連成解析による気液二相流中構造物の振動・腐食評価手法の開発-3 流動解析と腐食解析の連成による単相および二相流中での配管減肉速度評価
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カテゴリ: 第5回
1.緒言
食、ないしは両者の重量による機器・構造物の疲労損 傷を評価できる実用的なソフトウェアシステムを確立 原子力発電所では、時折、不測のトラブルが発生することにある。これまでに、開発全体の目標[1]とプ している。トラブルの主たる要因として、機器・構造 ラント全体の腐食環境評価手法[2]について発表した。 物に加わる流動励起振動による繰り返し荷重、あるい今回は、対象を単相および二相流体中での配管減肉速 は材料の腐食、ないしは両者の重畳によるものが挙げ度の評価に絞って、本報以下4件について発表する。 られる。電力の安定的・計画的供給のためには、この第3報:流動解析と腐食解析の連成による単相およ ようなトラブルの発生を未然に訪止して稼働率の向上び二相流中での配管減肉速度評価 を目指すこと、及び既存施設の活用による供用期間延 第4報:配管内での単相および二相流速度分布解析 長(長寿命化)や出力増大(高流速化)を図ることが 第5報:電気化学モデルと二層酸化皮膜モデルを連 緊急かつ重要である。これらの方策を実現させるため成させた配管減肉速度評価 の課題として、それに伴うトラブル発生の可能性を予 第6報:液滴エロージョンによる配管減肉速度評価 測し、未然に排除する必要がある。 * 本技術開発の目的は、流体に接する構造物の流動励 * 2.評価対象と主要減肉機構 起振動と腐食現象を対象とした三次元解折技術を開発 し、実際のプラントにおける流動励起振動あるいは腐
2.1 減肉機構
PWR 二次冷却系他での流れ加速型腐食(FAC)および BWR 給水加熱器ドレン系他での液滴エロージョン食、ないしは両者の重畳による機器・構造物の疲労損 1. 緒言傷を評価できる実用的なソフトウェアシステムを確立 原子力発電所では、時折、不測のトラブルが発生。 することにある。これまでに、開発全体の目標[1]とプ している。トラブルの主たる要因として、機器・構造 ラント全体の腐食環境評価手法[2]について発表した。 物に加わる流動励起振動による繰り返し荷重、あるい今回は、対象を単相および二相流体中での配管減肉速 は材料の腐食、ないしは両者の重畳によるものが挙げ 度の評価に絞って、本報以下4件について発表する。 られる。電力の安定的・計画的供給のためには、この 第3報:流動解析と腐食解析の連成による単相およ ようなトラブルの発生を未然に訪止して稼働率の向上び二相流中での配管減肉速度評価 を目指すこと、及び既存施設の活用による供用期間延 第4報:配管内での単相および二相流速度分布解析 長(長寿命化)や出力増大(高流速化)を図ることが第5報:電気化学モデルと二層酸化皮膜モデルを連 緊急かつ重要である。これらの方策を実現させるため成させた配管減肉速度評価 原子力発電所では、時折、不測のトラブルが発生 している。トラブルの主たる要因として、機器・構造 物に加わる流動励起振動による繰り返し荷重、あるい は材料の腐食、ないしは両者の重畳によるものが挙げ られる。電力の安定的・計画的供給のためには、この ようなトラブルの発生を未然に訪止して稼働率の向上 を目指すこと、及び既存施設の活用による供用期間延 長(長寿命化)や出力増大(高流速化)を図ることが 緊急かつ重要である。これらの方策を実現させるため の課題として、それに伴うトラブル発生の可能性を予 の課題として、それに伴うトラブル発生の可能性を予 測し、未然に排除する必要がある。 1. 本技術開発の目的は、流体に接する構造物の流動励 起振動と腐食現象を対象とした三次元解折技術を開発 し、実際のプラントにおける流動励起振動あるいは腐連絡先:内藤正則〒105-0003 東京都港区西新橋 1-14-2 新橋SYビル 8F, (財)エネルギー総合工学研 究所, 電話 03-6367-0291, mnaito@iae.or.jp2.1 減肉機構PWR 二次冷却系他での流れ加速型腐食(FAC)およ び BWR 給水加熱器ドレン系他での液滴エロージョン による配管健全性評価を、流体解析と化学反応解析と - 411 -を連成することにより、予測・評価する手法を確立す る。減肉の主要機構を Figure 1に示す。Determination of oxide film oxide film mass transfer coefficient by (inner layer) (outer layer)flow dynamics analysis Fe2+ releaseto bulkEvaluation of ionic concentrationsprecipitation of oxide release of oxide Evaluation of erosionby water dropletsbase metalEvaluation ofmain flow shear stress by flow boundary layer cooling water|diffusion of oxidantsEvaluation of oxide film growthEvaluation of corrosive conditionsMajor elemental models: corrosion (chemical term): flow dynamics (physical term) Figure 1 Elemental models to evaluate FAC2.2 主要パラメータ ・- 単相流中での流れ加速型腐食を支配する主要パラメ ータおよび液滴を含む二相流中での液滴エロージョン を支配する主要パラメータを、Figure 2 に示す。材質、 温度など流動解析とはほぼ独立に評価できるパラメー タを除くと、大半は流動解析によって、まずは流れパ ターンを求め、その結果をもとに諸パラメータを求め て、問題発生箇所を予測する。次いで、問題発生箇所 を中心に減肉速度を計算して、配管の交換のための余 寿命を算出、あるいは主として水化学制御による寿命 延長策の有効性を評価する。2.3 評価ステップ手法FAC は2つのプロセスに分けることができる、すな わち、腐食(化学) プロセスと流動(物理)プロセス である。腐食プロセスは FAC を引き起こす基本的なプ ロセスで、流動プロセスは、FAC を加速するプロセス である。金属イオン、主として第1 鉄イオン、境界層 に溶出し、そこで過飽和のイオンが酸化物として析出 し、酸化皮膜外層として付着する[3]。酸化皮膜外層は 第1鉄イオンの溶出(腐食反応)を抑制するために重oxidant. Lemperature V91500X120
食、ないしは両者の重量による機器・構造物の疲労損 傷を評価できる実用的なソフトウェアシステムを確立 原子力発電所では、時折、不測のトラブルが発生することにある。これまでに、開発全体の目標[1]とプ している。トラブルの主たる要因として、機器・構造 ラント全体の腐食環境評価手法[2]について発表した。 物に加わる流動励起振動による繰り返し荷重、あるい今回は、対象を単相および二相流体中での配管減肉速 は材料の腐食、ないしは両者の重畳によるものが挙げ度の評価に絞って、本報以下4件について発表する。 られる。電力の安定的・計画的供給のためには、この第3報:流動解析と腐食解析の連成による単相およ ようなトラブルの発生を未然に訪止して稼働率の向上び二相流中での配管減肉速度評価 を目指すこと、及び既存施設の活用による供用期間延 第4報:配管内での単相および二相流速度分布解析 長(長寿命化)や出力増大(高流速化)を図ることが 第5報:電気化学モデルと二層酸化皮膜モデルを連 緊急かつ重要である。これらの方策を実現させるため成させた配管減肉速度評価 の課題として、それに伴うトラブル発生の可能性を予 第6報:液滴エロージョンによる配管減肉速度評価 測し、未然に排除する必要がある。 * 本技術開発の目的は、流体に接する構造物の流動励 * 2.評価対象と主要減肉機構 起振動と腐食現象を対象とした三次元解折技術を開発 し、実際のプラントにおける流動励起振動あるいは腐
2.1 減肉機構
PWR 二次冷却系他での流れ加速型腐食(FAC)および BWR 給水加熱器ドレン系他での液滴エロージョン食、ないしは両者の重畳による機器・構造物の疲労損 1. 緒言傷を評価できる実用的なソフトウェアシステムを確立 原子力発電所では、時折、不測のトラブルが発生。 することにある。これまでに、開発全体の目標[1]とプ している。トラブルの主たる要因として、機器・構造 ラント全体の腐食環境評価手法[2]について発表した。 物に加わる流動励起振動による繰り返し荷重、あるい今回は、対象を単相および二相流体中での配管減肉速 は材料の腐食、ないしは両者の重畳によるものが挙げ 度の評価に絞って、本報以下4件について発表する。 られる。電力の安定的・計画的供給のためには、この 第3報:流動解析と腐食解析の連成による単相およ ようなトラブルの発生を未然に訪止して稼働率の向上び二相流中での配管減肉速度評価 を目指すこと、及び既存施設の活用による供用期間延 第4報:配管内での単相および二相流速度分布解析 長(長寿命化)や出力増大(高流速化)を図ることが第5報:電気化学モデルと二層酸化皮膜モデルを連 緊急かつ重要である。これらの方策を実現させるため成させた配管減肉速度評価 原子力発電所では、時折、不測のトラブルが発生 している。トラブルの主たる要因として、機器・構造 物に加わる流動励起振動による繰り返し荷重、あるい は材料の腐食、ないしは両者の重畳によるものが挙げ られる。電力の安定的・計画的供給のためには、この ようなトラブルの発生を未然に訪止して稼働率の向上 を目指すこと、及び既存施設の活用による供用期間延 長(長寿命化)や出力増大(高流速化)を図ることが 緊急かつ重要である。これらの方策を実現させるため の課題として、それに伴うトラブル発生の可能性を予 の課題として、それに伴うトラブル発生の可能性を予 測し、未然に排除する必要がある。 1. 本技術開発の目的は、流体に接する構造物の流動励 起振動と腐食現象を対象とした三次元解折技術を開発 し、実際のプラントにおける流動励起振動あるいは腐連絡先:内藤正則〒105-0003 東京都港区西新橋 1-14-2 新橋SYビル 8F, (財)エネルギー総合工学研 究所, 電話 03-6367-0291, mnaito@iae.or.jp2.1 減肉機構PWR 二次冷却系他での流れ加速型腐食(FAC)およ び BWR 給水加熱器ドレン系他での液滴エロージョン による配管健全性評価を、流体解析と化学反応解析と - 411 -を連成することにより、予測・評価する手法を確立す る。減肉の主要機構を Figure 1に示す。Determination of oxide film oxide film mass transfer coefficient by (inner layer) (outer layer)flow dynamics analysis Fe2+ releaseto bulkEvaluation of ionic concentrationsprecipitation of oxide release of oxide Evaluation of erosionby water dropletsbase metalEvaluation ofmain flow shear stress by flow boundary layer cooling water|diffusion of oxidantsEvaluation of oxide film growthEvaluation of corrosive conditionsMajor elemental models: corrosion (chemical term): flow dynamics (physical term) Figure 1 Elemental models to evaluate FAC2.2 主要パラメータ ・- 単相流中での流れ加速型腐食を支配する主要パラメ ータおよび液滴を含む二相流中での液滴エロージョン を支配する主要パラメータを、Figure 2 に示す。材質、 温度など流動解析とはほぼ独立に評価できるパラメー タを除くと、大半は流動解析によって、まずは流れパ ターンを求め、その結果をもとに諸パラメータを求め て、問題発生箇所を予測する。次いで、問題発生箇所 を中心に減肉速度を計算して、配管の交換のための余 寿命を算出、あるいは主として水化学制御による寿命 延長策の有効性を評価する。2.3 評価ステップ手法FAC は2つのプロセスに分けることができる、すな わち、腐食(化学) プロセスと流動(物理)プロセス である。腐食プロセスは FAC を引き起こす基本的なプ ロセスで、流動プロセスは、FAC を加速するプロセス である。金属イオン、主として第1 鉄イオン、境界層 に溶出し、そこで過飽和のイオンが酸化物として析出 し、酸化皮膜外層として付着する[3]。酸化皮膜外層は 第1鉄イオンの溶出(腐食反応)を抑制するために重oxidant. Lemperature V91500X120