超高速二相流によりオリフィス下流域に発生するエロージョン現象の解明
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カテゴリ: 第5回
1.緒言
近年、原子力発電プラントや火力発電プラントに おいて、配管減肉が問題視されている。配管減肉は、 配管系に存在する様々な配管要素によって流れが急 激に変化することによって発生する場合が多く、本 研究にてクローズアップする管オリフィスは、その ような配管減肉をもたらす要素のひとつである。更 に、蒸気流や湿り度の高い空気といった二相流を扱 う配管では、この管オリフィスの直下域壁面にしば しば液滴衝撃エロージョン (Liquid Droplet Impingement : LDDによるものと思われる減肉が発 生することが知られている。また、オリフィスの下 流側に90度ベンドを有する配管系においては、エルFig.1 減肉の起きた配管 概略図 ボ部分に局所的な減肉が発生し、貫通穴が形成され ることもある。高温の蒸気や放射性の気体を扱う配 帯状の著しい減肉、更にオリフィス下流に位置する 管では、このような損傷が深刻な問題に発展する恐90 度ベンドの背側に貫通穴を伴う楕円状の著しい れも懸念される。減肉が確認されている。損傷箇所の表面観察から、 このことを受け、本研究では高速の気液二相流がこれらの減肉は LDI によるものと判明しているが、 通過する複雑配管内を可視化実験により観測するこ その発生条件は未だ明らかでない。従って本研究で とを狙いとする。対象とする配管系は、図1に示す。 は、シミュレーション実験を通し、最終的にオリフ ようなオリフィス下流側に90度ベンドを有する連 ィス下流域にて発生する複雑流動場による減肉現象 結配管要素であり、実際に、オリフィスの直下域にのメカニズムを解明し、現行プラントにおける損傷ポテンシャルを低減させることを目的とする。近年、原子力発電プラントや火力発電プラントに おいて、配管減肉が問題視されている。配管減肉は、 配管系に存在する様々な配管要素によって流れが急 激に変化することによって発生する場合が多く、本 研究にてクローズアップする管オリフィスは、その ような配管減肉をもたらす要素のひとつである。更 に、蒸気流や湿り度の高い空気といった二相流を扱 う配管では、この管オリフィスの直下域壁面にしば しば液滴衝撃エロージョン (Liquid Droplet しば液滴衝撃エロージョン (Liquid Droplet Impingement : LDNによるものと思われる減肉が発 生することが知られている。また、オリフィスの下 流側に90度ベンドを有する配管系においては、エル ボ部分に局所的な減肉が発生し、貫通穴が形成され ることもある。高温の蒸気や放射性の気体を扱う配 管では、このような損傷が深刻な問題に発展する恐ることもある。高温の蒸気や放射性の気体を扱う配 管では、このような損傷が深刻な問題に発展する恐 れも懸念される。このことを受け、本研究では高速の気液二相流が 通過する複雑配管内を可視化実験により観測するこ とを狙いとする。対象とする配管系は、図1に示す ようなオリフィス下流側に90度ベンドを有する連 結配管要素であり、実際に、オリフィスの直下域に帯状の著しい減肉、更にオリフィス下流に位置する 90 度ベンドの背側に貫通穴を伴う楕円状の著しい 減肉が確認されている。損傷箇所の表面観察から、 これらの減肉は LDI によるものと判明しているが、 その発生条件は未だ明らかでない。従って本研究で は、シミュレーション実験を通し、最終的にオリフ ィス下流域にて発生する複雑流動場による減肉現象 のメカニズムを解明し、現行プラントにおける損傷 ・ ポテンシャルを低減させることを目的とする。 - 201 -
2. 実験装置・方法 2.1 パラメータの検討
プラント配管系などに見られる管オリフィス周辺 の LDI の研究は、その流動パラメータの多さから LDI が発生する流動条件が明示されていないのが現 状である。従って先ずLDI において支配的となる幾 つかの因子について検討する。まず、影響因子とし て「主管流(蒸気流)に関するもの」「液滴に関するも の」「幾何学的要素に関するもの」の3つに分けて考 えと、以下のパラメータが重要であることがわかる。 1 主管流(蒸気流)に関するパラメータ: 流速(圧縮性流体特有の流動特性)、温度、蒸気の温 り度、など。 2 液滴に関するパラメータ: 液滴の流量、液滴の分散状態、液滴の粒子径(ミ クロ的要因)、など。 3 幾何学的要素に関するパラメータ: オリフィスの開口面積比、オリフィス開口部周辺 の幾何形状、エルボの曲率、など。2.2 実験装置以上の検討を受け、本研究では高速空気流に液滴 を混入する実験システムを構築し、LDI に影響する 支配因子について明らかにする。試験に用いる装置 の概略図を Fig.2 に示す。装置は、主流供給部・液 滴供給部・試験部の3パートからなる。Test sectionTest section1. Air Cylinder 2 2. Regulator 3. Orifice flow meter 4. Pressure-proof TankWater droplets supplying partFig.2 装置概略図主流供給部圧縮空気ボンベによって、主流として空 気を供給する。主流の流速は入口圧力を調節すること によって操作し、0-1MPa の範囲で調節することができ る(この際の流速範囲は、オリフィスの開口径によって変 わるため後述する)。主流部の内径は 54.9mm であり、 SUS で製作されている。 液滴供給部水の入った耐圧タンクを加圧し、主流中に水を噴出させる。水は液滴の出口部分に取り付けら れたノズルによってミスト状にされる。その平均粒径は 45um、主流に供給される水の流量はおよそ 15mL/min である。 試験部試験部は内部を可視化できるようにアクリル 管で製作されている。オリフィス上流側の円管として、長 さの異なる 2 種類を用意してノズルーオリフィス間の距 離を変化させ(30cm、100cm)、液滴の分散状態を変化 させた。一方、オリフィス下流の直管部は一辺 56mm の 正方形断面を持った矩形管であり、長さは 726mm であ る。さらにその下流には、一辺 56mmの正方形断面を持 つエルボ部分が設置されている。その下流部は大気開 放とされている。試験部に設置されるオリフィスには、開口面積比 0.006 を有するオリフィスを使用する。更に、テーパ の有無による2種類のオリフィスを準備した(Fig.3 参照)。JS1005500円にてR7.5R7.5WEy004.4mm4519541105mm!R75110.3mmR7.5R76(a) テー(a) テーパなし (6)テーパつきFig.3 オリフィス断面図。2.3 観測方法 1. 本研究で用いた可視化機器は「シュリーレン」お よび「デジタルビデオカメラ」である。シュリーレ ン装置では、流動場の微量な密度差を検出すること ができ、液滴を投入しない状態での高速流れの特徴 を把握することを目的としている。また、デジタル ビデオカメラによる撮影では、液滴挙動および全体 として2相流れがどのような特性を示すか、また今 後、流動場をクローズアップするための観察領域を 絞ることを目的とする。 * 主流の入口圧力の範囲は 0.1-1.0MPaとする。また、 液滴の加圧タンクの入力圧力は装置の耐圧の制限上、2020.1-0.6MPa である。本実験では、主流と液滴タ との差圧を 0.1MPa で固定して液滴を供給する。3. 結果および考察 3.1 流速範囲 * まず、オリフィスを用いた際の流速値について Table1 に示す。時間の経過とともに配管内の温度が 減少するため補正が必要であるが、オリフィス部で は音速を超える流れ場が形成される。Table 1 入口圧力に対する流速の範囲Tempareture [ ]Input Pressure [MPa] Mainstream Velocity[m/s] 0.14.3220.25.103 0.46.60.57.10.621.8 21.6 21.3 20.8 20.4 19.8 19.4 18.7 17.97.6 8.10.10.8 0.98.8 9.59.83.2 衝突点位置の評価Fig.4 は、テーパつきオリフィスを用いて液滴を可 視化した際の画像である。Reattachment PointFig 4 衝突点位置液滴を主流中に混入させると、オリフィス下流域 の壁面に、下流方向に向かって流れる液滴と上流方 向に向かって流れる液滴とが相対して存在する点が 見られる。この点は、オリフィスによって形成され た高速流れに液滴が追従し、下流側で壁面に衝突し ている衝突点である。衝突点は 0.3D ほどの幅を持っ ている。上流側に向かって流れる液滴は、オリフィ ス直下に形成される循環渦の影響を受けている。液 滴を噴出し続けると、この循環領域内に液体が停滞 するが、再び循環渦に巻き込まれ下流方向に輸送さ れる。衝突点位置を衝突幅の中心部分と定義し、テーパつきオリフィス、テーパなしオリフィスとそれ ぞれ観測した結果を Fig.5に示す。横軸は主流流速、 縦軸は衝突点のオリフィスからの距離である。トーテーバつき ーーラーテーバなしReattachment Point Uちなみにできない。Mainstream Velocity [m/s]Fig 5 液滴の衝突点位置Fig.5 中の帯状に着色した部分は、モデルとした配 管の損傷部分である。実験によって得られた衝突点 立置と比較すると、はるか上流側に位置しているこ とが分かる。実機における減肉要因として、オリフ ィスを通過してきた液滴が直接壁面に衝突すること こよるものではなく、循環領域内で渦に巻き込まれ て不規則な挙動を示す液滴によるものではないかと も考えられるが、オリフィス上流の液滴の分散状態 を変化させると、衝突点が現在より上流側に変移す る可能性があり今後の検討課題である。3.3 空気単相流れの評価Fig.6 にシュリーレン写真を用いて撮影した空気 単相流れの画像を示す。Fig 6 空気単相流れ本撮影では、テーパつきオリフィスを用い、入口圧ニ撮影では、テーパつきオリフィスを用い、入口圧0.5MPa、主流流速 7.2m/s のときの画像である。 充れは右から左に向かっており、オリフィスより下 充側 0-1.6D の範囲が撮影されている。画面右側の白 い縦線がオリフィスの出口である。画面の中央付近 ニ白く写る箇所は周囲に対して密度差が大きい部分 であり、流れ方向に分裂したいくつかのこの密度の 目まりは衝撃波である。この衝撃波が発生している 長さを、テーパつきオリフィス、テーパなしオリフ ・スのそれぞれについて測定し記録した。結果を g.7、Fig.8 に示す。c以衝撃波消失点/D-111900/01/035697 8 主流流速[m/s]1011Fig.7 衝撃波消失点(テーパつき)擬似衝撃波消失点I/D[-]14156789 10 11主流流速[m/s]Fig.8 衝撃波消失点(テーパなし)つのグラフに共通する点は、主流流速がある程度 越えると、主流流速の変化に対する衝撃波の発生 域長さの変化割合が減少するということである。 ーパつきオリフィスの場合は 9.2m/s付近、テーパしオリフィスの場合は 8.0m/s 付近が境界である。 ーパなしオリフィスのほうが遅い流速から衝撃波 観測され始めていることから、テーパなしオリフ スのほうが流れの変化が現れやすい、と考えられ 。しかしながら、一般にこのような空気単相場に 滴を投入した場合、衝撃波との干渉によって液滴 分裂し更に微細化されるため、減肉を発生させる 要な条件として液滴の投入条件が重要であること 明らかである。すなわち実機条件では、オリフィ を通過する液量は衝撃波との干渉が問題とならな ほど多く、前節同様、液滴投入条件をパラメータ して実験が今後重要となる。.結言以上の実験より、以下の事柄が判明した。 オリフィス下流側に壁面への衝突点が確認され た。この際、衝突点は約 0.3D 程度の幅を持ってい る。また、オリフィスの開口部テーパが施してあ る場合は、施してない場合よりも上流側に衝突す る。ただし、これらの衝突点は流速を上げると差 が小さくなる傾向にある。 モデルとして取り上げた配管の減肉部分と比較 してみると、衝突点は減肉発生箇所より下流であ ることが判明した。 空気単相流れにおいて、衝撃波と思われる密度差 が観測された。衝撃波群の長さは、主流の流速が 増すごとに下流方向に増大するが、ある程度の速 度を越えると増加が収束する傾向にある。また、 テーパなしオリフィスのほうが低速の状態で変 化が起きやすい。ここまでの研究では、オリフィス直下域壁面に衝 する液滴ジェットを確認することはできたものの、 流側ベンドに衝突するジェットを確認するにはい らなかった。考えられる要因としては、オリフィ の開口径が小さいため、オリフィス周辺における れのせん断力および衝撃波の影響により、液滴が 細化されすぎてジェット状にならなかったことが えられる。そのため、今後の研究においては実機 同じ大きさの開口部面積を持つオリフィスを使用 . 更に投入液滴条件をパラメータとしてLDI の原 となる流れの挙動を探る必要がある。
“ “?超高速二相流によりオリフィス下流域に発生するエロージョン現象の解明“ “阿部 祐子,Yuko ABE,結城 和久,Kazuhisa YUKI,橋爪 秀利,Hidetoshi HASHIZUME,戸田 三朗,Saburo TODA
近年、原子力発電プラントや火力発電プラントに おいて、配管減肉が問題視されている。配管減肉は、 配管系に存在する様々な配管要素によって流れが急 激に変化することによって発生する場合が多く、本 研究にてクローズアップする管オリフィスは、その ような配管減肉をもたらす要素のひとつである。更 に、蒸気流や湿り度の高い空気といった二相流を扱 う配管では、この管オリフィスの直下域壁面にしば しば液滴衝撃エロージョン (Liquid Droplet Impingement : LDDによるものと思われる減肉が発 生することが知られている。また、オリフィスの下 流側に90度ベンドを有する配管系においては、エルFig.1 減肉の起きた配管 概略図 ボ部分に局所的な減肉が発生し、貫通穴が形成され ることもある。高温の蒸気や放射性の気体を扱う配 帯状の著しい減肉、更にオリフィス下流に位置する 管では、このような損傷が深刻な問題に発展する恐90 度ベンドの背側に貫通穴を伴う楕円状の著しい れも懸念される。減肉が確認されている。損傷箇所の表面観察から、 このことを受け、本研究では高速の気液二相流がこれらの減肉は LDI によるものと判明しているが、 通過する複雑配管内を可視化実験により観測するこ その発生条件は未だ明らかでない。従って本研究で とを狙いとする。対象とする配管系は、図1に示す。 は、シミュレーション実験を通し、最終的にオリフ ようなオリフィス下流側に90度ベンドを有する連 ィス下流域にて発生する複雑流動場による減肉現象 結配管要素であり、実際に、オリフィスの直下域にのメカニズムを解明し、現行プラントにおける損傷ポテンシャルを低減させることを目的とする。近年、原子力発電プラントや火力発電プラントに おいて、配管減肉が問題視されている。配管減肉は、 配管系に存在する様々な配管要素によって流れが急 激に変化することによって発生する場合が多く、本 研究にてクローズアップする管オリフィスは、その ような配管減肉をもたらす要素のひとつである。更 に、蒸気流や湿り度の高い空気といった二相流を扱 う配管では、この管オリフィスの直下域壁面にしば しば液滴衝撃エロージョン (Liquid Droplet しば液滴衝撃エロージョン (Liquid Droplet Impingement : LDNによるものと思われる減肉が発 生することが知られている。また、オリフィスの下 流側に90度ベンドを有する配管系においては、エル ボ部分に局所的な減肉が発生し、貫通穴が形成され ることもある。高温の蒸気や放射性の気体を扱う配 管では、このような損傷が深刻な問題に発展する恐ることもある。高温の蒸気や放射性の気体を扱う配 管では、このような損傷が深刻な問題に発展する恐 れも懸念される。このことを受け、本研究では高速の気液二相流が 通過する複雑配管内を可視化実験により観測するこ とを狙いとする。対象とする配管系は、図1に示す ようなオリフィス下流側に90度ベンドを有する連 結配管要素であり、実際に、オリフィスの直下域に帯状の著しい減肉、更にオリフィス下流に位置する 90 度ベンドの背側に貫通穴を伴う楕円状の著しい 減肉が確認されている。損傷箇所の表面観察から、 これらの減肉は LDI によるものと判明しているが、 その発生条件は未だ明らかでない。従って本研究で は、シミュレーション実験を通し、最終的にオリフ ィス下流域にて発生する複雑流動場による減肉現象 のメカニズムを解明し、現行プラントにおける損傷 ・ ポテンシャルを低減させることを目的とする。 - 201 -
2. 実験装置・方法 2.1 パラメータの検討
プラント配管系などに見られる管オリフィス周辺 の LDI の研究は、その流動パラメータの多さから LDI が発生する流動条件が明示されていないのが現 状である。従って先ずLDI において支配的となる幾 つかの因子について検討する。まず、影響因子とし て「主管流(蒸気流)に関するもの」「液滴に関するも の」「幾何学的要素に関するもの」の3つに分けて考 えと、以下のパラメータが重要であることがわかる。 1 主管流(蒸気流)に関するパラメータ: 流速(圧縮性流体特有の流動特性)、温度、蒸気の温 り度、など。 2 液滴に関するパラメータ: 液滴の流量、液滴の分散状態、液滴の粒子径(ミ クロ的要因)、など。 3 幾何学的要素に関するパラメータ: オリフィスの開口面積比、オリフィス開口部周辺 の幾何形状、エルボの曲率、など。2.2 実験装置以上の検討を受け、本研究では高速空気流に液滴 を混入する実験システムを構築し、LDI に影響する 支配因子について明らかにする。試験に用いる装置 の概略図を Fig.2 に示す。装置は、主流供給部・液 滴供給部・試験部の3パートからなる。Test sectionTest section1. Air Cylinder 2 2. Regulator 3. Orifice flow meter 4. Pressure-proof TankWater droplets supplying partFig.2 装置概略図主流供給部圧縮空気ボンベによって、主流として空 気を供給する。主流の流速は入口圧力を調節すること によって操作し、0-1MPa の範囲で調節することができ る(この際の流速範囲は、オリフィスの開口径によって変 わるため後述する)。主流部の内径は 54.9mm であり、 SUS で製作されている。 液滴供給部水の入った耐圧タンクを加圧し、主流中に水を噴出させる。水は液滴の出口部分に取り付けら れたノズルによってミスト状にされる。その平均粒径は 45um、主流に供給される水の流量はおよそ 15mL/min である。 試験部試験部は内部を可視化できるようにアクリル 管で製作されている。オリフィス上流側の円管として、長 さの異なる 2 種類を用意してノズルーオリフィス間の距 離を変化させ(30cm、100cm)、液滴の分散状態を変化 させた。一方、オリフィス下流の直管部は一辺 56mm の 正方形断面を持った矩形管であり、長さは 726mm であ る。さらにその下流には、一辺 56mmの正方形断面を持 つエルボ部分が設置されている。その下流部は大気開 放とされている。試験部に設置されるオリフィスには、開口面積比 0.006 を有するオリフィスを使用する。更に、テーパ の有無による2種類のオリフィスを準備した(Fig.3 参照)。JS1005500円にてR7.5R7.5WEy004.4mm4519541105mm!R75110.3mmR7.5R76(a) テー(a) テーパなし (6)テーパつきFig.3 オリフィス断面図。2.3 観測方法 1. 本研究で用いた可視化機器は「シュリーレン」お よび「デジタルビデオカメラ」である。シュリーレ ン装置では、流動場の微量な密度差を検出すること ができ、液滴を投入しない状態での高速流れの特徴 を把握することを目的としている。また、デジタル ビデオカメラによる撮影では、液滴挙動および全体 として2相流れがどのような特性を示すか、また今 後、流動場をクローズアップするための観察領域を 絞ることを目的とする。 * 主流の入口圧力の範囲は 0.1-1.0MPaとする。また、 液滴の加圧タンクの入力圧力は装置の耐圧の制限上、2020.1-0.6MPa である。本実験では、主流と液滴タ との差圧を 0.1MPa で固定して液滴を供給する。3. 結果および考察 3.1 流速範囲 * まず、オリフィスを用いた際の流速値について Table1 に示す。時間の経過とともに配管内の温度が 減少するため補正が必要であるが、オリフィス部で は音速を超える流れ場が形成される。Table 1 入口圧力に対する流速の範囲Tempareture [ ]Input Pressure [MPa] Mainstream Velocity[m/s] 0.14.3220.25.103 0.46.60.57.10.621.8 21.6 21.3 20.8 20.4 19.8 19.4 18.7 17.97.6 8.10.10.8 0.98.8 9.59.83.2 衝突点位置の評価Fig.4 は、テーパつきオリフィスを用いて液滴を可 視化した際の画像である。Reattachment PointFig 4 衝突点位置液滴を主流中に混入させると、オリフィス下流域 の壁面に、下流方向に向かって流れる液滴と上流方 向に向かって流れる液滴とが相対して存在する点が 見られる。この点は、オリフィスによって形成され た高速流れに液滴が追従し、下流側で壁面に衝突し ている衝突点である。衝突点は 0.3D ほどの幅を持っ ている。上流側に向かって流れる液滴は、オリフィ ス直下に形成される循環渦の影響を受けている。液 滴を噴出し続けると、この循環領域内に液体が停滞 するが、再び循環渦に巻き込まれ下流方向に輸送さ れる。衝突点位置を衝突幅の中心部分と定義し、テーパつきオリフィス、テーパなしオリフィスとそれ ぞれ観測した結果を Fig.5に示す。横軸は主流流速、 縦軸は衝突点のオリフィスからの距離である。トーテーバつき ーーラーテーバなしReattachment Point Uちなみにできない。Mainstream Velocity [m/s]Fig 5 液滴の衝突点位置Fig.5 中の帯状に着色した部分は、モデルとした配 管の損傷部分である。実験によって得られた衝突点 立置と比較すると、はるか上流側に位置しているこ とが分かる。実機における減肉要因として、オリフ ィスを通過してきた液滴が直接壁面に衝突すること こよるものではなく、循環領域内で渦に巻き込まれ て不規則な挙動を示す液滴によるものではないかと も考えられるが、オリフィス上流の液滴の分散状態 を変化させると、衝突点が現在より上流側に変移す る可能性があり今後の検討課題である。3.3 空気単相流れの評価Fig.6 にシュリーレン写真を用いて撮影した空気 単相流れの画像を示す。Fig 6 空気単相流れ本撮影では、テーパつきオリフィスを用い、入口圧ニ撮影では、テーパつきオリフィスを用い、入口圧0.5MPa、主流流速 7.2m/s のときの画像である。 充れは右から左に向かっており、オリフィスより下 充側 0-1.6D の範囲が撮影されている。画面右側の白 い縦線がオリフィスの出口である。画面の中央付近 ニ白く写る箇所は周囲に対して密度差が大きい部分 であり、流れ方向に分裂したいくつかのこの密度の 目まりは衝撃波である。この衝撃波が発生している 長さを、テーパつきオリフィス、テーパなしオリフ ・スのそれぞれについて測定し記録した。結果を g.7、Fig.8 に示す。c以衝撃波消失点/D-111900/01/035697 8 主流流速[m/s]1011Fig.7 衝撃波消失点(テーパつき)擬似衝撃波消失点I/D[-]14156789 10 11主流流速[m/s]Fig.8 衝撃波消失点(テーパなし)つのグラフに共通する点は、主流流速がある程度 越えると、主流流速の変化に対する衝撃波の発生 域長さの変化割合が減少するということである。 ーパつきオリフィスの場合は 9.2m/s付近、テーパしオリフィスの場合は 8.0m/s 付近が境界である。 ーパなしオリフィスのほうが遅い流速から衝撃波 観測され始めていることから、テーパなしオリフ スのほうが流れの変化が現れやすい、と考えられ 。しかしながら、一般にこのような空気単相場に 滴を投入した場合、衝撃波との干渉によって液滴 分裂し更に微細化されるため、減肉を発生させる 要な条件として液滴の投入条件が重要であること 明らかである。すなわち実機条件では、オリフィ を通過する液量は衝撃波との干渉が問題とならな ほど多く、前節同様、液滴投入条件をパラメータ して実験が今後重要となる。.結言以上の実験より、以下の事柄が判明した。 オリフィス下流側に壁面への衝突点が確認され た。この際、衝突点は約 0.3D 程度の幅を持ってい る。また、オリフィスの開口部テーパが施してあ る場合は、施してない場合よりも上流側に衝突す る。ただし、これらの衝突点は流速を上げると差 が小さくなる傾向にある。 モデルとして取り上げた配管の減肉部分と比較 してみると、衝突点は減肉発生箇所より下流であ ることが判明した。 空気単相流れにおいて、衝撃波と思われる密度差 が観測された。衝撃波群の長さは、主流の流速が 増すごとに下流方向に増大するが、ある程度の速 度を越えると増加が収束する傾向にある。また、 テーパなしオリフィスのほうが低速の状態で変 化が起きやすい。ここまでの研究では、オリフィス直下域壁面に衝 する液滴ジェットを確認することはできたものの、 流側ベンドに衝突するジェットを確認するにはい らなかった。考えられる要因としては、オリフィ の開口径が小さいため、オリフィス周辺における れのせん断力および衝撃波の影響により、液滴が 細化されすぎてジェット状にならなかったことが えられる。そのため、今後の研究においては実機 同じ大きさの開口部面積を持つオリフィスを使用 . 更に投入液滴条件をパラメータとしてLDI の原 となる流れの挙動を探る必要がある。
“ “?超高速二相流によりオリフィス下流域に発生するエロージョン現象の解明“ “阿部 祐子,Yuko ABE,結城 和久,Kazuhisa YUKI,橋爪 秀利,Hidetoshi HASHIZUME,戸田 三朗,Saburo TODA