保全の構造の階層性とPDCA

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カテゴリ: 第5回
1.保全とは
プラント設備に対する保全とは何か、どのよ うな範囲なのかについて明確に定義されたも のはない。一応、現時点で大方の同意を得てい る解釈は以下のようなものである。 *保全とは、『人工構造物(設備、系統、機器 等)を対象に、それらが経年的に性状変化する ものであることを前提にしつつ、要求されてい る機能を発揮させるために、または維持するた めに実施する活動を総合した概念』である。 - これを原点として体系的に保全の範囲や構 造を明らかにしようという活動が精力的に試 みられている。
2. プラント構成の階層性
大型プラントはいくつかの「系統」の集合で 成り立ち、系統は多くの「機器」で成り立ち、 さらに機器は「部材、部品」に展開されるとい う階層的な構造を有している。このうちで、まずは「機器」に着目した一般 的な保全活動を例に考えることとする。 機器はそれが製造された後に現場に据付けられ、運用に入った時点から時間経過とともに 内外部からのストレスを受けて、何らかの物理 的、化学的な性状変化を起こす。これが好まし くない側へ変化し、その兆候が認知されれば 「劣化」となり、さらに放置し進行すれば「機 器故障」に至るという経過をたどる。一見して 性状変化がないように見えるものであっても、 それは進行が緩やかであるとか、程度が軽微で あるとかで ある期間中には劣化として顕在化 していないだけのことである。保全活動はこの経過を検知、または確認し、 故障や重大な事故、災害に至ることのないよう に管理することであるともいえる。3.保全の基本フローと保全の3要素保全活動を時間経過を軸としてみるなら、 D機器の状態を把握して性状変化や劣化の兆 - 候を検認する、 2その結果を整理し、分析・評価する、 3評価結果により必要な場合には修理や部品 取替えなどの措置を講じる、 という流れがある。この1「状態把握」、2「分 析評価」、3「保全措置」を「保全の3要素」、保全活動を時間経過を軸としてみるなら、 D機器の状態を把握して性状変化や劣化の兆 - 候を検認する、 2その結果を整理し、分析・評価する、 3評価結果により必要な場合には修理や部品 取替えなどの措置を講じる、 という流れがある。この1「状態把握」、2「分 析評価」、3「保全措置」を「保全の3要素」、また時間軸としての1~3の活動の流れを「保 * 個別機器の保全を対象にするとい 全の基本フロー」と言っている。立って、それでは「D」「C」「A」の前 - 留意しておくべきことは、現実の活動ではこる「P(PLAN)」はどういうことになる の3要素がすべて揃っていないケースがある ってみると、「P」は「当該機器の個別 ことであり、例えば1、2の結果として3は当 画」ということになる。つまり機器の また時間軸としての1~3の活動の流れを「保 全の基本フロー」と言っている。 * 留意しておくべきことは、現実の活動ではこ の3要素がすべて揃っていないケースがある ことであり、例えば1、2の結果として3は当 面は必要なしと判断されるケースや、他の経験 事例から1、2を当初から省略して3に取り掛 かる例もある。また1、2が省略されて一見3 のみが行われていると見えるものでも、実は以 前の1や2の結果をもとに相当の時間を経て 後(例えば次年度以降)に3が実施される例も ある。、夫他空平、PV谷、リム、リに至半天 4. PDCA サイクルと保全の基本フロー施時期と工程、実施体制、必要な資材、費用な ・ ここで「保全の計画」と「保全の基本フロー」 どを明らかにすることを指している。 の関係について、一般的な管理サイクルである P-D-C-A サイクルに対比させて考えてみる。5.保全計画の階層性 ・ ひとつの捉え方としては「保全のフロー」中 の3要素を、保全の計画(PLAN)に続く管理サ 一般論としては「保全計画」は「保全3要素」 イクルの「DO」、「CHECK」、「ACTOIN」にあては つまり「保全の基本フロー」のさらに前段に位 める考え方である。置するものである。しかし、前述の実務的な「個 つまり、1の機器点検行為などの「状態把握」 別の保全実施計画、または点検計画」だけが「保 が「DO」、2のその結果の「分析・評価」が「CHECK」、 全計画」なのだろうか? 3の修理、部品交換などの「保全措置」を どうやら「保全計画」という用語は広義から 「ACTION」と位置付ける考え方である。[Fig.1] 狭義までいろいろな捉え方で使われるようでここで「保全の計画」と「保全の基本フロー」 の関係について、一般的な管理サイクルである P-D-C-A サイクルに対比させて考えてみる。ひとつの捉え方としては「保全のフロー」中 の3要素を、保全の計画(PLAN)に続く管理サ イクルの「DO」、「CHECK」、「ACTOIN」にあては める考え方である。つまり、1の機器点検行為などの「状態把握」 が「DO」、2のその結果の「分析・評価」が「CHECK」、 3の修理、部品交換などの「保全措置」を 「ACTION」と位置付ける考え方である。 [Fig.1] 要素を、保全の計画(PLAN)に続く管理サ 一般論としては「保全計画」は「保全3要素 ルの「DO」、「CHECK」、「ACTOIN」にあてはつまり「保全の基本フロー」のさらに前段に 考え方である。置するものである。しかし、前述の実務的な「 まり、Dの機器点検行為などの「状態把握」 別の保全実施計画、または点検計画」だけが「 D」、2のその結果の「分析・評価」が「CHECK」、 全計画」なのだろうか? 修理、部品交換などの「保全措置」を どうやら「保全計画」という用語は広義か ION」と位置付ける考え方である。[Fig.1] 狭義までいろいろな捉え方で使われるようある。機器運車縫統 機器運転中 機器停止または運転中または運転再開 プロロロロ ローロロロロロー--+--- く 保全の 3 要素>---+保全 有効性 評価個別機器の 主保全(点検)の実施計画機器状態把握、 (点検、モニタリング)分析 評価 (判定)保全措置 (整備・修繕・部品交換)「P][C]ETA]保全措置 結果の 評価Fig.1 階層的な保全の構造 個別機器の保全を対象にするという前提に 立って、それでは「D」「C」「A」の前段位置す る「P(PLAN)」はどういうことになるのかと遡 ってみると、「P」は「当該機器の個別の点検計 画」ということになる。つまり機器の状態を知 る目的での具体的な点検の内容、方法、時期(ま たは点検頻度)を含んだ計画、すなわち「個別 の保全実施計画」を指すと考えるのが自然であ ろう。「点検計画、あるいは個別の保全実施計画」 は後述する広義の「保全計画」のうちのひとつ の実務的なレベルでの計画である。現場での実 務的保全活動を実施するにあたって、事前にそ の考え方、実施基準、内容、方法、判定基準実 施時期と工程、実施体制、必要な資材、費用な どを明らかにすることを指している。 いは個別の保全実施計画」 「保全計画」のうちのひとつ - 528 -個別保全実施計画| 個別保全実施計画 H L OHO全実施計画 - GOO個別保全実施計画個別保全美施計画状態把握評価保全措置保全の評価[C] ||分析・評価共通的・標準的 保全計画保全の計画[P]」保全の実施[D][c](個別保全実施計画への反映) [A,][c]保全基本計画(共通的・標準的保全計画への反映) [A2][C]保全方針(保全基本計画への反映) [A3]保全方針に かかる評価(保全方針への反映)みる。Fig.2 階層的な保全の構造 ここで、広義の「保全計画」について考察し4) 法令順*5) 保全体 保全の計画を階層的に捉え、まずは大前提と * 6) 迅速な てみる。 * 保全の計画を階層的に捉え、まずは大前提と なる基本的な計画から始め、それを順次具体的 に展開して実務的な計画にするということを 前提にして、それぞれの階層に該当する具体的 な計画(狭義の計画)を整理し総合的に組みあ げたものが「広義の保全計画」とみることがで きる。 [Fig.2] リ死にして、CAULALU白に以ゴリ 2★ドロッ7.保全計画 な計画(狭義の計画)を整理し総合的に組みあ げたものが「広義の保全計画」とみることがで 一般用語としての広義の「保全」 きる。 [Fig.2](Maintenance Plan)は、以下に示す(1 全基本計画」、(2)「標準的、共通的保全計(3)「個別保全実施計画」という階層年 6.保全方針計画を7\っくるめて総称したものである。 広義の保全計画のさらに上位に位置する保 全に対する経営政策上の意思、つまり「保全方 針」は取り組むにあたっての基本的な理念や姿 勢を示す声明である。したがって、以下に述べ る各階層ごとの具体的な計画を立案する際の “拠りどころ”、若しくは“おおもと”という ことができる。 * 保全方針に含まれる事項としては、例えば次 のようなことが挙げられる。 1)原子力災害等を起こさないという安全第一主義の声明 2)供給責任の観点から適正な供給信頼性(生産性)の確保、向上への姿勢 3) プラント寿命の設定、コスト目標の設定広義の保全計画のさらに上位に位置する保 (1)「保全基本計画」 全に対する経営政策上の意思、つまり「保全方 「保全基本計画」は経営的視点から示される 針」は取り組むにあたっての基本的な理念や姿 「保全方針」をベースに、一段階展開して保全 勢を示す声明である。したがって、以下に述べ についての基本的な取り組み方を示すレベル る各階層ごとの具体的な計画を立案する際の の計画である。 “拠りどころ”、若しくは“おおもと”という この内容としては、以下の例のような事項が ことができる。含まれる。 * 保全方針に含まれる事項としては、例えば次 1)保全の定義、対象範囲の基本的考え方 のようなことが挙げられる。2)品質マネージメント(PDCA サイクル)と 1)原子力災害等を起こさないという安全第一の関係の基本的考え方 主義の声明3) 保全重要度の設定の基本的考え方 2)供給責任の観点から適正な供給信頼性(生 4)保全の目標、プラントレベルの管理指標 産性)の確保、向上への姿勢の設定 3)プラント寿命の設定、コスト目標の設定5)保全方式とその組み合わせと保全内容・- 529 - 法令順守の徹底 保全体制の基本体制(請負、委託範囲) 迅速な通報連絡など経営の姿勢として特に 強調しておく必要がある事項 * 一般用語としての広義の「保全計画」 (Maintenance Plan)は、以下に示す(1)「保 全基本計画」、(2)「標準的、共通的保全計画」、 (3)「個別保全実施計画」という階層毎の各 計画をひっくるめて総称したものであろう。 (1) 「保全基本計画」「保全基本計画」は経営的視点から示される 「保全方針」をベースに、一段階展開して保全 についての基本的な取り組み方を示すレベル 含まれる。1)保全の定義、対象範囲の基本的考え方 2)品質マネージメント(PDCA サイクル)との関係の基本的考え方 3) 保全重要度の設定の基本的考え方 4)保全の目標、プラントレベルの管理指標の設定 5)保全方式とその組み合わせと保全内容・頻度決定の基本的考え方 6) 長期プラント停止点検、特定改造工事、大型修繕工事の基本計画 7)保全に関する情報の取り扱いと反映の基本的考え方 8) 保全の有効性評価の基本的考え方 9)保全技術基盤、人材養成にかかる基本的考え方 10) 保全にかかる人的関与に関する基本的考え方 111)保全費用に関する基本的考え方 (2)「標準的、共通的保全計画」次に位置するのは「標準的、共通的保全計画」 である。「保全基本計画」に従い、年度展開など時間 軸を念頭においた、より現実的な指標、施工標 準、共通的要領などの段階の計画であり、以下 のような諸事項を含む。 1)系統レベル、構築物レベルごとの数値的な保全目標、指標の設定 2)系統、構築物ごとの具体的な保全対象機器の明示(保全重要度区分を含む) 3)系統、構築物を構成する機器ごとに適用する保全種別、保全方法と時期 4)主要な保全活動(点検、結果評価、保全措置)の年次、月次展開計画 5) プラント全体に影響する大規模な工事の年次計画 6)保全活動にかかる標準、共通仕様の策定 7) 安全対策(放射線防護を含む)、人的過 - 誤の防止対策にかかる共通的な事項 8)保全活動の共通的管理体制、実施体制の確立(品質管理、工程管理体制を含む) 9) 保全用資材、予備部品等の確保にかかる事項 10) 保全費用の算定方式にかかる事項 (3)「個別保全実施計画」「個別保全実施計画」は、保全標準や共通的 な計画を、個別機器保全活動に対応させ、また 日々、週間、あるいは月間等のレベルに展開し た より現場実務に近い活動実施計画である。 1)日常的な個別保全活動の実施スケジュー2) 個別保全要領、作業手順、チェックシート、保全記録様式の確立 個別の品質管理・検査・試験の実施手順 現場的な安全対策などを含む作業実施条 件や作業環境確保にかかる計画 日常レベルの工程管理、予実算管理の計個別の保全活動に必要な管理体制、技術 技能レベルに応じた人材手配、資材、道 工具の確保計画8. 保全フローの階層的構造- 次に「保全の計画」と保全フローを構成する 保全3要素の深さ方向について考察をしてみ る。これは保全のフローが時間的な経過を示す 時間軸であるのに対して、深さ方向、つまり階 層性を考えてみるという意味である。 - 一般的には、保全の3要素として時間軸にそ った保全の実活動は、具象化されたものである が、その基層にはそれぞれを律する規範的なも の、共通のルール的なもの、あるいはベースと なる考えがあるはずである。また、この両者を 関係付けるもの、つまり方法論的なものもある はずである。つまり1基層には基準やベースがあり、2実 活動に結びつけるための活動相互の関係付け や調整事項、諸々の条件整備があり、そして3 実活動が実現されている、という深さ方向に親 亀、子亀、孫亀的な多層の構造をなしていると 理解できる。この構造を理解するのにひとつのヒントと なるのは、前述した保全にかかる計画の階層構 造である。つまり、保全方針、保全基本計画、標準的・ 共通的保全計画、個別保全実施計画という階層 的な構造を有していることは前述したとおり である。つまり現実の表面的な保全実活動という個 別の実施計画のみならず根底には種々の基本 的、あるいは共通的な考えや背景のもとに支え られて成立していることを示している。言い換 えれば保全の計画は、深さ方向に多層的に構成 されていると考えることができる。5309.「分析・評価」の階層性もうひとつのヒントは、「C」の「分析・評価」 である。これによって次サイクルの計画「P」 へとフィードバックされて繰り返し改善が進 められていく。つまり保全活動水準のスパイラ ルアップである。 - 前述のように、保全計画「P」が多層構造で あることを念頭にして、「分析・評価」や他の保 全要素である「状態把握」、「保全措置」も同様 に階層性を有しているはずであるとの考えの もとに考察を進める。つまり各保全要素には規 範的な基準またはベースがあってそのうえで 具体的な保全実活動が行われており、さらには その中間にこの両者を関係付けたり、条件整備 をするレベルのものがあるのだという前提で 構造を考える。まず、「分析・評価」であるが、これには大き く2つの評価事項があることに着目してみる。ひとつは何らかの修理や部品取替えに代表 されるような実作業としての「保全措置」が必 要か否か、ならびにそれをいつ実施するべきか を判断するための分析評価であり、もうひとつ は次回以降の「機器状態把握の方法や時期」に ついてより適切に見直すための分析評価であ る。後者は個別の点検実施計画へのフィードバ ックということになる。 ここで後者を取り上げて考察を進める。 視点を変えて、先に述べた保全の3要素であ る1、2、3をまとめてひとつの「DO」として みる見方をしてみる。これらの1、2、3の一 連の結果に基づいて全体を俯瞰して評価し、フ ィードバックして次の「計画」に反映するとい うサイクルが考えられる。保全の3要素の1、 2、3のすべてを包括した「DO」に対する総合 的な「評価」であるから、「評価(CHECK)」と いうアクションは「保全のフロー」の外側(さ らに後ろ側)に位置付けられるべきということ になる。この場合の大きなサイクルの「CHECK」 つまり「分析評価」は、当然ながら次回以降の 上位の共通計画や基本計画レベルに見直しを かけ改善するという視点でなければならない。 1. 従ってこの場合、「評価(CHECK)」というア クションによりフィードバックをかけるという意義は、単に当該機器の次回点検計画へ反映 というだけではなく、同様の機種や使用環境条 件の類似した機器に対しても共通的に反映し たり、または基本的取り組み方を見直すことに 反映することである。つまり前述の個別実施計 画よりもう一段階、あるいは二段階上位の系統 レベル、あるいはプラントレベルへの反映を図 るものである。したがってこの場合の P-D-C-A サイクルは個別の各保全フローを包含したよ り大きなサイクルを描くこととなる。「保全の 有効性評価」と言われるものは、このレベルの 「評価(Check)」のことを指していると解される。また同様に、個々の機器に対する複数の「保 全フロー」の積み上げの結果を総合的に経営的 な視点から「評価」したものは、「保全方針」 の見直しや高度化にもつながることになろう。かくのごとく「保全の計画」の次元に対応し て「分析・評価」の位置付けも、いわゆる深さ 方向に多層性の構造をしていると理解するこ とができる。10,10. 各保全要素の「保全計画」のレベルに対応した階層性」「保全のフロー」の中の「機器状態把握」や「保 全措置」という要素も、「保全計画」や「分析・ 評価」と同様に階層的な構造を有するものだと 仮定して考察を進めることができるのではな いかと考えられる。 [Fig.3] - 例えば、「状態把握」の場合、単に機器レベ ルの劣化状態を把握するというのは、ひとつの 捉え方ではあるが、一方でその活動を通じて同 種の機器や系統単位での点検の方法や頻度が 適切か、あるいは基本的、共通的な保全計画が 適切であるかという観点での諸情報の収集、つ まりこのような観点での「状態把握」活動もあ る。 - 例えば、系統レベルでの指標に対応するなら、 系統運転履歴や不稼動実績のフォローが「状態 把握」行為ということになる。同様にプラント レベル指標に対応させるならプラント稼働率 や停止回数、スクラム回数などをフォローする ことが「状態把握」の行為となる。このように531to P管理のサイクルFig.3 保全フロー/PDCA と階層構造の関係 | PD + c + A lc_AS 保全計画 状態把握 分析評価* | 分析評価 | 保全措置保全基本フロー(または保全要素)機器レベル機器点検計画 | 点検・診断実施 | 点検データ分析 ““今現状復旧ベースの 設備診断計画 点検データ | 機器保全履歴評価保全措置 機器修繕計画 機器故障データ心急措置 系統保全計画・指標系統機能低下データ、目標系統指標との、改善措置 機種別指標 (安全系など)比較分析 ハードウエア系統レベル (共通標準レベル)管理面【静的、動的)機種別データ他系統との比較分析 環境条件別データ | 他プラント・技量・技術面プラント保全計画・指標 | スクラム回数抜本的措置|指標値との比較分析】 プラントレベルプラント稼働率、停止率 (基本レベル)出力抑制率 「他プラント比較分析 管理面 廃棄物発生量、被曝量(体制、人材育成面) 「状態把握」もその目標とする保全概念の違11. おわりに い、つまりフィードバックさせる保全計画のレ ベルの違いに対応して多層性を有していると 保全は汎用技術として一般産業界を含め広 見ることができる。く行われているが、保全という用語については また同様に、「保全措置」に関しても、当面 いろいろな解釈がなされてきたのが実態であ の修理や手直しという目先の視点での行為のる。 みならず、対応措置として応急修理措置でいく * 保全学会では保全の体系を原点に立ち戻っ のか、構造材料変更を伴う抜本的対策か、あるて整理し解明していこうと種々の活動がなさ いは運転措置、隔離措置をどのように併用する れている。今回はこれらの一端を述べるととも のか、さらには大規模な増改良工事に踏み切るに、構造を単に時間的な経過を軸(横軸)とし のかなど、その結果として次の計画へのフィー て眺めるのみでなく、深さ方向、つまり多層的 ドバックの仕方が異なるような選択肢がある。な軸(縦軸)という面に着目して構造を論じる つまりやはり保全措置に関しても多層性があためのひとつの私案を示した。 ってその深さもいろいろだといえる。今後は上 今後この種の考察に取り組む活動が深化し 述の種々の選択肢を選択するにあたって、単に ていくことを期待し、また保全の構造を突き詰 経験だけによるのでなく保全の要素の構造の めていくことによってやがては保全の数理的 多層性、階層性に着目した科学的な合理性を持な取り組みに発展させていく可能性があるの った捉え方と、それにもとづく選択や判断が求ではないかと期待している次第である。 められるであろう。さらに言えば、保全計画の 一環として保全重要度を考えるときにも階層 参考文献 性を意識しておくことが大切である。つまり機 [1]保全教養講座「保全のリテラシー」、日本保全学会 器単位での重要性と、系統あるいはプラントワ イズの重要性は異なるはずである。これらについては、今後の課題として議論を 深めることが期待される。532“ “?保全の構造の階層性とPDCA “ “織田 満之,Mitsuyuki ODA
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