを Fig. 12 に示す。また、その時の最大電 圧を Fig. 13 に示す。Fig. 12 には磁化電流波形も併 せて示している。この様に電流の正負が入れ替わる たびにバルクハウゼンノイズが発生している。Fig.13 では最大電圧と残留歪に相関がみられ、Fig. 11 と比較してもバラつきが一部を除き無くなっている ことが分かる。 1. 次に、このバルクハウゼンノイズに FFT 処理を施 した。そのグラフを Fig. 14 に示す。このグラフか ら 2000Hz 以降で分布が各残留歪で違っていること が分かる。そこで、3つの周波数領域に分割し、そ られを積分して各歪試験片を比較した。500~ 1400Hz を Fig. 15 に、1400~2300Hz を Fig.16に、 2300~3200Hzを Fig.17 に示す。これらの結果を見 ると、どれも残留歪と相関関係にあるが周波数の低 い領域ほど同じ歪試験片でもバラつきが見られる。 しかし Fig17 はバラつきが少なく良好な相関が得ら れた。2.008-010.150.10.05電圧[V]0-0.05-0.1-0.15-2.00E-01 -0.06 , -0.04 0.02 0 0.02 0.04時間(sec] Fig. 12 10Hz SS バルクハウゼンノイズ ヨークークコイル0.18 0.160.14 50.120.1 50.08 日◆y%3D -0.0039x +0.09220.04 0.0202_468_10_12残留歪[%] Fig. 13 最大バルクハウゼンノイズノイズ1610.0074 まとめ0.0060.005 30.0040.003 0.002110_ 2000 4000 6000 8000 10000周波数[Hz] 14 バルクハウゼンノイズ FFT ヨークコイル残留歪が SUS316L と SS400 に与える特性の変化 を調べ、非破壊的に残留歪を検出できる可能性の検 討を行なった。 直に試験片に巻いたコイルを用いれば SUS316L、 SS400 は共に残留歪と良い相関関係を得る事が出来 た。しかし、ヨークに巻いたコイルで計測を行なっ た場合 SUS316Lについては、相関を得ることはで きなかった。しかし、受入材の特性のバラつきが考 えられ、5%以下の残留歪の少ないものを除けば、一 定の相関が得られた。SS400 の場合は最大電圧と残 留歪に相関が得られたが、歪の大きいものはバラっ きが大きくなった。しかし、バルクハウゼンノイズ の最大値を計測した結果、バラつきが減少し、一定 の相関が得られた。また、バルクハウゼンノイズを FFT 処理し、周波数領域で分割し積分した。その結 果、2300~3200Hz の領域で積分した結果が最も良」 い相関を得る事が出来た。SS400 については、残留歪の非破壊検査の可能性 が得られた。__y = -0.0078x + 0.2284JV(500~1400)24 68 10 12残留歪[%] Fig. 15 積分領域 500~1400Hzy = -0.0065x + 0.0966JV(1400~2300)10_1210_ 2_ 4 6 _ 8_残留歪[%] Fig. 16 積分領域 1400~2300HzJV(2300~3200)y = -0.01x + 0.121210_ 2_ 4 6 _ 8_ 10_残留歪[%] Fig. 17 積分領域 2300~3200Hz 討を行なった。 ・ 直に試験片に巻いたコイルを用いれば SUS316L、 SS400 は共に残留歪と良い相関関係を得る事が出来 た。しかし、ヨークに巻いたコイルで計測を行なっ きなかった。しかし、受入材の特性のバラつきが考 えられ、5%以下の残留歪の少ないものを除けば、一 定の相関が得られた。SS400 の場合は最大電圧と残 留歪に相関が得られたが、歪の大きいものはバラー きが大きくなった。しかし、バルクハウゼンノイズ の最大値を計測した結果、バラつきが減少し、一定 の相関が得られた。また、バルクハウゼンノイズを FFT 処理し、周波数領域で分割し積分した。その結 果、2300~3200Hz の領域で積分した結果が最も良 い相関を得る事が出来た。 SS400 については、残留歪の非破壊検査の可能性- 162 -
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