連成解析による気液二相流中構造物の振動・腐食評価手法の開発-5 電気化学モデルと二層酸化皮膜モデルを連成させた配管減肉速度評価

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カテゴリ: 第5回
1. 緒言
炭素鋼あるいは低合金鋼の腐食、溶解に伴い表面 に酸化皮膜が発達する。この酸化皮膜は材料の更なる 溶解に対して保護作用を示す。配管内の流速が増大す ると溶解した第1鉄イオン(Fe*イオン)がバルク水中 に移行し、皮膜成長が阻害され、溶解・減肉が加速さ れる。皮膜の成長と溶解を、腐食電位を指標に定量化 し、実機での腐食環境測定とリンクした減肉速度解析 を目指した。
2. 減肉速度評価手法
本モデル(Figure 1)では、流動解析で得た表面境界 層/バルク領域間の質量移行係数および酸素濃度、pH 連絡先:内田俊介 〒103-0003 東京都港区西新橋 1-14-2 新橋SYビル8階,(財)エネルギー総合工学研 究所、電話03-3508-8894,suchida@iae.or.jpなどの水質条件を入力として、まず静的な電気化学モ デルで構造材からの Fe2 イオンの溶解速度を求め、こ れを入力として動的な二層酸化皮膜モデル [1] で、酸化 皮膜の厚さ、特性(マグネタイト・ヘマタイト比)を 求め、これに基づいて皮膜の腐食抵抗を求め、これを 電気化学モデルに適用する。この計算を繰り返して減 肉速度の時間変化を求める[1]。 - 金属(炭素鋼)表面では、金属の溶解反応(アノー ド反応)は、酸化種の還元反応(カソード反応)とバ ランスし、実効電流がゼロとなるようなポテンシャル を示す。Figure 2 に示す、アノード電流とカソード電 流をそれぞれ計算して、溶解速度を求める。Figure 2 の電気化学バランスは、金属表面の酸化皮膜の厚さと その性状(ポロシティやイオン透過性)が与えられる と一意に決まる。すなわち、静的なバランスである。 金属の溶解が進むにつれ、溶解した金属が酸化物とな って金属表面に析出する。酸化皮膜の厚さは時間依存 であり、溶解速度、表面境界層からバルク水への質量417~Calculation targetsFlow patternTable 1 Evaluation code system for FAC [02], [Fel““]Wall thinning rate and ECP (anodic/cathodic (oxide film current densityformation)InputReactor parameters:geometries, heat flux (0), temperature (T)ECPReactor parameters:T, flow velocity (v), surface/volume rate, mixing rate[02], T, pH, km, oxide film thickness, oxide propertiesComputer 1D CFD (RELA programs 1-2-3Dk-E CFD(PLASHY, a-FLOV 3D LESN,H.-0, reaction code (RADIOLYSIS-N2H4)Static modelDynamic model (Electrochemistry) (Oxide layer growth)< coupling calculationOutputT, v distributions along the flow path along the flow path[O] and [Fe2+1 distributionscorr: ECPwall thinning rateoxide film thickness oxide properties (Fe2O/Fe,Oratio)ASIADetermination of oxide film oxide filmmass transfer coefficient by.flow dynamics analysis (inner layer) (outer layer)Fel-releaseto bulkEvaluation ofionic concentrations precipitation of oxide release of oxideEvaluation of erosionby water dropletsEvaluation of shear stress by flowmain flowbase metalboundary layercooling waterdiffusion of oxidantsEvaluation of oxide film growthEvaluation of corrosive conditionsMajor elemental models: corrosion (chemical term): flow dynamics (physical term) Figure 1 Elemental models to evaluate FAC diffusion of oxidantsFigure 2 Schematic diagram of charge balance at surface Evaluation of Evaluation ofとしてマグネタイトとなり、母材保護性は大きくない oxide film growth corrosive conditionsため、アノード電流は高い状態を保つが、酸素濃度が Major elemental models高くなり、酸化物がマグネタイトからヘマタイトに変 : corrosion (chemical term)わると共に、母材保護性が高まり、アノード電流が低 .: flow dynamics (physical term) Figure 1 Elemental models to evaluate FAC下する。腐食電位で見ると、酸素濃度が低い場合は、 移行係数(流速に依存する)によって決まる。すなわ電位は低く、酸素濃度が高くなり、腐食抑制が進むと共に、電位も増大する。 ち動的なバランスである。FAC による減肉速度評価では、静的な電気化学モデ ルと動的な二層酸化皮膜モデルを連成させ、前者では2.2 二層酸化皮膜形成モデル- ステンレス鋼の腐食に伴い形成される酸化皮膜の特 溶解速度を、後者では酸化皮膜厚さを求めて、時々刻々 ち動的なバランスである。FAC による減肉速度評価では、静的な電気化学モデ ルと動的な二層酸化皮膜モデルを連成させ、前者では 溶解速度を、後者では酸化皮膜厚さを求めて、時々刻々 変化する減肉速度を求める[2]。両モデルの連成を Table 1 に示す。また両モデルに入 力条件を与える流動解析モデルとの関連も Table 1に示 1 1に示母材からの溶解速度は電気化学モデルで求め、これを 入力として、表面境界層内での Fe*イオンのバランスたかはまフェスBBプンしんしール中出ェールとした。2.1 電気化学モデル。金属表面での電荷バランスを Figure 2b)に示す。酸素 2.1 電気化学モデル 1 金属表面での電荷バランスを Figure 2b)に示す。酸素 濃度が低い場合、溶解速度が大きいが、酸化皮膜は主bulkoxide boundary film metallayerdiffusion cathodic locurrenttotal anodic current - Fe→Fe2+ +e““. loxidation ofThydrazineF FHEpotential (arbitrarily scale)1-Mwithwithout cathodicoxide filmoxide film reactionPlow [02] hydrogen generationf potential 1 N2H4high [O2] anodic anodictotal cathdic current reactioncurrentuuuund mnml02fe→02: 10- 410- 310- 210-1903/01/04current density (arbitrarily scale) a) Cathodic and anodic reactionsb) Charge balance 2.2 二層酸化皮膜形成モデルステンレス鋼の腐食に伴い形成される酸化皮膜の特 性を評価するために開発された二層酸化皮膜モデルを 炭素鋼用に改良した。モデルの概要をFigure 3 に示す。 母材からの溶解速度は電気化学モデルで求め、これを 入力として、表面境界層内での Fe2+イオンのバランス を計算する。境界層からバルク水への質量移行(流速 に依存する)、過飽和分を酸化物としての析出、その表 面への付着、イオンの感化物への吸着、酸化物の剥離、 酸化物からの溶解などさまざまなプロセスを経て、イ - 418 -flowflow-mass transferbulk waterdissolution““ release || adsorptionhannaaaaouter oxide layer (hematiteparticles)(magnetite) oxidationinner oxide layer(magnetite oxide particles oxide particlemetalparticles) in (hematite) Figure 3 Modified double oxide layer model オンの溶出を皮膜掲載がバランスする。これらを非線 形レイト方程式として、数値解析することで、酸化皮 膜の厚さを求める[2]。2.3 連成解析 1. 静的電気化学モデルと動的二層酸化皮膜モデルはタ イムメッシュ毎に連成させ、前者から得られた溶解速 度を後者の入力として、皮膜厚さとその性状(主とし てマグネタイト・ヘマタイト比)を求め、これらを次 タイムステップの静的電気化学モデルの入力として溶 解速度を求める。3.評価結果評価結果の一例として、求められた減肉速度の流速 (質量移行係数)、温度、pH依存性をFigure 4 に示す。 計算結果は実測値と比較して妥当な精度を有するもの と考える。4.結言腐食環境、流動条件の計算に引き続き、減肉速度評 価モデルをまとめた。様々な環境条件下で、減肉速度 の時間変化、環境変化が定量化できるため、残存肉厚 の予測のほか、減肉抑制策の有効性の定量的な評価に 適用可能である。謝辞本発表は経済産業省の提案公募事業「革新的実用原子 カ技術開発費補助事業」“連成解析による気液二相流中 構造部物の振動・腐食評価手法の開発”において開発 した平成 19年度成果の一部である。measured O: Satoh, et al. ([02]
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