3.95 MeV X-band Linacを用いた高エネルギーX線非破壊検査装置の開発
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カテゴリ: 第5回
1. 緒言
* 昨今のエネルギー事情や火力・原子力発電所の定期 検査のために状態監視保全(Condition Based Maintenance, CBM)の重要性が高まっている。そこで 我々は、パルス運転が可能な電子線形加速器(ライナ ック、Linac)を用いた制動放射X線による可搬型非破 壊検査装置の開発を行っている[1]。パルス運転できる ことにより、生成する X 線もパルスとなる。そこで、 回転機の回転数とライナックの繰り返しを同期させる ことにより、回転機を止めることなく静止画を取得で きると考えられる。ただし、放射線障害防止法の規定 により 1MeV 以上の加速器は放射線管理区域外に持ち 出せないため、我々は最大エネルギー950 keV のX線 発生装置を設計開発し、実証を現在行っている[2] しか し、大型橋梁の内部検査においては規制が緩和され、 4MeV 以下の装置でも管理区域外に持ち出すことがで きるようになった。それゆえ、適用範囲を広げるべく 3.95MeV のライナック X線源の設計を開始した。エネ ルギーが4倍となるが、加速管の長さや装置全体のサイズは 950 keVX 線減と同等程度を目標としている。
2.X線装置仕様 2.1 システム概略 - Figure.1 に本研究で開発を進めている装置の概要図 を示す。Thermionic e gunX-band LinacTarget[ 00] 200006aX-rayTomo/Magnetron Ion pumpModulatorFig. 1 Schematic View of X-ray NDT System 本装置は、X バンド加速管、マグネトロン、3 極管 電子銃、金属ターゲット、真空系、電源、冷却装置か らなる。加速周波数として X バンド (9.3 GHz)の周波 数帯を用い、高周波源として最大 1.3 MW 出力のマグネトロンを使用する。Xバンド周波数帯は通常の電子 ライナックで使用されるSバンド(2.856 GHz)よりも 周波数が高いため、波長が短くなる。それゆえ、同じ 加速電場を誘起するための加速管長が短くなり小型化 が可能となる。加速管の構造は構造が簡便な電場結合 (On-axis Coupling)よりも構造は複雑であるが高電場を実現で きる磁場結合(Side Coupling)を用いる。これゆえ、高効 率の加速が可能となり、加速管長を短くできる。X 線生成の安定化のため、電子銃をカソード・アノ ード間にグリッドを挿入した 3 極管を使用する。 3 極 管はグリッドにより電圧制御ができ、電子生成の安定 化が可能となる。Table 1 に我々が開発し試験を行っている 950 keV X バンドX線源と 3.95 MeV X バンドX線源の比較を示 す。 Table 1 Comparison of two types NDT System950 KeV System | 3.95 MeV System Status ExperimentDesigning Resonant X-bandX-band frequency 9.4 GHz9.3 GHz RF source | 250kW magnetron | 1.3 MW magnetron Coupling | On-axis coupling Side coupling Shunt | ~70M2/m~130 M2/m impedance Gun type | Thermionic, Diode, | Thermionic, Triode, 20 keV20 keV Tube ~30cm~30 cm length2.2 加速管概略 1 使用する加速管は 950keV X-band の加速管の仕様で ある On-axis Coupling 型の Alternative Periodic Structure (APS)型の空洞ではなく、Side Coupling 型の空洞を使用 する。Figure 2 に示すような加速セルの構造をしている。 Side Coupling 型空洞は電子ビームが通過する領域が狭 く電場によるセル同士の結合ができない。そのため加 速セルの端にセルを置き、隣の加速セルと磁場結合を させる。一般的に On-axis 型の加速管よりも高電場を作 ることができるので、加速効率が向上すると予想され る。現在、構造の簡便化と電子速度を考慮して、加速効率の良い構造を計算している。Vim10100000004.21:08 1.8ke 5.717Coupling Cell-1.1263 ・2.37e 56.03 -1.0143AcceleratingCoupling CellTyre E-Tield peal Prictor Hribar Component : Plane at x 0 Maximan-2 1.013年10Vim at 2014.07.4.95419 Frequency9.27404 Phase 0 degreesFig.2Cut View of Side-Coupling Cavity3.結言1) 小型加速器を用いた X 線非破壊検査装置の開発を行っている。 2) 950 keV X バンド装置の設計などを考慮して 3.95 * MeVXバンドX線源の設計を開始した。 3) 将来的には、原子力施設の状態監視保全に役立てればと考えている。謝辞本研究は高エネルギー加速器研究機構の加速器科学 支援事業における大学等連携支援事業(治療用小型加 速器の開発の為の要素技術研究)として行われている。参考文献[1] 山本智彦、夏井拓也他、“オンサイト非破壊評価用可搬型 950 keVXバンドライナックの開発““、日本 保全学会第4回学術講演会 産学協同セッション、福井、2007、産学 06 [2] 夏井拓也、山本智彦他、 “オンサイト非破壊検査用可搬型 950keVXバンドライナック X線源”、日 本保全学会第 5 回学術講演会 産学協同セッション、茨城、2008 [3] E.A.Knapp, B.C. Knapp, J. M. Potter, Rev. Sci. Instr.39,652 (1968) [4] R. Roy, 0. Shanker, IEEE Trans. Microwave andTech. 41, 1233 (1993)1899/12/311901/03/19“ “3.95 MeV X-band Linac を用いた高エネルギーX 線非破壊検査装置の開発“ “山本 智彦,Tomohiko YAMAMOTO,夏井 拓也,Takuya NATSI,上坂 充,Mitsuru UESAKA,田辺 英二,Eiji TANABE,中村 直樹,Naoki NAKAMURA,山本 昌志,Masashi YAMAMOTO
* 昨今のエネルギー事情や火力・原子力発電所の定期 検査のために状態監視保全(Condition Based Maintenance, CBM)の重要性が高まっている。そこで 我々は、パルス運転が可能な電子線形加速器(ライナ ック、Linac)を用いた制動放射X線による可搬型非破 壊検査装置の開発を行っている[1]。パルス運転できる ことにより、生成する X 線もパルスとなる。そこで、 回転機の回転数とライナックの繰り返しを同期させる ことにより、回転機を止めることなく静止画を取得で きると考えられる。ただし、放射線障害防止法の規定 により 1MeV 以上の加速器は放射線管理区域外に持ち 出せないため、我々は最大エネルギー950 keV のX線 発生装置を設計開発し、実証を現在行っている[2] しか し、大型橋梁の内部検査においては規制が緩和され、 4MeV 以下の装置でも管理区域外に持ち出すことがで きるようになった。それゆえ、適用範囲を広げるべく 3.95MeV のライナック X線源の設計を開始した。エネ ルギーが4倍となるが、加速管の長さや装置全体のサイズは 950 keVX 線減と同等程度を目標としている。
2.X線装置仕様 2.1 システム概略 - Figure.1 に本研究で開発を進めている装置の概要図 を示す。Thermionic e gunX-band LinacTarget[ 00] 200006aX-rayTomo/Magnetron Ion pumpModulatorFig. 1 Schematic View of X-ray NDT System 本装置は、X バンド加速管、マグネトロン、3 極管 電子銃、金属ターゲット、真空系、電源、冷却装置か らなる。加速周波数として X バンド (9.3 GHz)の周波 数帯を用い、高周波源として最大 1.3 MW 出力のマグネトロンを使用する。Xバンド周波数帯は通常の電子 ライナックで使用されるSバンド(2.856 GHz)よりも 周波数が高いため、波長が短くなる。それゆえ、同じ 加速電場を誘起するための加速管長が短くなり小型化 が可能となる。加速管の構造は構造が簡便な電場結合 (On-axis Coupling)よりも構造は複雑であるが高電場を実現で きる磁場結合(Side Coupling)を用いる。これゆえ、高効 率の加速が可能となり、加速管長を短くできる。X 線生成の安定化のため、電子銃をカソード・アノ ード間にグリッドを挿入した 3 極管を使用する。 3 極 管はグリッドにより電圧制御ができ、電子生成の安定 化が可能となる。Table 1 に我々が開発し試験を行っている 950 keV X バンドX線源と 3.95 MeV X バンドX線源の比較を示 す。 Table 1 Comparison of two types NDT System950 KeV System | 3.95 MeV System Status ExperimentDesigning Resonant X-bandX-band frequency 9.4 GHz9.3 GHz RF source | 250kW magnetron | 1.3 MW magnetron Coupling | On-axis coupling Side coupling Shunt | ~70M2/m~130 M2/m impedance Gun type | Thermionic, Diode, | Thermionic, Triode, 20 keV20 keV Tube ~30cm~30 cm length2.2 加速管概略 1 使用する加速管は 950keV X-band の加速管の仕様で ある On-axis Coupling 型の Alternative Periodic Structure (APS)型の空洞ではなく、Side Coupling 型の空洞を使用 する。Figure 2 に示すような加速セルの構造をしている。 Side Coupling 型空洞は電子ビームが通過する領域が狭 く電場によるセル同士の結合ができない。そのため加 速セルの端にセルを置き、隣の加速セルと磁場結合を させる。一般的に On-axis 型の加速管よりも高電場を作 ることができるので、加速効率が向上すると予想され る。現在、構造の簡便化と電子速度を考慮して、加速効率の良い構造を計算している。Vim10100000004.21:08 1.8ke 5.717Coupling Cell-1.1263 ・2.37e 56.03 -1.0143AcceleratingCoupling CellTyre E-Tield peal Prictor Hribar Component : Plane at x 0 Maximan-2 1.013年10Vim at 2014.07.4.95419 Frequency9.27404 Phase 0 degreesFig.2Cut View of Side-Coupling Cavity3.結言1) 小型加速器を用いた X 線非破壊検査装置の開発を行っている。 2) 950 keV X バンド装置の設計などを考慮して 3.95 * MeVXバンドX線源の設計を開始した。 3) 将来的には、原子力施設の状態監視保全に役立てればと考えている。謝辞本研究は高エネルギー加速器研究機構の加速器科学 支援事業における大学等連携支援事業(治療用小型加 速器の開発の為の要素技術研究)として行われている。参考文献[1] 山本智彦、夏井拓也他、“オンサイト非破壊評価用可搬型 950 keVXバンドライナックの開発““、日本 保全学会第4回学術講演会 産学協同セッション、福井、2007、産学 06 [2] 夏井拓也、山本智彦他、 “オンサイト非破壊検査用可搬型 950keVXバンドライナック X線源”、日 本保全学会第 5 回学術講演会 産学協同セッション、茨城、2008 [3] E.A.Knapp, B.C. Knapp, J. M. Potter, Rev. Sci. Instr.39,652 (1968) [4] R. Roy, 0. Shanker, IEEE Trans. Microwave andTech. 41, 1233 (1993)1899/12/311901/03/19“ “3.95 MeV X-band Linac を用いた高エネルギーX 線非破壊検査装置の開発“ “山本 智彦,Tomohiko YAMAMOTO,夏井 拓也,Takuya NATSI,上坂 充,Mitsuru UESAKA,田辺 英二,Eiji TANABE,中村 直樹,Naoki NAKAMURA,山本 昌志,Masashi YAMAMOTO