研究用原子炉JRR-3における状態監視法に基づく保全活動

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カテゴリ: 第5回
1.緒言
JRR-3 はわが国の原子力技術の開発と向上を目的 として昭和 34 年に建設が開始され、昭和 38 年に臨 界を迎えた。その後、利用要望への対応等により大 規模な改造を経て、平成2年に改造後の臨界を迎え た。JRR-3 は改造後の運転開始後、15 年以上が経過 しているが、大きなトラブルがなく安全安定に原子 炉を稼動しており、これは適切な保安活動及び保全 が行われてきたためと考えている。しかし、改造後 15 年以上経過した現在、高経年化を念頭に置いた保 守を検討しなければならない時期にある一方で、予 算及び人員が削減されており現状の保守をそのまま。 継続していくことは厳しい状況にある。このような ことから、保全すべき機器に対して効率的であり、 かつ安全性及び信頼性を損なうことがない保全方法 を検討する必要がある。本発表では JRR-3 における 効率的な保全活動の検討と実際の保全活動について 発表する。きるが、交換する状態の基準を知る或いは設定しな ければならない。 3事後保全については、使用期間中は点検費用がか からないが、設備が機能不全になるため、再設置に かかる費用がかさみ修理までに長期間を要する点で ある。JRR-3 においてはこれまで、時間計画保全と事後 保全を軸に保全活動を行ってきた。しかし、平成 17 年度から主として事後保全によって管理していた設 備機器のトラブルが目立ち始めた。このような状況 と、予算及び人員の削減もあり、より効率的な保全 活動方法を検討する必要がある。そこで、JRR-3 に おいては状態監視保全を適用していなかった機器に ついて、それを適用できる機器を検討するとともに、 時間計画保全されている機器について過剰な保全に なっていないかの検討と、状態監視保全に移行でき るかどうかの検討を行った。
3. 状態監視保全可能な機器の検討
2.保全活動方法の検討JRR-3 においてこれまで行われてきた保全活動を 大別すると、1時間計画保全、2状態監視保全、3 事後保全の三つがある。それぞれの特徴を纏めると。 1時間計画保全は分解点検等の計画立案が容易であ るが、機器寿命を最大限に活かすことが出来ない。 2状態監視保全は機器寿命を最大限活かすことがで状態監視保全が可能な機器は大まかにいって、 1機器の状態がその劣化具合に応じて変化すること 2故障に至るまでの変化が観測(目視、計測等)で きること 3交換する基準が存在することを満たさなければならないと考える。これらの条 件を満たす物と、満たさない物の例を考えてみると、 満たす物の例としては電池が挙げられる。電池は能- 393 - 15 年以上経過した現在、高経年化を念頭に置いた保 守を検討しなければならない時期にある一方で、予 算及び人員が削減されており現状の保守をそのまま 継続していくことは厳しい状況にある。このような ことから、保全すべき機器に対して効率的であり、 を検討する必要がある。本発表では JRR-3 における 効率的な保全活動の検討と実際の保全活動についてJRR-3 においてこれまで行われてきた保全活動を 大別すると、1時間計画保全、2状態監視保全、3 事後保全の三つがある。それぞれの特徴を纏めると。 1時間計画保全は分解点検等の計画立案が容易であ るが、機器寿命を最大限に活かすことが出来ない。 2状態監視保全は機器寿命を最大限活かすことがでour 3事後保全については、使用期間中は点検費用がか からないが、設備が機能不全になるため、再設置に かかる費用がかさみ修理までに長期間を要する点で 年度から主として事後保全によって管理していた設! 備機器のトラブルが目立ち始めた。このような状況 と、予算及び人員の削減もあり、より効率的な保全 活動方法を検討する必要がある。そこで、JRR-3 に おいては状態監視保全を適用していなかった機器に ついて、それを適用できる機器を検討するとともに、 時間計画保全されている機器について過剰な保全に状態監視保全が可能な機器は大まかにいって、 1機器の状態がその劣化具合に応じて変化する。 2故障に至るまでの変化が観測 (目視、計測等) - 393 -力の低下に従い、電圧の低下という状態の変化があ る、またその電圧の低下は電球の輝度の低下やある いは、直接測定することにより容易に認識すること ができる。また交換基準も輝度や電圧で設定するこ とができる。満たさない物の例としては、半導体部 品である IC に含まれた極微量の放射性物質が放出 した a線が素子を破壊する事例がある。この場合、 IC の状態は正常から故障に瞬時に移行しており、故 障にいたるまでの変化が観測出来ない例である。 ・ これまでの運転の中での状態監視については、ポ ンプを代表とする回転機器の振動診断及び潤滑油の 汚染監視については JRR-3 においても行ってきた。 ただし、ポンプは推奨保守間隔内での時間計画保全 も重複して行われている箇所も多い。JRR-3 において上記以外の機器で状態監視保全可 能な機器を検討した結果、代表的な例として以下の 機器に関して状態監視保全を行うことができ、また これまでもその経時変化を取得し管理してきた。 1 中性子計装設備低圧電源 2 ベリリウム反射体1に関しては出力電圧に含まれるリップル値があ る一定値を超えると交換という一つの基準を設定で き、リップル値は測定可能である。2はその変形量 で交換時期を設定でき、変形量も測定可能である。 これらの機器の劣化進行を定性的に考えてみれば、 1に関しては、低圧電源に含まれるアルミ電解コン デンサーが劣化し、出力電圧のリップル電圧が大き くなると考えられる。2については、高速中性子に よるスエリングによって変形し、隣接する構造体と 接触する恐れが考えられる。4. 状態監視保全活動の実際- 一般的に広く行われている、振動、潤滑油診断に 関して最初に述べる。振動診断が行われている主要 な機器としては1次冷却材主ポンプ、補助ポンプ、2 次冷却材主ポンプがある。これらの振動については 制御室での遠隔監視が常時行う事ができ、1次冷却 材主ポンプについては振動が 50 u mp-p を超える恐 れのある場合は停止するという形で状態監視保全を 行っている。潤滑油診断が行われている主要な機器 としては線量が高く運転中に立ち入れない区画にあ る1次冷却系のポンプを除き広く行われている。診断に於いては色だけでなく、そのレベルも同時に監 視している。これまでの運転の中で潤滑油の色の異 常が認められたことはなかったが、線量の高い区画 に設置してある機器のオイルレベルが低下したため に、臨時で監視カメラを設置して状態を監視、オイ ルレベルに応じて補給を行い運転した経験がある。 - 中性子計装設備低圧電源 (電圧は 5, ± 15, 24V の 4 種類)のリップル値測定は毎年の定期点検の中で測 定されており、その値は毎年 2~4mVp-p である。メ ーカー公称のリップル値は 2mVp-p であるが、リップ ル及び経時ドリフトによる総合の電圧変動は±2%以 内である。これを元に一つの基準を設定すると、 100mVp-pのリップル値が許容できる最大レベルであ ると思われ、毎年測定されているリップル値は許容 範囲内に十分に収まっている。この機器に関しても ポンプと同様に時間基準保全も平行して行っており、 メーカー公称の MTBF (84000時間:約9年半)内で交換を行っている。次にベリリウム反射体の 160 寸法管理に関して紹介する。 図1 に JRR-3 の炉心概要図 を示す。四角内に「燃」と 図1 JRR-3 炉心概要記されている 部分は全て燃料要素であり、黒塗りの部分は制御棒 である。そして、ベリリウム反射体はこれらを取り 囲むように炉心に詰められている。図2に年度ごと のベリリウム反射体の最大変形量を示す。最大変形 量は隣接する燃料との間隙寸法である 1.6mm を下回 るように保全を行ってきており、管理値に近づいた 平成14年にベリリウム反射体を全数交換した。ベリリウム反射体曲がり測定(年度毎の変化)ベリリウム反射体1.61管理維1.6m(隣接する燃料との間寸法)1.4|1.2最大変形量0.4 0.2 0.0SHH17H10H16H5 H6 HTH9測定年度H12 H13交換図2 年度ごとのベリリウム反射体の最大変形量3945. 時間計画保全の見直し- 時間計画保全の見直しにおいては、2 次冷却材ポ ンプの分解点検と、熱交換器洗浄作業の 2例を紹介 する。2 次冷却材ポンプはメーカーの推奨保守間隔 を参考に1年に1回の分解点検を行っている。点検 時には主に部品の損傷及び腐食状態の確認、浸透探 傷試験等を行いポンプの状態性能の健全性を確認し ている。2次冷却材ポンプの部品(ケーシング、ベ アリング、シャフトキー等)の損傷状態については、 シャフトキー溝付近に数点の傷が平成 12 年度以降 同様の場所に確認されているが、傷長さ、個数に大 きな変化は認められていないので現時点では1年間 の推奨保守期間内での点検は妥当と考えている。熱交換器洗浄作業の見直しについて述べる前に、 JRR-3 の熱交換器及び洗浄作業について述べる。 JRR-3 の熱交換器は胴側を 1 次冷却水、細管側を 2 次冷却水が流れている。この細管にスケールが付着 し徐熱性能が低下する。このため、洗浄保守を実施 し、徐熱性能の回復を行っている。この作業はスポ ンジボールを細管に流し、スケール等の付着物を剥 離させる方法であり、年に2~3回時間計画保全とし て行ってきた。図3に平成 11 年から 14 年にかけて の、図4に平成 14 年から18年にかけての熱交換器 洗浄作業と熱貫流率の値を示す。平成 11 年から 14 年にかけては、熱貫流率が洗浄の必要有りの管理値 である約 1900 W/m2K を下回ることも多く、夏の暑い 日には熱出力を下げる場合もあった。このような背 景の下で洗浄用スポンジボールの大きさや洗浄時間 を再検討したサイクルごとの熱貫流率2200 210流海農機洗浄異洗浄実施浅浄翼渋み重塔法?冀施洗浄賞熱貫流率 W/m2K150013-03 3.13-05サイクル1-図3 熱貫流率データ (平成 11 年~14年)11-01 11-03112-01 112-041-12-06 111-05 |113-0113-0714-0414-06 114-02平成 15 年度から平成 18 年度に関しては、これまで の経験が活かされ、熱貫流率が基準値を下回ること は少なくなったが、平成 15 年度から 16 年度にかけ ては熱貫流率が良いにも関わらず、洗浄作業を実施 したと思われ、洗浄作業を行っても熱貫流率の上昇 が見られない。このことから、近年行ってきた年 2 ~3 回の洗浄作業は過剰保全の可能性が高いと評価 した。よって、今後は汚れ有りの管理値である、約 1900 W/m2K を下回った場合に熱交換器洗浄作業を行 う方針への転換が望ましいと思われる。サイクルごとの熱貫流率2200洗浄洗施2100共2000900象製類熱貫流率 W/m2K8001600 150090191 | 80-91 Oill |e0-81 |201818-0615-0115-07 16-0216-04 115-031 15-06図4 熱貫流率データ (平成 15年~18 年)17-06 517-04 1118-016.まとめJRR-3 においてこれまでの保全活動を纏めてみる と、状態監視保全と時間基準保全が平行して行われ てきた機器がポンプ類を始め多く、それらの機器に おける時間基準保全計画における保守間隔は劣化の 進行具合や機器の重要度を考えると、現時点では妥 当であり変更は考えていない。一方で熱交換器洗浄 の様に過剰と思われる時間基準保全が適用されてい る場合もあり、これらについては保守間隔の見直し、 管理値の設定などを行い状態監視保全へと移行させ、 作業間隔の適正化や維持費の低減による保全の効率 化に繋げていければと考えている。395“ “研究用原子炉 JRR-3 における状態監視法に基づく保全活動“ “仁尾 大資,Daisuke NIO,太田 和則,Kazunori OHTA,石崎 勝彦,Katsuhiko ISHIZAKI
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