原子炉プールライニング検査装置の開発

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カテゴリ: 第5回
1.はじめに
原子炉施設を長期に使用していく際に、容易に 取り替え、補修のできない設備・機器の健全性を 確認することは重要である。NSRR原子炉施設 では、その一環として原子炉プールライニングの 高経年化による経年変化について、健全性が保た れていることを定期的に確認する計画を策定し た。 - NSRR原子炉施設は、設置後 30 年以上を経 過しており、上の計画の実施に向けてプールライ ニングの必要肉厚(7mm)が確保されていること を確認し、そのアルミニウム材の経年変化に対す る健全性の確認を行うため、原子炉プール水中で 検査を行うための装置を開発している。NSRRの原子炉プールは、スイミングプール 型(縦約 3.6m、横約 4.5m、高さ約 12m、水深約 9m)で、コンクリートとアルミニウム合金(A5052 相当)のプールライニングで構成されている。N SRR原子炉プールの概略図を Fig 1.1 に示す。 - 本検査装置は、原子炉プール水中にて測定を行 うため、水中での取扱いの容易性及び測定精度か ら超音波探傷法を採用し、プールライニングに使 用されているアルミニウム材(肉厚約 15mm) に ついて、肉厚測定及び腐食による減肉の状態を探 傷することを目的とする。また、溶接線部の状態
実験孔入口
制御棒駆動機構、なし・プールライニング原子炉プールコンクリート中性子検出器炉心Fig1.1 NSRR 原子炉プール概略図(炉心を含む縦断面図)2562.検査装置2.1 検査の概要 - 検査装置は、超音波探傷による測定データを処 理・収集する超音波探傷装置と、原子炉プールの 底面及び側面に沿ってセンサー部分である探触 子を移動させるための側面及び底面走行装置で 構成する。 - 検査は、各走行装置に探触子を組み込み、位置 を制御しながら原子炉プール水中を移動させ行 う。ライニングは、数枚のアルミニウム板の溶接 により構成されており、平面部及び溶接線部を検 査対象とする。 - 検査時には位置データ(位置情報または移動 量)を同時に計測し、探傷データと合わせたマッ プデータとして保存することができる、これによ りデータ解析時及び今後の経年変化の調査にお いて、特定箇所における情報を詳細に判断するこ とが可能となる。2.2 超音波探傷装置 - 超音波探傷装置は、探触子(フェイズドアレイ プローブ)、信号処理装置、表示部等で構成する。探触子は、探傷条件や使用状況等を考慮し周波 数 5Mz、素子数 128個、ケーブル長約 15m とした。 この探触子は防水構造となっているため水中で も探傷が可能である。また、フェイズドアレイの 特徴である、広い探傷幅(約 100mm)により、通 常の平面探傷の他に、溶接線(幅約 20mm)を全体 的に探傷することも可能である。 12. 信号処理装置により収録・処理された信号は、 表示部であるパソコン上にリアルタイムで結果 を表示させ視覚的に状態を判断することが出来 るため、異常箇所の明確な判断や作業効率の向上 を図ることができる。また、超音波ビームの設定 を変更することにより、内部の異常箇所に着目し た詳細な調査を行うこともできる。2.3 側面探傷側面探傷は、超音波探傷装置、側面走行装置及 び電動駆動部の構成で行う。 各面における測定ポイントのプール上面に電ル上面に電動駆動部を据え付け、側面走行装置本体(縦約 400mm、横約 180mm、高さ約 154mm)と結ばれ たワイヤーを巻き上げ、巻き下げることにより側 面走行装置を移動させ探傷を行う。電動駆動部にはエンコーダを取付け、プール底 面を基準とした位置データを取得する。また、走 行装置本体にはビルジポンプを取付け、水中での 側面走行装置と測定面との距離を一定に保つ構 造としている。側面探傷の概略図を Fig 2.1 に示す。4500 信号処理装置、表示部溶接線*電動駆動部・エンコーダ 側面走行装置原子炉プール上面図~表示部meroeweremiurathromeworrenewerenterrow電動駆動部・エンコーダ 信号処理装置戸ブール上面SUSワイヤー溶接線・ブールライニング原子炉ブール側面走行装置単位:mm」原子炉ブール断面図Fig 2.1 側面探傷概略図2574500信号処理装置カメラ、witternategory-44K4RRIEさんはすんなふル* 表示部・カメラ3600パソコン 底面走行装置溶接線~ カメラカメラ/原子炉ブール上面図~~ 表示部SUSワイヤー信号処理装置2.4 底面探傷 底面探傷は、超音波探傷装置、底面走行装置及 び位置計測機器の構成で行う。 1 検査に先だって位置計測機器によりプール底 面を座標化する。まず4台のカメラをプール上面 に設置し、プール底面全体をカバーできるように 撮影する。次にその撮影された画像をパソコンに 取り込み画像処理を行い、各カメラで撮影された 画像ごとに座標点を入力し底面全体を座標化す る。 * 探傷は、座標化された底面に測定範囲を設定し、 底面走行装置からの位置情報をもとに自動制御 にて駆動させることにより行う。位置情報は、走 行装置本体(縦約 500mm、横約 300mm、高さ約 315mm)に取り付けた3個のLEDランプをカメ ラで認識することにより得る。LEDランプを三 角形状に配置することによって、本体の方向を認 識できるようにした。また、ランプに赤色ものを 採用し、カメラに偏光フィルタを取付け赤色に対 して感度が高くなるようにした。底面走行装置本 体の駆動は、左右輪を独立駆動とし、各モーター の回転速度を制御することにより行う。 - 複数台のカメラを用いることによって、障害物 によりランプを認識できない状態をなくし、安定 した位置の計測が可能である。また、任意での測 定を考慮し、コントローラーを使用して手動で動 作させることも可能とした。底面探傷の概略図を Fig 2.2 に示す。カメラアンコーカメラパソコン原子炉プール9170- プールライニング溶接線底面走行装置単位:mm原子炉ブール断面図Fig 2.2 底面探傷概略図3.試験測定の結果と今後の計画3.1 試験測定の結果これまでに各走行装置の設計及び製作を終了 し、モックアップ及び原子炉プール内での走行試 験及び超音波探傷装置と組み合わせた試験測定 を行った。側面走行装置の動作については、関連機器の設 置及び駆動状態に問題の無いことを確認できた。 また、底面走行装置においては、設定した測定範4500・ 信号処理装置カメラ*表示部カメラ3600・パソコン 溶接線」... 底面走行装置カメラカメラ/原子炉ブール上面図表示部1908/02/27SUSワイヤー信号?理装置カメラカメラパソコン原子炉プール~ プールライニング溶接線底面走行装置原子炉ブール断面図単位:mm- 258 -囲に対し実際に走行装置を動作させたとき、底面 画像の座標化の誤差(最大約 100mm)により動作 が不安定になる問題が確認された。 - 試験測定においては、平面部及び溶接線部を測 定した探傷データについて評価・検討を行い、平 面部の探傷においては肉厚が約 15mm で、表面及 び裏面の状態についても判断できた。平面部探傷 の試験測定結果を Fig 3.1に示す。溶接線部については、溶接線部表面から内部の 状態を探傷し、溶接部の状態について判断できた 溶接線部探傷の試験測定結果を Fig 3.2 に示す。 これより、プールライニングの肉厚、減肉及び溶 接線近傍の状態を判断できることが分かった。5000 Aスコープ画面 (平面部探傷)1肉厚:約15mm*縦軸に探傷波高値、横軸に距離(mm)を示す。表面b006-2000 042002,037肉厚:約15mmおなか裏面Bスコープ画面 (平面部探傷)*縦軸に深さ距離 (mm)、横軸に探傷幅を示す。Fig 3.1 平面部の試験測定結果260.00 Aスコープ画面 (溶接部探傷)き30日1150:50pediaにある* 縦軸に探傷波高値、横軸に距離(mm)を示す。13000.5表面ScensolatolassessManasersion1.150..肉厚:約15mm溶接部裏面Bスコープ画面 (溶接部探傷)BAwaravedorite/sta* *縦軸に距離 (mm)、横軸に探傷幅 (mm)を示す。Fig 3.2 溶接線部の試験測定結果これまでの試験測定をふまえ、測定に関する精 度及び作業効率の向上に向けた改良点を次に示 す。 1) 測定時おける作業手順や測定ポイントにお ・ ける、各走行装置及び関連機器の設置方法及び - 操作性の向上。 2) 底面画像の座標化についての方法の改善及び作業手順の見直しにより、精度の向上を図る。 3) 探傷データ及び位置データの処理、表示方法 この改良3.2 今後の計画今後の予定は、保全計画により平成 20 年に原 子炉プールでの調査を行い、その後は定期的に調 査を実施し、経年変化に対する健全性の確認、評 価を実施していく予定である。259
“ “?原子炉プールライニング検査装置の開発“ “川島 和人,Kazuhito KAWASHIMA,鈴木 寿之,Toshiyuki SUZUKI,田口 祐司,Yuuji TAGUCHI
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