浜岡原子力発電所 状態監視技術を適用した設備の診断事例について

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カテゴリ: 第5回
1.緒言
中部電力浜岡原子力発電所(以下、「浜岡」)(静岡 県御前崎市)では、これまで設備の保全方式として、 時間計画保全(以下、「TBM」)を適用し、充分な裕 度をもって保全計画(点検周期等)を定めてきた。 _ しかし、10年ほど前から一部設備の保全方式の見 直しを図り、保全の重要度が低いと判断される機器を 対象に、TBM から状態監視保全(以下、「CBM」)へ 移行を図り、定期的に状態監視を行うこととした。これにより、機器の劣化状態を把握し、異常兆候を 検知することが可能となり、無用な分解点検をなくし、 最適なタイミングで適切な点検を適用することが可 能となった。 - 現在浜岡では、CBM 対象機器および TBM 対象の回 転機器に対して、振動診断技術を適用している。本報告は、状態監視技術の適用状況、および設備診 断事例の結果について述べたものである。
2. 状態監視技術の適用状況 - 浜岡では、1~5号機の回転機器に対して、1ヶ月 毎に振動測定を行い、異常兆候の有無を確認するとと もに、ベースデータの収集を図っている。
また、絶対基準値と相対基準値を機器毎に設定し、 異常兆候の有無を確認することで、傾向を監視し、機 器の健全性確認を実施している。診断の結果、異常兆候が認められた場合は、診断周 期の短縮等の対応を図るとともに、必要に応じて他の 連絡先:加藤寿宏、〒437-1695 静岡県御前崎市佐倉 5561 中部電力(株)浜岡原子力発電所 保修部保修計画課 電話:0537-85-2481、email: Katou Toshihiro@chuden co.jp状態監視技術(サーモグラフィー診断や潤滑油診断 等)を用いて、監視強化を図っている。3.設備診断実績3.1 設備診断事例の紹介 これまで実施してきた振動診断において、異常兆候 が確認された機器において、実際に補修まで実施した 事象について、点検手入れ前データ等を採取し、診断 結果の妥当性について確認した。 1) 横型電動機における転がり軸受部の振動増大定期的に実施している振動診断において、ベルト 駆動横型電動機の振動値の増加傾向が確認された。このため、診断周期を1ヶ月から1週間へ短縮し、 監視強化を図ると共に、振動加速度の周波数分析に より、軸受異常の振動スペクトルが確認されたこと から、開放型の転がり軸受に対し、緩和措置として グリース補充を実施した。その後も軸受からの異音が増大し、加速度値の増 加傾向が継続したため、プラント定期点検に同調し、 分解点検を実施した。振動値の推移グラフを図1に 示す。みたいになるにはRUBARSにしたいお店が50552Kはにはにはには10504045625B10662466454051510IW4I9454453555555になる速度値instransmittentermirrentest加速度?変位値図1 振動値の推移グラフ分解した軸受状態を以下の図2に示す。ころ軸受 の外輪および転動体に傷が認められ、内輪の片側全 周にフレーキングが認められた。Commamotion0.1図2 分解した軸受状態(内輪) 本事象は、プーリーのオフセットが原因の、軸受 偏荷重による損傷と推測される。このため、組立確 認時の注意事項として情報提供を行った。 2) 横型ファンにおける転がり軸受部の振動増大定期的に実施している振動診断において、横型フ ァンの振動値の増加傾向が確認された。このため、診断周期を1ヶ月から1週間へ短縮し、 監視強化を図った。その後も軸受からの異音が増大 し、加速度値から速度・変位へと振動値の増加傾向 が移行したため、プラント定期点検に同調し、分解 点検を実施した。振動値の推移グラフを図3に示す。速度値加速度値、変位値ここ12:00~図3 振動値の推移グラフ 分解した軸受状態を図4に示す。自動調心ころ軸 受の保持器の片側に異常摩耗が認められた。図4 分解した軸受状態(保持器と転動体) 本事象は、軸受箱の取付位置のズレによる偏荷重 状態が続き、最終的に潤滑不良に至ったことによる 異常摩耗と推測される。このため、組立確認時の注 意事項として情報提供を行った。 3) 電動機・発電機のケーブル接続部の異常発熱サーモグラフィー診断技術の導入検討のための 現場調査において、ケーブルのプラグイン端子部の 相間に温度差が認められた。熱画像を図5に示す。38.4°C最大: 55.3 PCI最大:52.7° 最大:59. 1 °C 図5 プラグイン端子部における熱画像 このため、1週間単位で発熱状態を傾向監視する とともに、プラント定期点検に同調した分解点検に て詳細確認した結果、接触子部のへたりにより、接 触抵抗が増加していたことが確認された。分解した プラグイン端子部の状態を図6に示す。図6 分解したプラグイン端子部の状態 このため、プラグイン端子部の取替を実施すると 共に、保全内容の見直し(定期取替)を図った。3.2 問題点と課題への対応 1)分解点検後の試運転時の確認では、振動変位値での管理としているため、CBM にて適用している速度・加速度を追加した管理方法へと移行する。 2) 状態監視を行う上で必要な力量評価として、新たに社内認定制度を導入し、教育計画を策定する。 3) 機器の異常兆候が認められた場合の原因究明の進め方や、補修時期の判断については、診断経験が 不足しているため、今後も診断経験を積み重ね、 情報をデータベース化し、設備診断の信頼性向上 に努める。4.結言これまでの設備診断において、異常兆候を確認し、 機器の故障に至る前に補修を行うことができ、状態監 視技術を有効に活用することができた。今後も引き続きベースデータの収集を図り、機器単 位でのベースラインを定め、異常兆候の早期発見に努 めると共に、機能喪失に至る前の適切なタイミングで 補修を計画することができるよう、より一層の診断能 力の向上を図り、設備診断の信頼性向上に努めていく。また、補修時の点検手入れ前データを基に、診断結 果の妥当性を評価すると共に、補修のタイミングを判 断する際の検討材料として活用していく。82“ “浜岡原子力発電所 状態監視技術を適用した設備の診断事例について“ “加藤 寿宏,Toshihiro KATO,宮原 恵,Megumu MIYAHARA,黒柳 克巳,Katsumi KUROYANAGI
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