PaM(原因除去型保全)導入に向けた潤滑油管理の取組みについて
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カテゴリ: 第5回
1.緒言
現地ドラム缶にて保管している新油について実施 した潤滑油分析結果を Tablel に示す。当所における保管新油の清浄度は NAS1638 等級 における 8~12 相当であり、潤滑油メーカの工場出 荷時の 6~7 等級より汚染していることが確認され た。
3.対応策
回転機器の健全性を維持するためには、摺動部の 潤滑油管理が極めて重要な要素である。このため、当所においては、定期的に摺動部の潤 滑油を取替え、潤滑油診断により以降の経年劣化状 況を把握し、トラブルの未然防止等の設備保全に努 めている。一方、新油受入時の管理に関しては、潤滑油の仕 様確認を行うに留まっていたことから、当所におけ る新油の性状についてサンプル分析を行ったところ、 「相当程度の夾雑物の存在が確認された。そこで、新油の清浄度管理の導入による摺動部の 劣化要因除去(原因除去型保全の適用)の検討に取 組むこととし、以下にその計画の概要を述べる。 様確認を行うに留まっていたことから、当所に る新油の性状についてサンプル分析を行ったと 相当程度の夾雑物の存在が確認された。そこで、新油の清浄度管理の導入による摺動部の 劣化要因除去(原因除去型保全の適用)の検討に取 組むこととし、以下にその計画の概要を述べる。3.1 計画概要新油を浄化し、潤滑油に含まれる夾雑物を除去し た浄油を管理することにより、夾雑物に起因する摺 動部の劣化の発生・進行が抑制される。このため、 新油保管用の専用保管庫の設置による新油の清浄度 修理の一元化を絵計した汚染度 | 参考(NAS1638 潤滑油種別(ISO4406) 相当級) タービンオイル | 18/16/12~19/17/15 8~9ギアオイル23/20/1612連絡先:杉原雅紀、〒796-0495 愛媛県西宇和郡伊方町 九町字コチワキ3番耕地 40 の 3、電話: 0894-39-0221 〒796-0495 愛媛県西宇和郡伊方町 番耕地 40 の3、電話: 0894-39-0221- 71 -現地ドラム缶にて保管している新油について実施 した潤滑油分析結果を Tablel に示す。当所における保管新油の清浄度は NAS1638 等級 における 8~12 相当であり、潤滑油メーカの工場出 3.1 計画概要 * 新油を浄化し、潤滑油に含まれる夾雑物を除去し た浄油を管理することにより、夾雑物に起因する摺 動部の劣化の発生・進行が抑制される。このため、 新油保管用の専用保管庫の設置による新油の清浄度 管理の一元化を検討した。保管庫内に設置する浄油装置により清浄度を向上 させた新油を潤滑油種別毎の専用容器に保管し、回 転機器に供給することにより、潤滑油入替時におけ る夾雑物持込量の低減が可能となり、潤滑油の取替 頻度、軸受の点検頻度の低減が期待される。 .2新油保管庫の設置 新油保管庫は、約 10 種の潤滑油の浄化が可能なよ 、新ドラム缶、浄油装置(ドラムトッパー)、潤滑 貯蔵ラック等を配置する。新油保管庫の配置計画 3.2 新油保管庫の設置新油保管庫は、約 10種の潤滑油の浄化が可 う、新ドラム缶、浄油装置(ドラムトッパー)、 油貯蔵ラック等を配置する。新油保管庫の配置 図を Fig.1 に示す。10000オイルジョッチオイルジョッキ 収納収納浄油装置(ドラムトッパー)収納棚廃油ドラム缶潤滑油貯蔵ラックシステム8000| 40ドラムカー新ドラム缶新ドラム缶出入口Fig. 1 新油保管庫配置計画図3.3 設備仕様ISO4406 等級に基づく新油の清浄度管理目標値を タービンオイル及びギアオイルについて各々設定し、 浄油装置のフィルタ仕様を選定した。浄油装置の概要を Fig.2 に、フィルタ仕様を Table2 に示す。浄油装置 (ドラムトッパー)ドラム缶浄油装置 (電動ポンプ+浄油装置 (電動ポンプ+ フィルタで構成)により ドラム缶の油を浄油し、 コンテナへ移送Fig.2 浄油装置の概要Table2 浄油装置フィルタ仕様清浄度管理目標値 | フィルタ仕様 潤滑油種別(ISO4406) (ISO 4572) タービンオイル34 フィルタ 14/11/9(>200) ギアオイル 16/13/116フィルタ(>200)また、実機適用を計画しているフィルタについて、 Duke Power Catawba 発電所(米国)において人為的 に汚染させたタービンオイルの試料を使用したろ過 試験を行い、実機適用性の見通しを得た。 試験結果を Table3 に示す。Table3 フィルタ試験結果汚染度 フィルタ仕様 項目(ISO4406) (ISO 4572) 初期値 | | 22/22/21 34 フィルタ 1st Pass* | 17/16/13| (B,>200) ※:コンテナ保有量の1回浄化3.4 実施スケジュール及び今後の課題今年度下期より新油保管庫の建屋工事に着手し、 機器類を配置した後、来年度より実運用を開始する。新油清浄度管理導入後の回転機器の潤滑油データ を取得し、浄油装置の性能検証および供用中の回転 機器に対する効果の分析を行い、運転中機器に係る 閏滑油清浄度管理値の検討等を進める予定である。4.結言) 保管新油に相当程度の夾雑物の存在を確認した。 ) PaM(原因除去型保全)導入に向けて新油清浄度の向上策を具体化した。 3) 次年度以降、潤滑油管理の見直しによる効果の検 証を実施する。謝辞浄油装置の選定に当たり、AREVA NP Inc. の PLEX-機器信頼性向上グループ と Duke Power の Catawba 原子力発電所の協力を得た。ここに厚く謝 意を表する。“ “PaM(原因除去型保全)導入に向けた潤滑油管理の取組みについて“ “杉原 雅紀,Masanori SUGIHARA,広瀬 逸夫,Itsuo HIROSE,矢野 裕二,Yuji YANO
現地ドラム缶にて保管している新油について実施 した潤滑油分析結果を Tablel に示す。当所における保管新油の清浄度は NAS1638 等級 における 8~12 相当であり、潤滑油メーカの工場出 荷時の 6~7 等級より汚染していることが確認され た。
3.対応策
回転機器の健全性を維持するためには、摺動部の 潤滑油管理が極めて重要な要素である。このため、当所においては、定期的に摺動部の潤 滑油を取替え、潤滑油診断により以降の経年劣化状 況を把握し、トラブルの未然防止等の設備保全に努 めている。一方、新油受入時の管理に関しては、潤滑油の仕 様確認を行うに留まっていたことから、当所におけ る新油の性状についてサンプル分析を行ったところ、 「相当程度の夾雑物の存在が確認された。そこで、新油の清浄度管理の導入による摺動部の 劣化要因除去(原因除去型保全の適用)の検討に取 組むこととし、以下にその計画の概要を述べる。 様確認を行うに留まっていたことから、当所に る新油の性状についてサンプル分析を行ったと 相当程度の夾雑物の存在が確認された。そこで、新油の清浄度管理の導入による摺動部の 劣化要因除去(原因除去型保全の適用)の検討に取 組むこととし、以下にその計画の概要を述べる。3.1 計画概要新油を浄化し、潤滑油に含まれる夾雑物を除去し た浄油を管理することにより、夾雑物に起因する摺 動部の劣化の発生・進行が抑制される。このため、 新油保管用の専用保管庫の設置による新油の清浄度 修理の一元化を絵計した汚染度 | 参考(NAS1638 潤滑油種別(ISO4406) 相当級) タービンオイル | 18/16/12~19/17/15 8~9ギアオイル23/20/1612連絡先:杉原雅紀、〒796-0495 愛媛県西宇和郡伊方町 九町字コチワキ3番耕地 40 の 3、電話: 0894-39-0221 〒796-0495 愛媛県西宇和郡伊方町 番耕地 40 の3、電話: 0894-39-0221- 71 -現地ドラム缶にて保管している新油について実施 した潤滑油分析結果を Tablel に示す。当所における保管新油の清浄度は NAS1638 等級 における 8~12 相当であり、潤滑油メーカの工場出 3.1 計画概要 * 新油を浄化し、潤滑油に含まれる夾雑物を除去し た浄油を管理することにより、夾雑物に起因する摺 動部の劣化の発生・進行が抑制される。このため、 新油保管用の専用保管庫の設置による新油の清浄度 管理の一元化を検討した。保管庫内に設置する浄油装置により清浄度を向上 させた新油を潤滑油種別毎の専用容器に保管し、回 転機器に供給することにより、潤滑油入替時におけ る夾雑物持込量の低減が可能となり、潤滑油の取替 頻度、軸受の点検頻度の低減が期待される。 .2新油保管庫の設置 新油保管庫は、約 10 種の潤滑油の浄化が可能なよ 、新ドラム缶、浄油装置(ドラムトッパー)、潤滑 貯蔵ラック等を配置する。新油保管庫の配置計画 3.2 新油保管庫の設置新油保管庫は、約 10種の潤滑油の浄化が可 う、新ドラム缶、浄油装置(ドラムトッパー)、 油貯蔵ラック等を配置する。新油保管庫の配置 図を Fig.1 に示す。10000オイルジョッチオイルジョッキ 収納収納浄油装置(ドラムトッパー)収納棚廃油ドラム缶潤滑油貯蔵ラックシステム8000| 40ドラムカー新ドラム缶新ドラム缶出入口Fig. 1 新油保管庫配置計画図3.3 設備仕様ISO4406 等級に基づく新油の清浄度管理目標値を タービンオイル及びギアオイルについて各々設定し、 浄油装置のフィルタ仕様を選定した。浄油装置の概要を Fig.2 に、フィルタ仕様を Table2 に示す。浄油装置 (ドラムトッパー)ドラム缶浄油装置 (電動ポンプ+浄油装置 (電動ポンプ+ フィルタで構成)により ドラム缶の油を浄油し、 コンテナへ移送Fig.2 浄油装置の概要Table2 浄油装置フィルタ仕様清浄度管理目標値 | フィルタ仕様 潤滑油種別(ISO4406) (ISO 4572) タービンオイル34 フィルタ 14/11/9(>200) ギアオイル 16/13/116フィルタ(>200)また、実機適用を計画しているフィルタについて、 Duke Power Catawba 発電所(米国)において人為的 に汚染させたタービンオイルの試料を使用したろ過 試験を行い、実機適用性の見通しを得た。 試験結果を Table3 に示す。Table3 フィルタ試験結果汚染度 フィルタ仕様 項目(ISO4406) (ISO 4572) 初期値 | | 22/22/21 34 フィルタ 1st Pass* | 17/16/13| (B,>200) ※:コンテナ保有量の1回浄化3.4 実施スケジュール及び今後の課題今年度下期より新油保管庫の建屋工事に着手し、 機器類を配置した後、来年度より実運用を開始する。新油清浄度管理導入後の回転機器の潤滑油データ を取得し、浄油装置の性能検証および供用中の回転 機器に対する効果の分析を行い、運転中機器に係る 閏滑油清浄度管理値の検討等を進める予定である。4.結言) 保管新油に相当程度の夾雑物の存在を確認した。 ) PaM(原因除去型保全)導入に向けて新油清浄度の向上策を具体化した。 3) 次年度以降、潤滑油管理の見直しによる効果の検 証を実施する。謝辞浄油装置の選定に当たり、AREVA NP Inc. の PLEX-機器信頼性向上グループ と Duke Power の Catawba 原子力発電所の協力を得た。ここに厚く謝 意を表する。“ “PaM(原因除去型保全)導入に向けた潤滑油管理の取組みについて“ “杉原 雅紀,Masanori SUGIHARA,広瀬 逸夫,Itsuo HIROSE,矢野 裕二,Yuji YANO