大飯発電所における振動診断業務プロセスの構築について
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カテゴリ: 第6回
1. 緒言
原子力発電所における運転中機器の状態監視の実 施目的は、O異常の早期発見2健全性の随時確認2 メンテナンスの最適化であり、運転中の故障リスク の低減および設備の信頼性向上を図ることである。大飯発電所においては、定期的に振動診断、潤滑 油診断および赤外線(サーモ)診断を実施し設備状 態を把握し、1異常の早期発見に努めてきた。一方、2健全性の随時確認および3メンテナンス の最適化に関しては、従前は状態監視データの確認 とその都度の処置に留まっていたことから、設備状 態の継続的な監視やそのデータを活用した保全最適 化に向けた取組みが必ずしも十分に行われておらず、 発電所全体への状態監視業務に対する認識が広まり にくい状況が続いていた。そこで、大飯発電所において他の状態監視(潤滑 油診断および赤外線(サーモ)診断)より10年程 度先行導入している振動診断約千機器を対象に、2 健全性の随時確認および3メンテナンスの最適化に も繋がるオリジナルの業務プロセス(ステータス管 理)を構築し、改善を図ることにより、振動診断業務 の高度化が推進された。また、所内での意識高揚活 動を行うことにより、認識度アップができたので以 下にその概要を述べる。
2. 課題- 大飯発電所においては、振動診断から得られた過 去の状態監視データおよび対応状況(処置や監視強 化の実績)等の経年的情報を共有するためのしくみ がなく、測定の都度異常と評価した機器に対しての み必要な対応を取るに留まっていた。そのため、各機器の経年的な状態変化や振動診断 対象の全機器の状況確認等網羅的な見方による状態 の把握が困難であり、メンテナンスの最適化に向け た活動まで至っていなかった。また、このようなこ とから発電所全体で状態監視業務を取組まねばなら ないという認識が希薄であった。3.対応策 3.1 概要現行の業務プロセスの改善を図り、振動診断評価 結果および各機器の状態と対応状況について、測定 者一評価者一処置担当者間での情報共有が円滑に行 えるしくみを開発することにより、より確実に振動 診断業務のPDCAを回すことができ、実効的で関 係者の一体感が生まれる業務プロセスとなる。この ポイントを目標に、関係者が情報共有できるしくみ を開発し、それを付加した業務プロセスを構築する こととした。128また、毎月の振動診断評価結果を蓄積し、網羅的 に再評価することにより、個別評価とは異なる視点 から見た特徴(要因)に応じた分析が可能となる。 例えば、振動値を高めている要因が機器個体による ものかその機種の共通的な要因によるものかの分析 が可能となる。今後更なるデータの蓄積を行ってい くことで、同じ要因で処置を繰り返し行っている機 器の抽出も行え、必要な保全へのフィードバックが 期待される。3.2 業務プロセスの構築 * これまでの振動診断評価結果に基づく対応として は、評価者から振動測定データと依頼文書により処 置担当者に処置の依頼を行っていた。しかし、まだ あまり認識されていない状態監視業務であったので、 緊急度合いに関係なく他業務が優先的に処理される 傾向となり、振動診断業務のPDCAをタイムリー に回せない状況となっていた。 * このような状況を踏まえ、業務プロセスに着目し、 新たなしくみとしてステータス管理が導入できるよ う検討を行った。ステータス管理とは、振動測定データを評価した 結果に応じて、機器毎に監視強化、グリスアップ等 の処置や測定データのメーカ解析等を行う機器カル テとして、赤、黄、紫等の色別に分類し、依頼文書 の代わりに運用するとともに、色別の変更管理を行 うことにより、関係者間の情報共有を円滑に行うこ とができるしくみである。このしくみを導入することにより、ステータスに 応じた緊急度合いの共通認識が測定者一評価者一処 置担当者間で持つことができ、また色別で状況把握 がしやすい点から関係者間でのコミュニケーション が取りやすくなった。その結果、状態監視活動の認 識が高まり、振動診断業務のPDCAをより確実に 回すことができるようになった。 - ステータス管理の評価(色別)概略を Fig1 に示 す。計画測定評価不明異常兆候」処置・対策満紫 メーカ解析良好監視強化 → 1 | 処置青機器カルテ (帳票+データ)?置後監視Fig1 ステータス管理の評価(色別)概略Figl の評価結果を基に、各機器のカルテを作 成・運用管理する。機器カルテのサンプルを Fig2 に示す。処置検施依頼票(1/2)赤No.00013討 実【振動診断用】 発行日 平成21年5月5日(木)発行保全計画課 機器名称 12号機 2B-格納容器送気ファンドー長長評価者 加速度103軸受| AB→C104軸受AB→C 状態変化ooaa 添付資料 ・点検実績データ・精密診断結果03.04回受の加速度の値および波形を確認した結果、潤滑油不良を確認。グリー 評価結果 スアップを推奨する。 (必要な処置)処置計画期限平成21年 5月12日処置計画(具体的処置内容・処置予定時期)処置計画、設備担当課 長係長班長担当| 5月15日にグリスアップを実施する。SAMPLE E処置報告(評価依頼) *1処置報告設備担当課 課長 係長 班長担当5月15日にグリスアップを実施し、値についてはAB(良好) に回復しいている。評価を依頼致します。*1:設備担当課にて処置に接動データ(配含む)採取を実施し、正票と合わせて今 回採取データ利点検後データ、 結果)を保全計百ぽに提出し品価佐を行補助票(2/2) へ- 評価後ステータス変更区分 口No. 00010 | 「口に口園ステータス変更保全計画課長 係長 | 評価者 値および波形を確認した結果、AB(良好)となり潤滑 ステータス「油不良が改善されていることが確認できたため、ス 変更評価結果|テータスを肯(処置後の一定期間監視)に移行する。0く保管>正:保全計画課写し用済み廃棄Fig2 機器カルテのサンプル129また、過去からの状態監視データおよび対応状 況等の経年的情報を一覧で確認することができるス テータス一覧表を用いて、発電所幹部を含む所内関 係者への定期的な報告のほか、社内の web サイト上 で公表するなどの「可視化」や、振動診断業務に携 わらない幅広い所員に対しても情報共有を可能とす るといった意識高揚活動により、状態監視業務に対 する発電所全体の認識が高まった。 ステータス一覧表イメージを Fig3 に示す。一級黄線縁縁緑振動ステータス 機器名H20年|4月|5月|6月|7月|8月|9月|10月 1A-MGセットモータ 1A-MGセット発電機 「緑「 緑 1B-MGセットモータ「 緑 1B-MGセット発電機 |2A-MGセットモータ 2A-MGセット発電機 「緑 」 |2B-MGセットモータ 2B-MGセット発電機 「 縁「 緑 」 1Aほう酸ポンプモータ T黄 黄赤青 |1A-ほう酸ポン |1B-ほう酸ポン 1B-ほう酸ポン 12A-ほう酸ポンラビッ 2A一ほう酸ポンプ 2B-ほう酸ポンプモータ 2B-ほう酸ポンプ 1A-格納容器送気ファン「 緑 1B-格納容器送気ファン緑 2A-格納容器送気ファン 緑す■緑 12B-格納容器送気ファン赤青■SAMPLE黄祿祿祿祿經?級一なし緑緑緑緑Fig3 ステータス一覧表イメージ現在、汎用ソフト(Excel)ベースのツールを活用し ステータス管理を行っている。今後、このツールを プロトタイプとして必要な機能を付加し、将来的に は既存の保全総合システム等とリンクさせることも 視野に入れ、より高度で最適な保全がタイムリーに 行えるようIT化による業務処理のスピードアップ| を行い、保全業務の高度化に繋げる構想である。3.3 ステータス管理の状況現状の大飯発電所における振動診断対象機器のス テータス状況としては、緑(良好)94%以上、黄 (監視強化) 3~5%、赤(処置) 1%以下となっ ている。この赤(処置)1%以下については、近時 の分解点検で処置を行うこととしているため残存し ているものである。- これまで異常の早期発見により、赤(処置)と評 価された機器の95%以上について、適切な補修を 施し状態を回復することができた。また、ステータス管理を導入し1年以上経過する が、理由無く処置や対応の業務が遅延した実績はな く、確実に業務のPDCAを回すことができた。その結果もあり、振動診断対象機器において運転 中に振動を起点とした重大なトラブルは発生してお らず、運転中における機器の信頼性が高まったもの と自負している。3.4 保全活動への展開 * 毎月のステータス結果を蓄積し、網羅的に再評価 することにより、異なる視点から見た特徴(要因) に応じた分析が可能となる。今回確認された具体的な事例として、監視強化に 移行している機器に対し設備分類別の再評価を行っ た結果、空調設備の占める割合が高く、何れも振動 速度の値が高い傾向にあることが確認された。さら に、設備構成を確認した結果、共通事項として、ベ ルト駆動タイプでプレナムユニット内タイプ、ファ ンと軸受が独立タイプの設備であることが確認され た。本件については、今後の展開としてこのタイプ の空調設備のメンテナンス時に振動低減方策を図る 方向で対策を進める。このような活動を今後継続して行っていくことで、 機器のメンテナンスの最適な時期や方法(点検箇所) 等に関するインプットデータが蓄積され、メンテナ ンスの最適化に繋げられると期待している。また、原因追求等においては必要に応じ潤滑油診 断や赤外線(サーモ)診断、プラント運転データ等を 加味し総合診断を行っていくことでより一層精度が 高まり、機器信頼性の向上が図れるものと考える。4.結言1) 振動診断業務プロセスにステータス管理を付加し、 状態監視データおよび対応状況等の経年的情報 を一覧で随時確認可能な運用とすることで、業務の高度化を行った。 2) 可視化等による意識高揚活動により、大飯発電所 全体において状態監視業務の認識が高まった。130蓄積されたステータス結果を分析し、その結果に3)蓄積されたステータス結果を分析し、その結果に 応じた保全活動を行っていくことで、メンテナン スの最適化に繋げられることが期待できる。5. 謝辞ステータス管理のツール製作にあたり、株式会社 原子力エンジニアリングの協力を得た。ここに厚く 謝意を表する。果を分析し、その結果に いくことで、メンテナン ことが期待できる。製作にあたり、株式会社 協力を得た。ここに厚く121- 131 -“ “?大飯発電所における振動診断業務プロセスの構築について“ “細川 高憲,Takanori HOSOKAWA,決得 恭弘,Yasuhiro KETTOKU,林田 実,Minoru HAYASHIDA
原子力発電所における運転中機器の状態監視の実 施目的は、O異常の早期発見2健全性の随時確認2 メンテナンスの最適化であり、運転中の故障リスク の低減および設備の信頼性向上を図ることである。大飯発電所においては、定期的に振動診断、潤滑 油診断および赤外線(サーモ)診断を実施し設備状 態を把握し、1異常の早期発見に努めてきた。一方、2健全性の随時確認および3メンテナンス の最適化に関しては、従前は状態監視データの確認 とその都度の処置に留まっていたことから、設備状 態の継続的な監視やそのデータを活用した保全最適 化に向けた取組みが必ずしも十分に行われておらず、 発電所全体への状態監視業務に対する認識が広まり にくい状況が続いていた。そこで、大飯発電所において他の状態監視(潤滑 油診断および赤外線(サーモ)診断)より10年程 度先行導入している振動診断約千機器を対象に、2 健全性の随時確認および3メンテナンスの最適化に も繋がるオリジナルの業務プロセス(ステータス管 理)を構築し、改善を図ることにより、振動診断業務 の高度化が推進された。また、所内での意識高揚活 動を行うことにより、認識度アップができたので以 下にその概要を述べる。
2. 課題- 大飯発電所においては、振動診断から得られた過 去の状態監視データおよび対応状況(処置や監視強 化の実績)等の経年的情報を共有するためのしくみ がなく、測定の都度異常と評価した機器に対しての み必要な対応を取るに留まっていた。そのため、各機器の経年的な状態変化や振動診断 対象の全機器の状況確認等網羅的な見方による状態 の把握が困難であり、メンテナンスの最適化に向け た活動まで至っていなかった。また、このようなこ とから発電所全体で状態監視業務を取組まねばなら ないという認識が希薄であった。3.対応策 3.1 概要現行の業務プロセスの改善を図り、振動診断評価 結果および各機器の状態と対応状況について、測定 者一評価者一処置担当者間での情報共有が円滑に行 えるしくみを開発することにより、より確実に振動 診断業務のPDCAを回すことができ、実効的で関 係者の一体感が生まれる業務プロセスとなる。この ポイントを目標に、関係者が情報共有できるしくみ を開発し、それを付加した業務プロセスを構築する こととした。128また、毎月の振動診断評価結果を蓄積し、網羅的 に再評価することにより、個別評価とは異なる視点 から見た特徴(要因)に応じた分析が可能となる。 例えば、振動値を高めている要因が機器個体による ものかその機種の共通的な要因によるものかの分析 が可能となる。今後更なるデータの蓄積を行ってい くことで、同じ要因で処置を繰り返し行っている機 器の抽出も行え、必要な保全へのフィードバックが 期待される。3.2 業務プロセスの構築 * これまでの振動診断評価結果に基づく対応として は、評価者から振動測定データと依頼文書により処 置担当者に処置の依頼を行っていた。しかし、まだ あまり認識されていない状態監視業務であったので、 緊急度合いに関係なく他業務が優先的に処理される 傾向となり、振動診断業務のPDCAをタイムリー に回せない状況となっていた。 * このような状況を踏まえ、業務プロセスに着目し、 新たなしくみとしてステータス管理が導入できるよ う検討を行った。ステータス管理とは、振動測定データを評価した 結果に応じて、機器毎に監視強化、グリスアップ等 の処置や測定データのメーカ解析等を行う機器カル テとして、赤、黄、紫等の色別に分類し、依頼文書 の代わりに運用するとともに、色別の変更管理を行 うことにより、関係者間の情報共有を円滑に行うこ とができるしくみである。このしくみを導入することにより、ステータスに 応じた緊急度合いの共通認識が測定者一評価者一処 置担当者間で持つことができ、また色別で状況把握 がしやすい点から関係者間でのコミュニケーション が取りやすくなった。その結果、状態監視活動の認 識が高まり、振動診断業務のPDCAをより確実に 回すことができるようになった。 - ステータス管理の評価(色別)概略を Fig1 に示 す。計画測定評価不明異常兆候」処置・対策満紫 メーカ解析良好監視強化 → 1 | 処置青機器カルテ (帳票+データ)?置後監視Fig1 ステータス管理の評価(色別)概略Figl の評価結果を基に、各機器のカルテを作 成・運用管理する。機器カルテのサンプルを Fig2 に示す。処置検施依頼票(1/2)赤No.00013討 実【振動診断用】 発行日 平成21年5月5日(木)発行保全計画課 機器名称 12号機 2B-格納容器送気ファンドー長長評価者 加速度103軸受| AB→C104軸受AB→C 状態変化ooaa 添付資料 ・点検実績データ・精密診断結果03.04回受の加速度の値および波形を確認した結果、潤滑油不良を確認。グリー 評価結果 スアップを推奨する。 (必要な処置)処置計画期限平成21年 5月12日処置計画(具体的処置内容・処置予定時期)処置計画、設備担当課 長係長班長担当| 5月15日にグリスアップを実施する。SAMPLE E処置報告(評価依頼) *1処置報告設備担当課 課長 係長 班長担当5月15日にグリスアップを実施し、値についてはAB(良好) に回復しいている。評価を依頼致します。*1:設備担当課にて処置に接動データ(配含む)採取を実施し、正票と合わせて今 回採取データ利点検後データ、 結果)を保全計百ぽに提出し品価佐を行補助票(2/2) へ- 評価後ステータス変更区分 口No. 00010 | 「口に口園ステータス変更保全計画課長 係長 | 評価者 値および波形を確認した結果、AB(良好)となり潤滑 ステータス「油不良が改善されていることが確認できたため、ス 変更評価結果|テータスを肯(処置後の一定期間監視)に移行する。0く保管>正:保全計画課写し用済み廃棄Fig2 機器カルテのサンプル129また、過去からの状態監視データおよび対応状 況等の経年的情報を一覧で確認することができるス テータス一覧表を用いて、発電所幹部を含む所内関 係者への定期的な報告のほか、社内の web サイト上 で公表するなどの「可視化」や、振動診断業務に携 わらない幅広い所員に対しても情報共有を可能とす るといった意識高揚活動により、状態監視業務に対 する発電所全体の認識が高まった。 ステータス一覧表イメージを Fig3 に示す。一級黄線縁縁緑振動ステータス 機器名H20年|4月|5月|6月|7月|8月|9月|10月 1A-MGセットモータ 1A-MGセット発電機 「緑「 緑 1B-MGセットモータ「 緑 1B-MGセット発電機 |2A-MGセットモータ 2A-MGセット発電機 「緑 」 |2B-MGセットモータ 2B-MGセット発電機 「 縁「 緑 」 1Aほう酸ポンプモータ T黄 黄赤青 |1A-ほう酸ポン |1B-ほう酸ポン 1B-ほう酸ポン 12A-ほう酸ポンラビッ 2A一ほう酸ポンプ 2B-ほう酸ポンプモータ 2B-ほう酸ポンプ 1A-格納容器送気ファン「 緑 1B-格納容器送気ファン緑 2A-格納容器送気ファン 緑す■緑 12B-格納容器送気ファン赤青■SAMPLE黄祿祿祿祿經?級一なし緑緑緑緑Fig3 ステータス一覧表イメージ現在、汎用ソフト(Excel)ベースのツールを活用し ステータス管理を行っている。今後、このツールを プロトタイプとして必要な機能を付加し、将来的に は既存の保全総合システム等とリンクさせることも 視野に入れ、より高度で最適な保全がタイムリーに 行えるようIT化による業務処理のスピードアップ| を行い、保全業務の高度化に繋げる構想である。3.3 ステータス管理の状況現状の大飯発電所における振動診断対象機器のス テータス状況としては、緑(良好)94%以上、黄 (監視強化) 3~5%、赤(処置) 1%以下となっ ている。この赤(処置)1%以下については、近時 の分解点検で処置を行うこととしているため残存し ているものである。- これまで異常の早期発見により、赤(処置)と評 価された機器の95%以上について、適切な補修を 施し状態を回復することができた。また、ステータス管理を導入し1年以上経過する が、理由無く処置や対応の業務が遅延した実績はな く、確実に業務のPDCAを回すことができた。その結果もあり、振動診断対象機器において運転 中に振動を起点とした重大なトラブルは発生してお らず、運転中における機器の信頼性が高まったもの と自負している。3.4 保全活動への展開 * 毎月のステータス結果を蓄積し、網羅的に再評価 することにより、異なる視点から見た特徴(要因) に応じた分析が可能となる。今回確認された具体的な事例として、監視強化に 移行している機器に対し設備分類別の再評価を行っ た結果、空調設備の占める割合が高く、何れも振動 速度の値が高い傾向にあることが確認された。さら に、設備構成を確認した結果、共通事項として、ベ ルト駆動タイプでプレナムユニット内タイプ、ファ ンと軸受が独立タイプの設備であることが確認され た。本件については、今後の展開としてこのタイプ の空調設備のメンテナンス時に振動低減方策を図る 方向で対策を進める。このような活動を今後継続して行っていくことで、 機器のメンテナンスの最適な時期や方法(点検箇所) 等に関するインプットデータが蓄積され、メンテナ ンスの最適化に繋げられると期待している。また、原因追求等においては必要に応じ潤滑油診 断や赤外線(サーモ)診断、プラント運転データ等を 加味し総合診断を行っていくことでより一層精度が 高まり、機器信頼性の向上が図れるものと考える。4.結言1) 振動診断業務プロセスにステータス管理を付加し、 状態監視データおよび対応状況等の経年的情報 を一覧で随時確認可能な運用とすることで、業務の高度化を行った。 2) 可視化等による意識高揚活動により、大飯発電所 全体において状態監視業務の認識が高まった。130蓄積されたステータス結果を分析し、その結果に3)蓄積されたステータス結果を分析し、その結果に 応じた保全活動を行っていくことで、メンテナン スの最適化に繋げられることが期待できる。5. 謝辞ステータス管理のツール製作にあたり、株式会社 原子力エンジニアリングの協力を得た。ここに厚く 謝意を表する。果を分析し、その結果に いくことで、メンテナン ことが期待できる。製作にあたり、株式会社 協力を得た。ここに厚く121- 131 -“ “?大飯発電所における振動診断業務プロセスの構築について“ “細川 高憲,Takanori HOSOKAWA,決得 恭弘,Yasuhiro KETTOKU,林田 実,Minoru HAYASHIDA