地震荷重によるタンクの座屈に関する研究
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カテゴリ: 第5回
1.緒言
1)地震荷重の方向が非対称であるため3次元 新潟県中越沖地震後に,東京電力柏崎刈羽原子 の解析モデルを必要とすることが多い 力発電所で実施された設備点検の結果,耐震Cク 2)座屈による変形を模擬するために、大変形 ラス機器であるろ過水タンク,純水タンクの一部 弾塑性解析を必要とする こ座屈等の損傷が生じたことが明らかになった. 3)地震動であるため動的解析を必要とする これらの損傷については,現地を視察した学識者 4)内部流体の液圧の効果を考慮するために固 らによる,詳しい調査を実施すべきとの指摘を受 --液連成解析を必要とする けている.また,座屈や崩壊等、外見から容易に - 5) タンクの支持構造が損傷した場合,座屈と 識別しうるほど大規模な変形を伴った構造物の 支持構造損傷の時系列的な前後関係が不明 員傷現象を評価・検討することは、当該事象の再 であることが多く,境界条件の設定が困難 発防止のみならず、発電用原子力設備の構造強度 となる。 評価技術に関する知見の拡充という意義におい そこで,座屈を生じた複数のタンクから比較的 ても重要性が高い.解析条件設定の容易なものを選定し,かつ,地震 そこで“中越沖地震後の原子炉機器の健全性評動は観測記録の内,一方向のみ与える等,解析条 価委員会” [1]における検討事項の一環として, 件をやや単純化することにより,象脚座屈の解析 有限要素法解析(FEM解析)による円筒形容器を実施した. の座屈挙動のシミュレーションを実施した.
3. 評価対象 2. 座屈解析の方法
柏崎刈羽原子力発電所の No.3 ろ過水タンクの ・ 地震動による円筒タンクの座屈は,下記 1) ~5) 基部に生じた象脚座屈を対象として検討を行っ の特徴を伴うことが多く,解析対象としての難易た。ろ過水タンクは4基あり、全てに何らかの変 度は一般に高い.形が観測されたが、解析におけるタンク基部の拘束条件設定が最も容易(基礎ボルトの損傷が軽 連絡先:田中良彦, 〒230-8510 神奈川県横浜市鶴 微)であると推測されることから、No.3 ろ過水タ 見区江ヶ崎町 4-1, 東京電力 技術開発研究所ンクを選定した.同タンクの損傷状況を Fig.1 に 電話:045-613-1111示す。タンク基部の高さ 30cm~40cm 範囲に全周 e-mail:tanaka.yoshi@tepco.co.jpに渡って断続的に象脚座屈が生じている.Member135尚,損傷の程度としては,全周・連続的な座屈 と漏水を生じた No.4 ろ過水タンクの方がより重 篤である.しかしながら,同タンクについては, 著しく損傷した支持構造部の解析モデル化が容 易ではなく,解析結果に対する不確定性の増加が 懸念された.そこで,検討の初段階である本研究 においては,No.3 ろ過水タンクを対象とした.いずれのタンクの座屈も,設計時の想定を超え る地震荷重による象脚座屈であることは共通で あることから,再発防止のための損傷要因は共通 であると考えられる.4.解析モデル解析モデルを Fig.2 に示す. No.3 ろ過水タンク の 1/2 対称モデルを解析モデルとした.タンクの 側板と底板部分には4辺形シェル要素,内部流体 部分には6面体流体要素を用いた.解析用ソフト ウェアとして FINAS Ver.18.0 を使用した.実現 象における座屈の進行と基礎ボルト伸びの時刻 歴は不明であるため,本解析では座屈が先に生じ たと想定して,タンク基部を完全拘束した.また,耐震クラスの異なる機器の座屈挙動を比 較する目的で,柏崎刈羽原子力発電所7号機の軽 油タンク(Asクラス相当)についても同様の解 析を行うこととし,モデルを作成した. * 尚,いずれもタンクについても,構造及び流体 から成る全体の減衰比を7%に想定した.No.3 ろ過水タンクと7号機軽油タンクの比較 を Table 1 に示す.タンクの高さ,径,板厚,流 体比重等の違いにより,相対的には前者の方が座 屈しやすい特性であることが示唆されている.5.解析用地震動解析モデルに付与する地震動として,No.3 ろ過 水タンクに近接する大湊側観測小屋で観測され た NS 方向の地震動を与えた. No.3 ろ過水タンク の固有振動数 8. 1Hz に対する応答倍率が EW 方向 よりも高かったことによる.また,地震動の観測 記録は 200 秒間であるが,本解析では最大加速度 (+954cm/s2 と-964cm/s2, 北向きが+)を含む時 間帯 (35.18 秒~36.02 秒)の地震動だけを与え る条件とした. Fig.3 に示す通り,時刻 35.66 秒 に+954cm/s2, 時刻 35.75 秒に-964cm/s2 の最大加速度を生じている. * 尚,参照用の7号機軽油タンクについても,異 なる耐震クラスのタンクの挙動を直接比較する ために,仮想的に同一の地震動を与えた.6. 材料特性No.3 ろ過水タンクの材料は SS400 鋼,7号機軽 油タンクの材料は SM400B 鋼であるが,日本機械 学会の建設・設計規格 [2] においては,両鋼種の 強度特性は同じである.解析に用いた材料特性を Table 2 に示す(2鋼種共通).尚,弾塑性構成則 はaリセットを考慮した移動硬化則を用いた.7.解析結果No.3 ろ過水タンクの解析結果として変形と相 当応力コンター図を Fig.4 に示す.時刻 35.77 秒 において,象脚座屈が発生している.座屈の形態 に比してメッシュサイズがやや大きめと思われ るが,象脚座屈の形態を再現している.7号機軽 油タンクのコンター図も Fig.5 に示すが,座屈は 認められない.形状等の条件の違いが両タンクに 異なる挙動をもたらしたことがわかる.No.3 ろ過水タンクの基部(座屈頂部近傍)にお ける入力加速度と変位(入力に対する応答)の時 刻歴を Fig.6 に示す.時刻 35.66 秒の北向きの最 大加速度と時刻 35.75 秒の南向きの最大加速度に よる“両振り”の大負荷が作用した直後の 35.77 秒において,急激に変位が増加し,その後入力加 速度が元の水準に戻っても変位は 35.66 秒以前の 水準には戻らないすなわち,35.77 秒において 象脚座屈が生じている.一方, Fig.7 の通り,7 号機軽油タンクの基部には有意な変位の増加が みられない - 以上により,象脚座屈の発生メカニズムについ て,地震による交番荷重回数の増加と共に少しず つ変形が進行したのではなく,時刻歴中の卓越し た両振り荷重により、一気に変形が発生・進行し た可能性が高いことがわかった.8. まとめ * 新潟県中越沖地震により,東京電力柏崎刈羽原 子力発電所のタンクに生じた座屈のシミュレー ション解析を実施し,以下の成果を得た.436により,変形が一気に発生・進行する可能性が あることを確認した.(1)耐震Cクラスのタンクの挙動No.3 ろ過水タンク (耐震Cクラス)を対象と した大変形弾塑性解析により,実際と同じ象脚 座屈の再現に成功した.参考文献(2) 耐震 As クラスのタンクの挙動一方,7号機軽油タンク(As クラス相当)に ついては,同じ条件の解析を行っても座屈は発 生しないことを確認した.[1] 野本敏治,“日本原子力技術協会における
No.2(2008) [2] 日本機械学会, 発電用原子力設備規格 建設・設計規格(2005年版) JSME S NC1-2005(3)象脚座屈発生のメカニズム 地震による交番荷重回数の増加と共に少しず つ変形が進行するのではなく,一連の地震動の 時刻歴に含まれる卓越した両振り荷重の作用により,変形が一気に発生・進行する可能性が あることを確認した.・耐震Cクラスのタンクの挙動 No.3 ろ過水タンク (耐震Cクラス)を対象と した大変形弾塑性解析により,実際と同じ象脚 座屈の再現に成功した.参考文献・ 耐震 As クラスのタンクの挙動 一方,7号機軽油タンク (As クラス相当)に ついては,同じ条件の解析を行っても座屈は発 生しないことを確認した.[1] 野本敏治,“日本原子力技術協会における
No.2 (2008) [2] 日本機械学会, 発電用原子力設備規格 建設・設計規格(2005年版) JSME S NC1-2005・象脚座屈発生のメカニズム 地震による交番荷重回数の増加と共に少しず つ変形が進行するのではなく,一連の地震動の 時刻歴に含まれる卓越した両振り荷重の作用Table1 No.3 ろ過水タンクと7号機軽油タンクの比較地震による | 半径 | 高さ座屈 | m 1 m .液面 高さ m流体 比重板厚 mm屋根 重量* ton半径R5号機側ろ過水タンク」発生した4.912.110.1 |16,7約7」高さH)7号機軽油タンク発生せず、 | 5.3 | 9.57.5*0.87|9|約6板厚t液面高さHw備考*付属物含*設計値Table.2 解析に用いた材料特性項目単位ろ過水タンク軽油タンク備考材質SS400 鋼SM400B 鋼| JSME S NC1-2005 規格では 同特性 屋根は補強材の剛性を考慮 した推定値ヤング率(E)N/mm2203,000 1,015,000(屋根)203,000 2,030,000(屋根)ポアソン比()0.260.26JSME S NC1-2005降伏応力(Sy)N/mm?215215JSME S NC1-2005引張強さ(UTS)N/mm2400400JSME S NC1-2005加工硬化係数(H')N/mm245004500引張強さ時ひずみを 5%と想 定して算出密度(p)kg/m280308030注1:補強材の剛性を考慮した値(推定値)- 437 - Table.2 解析に用いた材料特性項目単位ろ過水タンク」軽油タンク備考材質SS400 鋼SM400B 鋼JSME S NC1-2005 規格では 同特性 屋根は補強材の剛性を考慮 「した推定値ヤング率(E)N/mm2203,000 1,015,000(屋根)203,000 | 2,030,000(屋根)ポアソン比(v)0.260.26JSME S NC1-2005降伏応力(Sy)N/mm2215215JSME S NC1-2005引張強さ(UTS)N/mm?400400JSME S NC1-2005加工硬化係数(H')N/mm245004500引張強さ時ひずみを 5%と想 定して算出密度(p)kg/m280308030注1:補強材の剛性を考慮した値(推定値) - 437 -全ての基礎ボルト伸び(M42) ブラケット基点に周方向に断続的 に象脚座屈 i高さL=12.1m底板 t%3D8mm象脚型変形、全周、断続、 基部から30・40cmFig.. 1 No.3 ろ過水タンクの損傷状況図要素種類タンク壁 :4辺形シェル要素 タンク屋根:4 辺形シェル要素 タンク底面:4辺形シェル要素 内部液体 :6面体流体要素 入力条件および支持条件114101-1 Thin4000・円筒部下部全節点でX(水平方向)加速度入力 ・円筒部下部全節点で上下方向支持TILLINE!!Fig.2 座屈解析用モデル1000 800太線の領域:解析 に入力1000 800 600 400 2006001901/02/03200加速度,cm/s2加速度,cm/s2-200 -400 -600 -800 -1000-200 -400 -600 -800 -100034. 00_4016020034.535361900/02/04 12:00:001900/02/0580_ 120_ 時刻, 秒35.5 時刻, 秒Fig. .3 座屈解析に用いた入力地震波(大湊側観測小屋、NS 方向)- 438 -地震時水位 10.1mR/t=883 F6mm半径R=35.3mR/757 t=7 mm h=243cm底板t%3D8mm象脚型変形、全周、 基部から 30・40cm座屈解析用モデル 1000 800600400|35.68秒26.335.72 秒kg/mm?kg/mm224.121.91900/01/18 16:48:001900/01/18 16:48:0017.517.5:12.000円まさはる記15.31114mekenkurtルセッi現場1210路盤整」警報機器さらにお8.76国際協限225歳MTG型器A製限認書KERS 万一商品t158 1100MM1900/01/05 13:40:48盛和環器6.574.38THE4.38ミ2.192.19Output Set: FINAS STEP 51 Deformed(9.587): Total Translation Contour: Node Top Von Mises StressOutput Set: FINAS STEP 55 Deformed(2.602): Total Translation Contour: Node Top Von Mises Stress1900/01/25 7:12:00x35.77秒kg/mm2kg/mm221.9でし東部ほか高飛KARAUDAMER WONO BERW思い出に活中 M AMAMASAYONENENUmemuronco 部エント・記者発表WEET_高密保ば1 INTEREST整田原日出子35.77 秒 (座屈部の拡大)Output Set: FINAS STEP 60 Deformed(14.73): Total Translation Contour: Node Top Von Mises StressOutput Set: FINAS STEP 60 |Deformed(14.73): Total Translation Contour. Node Top Von Mises StressFig.4 No.3 ろ過水タンクの解析結果(コンター図, 座屈が生じている)1235.76秒kg/mm2( 35.81 秒 xYkg/mm?Output Set FINAS STEP 59 Deformed(2.2): Total Translation Contour: Elem Top Von Mises StressOutput Set: FINAS STEP 64 Deformed(1.842): Total Translation Contour: Elem Top Von Mises StressFig.. 57号機軽油タンクの解析結果(コンター図, 座屈は生じない)439160035.6~35.75 秒の大規模な両振り 1200入力の直後に変位が急激に増加..し,その後入力が以前の水準に戻 800 - っても変位は増加したまま400タンク基部の北方向変位, mm-400-----800-1200-1600-16.0 35.15 35.25 35.35 35.45 35.55 35.65 35.75 35.85 35.95 36.05時刻, 秒 No.3 ろ過水タンクの解析結果:入力加速度とタンク基部(座屈発生部位)の変位の時刻歴Fig.6No.3 ろ過水タンクの解析結果:16001200タンク基部の変位は終始 低い状態を保つ800400入力加速度, cm/s2タンク基部の北方向変位, mm-400-800-1200-160035.15-16.0 36.0535.2535.3535.4535.5535.6535.7535.8535.95時刻, 秒Fig.. 77号機軽油タンクの解析結果:入力加速度とタンク基部の変位の時刻歴Fig.. 7440“ “?地震荷重によるタンクの座屈に関する研究“ “田中 良彦,Yoshihiko TANAKA,高木 愛夫,Yoshio TAKAGI,鈴木 俊一,Shunichi SUZUKI,小川 博志,Hiroshi OGAWA
1)地震荷重の方向が非対称であるため3次元 新潟県中越沖地震後に,東京電力柏崎刈羽原子 の解析モデルを必要とすることが多い 力発電所で実施された設備点検の結果,耐震Cク 2)座屈による変形を模擬するために、大変形 ラス機器であるろ過水タンク,純水タンクの一部 弾塑性解析を必要とする こ座屈等の損傷が生じたことが明らかになった. 3)地震動であるため動的解析を必要とする これらの損傷については,現地を視察した学識者 4)内部流体の液圧の効果を考慮するために固 らによる,詳しい調査を実施すべきとの指摘を受 --液連成解析を必要とする けている.また,座屈や崩壊等、外見から容易に - 5) タンクの支持構造が損傷した場合,座屈と 識別しうるほど大規模な変形を伴った構造物の 支持構造損傷の時系列的な前後関係が不明 員傷現象を評価・検討することは、当該事象の再 であることが多く,境界条件の設定が困難 発防止のみならず、発電用原子力設備の構造強度 となる。 評価技術に関する知見の拡充という意義におい そこで,座屈を生じた複数のタンクから比較的 ても重要性が高い.解析条件設定の容易なものを選定し,かつ,地震 そこで“中越沖地震後の原子炉機器の健全性評動は観測記録の内,一方向のみ与える等,解析条 価委員会” [1]における検討事項の一環として, 件をやや単純化することにより,象脚座屈の解析 有限要素法解析(FEM解析)による円筒形容器を実施した. の座屈挙動のシミュレーションを実施した.
3. 評価対象 2. 座屈解析の方法
柏崎刈羽原子力発電所の No.3 ろ過水タンクの ・ 地震動による円筒タンクの座屈は,下記 1) ~5) 基部に生じた象脚座屈を対象として検討を行っ の特徴を伴うことが多く,解析対象としての難易た。ろ過水タンクは4基あり、全てに何らかの変 度は一般に高い.形が観測されたが、解析におけるタンク基部の拘束条件設定が最も容易(基礎ボルトの損傷が軽 連絡先:田中良彦, 〒230-8510 神奈川県横浜市鶴 微)であると推測されることから、No.3 ろ過水タ 見区江ヶ崎町 4-1, 東京電力 技術開発研究所ンクを選定した.同タンクの損傷状況を Fig.1 に 電話:045-613-1111示す。タンク基部の高さ 30cm~40cm 範囲に全周 e-mail:tanaka.yoshi@tepco.co.jpに渡って断続的に象脚座屈が生じている.Member135尚,損傷の程度としては,全周・連続的な座屈 と漏水を生じた No.4 ろ過水タンクの方がより重 篤である.しかしながら,同タンクについては, 著しく損傷した支持構造部の解析モデル化が容 易ではなく,解析結果に対する不確定性の増加が 懸念された.そこで,検討の初段階である本研究 においては,No.3 ろ過水タンクを対象とした.いずれのタンクの座屈も,設計時の想定を超え る地震荷重による象脚座屈であることは共通で あることから,再発防止のための損傷要因は共通 であると考えられる.4.解析モデル解析モデルを Fig.2 に示す. No.3 ろ過水タンク の 1/2 対称モデルを解析モデルとした.タンクの 側板と底板部分には4辺形シェル要素,内部流体 部分には6面体流体要素を用いた.解析用ソフト ウェアとして FINAS Ver.18.0 を使用した.実現 象における座屈の進行と基礎ボルト伸びの時刻 歴は不明であるため,本解析では座屈が先に生じ たと想定して,タンク基部を完全拘束した.また,耐震クラスの異なる機器の座屈挙動を比 較する目的で,柏崎刈羽原子力発電所7号機の軽 油タンク(Asクラス相当)についても同様の解 析を行うこととし,モデルを作成した. * 尚,いずれもタンクについても,構造及び流体 から成る全体の減衰比を7%に想定した.No.3 ろ過水タンクと7号機軽油タンクの比較 を Table 1 に示す.タンクの高さ,径,板厚,流 体比重等の違いにより,相対的には前者の方が座 屈しやすい特性であることが示唆されている.5.解析用地震動解析モデルに付与する地震動として,No.3 ろ過 水タンクに近接する大湊側観測小屋で観測され た NS 方向の地震動を与えた. No.3 ろ過水タンク の固有振動数 8. 1Hz に対する応答倍率が EW 方向 よりも高かったことによる.また,地震動の観測 記録は 200 秒間であるが,本解析では最大加速度 (+954cm/s2 と-964cm/s2, 北向きが+)を含む時 間帯 (35.18 秒~36.02 秒)の地震動だけを与え る条件とした. Fig.3 に示す通り,時刻 35.66 秒 に+954cm/s2, 時刻 35.75 秒に-964cm/s2 の最大加速度を生じている. * 尚,参照用の7号機軽油タンクについても,異 なる耐震クラスのタンクの挙動を直接比較する ために,仮想的に同一の地震動を与えた.6. 材料特性No.3 ろ過水タンクの材料は SS400 鋼,7号機軽 油タンクの材料は SM400B 鋼であるが,日本機械 学会の建設・設計規格 [2] においては,両鋼種の 強度特性は同じである.解析に用いた材料特性を Table 2 に示す(2鋼種共通).尚,弾塑性構成則 はaリセットを考慮した移動硬化則を用いた.7.解析結果No.3 ろ過水タンクの解析結果として変形と相 当応力コンター図を Fig.4 に示す.時刻 35.77 秒 において,象脚座屈が発生している.座屈の形態 に比してメッシュサイズがやや大きめと思われ るが,象脚座屈の形態を再現している.7号機軽 油タンクのコンター図も Fig.5 に示すが,座屈は 認められない.形状等の条件の違いが両タンクに 異なる挙動をもたらしたことがわかる.No.3 ろ過水タンクの基部(座屈頂部近傍)にお ける入力加速度と変位(入力に対する応答)の時 刻歴を Fig.6 に示す.時刻 35.66 秒の北向きの最 大加速度と時刻 35.75 秒の南向きの最大加速度に よる“両振り”の大負荷が作用した直後の 35.77 秒において,急激に変位が増加し,その後入力加 速度が元の水準に戻っても変位は 35.66 秒以前の 水準には戻らないすなわち,35.77 秒において 象脚座屈が生じている.一方, Fig.7 の通り,7 号機軽油タンクの基部には有意な変位の増加が みられない - 以上により,象脚座屈の発生メカニズムについ て,地震による交番荷重回数の増加と共に少しず つ変形が進行したのではなく,時刻歴中の卓越し た両振り荷重により、一気に変形が発生・進行し た可能性が高いことがわかった.8. まとめ * 新潟県中越沖地震により,東京電力柏崎刈羽原 子力発電所のタンクに生じた座屈のシミュレー ション解析を実施し,以下の成果を得た.436により,変形が一気に発生・進行する可能性が あることを確認した.(1)耐震Cクラスのタンクの挙動No.3 ろ過水タンク (耐震Cクラス)を対象と した大変形弾塑性解析により,実際と同じ象脚 座屈の再現に成功した.参考文献(2) 耐震 As クラスのタンクの挙動一方,7号機軽油タンク(As クラス相当)に ついては,同じ条件の解析を行っても座屈は発 生しないことを確認した.[1] 野本敏治,“日本原子力技術協会における
No.2(2008) [2] 日本機械学会, 発電用原子力設備規格 建設・設計規格(2005年版) JSME S NC1-2005(3)象脚座屈発生のメカニズム 地震による交番荷重回数の増加と共に少しず つ変形が進行するのではなく,一連の地震動の 時刻歴に含まれる卓越した両振り荷重の作用により,変形が一気に発生・進行する可能性が あることを確認した.・耐震Cクラスのタンクの挙動 No.3 ろ過水タンク (耐震Cクラス)を対象と した大変形弾塑性解析により,実際と同じ象脚 座屈の再現に成功した.参考文献・ 耐震 As クラスのタンクの挙動 一方,7号機軽油タンク (As クラス相当)に ついては,同じ条件の解析を行っても座屈は発 生しないことを確認した.[1] 野本敏治,“日本原子力技術協会における
No.2 (2008) [2] 日本機械学会, 発電用原子力設備規格 建設・設計規格(2005年版) JSME S NC1-2005・象脚座屈発生のメカニズム 地震による交番荷重回数の増加と共に少しず つ変形が進行するのではなく,一連の地震動の 時刻歴に含まれる卓越した両振り荷重の作用Table1 No.3 ろ過水タンクと7号機軽油タンクの比較地震による | 半径 | 高さ座屈 | m 1 m .液面 高さ m流体 比重板厚 mm屋根 重量* ton半径R5号機側ろ過水タンク」発生した4.912.110.1 |16,7約7」高さH)7号機軽油タンク発生せず、 | 5.3 | 9.57.5*0.87|9|約6板厚t液面高さHw備考*付属物含*設計値Table.2 解析に用いた材料特性項目単位ろ過水タンク軽油タンク備考材質SS400 鋼SM400B 鋼| JSME S NC1-2005 規格では 同特性 屋根は補強材の剛性を考慮 した推定値ヤング率(E)N/mm2203,000 1,015,000(屋根)203,000 2,030,000(屋根)ポアソン比()0.260.26JSME S NC1-2005降伏応力(Sy)N/mm?215215JSME S NC1-2005引張強さ(UTS)N/mm2400400JSME S NC1-2005加工硬化係数(H')N/mm245004500引張強さ時ひずみを 5%と想 定して算出密度(p)kg/m280308030注1:補強材の剛性を考慮した値(推定値)- 437 - Table.2 解析に用いた材料特性項目単位ろ過水タンク」軽油タンク備考材質SS400 鋼SM400B 鋼JSME S NC1-2005 規格では 同特性 屋根は補強材の剛性を考慮 「した推定値ヤング率(E)N/mm2203,000 1,015,000(屋根)203,000 | 2,030,000(屋根)ポアソン比(v)0.260.26JSME S NC1-2005降伏応力(Sy)N/mm2215215JSME S NC1-2005引張強さ(UTS)N/mm?400400JSME S NC1-2005加工硬化係数(H')N/mm245004500引張強さ時ひずみを 5%と想 定して算出密度(p)kg/m280308030注1:補強材の剛性を考慮した値(推定値) - 437 -全ての基礎ボルト伸び(M42) ブラケット基点に周方向に断続的 に象脚座屈 i高さL=12.1m底板 t%3D8mm象脚型変形、全周、断続、 基部から30・40cmFig.. 1 No.3 ろ過水タンクの損傷状況図要素種類タンク壁 :4辺形シェル要素 タンク屋根:4 辺形シェル要素 タンク底面:4辺形シェル要素 内部液体 :6面体流体要素 入力条件および支持条件114101-1 Thin4000・円筒部下部全節点でX(水平方向)加速度入力 ・円筒部下部全節点で上下方向支持TILLINE!!Fig.2 座屈解析用モデル1000 800太線の領域:解析 に入力1000 800 600 400 2006001901/02/03200加速度,cm/s2加速度,cm/s2-200 -400 -600 -800 -1000-200 -400 -600 -800 -100034. 00_4016020034.535361900/02/04 12:00:001900/02/0580_ 120_ 時刻, 秒35.5 時刻, 秒Fig. .3 座屈解析に用いた入力地震波(大湊側観測小屋、NS 方向)- 438 -地震時水位 10.1mR/t=883 F6mm半径R=35.3mR/757 t=7 mm h=243cm底板t%3D8mm象脚型変形、全周、 基部から 30・40cm座屈解析用モデル 1000 800600400|35.68秒26.335.72 秒kg/mm?kg/mm224.121.91900/01/18 16:48:001900/01/18 16:48:0017.517.5:12.000円まさはる記15.31114mekenkurtルセッi現場1210路盤整」警報機器さらにお8.76国際協限225歳MTG型器A製限認書KERS 万一商品t158 1100MM1900/01/05 13:40:48盛和環器6.574.38THE4.38ミ2.192.19Output Set: FINAS STEP 51 Deformed(9.587): Total Translation Contour: Node Top Von Mises StressOutput Set: FINAS STEP 55 Deformed(2.602): Total Translation Contour: Node Top Von Mises Stress1900/01/25 7:12:00x35.77秒kg/mm2kg/mm221.9でし東部ほか高飛KARAUDAMER WONO BERW思い出に活中 M AMAMASAYONENENUmemuronco 部エント・記者発表WEET_高密保ば1 INTEREST整田原日出子35.77 秒 (座屈部の拡大)Output Set: FINAS STEP 60 Deformed(14.73): Total Translation Contour: Node Top Von Mises StressOutput Set: FINAS STEP 60 |Deformed(14.73): Total Translation Contour. Node Top Von Mises StressFig.4 No.3 ろ過水タンクの解析結果(コンター図, 座屈が生じている)1235.76秒kg/mm2( 35.81 秒 xYkg/mm?Output Set FINAS STEP 59 Deformed(2.2): Total Translation Contour: Elem Top Von Mises StressOutput Set: FINAS STEP 64 Deformed(1.842): Total Translation Contour: Elem Top Von Mises StressFig.. 57号機軽油タンクの解析結果(コンター図, 座屈は生じない)439160035.6~35.75 秒の大規模な両振り 1200入力の直後に変位が急激に増加..し,その後入力が以前の水準に戻 800 - っても変位は増加したまま400タンク基部の北方向変位, mm-400-----800-1200-1600-16.0 35.15 35.25 35.35 35.45 35.55 35.65 35.75 35.85 35.95 36.05時刻, 秒 No.3 ろ過水タンクの解析結果:入力加速度とタンク基部(座屈発生部位)の変位の時刻歴Fig.6No.3 ろ過水タンクの解析結果:16001200タンク基部の変位は終始 低い状態を保つ800400入力加速度, cm/s2タンク基部の北方向変位, mm-400-800-1200-160035.15-16.0 36.0535.2535.3535.4535.5535.6535.7535.8535.95時刻, 秒Fig.. 77号機軽油タンクの解析結果:入力加速度とタンク基部の変位の時刻歴Fig.. 7440“ “?地震荷重によるタンクの座屈に関する研究“ “田中 良彦,Yoshihiko TANAKA,高木 愛夫,Yoshio TAKAGI,鈴木 俊一,Shunichi SUZUKI,小川 博志,Hiroshi OGAWA