加圧水型原子力発電所における流体流れによる配管減肉事象のデータ分析について
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カテゴリ: 第5回
1. 緒言
日本機械学会は,2004年8月に関西電力美浜3号機で発 生した配管破断事故を踏まえて,流体流れによる配管減肉 事象の管理に関する規格を策定することが緊急の課題と して挙げられた. (社)日本機械学会はこれらの状況を踏 まえて発電用設備規格委員会の下に配管減肉対応特別夕 スクを設置し,配管減肉管理に関する基本的な要求事項を 取りまとめる「配管減肉管理に関する規格」(以下,「機能 性規格」という)の策定を行うとともに,この機能性規格 に適合するよう加圧水型原子力発電所の配管減肉管理に 対する技術的要求事項を取りまとめる「加圧水型原子力発 電所 配管減肉管理に関する技術規格」(JSME S NG1-2006, 以下,PWR規格という)の策定を行った. このPWR(加圧水型 原子力発電所)規格は,新たな知見を踏まえて、超音波厚 さ測定による管理手法,具体的には試験計画立案(試験対 象系統の選定,試験実施時期の設定),試験実施(通常測 定, 詳細測定),評価(減肉率評価, 余寿命評価),措置(補 修・取替)のプロセスを定めたものである.本論文では、このPWR規格の規格化のうち,適切に配管管理を行う為に 重要な,試験対象系統及び部位の選定,初期設定減肉率に 関する検討内容と技術的根拠についてまとめたものであ る.
2. PWR規格の基本的考え方 2.1 PWR規格策定前の配管減肉管理 -PWR事業者においては、昭和50年後半に一部プラントで エロージョン/コロージョンによる減肉が発生したことか ら,配管の肉厚調査が行われていたが,昭和61年12月の米 国サリー原子力発電所二次系配管破損事故を契機として, PWR事業者は肉厚調査範囲を拡大し,得られたデータをも とに配管減肉に関する管理方法を検討し,平成2年に「原子 力設備2次系配管の管理指針 (PWR)」(以下PWR事業者指針) を策定した. PWR事業者指針には、当時の測定データや技術 ・知見に基づき試験対象(系統及び部位) と試験頻度,判定基 準及び対策が規定されている.以降,本指針に基づき,配 管の肉厚管理が実施されてきた.
PWR事業者指針の試験対象範囲の考え方を表1に示す.温 度,湿り度,流速(以下,総称して「流体条件」という) に基づき試験対象系統を選定することとしており、この条 件は平成2年当時に得られていた測定データに基づき,有379意な減肉の発生有無を分析して決定されたものである.当 時の知見では、FACは一般的に温度150°C付近に減肉のピー クが有り,流速が大きいほど減肉傾向が大きくなると考え られており,それらを反映した試験対象系統となっている. また,この条件で抽出された試験対象系統に対する初期設 定減肉率については、当時の測定データを保守的に評価す ることにより得られた値が規定されている. 2.2 PWR規格における基本的な考え方今回,流体流れによる配管減肉事象のうち流れ加速型 腐食(FAC)に関する規格を定める事を基本方針とした.事 業者指針自体については十分な運用実績を有しており, 技術的な問題はなく管理されてきていることから,事業 者指針の基本的な考え方の妥当性を再度確認し,規格を 定めることとした.ただし, 事業者指針が策定されてから 現在に至るまで多くの試験データが得られていることか ら,それらの最新肉厚測定データを分析し,試験対象範 囲を明確化することとした.PWR 事業者指針は、FAC のみを対象とした管理規格とし て策定されたものであったが, PWR 規格では、想定する流 体流れによる減肉事象として,液滴衝撃エロージョンもFluid>200°C, <250°C250°CTable-1 The inspection fluid condition and initial FAC rate in PWR guidelineNumeric: Initial FAC rate (mm/10*hr) Wetness Flow velocity | <100°C |>100°C>150°C,<150°C <200°C <30 m/s <5% (Without drain)>30 m/s, <50 m/s >50 m/s<30m/s0.35<5 % (With drain)>30 m/s, <50 m/s1.15>50 m/sTwo-phase flow<30 m/s0.3525%, <15%>30 m/s, <50 m/s1.15>50 m/s1.15<30 m/sDownstream0.35of control >15% >30 m/s, <50 m/svalve only >50 m/s0.30 <3 m/sDownstream Waterof control Single-phase >3 m/s, <6m/s0.45valve and flowball check >6 m/svalve only10.30 O The inspection fluid condition of PWR guidelineFor downstream of control valve, multiply five to listed number. For ball check valve, multiply two to listed number.O対象としている. 液滴衝撃エロージョン(フラッシングエ ロージョン含む)は、高速二相流の系統で液適が配管壁面 に衝突し,発生する衝撃力により配管材料が減肉する事 象であり,流れ加速型腐食(FAC)とは、減肉のメカニズム が異なり,顕著に減肉が発生する系統も FAC とは異なる ことから,本規格の策定にあたり,あらためて検討がな された。液滴衝撃エロージョンの他に、配管内を流体が流れる ことにより発生する減肉事象として、キャビテーショ ン・エロージョンが考えられる。キャビテーション・エ ロージョンは、弁下流やオリフィス下流等の絞り部にお ける急激な局所減圧により飽和蒸気圧を下回って蒸気気 泡が発生し、配管壁面近傍で気泡が崩壊する際にきわめ て大きな衝撃圧を発生させ、配管材料が減肉する事象で あるが、PWR プラントの場合設計段階において、キャビテ ーション発生防止のための評価・確認を実施し、運手条 件を適切に維持することによりその発生を防止させる事 象であることから、本規格の対象外事象とした. なお、本論文では以降、FAC 事象に関する PWR 規格の考え 方を記す。 380_2.3 PWR規格の構成的根拠を示す. PWR規格の流れ加速型腐食 (FAC)による配管減肉の 3.1 FAC の影響因子 管理プロセスを図1に示す。一般に, FAC は、図2、3 に示すような温度,流速, 【試験計画】 測定対象系統,部位を定義し,測定対その他に湿り度,pH,溶存酸素,材料(主に Cr 含有 象に対して,試験実施時期を定義している.本論文で量)の各因子に依存することが知られているが, PWR は,試験計画に関する技術的根拠を示す.においては,これら因子のうち, pH についてはごく 【試験】 測定方法, 通常測定, 詳細測定の判断基準・ 一部を除きどの系統も同等に管理されていること, 溶 手法について定義している.存酸素については 5ppb 以下に管理されていることか 【評価】 測定データに関して,余寿命の評価手法をら, PWR 事業者指針ではこれら因子に基づき主要点検 定義している.また,得られた余寿命評価結果より, 系統を絞り込む手法を採用していない.また, 材料(主 次回の測定時期を決定することを定義している.に Cr 含有量)については配管要素ごとに違いがある 【措置】 配管の取替・保修方法を定義している。 ものの,上記流体条件は当時の測定データに基づき材料の違いが FAC に及ぼす影響を包絡するよう定めら 3. 配管減肉管理における技術的根拠れたものである。 配管減肉管理を行うためには,2.3項で示すような 図4に温度と減肉率の相関を示す.これは PWR 事業 試験計画,試験,評価,措置を適切な技術的根拠に基者指針に基づき採取された, PWR23 プラントの配管肉 づいて管理方法を定めることが必要となる.厚測定結果を,流速,相流がほぼ同一のグループに分 本項では、 配管減肉管理に重要な試験対象系統及び部 類し,温度と平均減肉率の相関を示したものである. 位の選定, 初回試験実施時期を決定する際に想定する比較的流速が早い復・給水,ヒータ水位制御弁下流 減肉率(初期設定減肉率)について, PWR23プラント。 配管は150°C付近に明確な減肉率のピークが見られ, の配管減肉管理により得られたデータに基づく, 技術 流速が遅い系統(ヒータ水位制御弁上流など)でも、同[INSPECTION PLANNING] [Inspection fluid condition and inspection pipe components] Select carbon steel pipe for the inspection fluid condition according to Table-1, and select inspection pipe components.[Inspection timing] Initial test: Set according to the initial FAC rate (Table-1), which is defined under the fluid condition Second inspection and after: Set to appropriate timing until the remaining life, which is calculated according to the measurementresults, becomes five years. If the calculated remaining life is under five years, set the timing at company's next periodical inspection.[INSPECTION] [Normal measurement Perform the ultrasonic thickness measurement at the measurement point depending on the pipe components.Yes[Detail measurement]Measured thickness is under the criteria.NoEVALUATIONCalculation of FAC ratel |1st: Nominal thickness method, 2nd: PtoP method, 3rd and after: Method of least squares[Calculation of remaining life]Method of least squaresCalculYes (Possible to continue operation)[Criteria] Is remaining life longer than the period to company's next periodicalinspection No (Impossible to continue operation)[ACTION][Replacement/repair]Fig.1 The process of pipe wall thinning management for FAC“)381じようなピークが得られた.減肉率の温度依存性について文献(図2)と比較する と,ほぼ同じ150°C付近にピーク位置を示しており傾 向は類似している.減肉率の流速依存性については文献(図3)同様に比 較的流速の遅いヒータドレン制御弁上流よりも流速 の速い復・給水管の減肉率が2~3倍になる等,高流速 側で減肉率が増加する傾向を示している.以上の結果から,PWR事業者指針で規定した温度, 湿り度,流速による試験対象範囲の選定(表1)は概ね 妥当と判断できることから,PWR規格においても,流 体条件マトリックスによる, 試験対象範囲を選定する こととした.000TTTFAC rate sug/cm2/h]FAC rate (ug/cm2/h]SCH4410 Cr Mo 90A 414 GD Carbon steel)Abi GrTI O. Mo) ● I4Or110C-1JM-24MbpsAZIS GIT12 ICQ Mo) KA21S BT2212.20~100)15020020*300Temperature [°C] Fig.2 The relation between temperature and FAC rate““Flow velocity (m/sec] Fig.3 The relation between flow velocity and FAC rate““? condensed/feed water pipedownstream of heater drain CVdownstream of drain pump discharge CV + downstream of vent orificedownstream of warming orificepolynomial(condensed/feed water pipe) ...polynomial(downstream of healer drain CV) 0.300 .... 。upstream of heater drain CV upstream of drain pump discharge CV upstream of vent orifice upstream of warming orificedrain tank balance pipe -- polynomial(upstream of heater drain CV)polynomial(upstream of drain pump discharge CV)0.250.2001Average FAC rato(mm/10'h)0.100 ;.・・・・・0.050....10,000 -<50°C50~100250S100~150150~200200~250Temperature(°C)Fig.4 The relation between temperature and FAC rate in plants (90° elbow)90° Elbow analysisMS drain pipe (MS - tank)Statistics value Average 10.102 Minimum10 Maximum0.94 Number of sample 255FrequencyFAC rate Fig.5 The relation between temperature and FAC rate inplants (90° elbow) 3.1.1 有効な実機データの選定 -PWR23プラントの肉厚測定結果から,減肉が発生す る範囲(系統)の設定を実施した.図5に湿分分離器ドレン系統の各減肉率の頻度分布 を一例に示す.この分布状況は平均減肉率0.102mm/ 10'hに対して左右対称の正規分布を示さず, 大きな減 肉率側に偏った形が特徴となっている.これらの傾向 は, 本系統以外でも認められており,特異な減肉率を 有する部位について詳細な検討を行った.図6に特異な減肉率を有する部位の肉厚測定実績の 一例を示す.本事例では, 過去に4回の計測実績が有り, 最大減肉率を示すポイントの肉厚変化は比較的直線 的である.最新計測結果の計測肉厚及び減肉率から求 めた製造時予想肉厚分布を示すが,最大減肉率 (0.50mm/104h) の部位(A-2) の製造時予想肉厚は他の 予想肉厚に比べて3mm程度厚くなっており,不連続部 分となっている.更に, 最大減肉率点(A-2)は開先加工 部分であり,他の部分(例えばB断面)より厚肉になる ことは考え難い.A-2部位は開先部分の計測であり,計 測点が徐々に溶接線側に移動したことが考えられ, デ ータの信頼性は低いと考えられる.このように,過去の測定データには,信頼性の低い ものが含まれている可能性があることから, 統計的手 法も用いて,有効なデータの抽出評価を行うこととした.3.1.2 滅肉が発生する範囲の設定 過去の測定データには,信頼性の低いものも含まれ ている可能性が有り、真に有意な減肉部位を選定する 為,以下の通りのプロセスを設定した.382Supposed initial thicknessraMeasurement pointsFAC rateView from upstream sideThicknessSupposed initial thickness (mm)Latest thicknessOperation hours (hr)Supposed initial thicknessFAC rateDiscontinuousMeasurement pointsView from upstream sideThickness (mm)Supposed initial thickness (mm)Latest thicknessNominal thicknessOperation hours (hr)Thickness (mm)10 Maximum FAC rate point (A-2).ABCDSection 小山中に出していたいこととは・エロタレン州に を実施している部位であれば, 測定実測値を元に配管 の余寿命を算出することは可能であるが,測定を実施 していない部位については,減肉率が不明の為,何ら かの減肉率を想定し余寿命を算出する必要があ る.PWR規格では、流体条件毎に過去の測定実績の最大減肉率を初期設定減肉率 (表2)として与え,初回測定 100000 110000 120000 1 30000 Operation hours (hr)時期を設定することとした.初期設定減肉率は過去の測定実績最大値を設定し Fig.6 Abnormality FAC rate case (Case2)た.しかしながら3.1.1に示すような, 信頼性の低いデ i)厚さ測定値による減肉系統の抽出配管の厚さ ータも含まれていることから, 3.1.2と同様の手法で, 山定値が1を下回ったデータについて測定値の経時 信頼性の高いデータ抽出し,その最大減肉率を初期設 変化や文献を確認するなどして,FACにより有意な減定減肉率として設定した. また、図7に示すように,同 国が発生した系統を抽出した.有意な減肉の有無を判 一系統内においても、特に減肉傾向が大きい部位が存 新するための基準としては、 下式で定義される判定基 在することから, 特定の部位で減肉率が著しく高い場 厚さtを用いた.合には、 当該部位に対して個別に初期設定減肉率を設 定した. Order FAC rateSpecificityDownstream elbow of ball (i) 厚さ測定値による減肉系統の抽出配管の厚さ 測定値が1を下回ったデータについて測定値の経時 変化や文献を確認するなどして, FACにより有意な減 肉が発生した系統を抽出した.有意な減肉の有無を判 断するための基準としては、 下式で定義される判定基 準厚さtを用いた. th: 管の製造上の最小厚さ:技術基準で定められた必要最小厚さ (ii) トラブル事例による系統の抽出 原子力施設情 報公開ライブラリー(NUCIA)からPWRトラブル事例を 調査し, FACにより有意な減肉が発生した系統を抽出 した. ブル事例による系統の抽出 原子力施設情 イブラリー (NUCIA)からPWRトラブル事例を FACにより有意な減肉が発生した系統を抽出-1・プリングによる確認判定基準厚さい。やトラ(ii) サンプリングによる確認判定基準厚さ やトラ ブルの観点から抽出されなかった系統についても, 念 のため比較的大きな減肉率を示した測定データを抽 出した.信頼性にかけるデータも含まれていることか ら,肉厚変化の直線性確認、減肉率分布の確認、初期 肉厚分布の確認を、統計的手法を用いることにより有 効なデータを抽出した。 3.2 試験実施時期 試験実施時期は,それぞれの試験対象部位の減肉率 を用いて必要最小厚さに至る期間(余寿命)を予測し, 出した. 信頼性にかけるデータも含まれていることか ら,肉厚変化の直線性確認、減肉率分布の確認、初期 肉厚分布の確認を、統計的手法を用いることにより有 効なデータを抽出した。 3.2 試験実施時期 試験実施時期は,それぞれの試験対象部位の減肉率( Heat exchangerHeateHeat exchangerHeatFig. 7 Difference of FAC rate in samefluid condition (Example)DiscontinuousNominal thicknc 91BABSectionを実施している部位であれば、測定実測値を元に配管 の余寿命を算出することは可能であるが,測定を実施 していない部位については,減肉率が不明の為,何ら かの減肉率を想定し余寿命を算出する必要があ る.PWR規格では、流体条件毎に過去の測定実績の最大 減肉率を初期設定減肉率(表2)として与え,初回測定 時期を設定することとした. - 初期設定減肉率は過去の測定実績最大値を設定し た.しかしながら3.1.1に示すような, 信頼性の低いデ ータも含まれていることから, 3.1.2と同様の手法で, 信頼性の高いデータ抽出し,その最大減肉率を初期設 定減肉率として設定した.また、図7に示すように,同 一系統内においても、特に減肉傾向が大きい部位が存 在することから,特定の部位で減肉率が著しく高い場 合には,当該部位に対して個別に初期設定減肉率を設 定した. Order | FAC rate 1.27Downstream elbow of ballcheck valve | 4 |Downstream elbow of ball 0.92 |check valve | 3 | 0.691Normal elbowicity(Normal elbow)( Heat exchangerHeat exchanger- 383 -Table-2 The inspection fluid condition and initial FAC rate of PWR standard Numeric: Initial FAC rate (mm/104h) (: specific pipe components such as downstream straight pipe of control valve Fluid WetnessFluid velocity T RO >50°C, | >100°C | >150°C | >200°CT>250°C | <100°C | <150°C | <200°C | <250°C | <30 m/s <5% (Without drain) | 230 m/s, <50 m/s | | || >50 m/s0.18 <30 m/s(0.23 0.230.26(0.71) <5% (With drain)>30 m/s, <50 m/s Two-phase >50 m/s- flow<30 m/s| | 0.24 | 0.8 | 1.25 | >5%, <15% >30m/s, <50 m/s- | 0.39>50 m/s0.8|1.13<30 m/s0.13 | 0.44 | 0.76 | 02:11 | 08:35)0.760.440.760.51 (0.85)>15%>30 m/s, <50 m/s0.44>50m/s<3m/s| 0.82 | 0.27 | 0.3 | 0.58 | 0.31 Water0.77 0.94 Single-phase>3 m/s, <6 m/s0.520.4(1.13) (1.28) flow26 m/s Inspection needs all system in the fluid condition Inspection needs only the specific system in the fluid condition Fluid condition without corresponding system in PWR plant (only the condition which defines that fluid condition of slower flow velocity is the inspections condition)積されていくことから,定期的に規格の見直しを検 4. 結言PWR 規格の策定では, PWR 事業者指針が策定されて討することが適切と考えられる。 から現在に至るまで得られた多くの肉厚測定データ参考文献 を分析することにより,試験対象範囲及び初期設定 減肉率等について,最新の知見の反映を行った。そ (1) H. G. Heitmann and P. Schub, Proc. of the 3rd の結果,試験対象範囲については,最新の測定デー meeting on Water Chemistry of Nuclear タを反映することにより,より安全側に 50°C~ Reactors, BNES, London, p.243,1983 100°Cの水単相流や 100°C~150°Cの二相流において (2) H. G. Heitmann and W. Kastner, VGB 試験対象範囲を広げることとした。また,初期設定 Kraftwerkstechnik, Vol.62, No.3, p.211, 1982 減肉率については,蓄積されたデータの最大値で再 (3) 日本原子力学会編,原子炉水化学ハンドブック, 設定することにより,より安全側に設定するととも コ ロナ社, p.225, 2000 に,流速区分を細分化することで管理精度を向上さ (4) The Japan Society of Mechanical Engineers, Codes for せることができた。Nuclear Power Generation Facilities, JSMES 上記内容の規格化検討にあたっては、製作時の溶 CA1-2005, Rules on Pipe Wall Thinning 接線近傍での開先加工の要因等により,一部のデー Management(2005) タに有効でないデータが含まれていたことから,統 (5) The Japan Society of Mechanical Engineers, Codes for 計的手法を活用し,多くの実機データの中から有効 Nuclear Power Generation Facilities, JSME S なデータを抽出することにより,より信頼性の高い NG1-2006, Rules on Pipe Wall Thinning Management データ分析となるよう考慮した。for PWR Power Plants (2006) 本規格では,現時点の可能な限りの最新の知見に基 (6) Japanese PWR utilities, Guideline for づき検討を行ったが,配管減肉事象については,今 Management of Pipe Wall Thinning in PWR 後,本規格に基づく測定により,今後もデータが蓄 Secondary System(1990)384“ “?加圧水型原子力発電所における 流体流れによる配管減肉事象のデータ分析について“ “山上 勝彦,Katsuhiko YAMAKAMI,平野 伸朗,Shinro HIRANO,中村 隆夫,Takao NAKAMURA
日本機械学会は,2004年8月に関西電力美浜3号機で発 生した配管破断事故を踏まえて,流体流れによる配管減肉 事象の管理に関する規格を策定することが緊急の課題と して挙げられた. (社)日本機械学会はこれらの状況を踏 まえて発電用設備規格委員会の下に配管減肉対応特別夕 スクを設置し,配管減肉管理に関する基本的な要求事項を 取りまとめる「配管減肉管理に関する規格」(以下,「機能 性規格」という)の策定を行うとともに,この機能性規格 に適合するよう加圧水型原子力発電所の配管減肉管理に 対する技術的要求事項を取りまとめる「加圧水型原子力発 電所 配管減肉管理に関する技術規格」(JSME S NG1-2006, 以下,PWR規格という)の策定を行った. このPWR(加圧水型 原子力発電所)規格は,新たな知見を踏まえて、超音波厚 さ測定による管理手法,具体的には試験計画立案(試験対 象系統の選定,試験実施時期の設定),試験実施(通常測 定, 詳細測定),評価(減肉率評価, 余寿命評価),措置(補 修・取替)のプロセスを定めたものである.本論文では、このPWR規格の規格化のうち,適切に配管管理を行う為に 重要な,試験対象系統及び部位の選定,初期設定減肉率に 関する検討内容と技術的根拠についてまとめたものであ る.
2. PWR規格の基本的考え方 2.1 PWR規格策定前の配管減肉管理 -PWR事業者においては、昭和50年後半に一部プラントで エロージョン/コロージョンによる減肉が発生したことか ら,配管の肉厚調査が行われていたが,昭和61年12月の米 国サリー原子力発電所二次系配管破損事故を契機として, PWR事業者は肉厚調査範囲を拡大し,得られたデータをも とに配管減肉に関する管理方法を検討し,平成2年に「原子 力設備2次系配管の管理指針 (PWR)」(以下PWR事業者指針) を策定した. PWR事業者指針には、当時の測定データや技術 ・知見に基づき試験対象(系統及び部位) と試験頻度,判定基 準及び対策が規定されている.以降,本指針に基づき,配 管の肉厚管理が実施されてきた.
PWR事業者指針の試験対象範囲の考え方を表1に示す.温 度,湿り度,流速(以下,総称して「流体条件」という) に基づき試験対象系統を選定することとしており、この条 件は平成2年当時に得られていた測定データに基づき,有379意な減肉の発生有無を分析して決定されたものである.当 時の知見では、FACは一般的に温度150°C付近に減肉のピー クが有り,流速が大きいほど減肉傾向が大きくなると考え られており,それらを反映した試験対象系統となっている. また,この条件で抽出された試験対象系統に対する初期設 定減肉率については、当時の測定データを保守的に評価す ることにより得られた値が規定されている. 2.2 PWR規格における基本的な考え方今回,流体流れによる配管減肉事象のうち流れ加速型 腐食(FAC)に関する規格を定める事を基本方針とした.事 業者指針自体については十分な運用実績を有しており, 技術的な問題はなく管理されてきていることから,事業 者指針の基本的な考え方の妥当性を再度確認し,規格を 定めることとした.ただし, 事業者指針が策定されてから 現在に至るまで多くの試験データが得られていることか ら,それらの最新肉厚測定データを分析し,試験対象範 囲を明確化することとした.PWR 事業者指針は、FAC のみを対象とした管理規格とし て策定されたものであったが, PWR 規格では、想定する流 体流れによる減肉事象として,液滴衝撃エロージョンもFluid>200°C, <250°C250°CTable-1 The inspection fluid condition and initial FAC rate in PWR guidelineNumeric: Initial FAC rate (mm/10*hr) Wetness Flow velocity | <100°C |>100°C>150°C,<150°C <200°C <30 m/s <5% (Without drain)>30 m/s, <50 m/s >50 m/s<30m/s0.35<5 % (With drain)>30 m/s, <50 m/s1.15>50 m/sTwo-phase flow<30 m/s0.3525%, <15%>30 m/s, <50 m/s1.15>50 m/s1.15<30 m/sDownstream0.35of control >15% >30 m/s, <50 m/svalve only >50 m/s0.30 <3 m/sDownstream Waterof control Single-phase >3 m/s, <6m/s0.45valve and flowball check >6 m/svalve only10.30 O The inspection fluid condition of PWR guidelineFor downstream of control valve, multiply five to listed number. For ball check valve, multiply two to listed number.O対象としている. 液滴衝撃エロージョン(フラッシングエ ロージョン含む)は、高速二相流の系統で液適が配管壁面 に衝突し,発生する衝撃力により配管材料が減肉する事 象であり,流れ加速型腐食(FAC)とは、減肉のメカニズム が異なり,顕著に減肉が発生する系統も FAC とは異なる ことから,本規格の策定にあたり,あらためて検討がな された。液滴衝撃エロージョンの他に、配管内を流体が流れる ことにより発生する減肉事象として、キャビテーショ ン・エロージョンが考えられる。キャビテーション・エ ロージョンは、弁下流やオリフィス下流等の絞り部にお ける急激な局所減圧により飽和蒸気圧を下回って蒸気気 泡が発生し、配管壁面近傍で気泡が崩壊する際にきわめ て大きな衝撃圧を発生させ、配管材料が減肉する事象で あるが、PWR プラントの場合設計段階において、キャビテ ーション発生防止のための評価・確認を実施し、運手条 件を適切に維持することによりその発生を防止させる事 象であることから、本規格の対象外事象とした. なお、本論文では以降、FAC 事象に関する PWR 規格の考え 方を記す。 380_2.3 PWR規格の構成的根拠を示す. PWR規格の流れ加速型腐食 (FAC)による配管減肉の 3.1 FAC の影響因子 管理プロセスを図1に示す。一般に, FAC は、図2、3 に示すような温度,流速, 【試験計画】 測定対象系統,部位を定義し,測定対その他に湿り度,pH,溶存酸素,材料(主に Cr 含有 象に対して,試験実施時期を定義している.本論文で量)の各因子に依存することが知られているが, PWR は,試験計画に関する技術的根拠を示す.においては,これら因子のうち, pH についてはごく 【試験】 測定方法, 通常測定, 詳細測定の判断基準・ 一部を除きどの系統も同等に管理されていること, 溶 手法について定義している.存酸素については 5ppb 以下に管理されていることか 【評価】 測定データに関して,余寿命の評価手法をら, PWR 事業者指針ではこれら因子に基づき主要点検 定義している.また,得られた余寿命評価結果より, 系統を絞り込む手法を採用していない.また, 材料(主 次回の測定時期を決定することを定義している.に Cr 含有量)については配管要素ごとに違いがある 【措置】 配管の取替・保修方法を定義している。 ものの,上記流体条件は当時の測定データに基づき材料の違いが FAC に及ぼす影響を包絡するよう定めら 3. 配管減肉管理における技術的根拠れたものである。 配管減肉管理を行うためには,2.3項で示すような 図4に温度と減肉率の相関を示す.これは PWR 事業 試験計画,試験,評価,措置を適切な技術的根拠に基者指針に基づき採取された, PWR23 プラントの配管肉 づいて管理方法を定めることが必要となる.厚測定結果を,流速,相流がほぼ同一のグループに分 本項では、 配管減肉管理に重要な試験対象系統及び部 類し,温度と平均減肉率の相関を示したものである. 位の選定, 初回試験実施時期を決定する際に想定する比較的流速が早い復・給水,ヒータ水位制御弁下流 減肉率(初期設定減肉率)について, PWR23プラント。 配管は150°C付近に明確な減肉率のピークが見られ, の配管減肉管理により得られたデータに基づく, 技術 流速が遅い系統(ヒータ水位制御弁上流など)でも、同[INSPECTION PLANNING] [Inspection fluid condition and inspection pipe components] Select carbon steel pipe for the inspection fluid condition according to Table-1, and select inspection pipe components.[Inspection timing] Initial test: Set according to the initial FAC rate (Table-1), which is defined under the fluid condition Second inspection and after: Set to appropriate timing until the remaining life, which is calculated according to the measurementresults, becomes five years. If the calculated remaining life is under five years, set the timing at company's next periodical inspection.[INSPECTION] [Normal measurement Perform the ultrasonic thickness measurement at the measurement point depending on the pipe components.Yes[Detail measurement]Measured thickness is under the criteria.NoEVALUATIONCalculation of FAC ratel |1st: Nominal thickness method, 2nd: PtoP method, 3rd and after: Method of least squares[Calculation of remaining life]Method of least squaresCalculYes (Possible to continue operation)[Criteria] Is remaining life longer than the period to company's next periodicalinspection No (Impossible to continue operation)[ACTION][Replacement/repair]Fig.1 The process of pipe wall thinning management for FAC“)381じようなピークが得られた.減肉率の温度依存性について文献(図2)と比較する と,ほぼ同じ150°C付近にピーク位置を示しており傾 向は類似している.減肉率の流速依存性については文献(図3)同様に比 較的流速の遅いヒータドレン制御弁上流よりも流速 の速い復・給水管の減肉率が2~3倍になる等,高流速 側で減肉率が増加する傾向を示している.以上の結果から,PWR事業者指針で規定した温度, 湿り度,流速による試験対象範囲の選定(表1)は概ね 妥当と判断できることから,PWR規格においても,流 体条件マトリックスによる, 試験対象範囲を選定する こととした.000TTTFAC rate sug/cm2/h]FAC rate (ug/cm2/h]SCH4410 Cr Mo 90A 414 GD Carbon steel)Abi GrTI O. Mo) ● I4Or110C-1JM-24MbpsAZIS GIT12 ICQ Mo) KA21S BT2212.20~100)15020020*300Temperature [°C] Fig.2 The relation between temperature and FAC rate““Flow velocity (m/sec] Fig.3 The relation between flow velocity and FAC rate““? condensed/feed water pipedownstream of heater drain CVdownstream of drain pump discharge CV + downstream of vent orificedownstream of warming orificepolynomial(condensed/feed water pipe) ...polynomial(downstream of healer drain CV) 0.300 .... 。upstream of heater drain CV upstream of drain pump discharge CV upstream of vent orifice upstream of warming orificedrain tank balance pipe -- polynomial(upstream of heater drain CV)polynomial(upstream of drain pump discharge CV)0.250.2001Average FAC rato(mm/10'h)0.100 ;.・・・・・0.050....10,000 -<50°C50~100250S100~150150~200200~250Temperature(°C)Fig.4 The relation between temperature and FAC rate in plants (90° elbow)90° Elbow analysisMS drain pipe (MS - tank)Statistics value Average 10.102 Minimum10 Maximum0.94 Number of sample 255FrequencyFAC rate Fig.5 The relation between temperature and FAC rate inplants (90° elbow) 3.1.1 有効な実機データの選定 -PWR23プラントの肉厚測定結果から,減肉が発生す る範囲(系統)の設定を実施した.図5に湿分分離器ドレン系統の各減肉率の頻度分布 を一例に示す.この分布状況は平均減肉率0.102mm/ 10'hに対して左右対称の正規分布を示さず, 大きな減 肉率側に偏った形が特徴となっている.これらの傾向 は, 本系統以外でも認められており,特異な減肉率を 有する部位について詳細な検討を行った.図6に特異な減肉率を有する部位の肉厚測定実績の 一例を示す.本事例では, 過去に4回の計測実績が有り, 最大減肉率を示すポイントの肉厚変化は比較的直線 的である.最新計測結果の計測肉厚及び減肉率から求 めた製造時予想肉厚分布を示すが,最大減肉率 (0.50mm/104h) の部位(A-2) の製造時予想肉厚は他の 予想肉厚に比べて3mm程度厚くなっており,不連続部 分となっている.更に, 最大減肉率点(A-2)は開先加工 部分であり,他の部分(例えばB断面)より厚肉になる ことは考え難い.A-2部位は開先部分の計測であり,計 測点が徐々に溶接線側に移動したことが考えられ, デ ータの信頼性は低いと考えられる.このように,過去の測定データには,信頼性の低い ものが含まれている可能性があることから, 統計的手 法も用いて,有効なデータの抽出評価を行うこととした.3.1.2 滅肉が発生する範囲の設定 過去の測定データには,信頼性の低いものも含まれ ている可能性が有り、真に有意な減肉部位を選定する 為,以下の通りのプロセスを設定した.382Supposed initial thicknessraMeasurement pointsFAC rateView from upstream sideThicknessSupposed initial thickness (mm)Latest thicknessOperation hours (hr)Supposed initial thicknessFAC rateDiscontinuousMeasurement pointsView from upstream sideThickness (mm)Supposed initial thickness (mm)Latest thicknessNominal thicknessOperation hours (hr)Thickness (mm)10 Maximum FAC rate point (A-2).ABCDSection 小山中に出していたいこととは・エロタレン州に を実施している部位であれば, 測定実測値を元に配管 の余寿命を算出することは可能であるが,測定を実施 していない部位については,減肉率が不明の為,何ら かの減肉率を想定し余寿命を算出する必要があ る.PWR規格では、流体条件毎に過去の測定実績の最大減肉率を初期設定減肉率 (表2)として与え,初回測定 100000 110000 120000 1 30000 Operation hours (hr)時期を設定することとした.初期設定減肉率は過去の測定実績最大値を設定し Fig.6 Abnormality FAC rate case (Case2)た.しかしながら3.1.1に示すような, 信頼性の低いデ i)厚さ測定値による減肉系統の抽出配管の厚さ ータも含まれていることから, 3.1.2と同様の手法で, 山定値が1を下回ったデータについて測定値の経時 信頼性の高いデータ抽出し,その最大減肉率を初期設 変化や文献を確認するなどして,FACにより有意な減定減肉率として設定した. また、図7に示すように,同 国が発生した系統を抽出した.有意な減肉の有無を判 一系統内においても、特に減肉傾向が大きい部位が存 新するための基準としては、 下式で定義される判定基 在することから, 特定の部位で減肉率が著しく高い場 厚さtを用いた.合には、 当該部位に対して個別に初期設定減肉率を設 定した. Order FAC rateSpecificityDownstream elbow of ball (i) 厚さ測定値による減肉系統の抽出配管の厚さ 測定値が1を下回ったデータについて測定値の経時 変化や文献を確認するなどして, FACにより有意な減 肉が発生した系統を抽出した.有意な減肉の有無を判 断するための基準としては、 下式で定義される判定基 準厚さtを用いた. th: 管の製造上の最小厚さ:技術基準で定められた必要最小厚さ (ii) トラブル事例による系統の抽出 原子力施設情 報公開ライブラリー(NUCIA)からPWRトラブル事例を 調査し, FACにより有意な減肉が発生した系統を抽出 した. ブル事例による系統の抽出 原子力施設情 イブラリー (NUCIA)からPWRトラブル事例を FACにより有意な減肉が発生した系統を抽出-1・プリングによる確認判定基準厚さい。やトラ(ii) サンプリングによる確認判定基準厚さ やトラ ブルの観点から抽出されなかった系統についても, 念 のため比較的大きな減肉率を示した測定データを抽 出した.信頼性にかけるデータも含まれていることか ら,肉厚変化の直線性確認、減肉率分布の確認、初期 肉厚分布の確認を、統計的手法を用いることにより有 効なデータを抽出した。 3.2 試験実施時期 試験実施時期は,それぞれの試験対象部位の減肉率 を用いて必要最小厚さに至る期間(余寿命)を予測し, 出した. 信頼性にかけるデータも含まれていることか ら,肉厚変化の直線性確認、減肉率分布の確認、初期 肉厚分布の確認を、統計的手法を用いることにより有 効なデータを抽出した。 3.2 試験実施時期 試験実施時期は,それぞれの試験対象部位の減肉率( Heat exchangerHeateHeat exchangerHeatFig. 7 Difference of FAC rate in samefluid condition (Example)DiscontinuousNominal thicknc 91BABSectionを実施している部位であれば、測定実測値を元に配管 の余寿命を算出することは可能であるが,測定を実施 していない部位については,減肉率が不明の為,何ら かの減肉率を想定し余寿命を算出する必要があ る.PWR規格では、流体条件毎に過去の測定実績の最大 減肉率を初期設定減肉率(表2)として与え,初回測定 時期を設定することとした. - 初期設定減肉率は過去の測定実績最大値を設定し た.しかしながら3.1.1に示すような, 信頼性の低いデ ータも含まれていることから, 3.1.2と同様の手法で, 信頼性の高いデータ抽出し,その最大減肉率を初期設 定減肉率として設定した.また、図7に示すように,同 一系統内においても、特に減肉傾向が大きい部位が存 在することから,特定の部位で減肉率が著しく高い場 合には,当該部位に対して個別に初期設定減肉率を設 定した. Order | FAC rate 1.27Downstream elbow of ballcheck valve | 4 |Downstream elbow of ball 0.92 |check valve | 3 | 0.691Normal elbowicity(Normal elbow)( Heat exchangerHeat exchanger- 383 -Table-2 The inspection fluid condition and initial FAC rate of PWR standard Numeric: Initial FAC rate (mm/104h) (: specific pipe components such as downstream straight pipe of control valve Fluid WetnessFluid velocity T RO >50°C, | >100°C | >150°C | >200°CT>250°C | <100°C | <150°C | <200°C | <250°C | <30 m/s <5% (Without drain) | 230 m/s, <50 m/s | | || >50 m/s0.18 <30 m/s(0.23 0.230.26(0.71) <5% (With drain)>30 m/s, <50 m/s Two-phase >50 m/s- flow<30 m/s| | 0.24 | 0.8 | 1.25 | >5%, <15% >30m/s, <50 m/s- | 0.39>50 m/s0.8|1.13<30 m/s0.13 | 0.44 | 0.76 | 02:11 | 08:35)0.760.440.760.51 (0.85)>15%>30 m/s, <50 m/s0.44>50m/s<3m/s| 0.82 | 0.27 | 0.3 | 0.58 | 0.31 Water0.77 0.94 Single-phase>3 m/s, <6 m/s0.520.4(1.13) (1.28) flow26 m/s Inspection needs all system in the fluid condition Inspection needs only the specific system in the fluid condition Fluid condition without corresponding system in PWR plant (only the condition which defines that fluid condition of slower flow velocity is the inspections condition)積されていくことから,定期的に規格の見直しを検 4. 結言PWR 規格の策定では, PWR 事業者指針が策定されて討することが適切と考えられる。 から現在に至るまで得られた多くの肉厚測定データ参考文献 を分析することにより,試験対象範囲及び初期設定 減肉率等について,最新の知見の反映を行った。そ (1) H. G. Heitmann and P. Schub, Proc. of the 3rd の結果,試験対象範囲については,最新の測定デー meeting on Water Chemistry of Nuclear タを反映することにより,より安全側に 50°C~ Reactors, BNES, London, p.243,1983 100°Cの水単相流や 100°C~150°Cの二相流において (2) H. G. Heitmann and W. Kastner, VGB 試験対象範囲を広げることとした。また,初期設定 Kraftwerkstechnik, Vol.62, No.3, p.211, 1982 減肉率については,蓄積されたデータの最大値で再 (3) 日本原子力学会編,原子炉水化学ハンドブック, 設定することにより,より安全側に設定するととも コ ロナ社, p.225, 2000 に,流速区分を細分化することで管理精度を向上さ (4) The Japan Society of Mechanical Engineers, Codes for せることができた。Nuclear Power Generation Facilities, JSMES 上記内容の規格化検討にあたっては、製作時の溶 CA1-2005, Rules on Pipe Wall Thinning 接線近傍での開先加工の要因等により,一部のデー Management(2005) タに有効でないデータが含まれていたことから,統 (5) The Japan Society of Mechanical Engineers, Codes for 計的手法を活用し,多くの実機データの中から有効 Nuclear Power Generation Facilities, JSME S なデータを抽出することにより,より信頼性の高い NG1-2006, Rules on Pipe Wall Thinning Management データ分析となるよう考慮した。for PWR Power Plants (2006) 本規格では,現時点の可能な限りの最新の知見に基 (6) Japanese PWR utilities, Guideline for づき検討を行ったが,配管減肉事象については,今 Management of Pipe Wall Thinning in PWR 後,本規格に基づく測定により,今後もデータが蓄 Secondary System(1990)384“ “?加圧水型原子力発電所における 流体流れによる配管減肉事象のデータ分析について“ “山上 勝彦,Katsuhiko YAMAKAMI,平野 伸朗,Shinro HIRANO,中村 隆夫,Takao NAKAMURA