高温ガス炉の保全技術の開発

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カテゴリ: 第5回
1. はじめに
2. HTTR の保全の考え方--日本原子力研究開発機構が大洗研究開発センターに HTTR では、設備の保全にあたり、安全上の重要度 建設した HTTR(High Temperature engineering Test 等を考慮して予防保全及び事後保全に保全方式を分類 Reactor)は、わが国唯一の高温ガス炉である。HTTR は、 し、さらに、予防保全ついて、時間基準保全及び状態 | 冷却材にはヘリウムガス、炉心の構造材には黒鉛など基準保全に分類している。 のセラミックスを使用している。また、燃料には二酸 の保全方式及び保全対象を定めるに当たっては、1時 化ウランを核としてその周囲を四重に被覆した被覆粒 間基準保全方式は、性能が確保されている段階での交 子燃料を使用している。 HTTR の冷却系統を図1に示 換による保全コストが増大、2状態基準保全は、現実 す。1次冷却設備には中間熱交換器(IHX)と1次加圧水的な管理基準を設けるための知見の蓄積等に時間が必 冷却器(PPWC)の二つの熱交換器がある。最大熱出力は要、3事後保全方式は、突発的な不具合に対する早急 30MW で、原子炉出口冷却材の最高温度は 950°Cであな対応が困難、等の特徴を考慮した。 り、2004年4月に到達した[1]。予防保全の対象は、安全機能の性質(異常の発生防止、 1. 本報では、高温ガス炉の保全技術開発に向けてこれ異常の影響緩和)及び安全機能の重要度による分類が までに HTTR で実施してきた保全内容を述べる。 されている機器、それに付随する部品としている。事後保全の対象は、安全機能の性質及び安全機能の重要 度による分類がされていない機器、それに付随する部 品としている。時間基準保全の対象は、保安上特に管理を必要とす る機器、すなわち、原子炉施設保安規定に基づく施設 定期自主検査の対象機器並びに回転機器の軸受等機器 に付随する部品としている。状態基準保全の対象は、 劣化の過程を把握できる検出器及び演算回路、LXHや PPWC 等の HTTR 特有の高温機器等としている。これらの部品等については、運転及び保全等から得られた 図1 HTTR の原子炉冷却系統経験に基づく知見を基に、判定基準の再設定、状態監 視技術の高度化に取組んでいる。HTTR においては、図2に示すように時間基準保全 方式及び状態基準保全方式の考慮すべき点(1と2)を
原子炉格納容器..
....2次ヘリウム担堂原子炉圧力容2次加圧水冷却器中同?交?器空気冷却器1次ヘリウム101加圧器1次加圧水冷却器補助冷却へCACH位1枚お知品1次ヘリウムポンプotog圧分散型原子炉格納容器2次ヘリウム担原子炉圧力容器2次加圧水冷却器ヘリウム中国???器空気冷却器1次ヘリウムof to1加圧知1次加圧水冷却【補助冷却器へ1改1次ヘリウム・商ポンプotog
- 33 HTTR では、設備の保全にあたり、安全上の重要度 等を考慮して予防保全及び事後保全に保全方式を分類 し、さらに、予防保全ついて、時間基準保全及び状態 し、さらに、予防保全ついて、時間基準保全及び状態 基準保全に分類している。 * 保全方式及び保全対象を定めるに当たっては、1時 間基準保全方式は、性能が確保されている段階での交 換による保全コストが増大、2状態基準保全は、現実 的な管理基準を設けるための知見の蓄積等に時間が必 要、3事後保全方式は、突発的な不具合に対する早急 な対応が困難、等の特徴を考慮した。予防保全の対象は、安全機能の性質(異常の発生防止、 異常の影響緩和)及び安全機能の重要度による分類が る分類が いる。事 されている機器、それに付随する部品としている。事 後保全の対象は、安全機能の性質及び安全機能の重要 度による分類がされていない機器、それに付随する部時間基準保全の対象は、保安上特に管理を必要とす る機器、すなわち、原子炉施設保安規定に基づく施設| 定期自主検査の対象機器並びに回転機器の軸受等機器 に付随する部品としている。状態基準保全の対象は、HTTR においては、図2に示すように時間基準保全 方式及び状態基準保全方式の考慮すべき点(1と2)を - 335 -相互補完させ、信頼性を確保した適切な部品交換頻度 の特定、維持管理コストの低減、保全期間の短縮等に よる保全の効率化並びに状態監視技術の開発による保 全の高度化を目指している。 - このため、状態基準保全の中で把握した劣化状態等 に係る知見を継続的に蓄積し、合理的な判定基準及び 状態監視技術を模索し、時間基準保全にフィードバッ クすることが不可欠であるという認識のもと、保全の 効率化及び高度化に向けた保全技術の開発に取組んで いる。保安上特に管理を 必要とする機器 ・異常発生防止 ・異常影響緩和施設定期自主検査 供用期間中検査(ISI) ・設備の性能維持 ・付随する部品交換予防保全時間基準保全1 相互補完 i,保全技術の開発事後保全状態基準保全保安上特に管理を 必要としない機器 ・予備品管理・状態監視技術の確立 ・設備の性能維持 ・劣化等に係る知見の蓄積 ・保全頻度の検証 ・部品交換基準の検証 ・予備品の性能維持保全の高度化・効率化図2 HTTR の保全概念3. HTTR 保全技術の開発・高度化HTTR でこれまで取組んできた保全技術の開発への 取り組みのうち、高温機器の ISI 技術の開発、後備停 止系駆動装置の健全性確認及び非常用発電設備のガ スタービン発電機の保全管理について示す。3.1 高温熱交換器の ISI 技術の開発 IHX 及び PPWC の伝熱管は、原子炉冷却材圧力バウ ンダリとして構造健全性が重要であるだけではなく、 後述するように新素材を使用していること等から、供 用中の健全性に係るデータは高温ガス炉開発上も重要 である。従って、状態監視技術の開発による保全の高 度化を目的に、IHX 及び PPWC 伝熱管の検査装置をそ れぞれ開発した。最初に IHX 伝熱管は、ヘリカルコイル型で、材質は、 原子力機構が三菱マテリアルと共同で開発したニッケ ル基耐熱耐食超合金(ハステロイ XR) [2]を使用して いる。また、伝熱管は、全長が約 25m、外径31.8mm、 厚さ 3.5mm で合計 96本あり、図3に示すように、最 内層から最外層まで約 47mm ピッチの6層で構成し、 管束支持板で支持している。内筒100管束支持板伝熱管図3 中間熱交換器伝熱管の構造図* 伝熱管の探傷は、渦流探傷試験で行うこととし、多 重周波数法を採用することで伝熱管支持部、溶接部の 影響を取除ける[3]ことはすでに示されていたため、本 開発ではその周波数が 20kHz及び40kHzが最適である ことを明らかにした。また、図4に示すように、形状の複雑な高温ヘッダ 部付近及び伝熱管全般を低温管板部から検査する二 種類の検出器挿入装置を製作した。検査装置の性能確 認のため、欠陥を有する模擬の伝熱管で試験を行った。 試験の結果、多重周波数法を用いたことで欠陥と伝熱 管支持部又は溶接部との区別が可能で、欠陥も伝熱管 の内面、外面共に 20%の減肉率を検出できることを示 した。開発した検査装置を用いて供用前検査を行い、IHX 伝熱管の初期データを取得した。今後、IHX の運転実 績に基づき、適切な時期に ISI を行いその健全性を確 認する予定である。1900/12/01制御装置データ処理装置日向檢出器插入装置 (低温管板部用)WINTERドリン?一中間?交?器は、検出器挿入装置(高温ヘッダ用)図4 伝熱管の検査イメージ図次に PPWC 伝熱管は、逆U 字型、材質は SUS321、 外径 25.4mm、厚さ 2.6mm で合計 136本ある。この伝 熱管の厚さは軽水炉における蒸気発生器伝熱管の厚 さの約2倍で、伝熱菅の高さ方向にバッフル板等を設 置している。このため、IHX 伝熱管と同様に、渦流探 傷試験で多重周波数法を採用(バッフル板等の影響を 取除く)し、その周波数を最適化することとした。 - 開発の結果[41、渦流探傷試験の探傷周波数は、図5 に示すように 30kHz で信号/ノイズ比が良好であり、 目標欠陥の検出も可能であった。 . 開発した装置を用いて供用前検査を行い、PPWC 伝 熱管の初期データを取得した。その後、定格出力到達 後にISIを行い、初期データとの比較等評価した結果、 PPWC 伝熱管は異常なく健全性が維持されていること を確認した。今後、運転実績に基づき ISI を行い、PPWC 伝熱管 の状態を確認していく予定である。“ “?高温ガス炉の保全技術の開発“ “古澤 孝之,本間 史隆,猪井 宏幸,澤畑 洋明,根本 隆弘,渡辺 周二,太田 幸丸
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