EMATによる大規模3次元画像再構成
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カテゴリ: 第5回
1. 緒言
1メートルオーダーの大型部材全体をシングルプロ ーブで走査して欠陥探傷する場合, 系の水平分解能は ビームスポットの大きさ、水平サンプリングの間隔に よって決まる.また通常の UT では水侵やカプラントを 要し,高速走査は不可能であるアレイプローブを用いた場合、任意の波面を生成で き試料内部の任意の位置で焦点を走査できる、単純に 3 次元画像を構成でき、検査の高速化を行うことが可 能である。ブラコニエルらはこの電子走査における残響の問題 を指摘し、フラッシュフォーカス法[1]を提案した。こ れは単発の平面波の反射波を用い、受信波形のタイム スペースの積和計算することで任意の仮想焦点からの 反射強度を得て 3次元画像を構成しようというもので ある. ブラコニエルらはこの計算のために並列計算 機を導入した * 中畑や廣瀬らはアレイプローブ全体としての指向性 関数に対応した応答関数と反射波の時系列データの関 係に着目し、時間のかかる積和計算を単純に行うので は無くフーリエ変換して逆コンボリューションを行う ことで3次元画像再構成をより高速に行えることを提 案した。[2] アレイをプローブを用いる場合, 隣同士のプロー
ブの波動が干渉するので周波数を高くすることができ ないこと、アレイを構成するプローブを均一に作成し なければならないこと、大規模アレイを構成すること は簡単ではないこと、大型化したアレイプローブを走 査することも困難であることなどが問題である。EMAT は水やカブラントを介することなく磁力に よって試料内部に直接音波を発生させる。そのため、非 接触での高速走査が可能である。通常の EMAT シング ルプローブは Fig.1 に示すようにプローブ径より小さ く反射波形から得られる画像はプローブ径より大きな 領域で平均化されたものになる。この情報の中には深 さ方向ばかりでなく水平方向の情報も含まれている.. この波動の反射波の時系列データを利用することで、 より少ない水平サンプリング点数、より少ない水平走 査回数で高品位の 3 次元画像再構成を行うことが可能 である。Scanng directionScammg directionFig.1 Scanning methods この画像再構成計算において、プローブ出力と反射ブ出力と反射260関数の積を時間積分する際に時間方向に分割すること で容易に並列化が容易に行える。本研究では反射関数 の分布計算に並列化を取り入れることで計算時間の検 討を行った。 2.理論」- Fig.2 に示すように試料上の座標 X = (X,Y,0)にあ る EMAT プローブのローカル座標x = (xo,yo.0) からさす3. 計算結果試料のx 方向の 向の長さ 1024 の る。Fig.3.4.5 にNZ-X sectiony-z section試料上の点Xにおけるプローブ出力 wk, X)は式(1) のようにかける[3][4],[5], cは波動の速度, a は減衰定 数、A は EMAT プローブの面積、V は試料の計算対象 としている領域の体積である. w(t,x) = - SnCt, ip(x + パ)ds, dy, dz、 11 (1)試料のx 方向の長さ 1024、y方向の長さ 1024、z方 向の長さ 1024 の直方体形状の領域に欠陥があるとす る。Fig.3,4,5 に試料のx - z 断面およびy-z 断面、 反射波の時系列、再構成画像をを示す。ion「は式(1) は減衰定 十算対象-1Z-X sectiony-Z sectionFig.3Flaws in Specimen等分点 nNME2. 「ア, -i, |+|- 。 | 3lrc_ ht,i) - --, - ぶ, || ぶ -ぶ。」 ea(, -il+in-) dsodyoda, dy2 (2) 試料表面の x, y の各方向の N /ns,N,/n, 等分点 をサンプリング点X, , Y. とし、各点で n,n,N, 個 の時系列データを取ることで Na × N × N. の分解 能の3次元画像再構成する。試料の N × N × N,等 分点をx, , y, ,て,とする。すると各サンプリング点 (X,. , Y.)におけるプローブ出力 W(t, , X,Y,)は 式(3)のようになる。」 ““““ AJ [ぶ, -ぶ || , -ぶ。e-2(Fw-illikoldsodyboda,dy2 (2)- sectionX-Y section試料表面の x, y の各方向の N./ng,N,/n, 等分点 をサンプリング点X, , Y. とし、各点で n.n,N, 個 の時系列データを取ることで N. × N × N, の分解 能の3次元画像再構成する。試料の N × N × N.等 分点を x, , YI , z, とする。すると各サンプリング点 (X,,,Y,)におけるプローブ出力 W(t, , X,Y,)は 式(3)のようになる。Fig.4 Time series of probeoutputnull, , X,Y,)=- Eh, ,X -x, , Y, -,2, Ak, y, z, ) )11 NINNELN,N,N, 1.0.00Z-X sectiony-Z sectionプローブ出力 Wit, ...),指向性関数hot,...),反射係数 p.)のフーリエ変換をW(t, R,S), H(t, R,S,z), PRS,R) 55すると、WAI, R,S)は式(4)のようになる。nny-E Hool, , R., , S , z, Pro (R) , S, , z,,) + ...N““N,110- 2 H-1.an,-1, , Rin , S, Z.OR, (R) , S, Z...))以上から、プローブ出力と指向性関数の逆行列のt についての積分により反射係数が得られることがわ かる。t の積分区間を分割し並列化を行うことで高速 化が可能になる。試料のx 方向の長さ 1024、y方向の長さ 1024、z方 向の長さ 1024 の直方体形状の領域に欠陥があるとす る。 Fig.3,4,5 に試料のx-z断面およびy-z断面、 反射波の時系列、再構成画像をを示す。261 -Fig.6 Reconstructed image(Quad precision) 計算は深さ方向に8分割し、8台の CPU で行った。 計算時間はほぼ 1/8 となった。3. 結言 1)プローブ先端から広がる試料表面に平行な方向の進 行波の情報を用いることで、3 次元画像の分解能を 維持したまま、水平方向のサンプリング点数を減ら すことができる画像再構成において、計算量が飛躍的に増大することを示した。 2) 反射係数の分布はプローブ出力と指向性関数の逆 行列を時間積分することで得られ、積分区間を分割 し複数の CPU に割り振ることで並列化でき大幅に 計算時間を短縮できることを示した。参考文献[1] 村上文子、ドミニクブラコニエ、三浦俊治、村井純一、西谷豊、“アレイ探触子による高速超音波探傷新 技術”、日本非破壊検査協会 平成 18 年度超音波シンポジウム,(2006)P.35-38 [2] 中畑和之、廣瀬壮一、“アレイセンサーを用いた逆散乱イメージングの再構成性能について”、日 本非破壊検査協会、平成 18 年度超音波シンポジウム,(2006)P.39-44 [3] R.GPratt: Seismic waveform inversion in the frequencydomain I Theory and verification ina physical scale model,Geophysics,64(1999),pp.888-901, [4] 渡辺俊樹、“フルウェーブ・インバージョン”、非破壊検査、(2005)、vol.53,pp274-279 [5] 根岸、高木、超音波技術、東大出版会(1984)262
“ “EMAT による大規模 3次元画像再構成“ “西村 良弘,Yoshihiro NISHIMURA,笹本 明,Akira SASAMOTO,鈴木 隆之,Takayuki SUZUKI
1メートルオーダーの大型部材全体をシングルプロ ーブで走査して欠陥探傷する場合, 系の水平分解能は ビームスポットの大きさ、水平サンプリングの間隔に よって決まる.また通常の UT では水侵やカプラントを 要し,高速走査は不可能であるアレイプローブを用いた場合、任意の波面を生成で き試料内部の任意の位置で焦点を走査できる、単純に 3 次元画像を構成でき、検査の高速化を行うことが可 能である。ブラコニエルらはこの電子走査における残響の問題 を指摘し、フラッシュフォーカス法[1]を提案した。こ れは単発の平面波の反射波を用い、受信波形のタイム スペースの積和計算することで任意の仮想焦点からの 反射強度を得て 3次元画像を構成しようというもので ある. ブラコニエルらはこの計算のために並列計算 機を導入した * 中畑や廣瀬らはアレイプローブ全体としての指向性 関数に対応した応答関数と反射波の時系列データの関 係に着目し、時間のかかる積和計算を単純に行うので は無くフーリエ変換して逆コンボリューションを行う ことで3次元画像再構成をより高速に行えることを提 案した。[2] アレイをプローブを用いる場合, 隣同士のプロー
ブの波動が干渉するので周波数を高くすることができ ないこと、アレイを構成するプローブを均一に作成し なければならないこと、大規模アレイを構成すること は簡単ではないこと、大型化したアレイプローブを走 査することも困難であることなどが問題である。EMAT は水やカブラントを介することなく磁力に よって試料内部に直接音波を発生させる。そのため、非 接触での高速走査が可能である。通常の EMAT シング ルプローブは Fig.1 に示すようにプローブ径より小さ く反射波形から得られる画像はプローブ径より大きな 領域で平均化されたものになる。この情報の中には深 さ方向ばかりでなく水平方向の情報も含まれている.. この波動の反射波の時系列データを利用することで、 より少ない水平サンプリング点数、より少ない水平走 査回数で高品位の 3 次元画像再構成を行うことが可能 である。Scanng directionScammg directionFig.1 Scanning methods この画像再構成計算において、プローブ出力と反射ブ出力と反射260関数の積を時間積分する際に時間方向に分割すること で容易に並列化が容易に行える。本研究では反射関数 の分布計算に並列化を取り入れることで計算時間の検 討を行った。 2.理論」- Fig.2 に示すように試料上の座標 X = (X,Y,0)にあ る EMAT プローブのローカル座標x = (xo,yo.0) からさす3. 計算結果試料のx 方向の 向の長さ 1024 の る。Fig.3.4.5 にNZ-X sectiony-z section試料上の点Xにおけるプローブ出力 wk, X)は式(1) のようにかける[3][4],[5], cは波動の速度, a は減衰定 数、A は EMAT プローブの面積、V は試料の計算対象 としている領域の体積である. w(t,x) = - SnCt, ip(x + パ)ds, dy, dz、 11 (1)試料のx 方向の長さ 1024、y方向の長さ 1024、z方 向の長さ 1024 の直方体形状の領域に欠陥があるとす る。Fig.3,4,5 に試料のx - z 断面およびy-z 断面、 反射波の時系列、再構成画像をを示す。ion「は式(1) は減衰定 十算対象-1Z-X sectiony-Z sectionFig.3Flaws in Specimen等分点 nNME2. 「ア, -i, |+|- 。 | 3lrc_ ht,i) - --, - ぶ, || ぶ -ぶ。」 ea(, -il+in-) dsodyoda, dy2 (2) 試料表面の x, y の各方向の N /ns,N,/n, 等分点 をサンプリング点X, , Y. とし、各点で n,n,N, 個 の時系列データを取ることで Na × N × N. の分解 能の3次元画像再構成する。試料の N × N × N,等 分点をx, , y, ,て,とする。すると各サンプリング点 (X,. , Y.)におけるプローブ出力 W(t, , X,Y,)は 式(3)のようになる。」 ““““ AJ [ぶ, -ぶ || , -ぶ。e-2(Fw-illikoldsodyboda,dy2 (2)- sectionX-Y section試料表面の x, y の各方向の N./ng,N,/n, 等分点 をサンプリング点X, , Y. とし、各点で n.n,N, 個 の時系列データを取ることで N. × N × N, の分解 能の3次元画像再構成する。試料の N × N × N.等 分点を x, , YI , z, とする。すると各サンプリング点 (X,,,Y,)におけるプローブ出力 W(t, , X,Y,)は 式(3)のようになる。Fig.4 Time series of probeoutputnull, , X,Y,)=- Eh, ,X -x, , Y, -,2, Ak, y, z, ) )11 NINNELN,N,N, 1.0.00Z-X sectiony-Z sectionプローブ出力 Wit, ...),指向性関数hot,...),反射係数 p.)のフーリエ変換をW(t, R,S), H(t, R,S,z), PRS,R) 55すると、WAI, R,S)は式(4)のようになる。nny-E Hool, , R., , S , z, Pro (R) , S, , z,,) + ...N““N,110- 2 H-1.an,-1, , Rin , S, Z.OR, (R) , S, Z...))以上から、プローブ出力と指向性関数の逆行列のt についての積分により反射係数が得られることがわ かる。t の積分区間を分割し並列化を行うことで高速 化が可能になる。試料のx 方向の長さ 1024、y方向の長さ 1024、z方 向の長さ 1024 の直方体形状の領域に欠陥があるとす る。 Fig.3,4,5 に試料のx-z断面およびy-z断面、 反射波の時系列、再構成画像をを示す。261 -Fig.6 Reconstructed image(Quad precision) 計算は深さ方向に8分割し、8台の CPU で行った。 計算時間はほぼ 1/8 となった。3. 結言 1)プローブ先端から広がる試料表面に平行な方向の進 行波の情報を用いることで、3 次元画像の分解能を 維持したまま、水平方向のサンプリング点数を減ら すことができる画像再構成において、計算量が飛躍的に増大することを示した。 2) 反射係数の分布はプローブ出力と指向性関数の逆 行列を時間積分することで得られ、積分区間を分割 し複数の CPU に割り振ることで並列化でき大幅に 計算時間を短縮できることを示した。参考文献[1] 村上文子、ドミニクブラコニエ、三浦俊治、村井純一、西谷豊、“アレイ探触子による高速超音波探傷新 技術”、日本非破壊検査協会 平成 18 年度超音波シンポジウム,(2006)P.35-38 [2] 中畑和之、廣瀬壮一、“アレイセンサーを用いた逆散乱イメージングの再構成性能について”、日 本非破壊検査協会、平成 18 年度超音波シンポジウム,(2006)P.39-44 [3] R.GPratt: Seismic waveform inversion in the frequencydomain I Theory and verification ina physical scale model,Geophysics,64(1999),pp.888-901, [4] 渡辺俊樹、“フルウェーブ・インバージョン”、非破壊検査、(2005)、vol.53,pp274-279 [5] 根岸、高木、超音波技術、東大出版会(1984)262
“ “EMAT による大規模 3次元画像再構成“ “西村 良弘,Yoshihiro NISHIMURA,笹本 明,Akira SASAMOTO,鈴木 隆之,Takayuki SUZUKI