原子炉内作業用ロボットマニピュレータの自動動作設計手法

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カテゴリ: 第6回
1. 緒言
原子炉内構造物の保全作業に用いる水中遠隔機器は 構造物と干渉することなく動作させる必要がある。こ のような動作の設計は試行錯誤で経路と姿勢を決定す るため多大な労力と時間が必要であり、装置開発期間 の短縮を妨げる要因となっている。また、炉内で高い 位置決め精度が求められる作業では、施工中に現場で 計測した構造物の形状データに基づいて経路の修正が 必要な場合があり、工程遅延の要因ともなり得る。そこで、構造物の形状データを入力するだけで作業 動作を短時間で自動生成する手法を開発したので、以 下に報告する。
2. 作業動作の自動生成手法
2.1 対象とする施工装置本手法の開発では原子炉内で作業可能な汎用多軸ア ーム[1]を適用対象とした。多軸アームの外観を Fig.1 に、主な仕様を Table 1 に示す。沸騰水型原子炉のシュ ラウドサポートレグ裏側へ多軸アームでアクセスして いる例を Fig.2 に示す。アーム先端には作業の種類に応 じて交換可能な施工ヘッドを搭載し、VTや超音波探傷 による検査、レーザピーニング予防保全、水中レーザ 溶接補修など様々な作業に対応可能である。連絡先:菅沼直孝、〒235-8523 横浜市磯子区新杉田町8、 (株)東芝 電力・社会システム技術開発センター、電 話:045-770-2380、e-mail:naotaka.suganuma@toshiba.co.jp- 125 -Axis 7 (1)Axis 6Axis 6Axis 5Axis 4Axis 3Axis 2Axis 1,Fig. 17-axis manipulatorFig. 17-axis manipulatorTable 1 Specifications of 7-axis manipulatorications Number of axisT7 Weight capacity (kg)10 Weight (kg)55 Arm length (mm)1600 Dia. of Arm (Max) (mm) 0250ManipulatorTool headMount mechanismShroud support legReactor Pressure Vessel2.2 作業動作の自動生成手法一般的な動作設計手順では、最初にアーム手先の 動作経路を計画し、続いてその経路に沿うようにアー ム姿勢を生成する。経路を自動的に生成する試みとし て、アーム手先の目標位置と構造物に高低差を持つポ テンシャル場を定義して、その勾配に沿って動作経路 を探索する手法[2]が知られている。しかしながらこの 手法は、経路の探索途中において局所解に停留した場 合に目標位置まで到達できないという問題がある。ま た、アーム姿勢を自動で決定する手法に関しては、未Fig. 2 Example of work in nuclear reactorMassJamewsInitial position2.2 作業動作の自動生成手法 一般的な動作設計手順では、最初にアーム手先のTorsion spring 動作経路を計画し、続いてその経路に沿うようにアーInitial position ム姿勢を生成する。経路を自動的に生成する試みとしFig. 4 Motion trajectory model て、アーム手先の目標位置と構造物に高低差を持つポ テンシャル場を定義して、その勾配に沿って動作経路Target positionObstacle ,: ' を探索する手法[2]が知られている。しかしながらこの 手法は、経路の探索途中において局所解に停留した場 合に目標位置まで到達できないという問題がある。ま た、アーム姿勢を自動で決定する手法に関しては、未 だ実用化されているものはない。 そこで、形状データを基に即座に動作経路と姿勢を|_ Motion trajectory model 自動生成する手法として斥力ベクトル場という概念を 用いた手法を考案した。斥力ベクトルとは、構造物か(a)Initial motion trajectory (b)Generated motion trajectory ら離れる方向を持ち、構造物に近いほど大きくなるよFig.5 Generation of avoidance motion trajectory うに定義したベクトルである。Fig.3 に円柱構造物の3 次元形状データを元に生成した仮想斥力ベクトル場の させる。この結果 Fig.5(b)に示すような円柱構造物を回 例を示す。この円柱構造物を回避して裏側へアーム手 避した動作経路が生成される。 先を移動させる経路を求める例を以下に説明する。手 次に、アーム手先の動作経路と同様に斥力ベクトル 先の動作経路として多数の質点とばねを連結した構造 場を用いて、アームの3次元形状モデルに対して斥力 で表現した動作の経路モデル(Fig.4)を定義する。そを作用させて、アーム姿勢を変化させる。斥力の作用 の両端の位置を Fig.5(a)に示すようにアーム手先の動によりアーム全体は構造物から離れようとする力を受 作開始位置と目標位置に拘束して斥力ベクトル場に配 けるが、生成した動作経路に沿う方向の力をアーム手 置する。この状態で経路モデルの各質点に斥力を作用先に作用させることで、動作経路に倣いつつ構造物と させることで、質点間に生じるばね張力と斥力ベクトの干渉を回避したアームの動作を自動で生成できる。 ル場の斥力とが吊り合うまで経路モデルの形状を変化!!- 126 - 例を示す。この円柱構造物を回避して裏側へアーム手 先を移動させる経路を求める例を以下に説明する。手 先の動作経路として多数の質点とばねを連結した構造 で表現した動作の経路モデル(Fig.4)を定義する。そ の両端の位置を Fig.5(a)に示すようにアーム手先の動 作開始位置と目標位置に拘束して斥力ベクトル場に配 置する。この状態で経路モデルの各質点に斥力を作用| で表現した動作の経路モデル(Fig.4)を定義する。そ の両端の位置を Fig.5(a)に示すようにアーム手先の動 作開始位置と目標位置に拘束して斥力ベクトル場に配 置する。この状態で経路モデルの各質点に斥力を作用 させることで、質点間に生じるばね張力と斥力ベクト ル場の斥力とが吊り合うまで経路モデルの形状を変化」ObstacleRepulsive vectorFig. 3Repulsive vector fieldTarget positionTension springAMYaMasswirTorsion springInitial positionTarget positionObstacleModotion trajectory model Initial position 7 ili ..(a)Initial inotion trajectory (b)Generated motion trajectory させる。この結果 Fig.5(b)に示すような円柱構造物 詳した動作経路が生成される。次に、アーム手先の動作経路と同様に斥力ベク 島を用いて、アームの3次元形状モデルに対して斥力 こ作用させて、アーム姿勢を変化させる。斥力の作用 によりアーム全体は構造物から離れようとする力を受 こよりアーム全体は構造物から離れようとする力を受 けるが、生成した動作経路に沿う方向の力をアーム手 元に作用させることで、動作経路に倣いつつ構造物と 干渉を回避したアームの動作を自動で生成できる。2.3 本手法の特長定されるものではなく、原子炉内を遊泳移動して点検 以下に本手法の特長をまとめる。を自動的に行うロボットの移動経路の生成にも適用可 (1)斥力ベクトル場は、構造物との距離に基づいて 能である。算出しており、構造物の形状が複雑な場合でも 本稿で紹介した自動動作生成手法により原子炉内作 同一のアルゴリズムで容易に生成可能業における装置の動作設計にかかる時間を短縮し、工 (2) 動作開始位置と目標位置が繋がれたモデルで経期短縮にも寄与できると考えている。 路形状を決定するため、探索手法のように局所参考文献 解に停留することなく動作経路を生成可能 (3) 7軸以上の自由度を持っ冗長アームにおいても [1] 笠井茂、松崎謙司 “汎用多軸アームと動作経 適用することができ、冗長自由度を利用した干路の自動生成手法”、東芝レビュー、Vol.64 No.1、 渉回避姿勢を生成可能2009、pp.56-59 3. 機能確認試験[2] O.Khatib, “Real-Time Obstacle Avoidance forManipulators and Mobile Robots”, International 本手法を用いて、円柱構造物の裏側へアクセスするJournal of Robotics Research, vol.5 No.1, 1986, 動作の自動生成シミュレーションを行った。その結果、pp.90-98 Fig.6 に示すように目標位置を入力するだけでアーム 手先の動作経路を決定し、その経路に沿う形で構造物 Target position ..... し干渉しないアームの動作を自動で生成できることをGenerated path 産認した。また、実際の多軸アームを用いて、周囲を壁に囲ま てた狭隘な空間内で円柱形状の構造物の回避試験を行 い、干渉することなく目標点まで到達できることを実 正した(Fig.7)。Obstacle4.結言7-axis manipulatorFig. 6 Result of collision avoidance simulation原子炉内で使用する汎用多軸アームの動作設計を短 寺間で行うために、斥力ベクトル場を用いた動作の自 動生成手法を開発した。この手法は、多軸アームに限WallJobstacleoObstacleにTarget pointFig. 7Result of collision avoidance experiment“ “原子炉内作業用ロボットマニピュレータの自動動作設計手法“ “菅沼 直孝,Naotaka SUGANUMA,松崎 謙司,Kenji MATSUZAKI,島村 光明,Mitsuaki SHIMAMURA,向井 成彦,Naruhiko MUKAI,笠井 茂,Shigeru KASAI
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