非接触型変位計を用いた小口径配管の振動応力計測方法の開発
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カテゴリ: 第5回
1.緒言
原子力発電所では、ポンプ等を加振源としてドレン 管・ベント管・計装用配管などの小口径配管が疲労破 壊する事例が数多く報告されている[1][2][3]。 その対策 の...つとして、振動応力評価が行われているが、小口 径配管の数が多いうえに多種多様な形状であるために、 より効率的な評価方法の開発が望まれている。 現在、配管系に生じる振動応力を計測する方法として、 接触式の振動計を用いる方法[4]やひずみゲージを振動 している対象物に直接貼付けする方法[5]、多数の加速 度計を用いて振動モードを把握し、演算によって対象 部位に発生する応力を求める方法[6]などがある。しか しながら、小口径配管が上記のような特徴を持ち、計 測に時間や労力を要することから、より効率的に振動 応力を計測する方法の開発が望まれている。 効率的な振動応力計測方法として、著者らはレーザー 変位計を用いたはり理論に基づく方法を提案し、板は りを用いた振動実験により、その適用性を確認した[7] [8]。ここでは、さらに実際の計測対象である配管を用 いた検討を行った。 本研究は、複数の非接触型変位計を用いた振動応力計 測方法について、配管を用いた正弦波加振実験の結果 に基づく適用性の検討結果を報告するものである。
2. 振動応力計測方法- Fig.1 に、非接触型変位計を用いたはり理論に基づく 計測方法の計測原理を示す。ここで、Dは配管外径、R は振動変形による配管の曲率半径、)、、u,は変位計 で計測した変位振幅、X、Yは曲率半径 R の中心0か ら計測位置までの距離および配管中心部までの距離、 X」、X,は変位計の計測間隔をそれぞれ表す。Fig.1 に示 す幾何条件より、式(1)から(3)が成立する。
Yox→XFig.1 Principle of measuring bending stress by meansof multiple contactless displacement sensors521(1)~(3)式を解いて得た R を、(4)式に代入することで、 曲げ振動により生じる振動応力 oが求められる。ここ で、Eはヤング率を表す。 o= DE/2R
3. 適用性の検討*1、2および3インチのステンレス鋼製配管試験体を 用いて振動実験を実施した。 Fig.2 に振動実験の概要を 示す。加振振動数は、配管試験体の固有振動数以下の 6点(0.5Hz 間隔)とした。非接触型変位計の計測間隔 を 38mm および 76mm とした時の本計測方法による振 動応力(以下、計測応力)と、D点および C点で計測 したひずみゲージ法による振動応力(以下、ひずみ応 力)とを比較した。横軸をひずみ応力、縦軸を計測応 力とした時の振動実験の結果を Fig.3 に示す。 - Fig.3 から、ひずみ応力と計測応力とが全般的に一致 することが分かった。特に、計測間隔が広い時には、 計測応力のばらつきは小さく高精度で振動応力を計測 できることが分かる。本計測方法は、ひずみ応力に比較して多少のばらつ きは見られるものの、そのばらつきは小口径配管に生 じる数十MPa程度の振動応力に対して十分に小さいと 考えられる。従って、本計測方法は小口径配管の振動 応力計測方法として適用できると考えられる。3.結言1)本計測方法により、従来のひずみゲージ法と同程度 この振動応力を計測できる。 2)本計測方法は、振動応力の小口径配管の振動応力計 - 測方法として適用できる。参考文献[1] Gosselin, S. R. and Fleming, K. N., 1997, “Evaluation ofPipe Failure Potential via Degradation MechanismAssessment,” Proc. ICON 5, 2641, pp.1-9. [2] Mitman, J., 1999, “Revised Risk-Informed InserviceInspection Evaluation Procedure,” EPRI TR-112657 Rev.B-A Final Report. [3] Lydell, B. O. Y., 2002, “A Database System Supportingthe Evaluation of Piping Reliability on the Basis ofOperational Experience,” SKI Report,RSA-R-2001-01.12. [4] Noda, M., et al., 2006, “Methods of EvaluatingVibration-Induced Stress of Small-Bore Piping,““ ASME-PVP, PVP2006-ICPVT-11-93198, pp.1-9. [5] Silva, C. W., 1999, “Vibration: Fundamentals andPractice,” CRC Press, Boca Raton, Chap. 8, pp.456-476. [6] Tanaka, M., et al., 1997, “Development of a Diagnosticand Monitoring System for Vibration Pipes,” MitsubishiHeavy Industries Technical Review, Vol.33, pp.278-281. [7] Noda, M., et al., 2007, “Development of evaluationmethod of vibrational stress in piping system applying multiple laser displacement sensors,” ASME-PVP,PVP2007/CREEP 8 Conference-26453, pp.1-7. [8] Shintani, M., et al., 2007, “Experimental study ofevaluation method of vibrational stress in piping systemu applying multiple laser displacement sensors” ASME-PVP, PVP2007/CREEP 8 Conference-26454, pp.1-10.Weight●:Strain gauges Oscillator■:Contactlessdisplacement 11000sensors Piping カートALK 38C ---- Interval : 76mm
“ “非接触型変位計を用いた小口径配管の振動応力計測方法の開発“ “野田 満,Michiyasu NODA,高橋 茂,Shigeru TAKAHASHI
原子力発電所では、ポンプ等を加振源としてドレン 管・ベント管・計装用配管などの小口径配管が疲労破 壊する事例が数多く報告されている[1][2][3]。 その対策 の...つとして、振動応力評価が行われているが、小口 径配管の数が多いうえに多種多様な形状であるために、 より効率的な評価方法の開発が望まれている。 現在、配管系に生じる振動応力を計測する方法として、 接触式の振動計を用いる方法[4]やひずみゲージを振動 している対象物に直接貼付けする方法[5]、多数の加速 度計を用いて振動モードを把握し、演算によって対象 部位に発生する応力を求める方法[6]などがある。しか しながら、小口径配管が上記のような特徴を持ち、計 測に時間や労力を要することから、より効率的に振動 応力を計測する方法の開発が望まれている。 効率的な振動応力計測方法として、著者らはレーザー 変位計を用いたはり理論に基づく方法を提案し、板は りを用いた振動実験により、その適用性を確認した[7] [8]。ここでは、さらに実際の計測対象である配管を用 いた検討を行った。 本研究は、複数の非接触型変位計を用いた振動応力計 測方法について、配管を用いた正弦波加振実験の結果 に基づく適用性の検討結果を報告するものである。
2. 振動応力計測方法- Fig.1 に、非接触型変位計を用いたはり理論に基づく 計測方法の計測原理を示す。ここで、Dは配管外径、R は振動変形による配管の曲率半径、)、、u,は変位計 で計測した変位振幅、X、Yは曲率半径 R の中心0か ら計測位置までの距離および配管中心部までの距離、 X」、X,は変位計の計測間隔をそれぞれ表す。Fig.1 に示 す幾何条件より、式(1)から(3)が成立する。
Yox→XFig.1 Principle of measuring bending stress by meansof multiple contactless displacement sensors521(1)~(3)式を解いて得た R を、(4)式に代入することで、 曲げ振動により生じる振動応力 oが求められる。ここ で、Eはヤング率を表す。 o= DE/2R
3. 適用性の検討*1、2および3インチのステンレス鋼製配管試験体を 用いて振動実験を実施した。 Fig.2 に振動実験の概要を 示す。加振振動数は、配管試験体の固有振動数以下の 6点(0.5Hz 間隔)とした。非接触型変位計の計測間隔 を 38mm および 76mm とした時の本計測方法による振 動応力(以下、計測応力)と、D点および C点で計測 したひずみゲージ法による振動応力(以下、ひずみ応 力)とを比較した。横軸をひずみ応力、縦軸を計測応 力とした時の振動実験の結果を Fig.3 に示す。 - Fig.3 から、ひずみ応力と計測応力とが全般的に一致 することが分かった。特に、計測間隔が広い時には、 計測応力のばらつきは小さく高精度で振動応力を計測 できることが分かる。本計測方法は、ひずみ応力に比較して多少のばらつ きは見られるものの、そのばらつきは小口径配管に生 じる数十MPa程度の振動応力に対して十分に小さいと 考えられる。従って、本計測方法は小口径配管の振動 応力計測方法として適用できると考えられる。3.結言1)本計測方法により、従来のひずみゲージ法と同程度 この振動応力を計測できる。 2)本計測方法は、振動応力の小口径配管の振動応力計 - 測方法として適用できる。参考文献[1] Gosselin, S. R. and Fleming, K. N., 1997, “Evaluation ofPipe Failure Potential via Degradation MechanismAssessment,” Proc. ICON 5, 2641, pp.1-9. [2] Mitman, J., 1999, “Revised Risk-Informed InserviceInspection Evaluation Procedure,” EPRI TR-112657 Rev.B-A Final Report. [3] Lydell, B. O. Y., 2002, “A Database System Supportingthe Evaluation of Piping Reliability on the Basis ofOperational Experience,” SKI Report,RSA-R-2001-01.12. [4] Noda, M., et al., 2006, “Methods of EvaluatingVibration-Induced Stress of Small-Bore Piping,““ ASME-PVP, PVP2006-ICPVT-11-93198, pp.1-9. [5] Silva, C. W., 1999, “Vibration: Fundamentals andPractice,” CRC Press, Boca Raton, Chap. 8, pp.456-476. [6] Tanaka, M., et al., 1997, “Development of a Diagnosticand Monitoring System for Vibration Pipes,” MitsubishiHeavy Industries Technical Review, Vol.33, pp.278-281. [7] Noda, M., et al., 2007, “Development of evaluationmethod of vibrational stress in piping system applying multiple laser displacement sensors,” ASME-PVP,PVP2007/CREEP 8 Conference-26453, pp.1-7. [8] Shintani, M., et al., 2007, “Experimental study ofevaluation method of vibrational stress in piping systemu applying multiple laser displacement sensors” ASME-PVP, PVP2007/CREEP 8 Conference-26454, pp.1-10.Weight●:Strain gauges Oscillator■:Contactlessdisplacement 11000sensors Piping カートALK 38C ---- Interval : 76mm
“ “非接触型変位計を用いた小口径配管の振動応力計測方法の開発“ “野田 満,Michiyasu NODA,高橋 茂,Shigeru TAKAHASHI